風の吹き方とは?対流・海風・陸風・季節風とは?

対流

風のない、静かな日に、たき火をすると煙りが勢いよく空に昇っていきます。

これは、たき火で暖められた空気が上へのぼりそこの空気がうすくなって、まわりの空気が、たき火のほうに集まってくるためです。

このように、暖められた空気が上にのぼり冷たい空気がそれを補って下に流れこむような空気の動きを熱によって起こる対流といいます。

自然にも、このような熱による対流が、いろいろとみられます。


海風と陸風

夏の天気のよい日、海岸地方で風向や風速の変化を調べてみましょう。
昼間、風は海のほうから吹いてきます。

ところが夜になると、反対に陸から海のほうに吹きます。
海から陸のほうへ吹く風を海風、陸から海のほうへ吹く風を陸風といいます。

昼間は、太陽熱のため、陸地が海よりも暖められます。
暖まった陸地の空気は軽くなり、上へ昇ります。

そのあとへ冷たい空気が、対流によって流れこんで、海風となるのです。
夜は陸地が海よりも冷えやすいので反対に陸の空気が海のほうへ流れこみ、陸風となります。

海風は、陸地の気温のいちばん高い昼過ぎに最も強くなります。
また、海風と陸風とをくらべると陸風のほうが、海風よりも弱いのが普通です。

よい天気が続いているあいだには毎日規則正しく、このような海陸風が吹きます。
海陸風のほかに山風や谷風なども、対流で起こる例です。

夕凪・朝凪

夏、海岸地方では、天気のよい日などに夜になって風がばったり止み急に蒸し暑くなることがあります。これを夕凪といいます。

このような天気のときは、昼間に海風が吹き、夜には陸風が吹きます。
この海風から陸風にうつるしばらくのあいだが、夕凪の起こるときです。

これは、日暮れすぎに、陸地と海面の温度がだいたい同じになり、そのために風が止むからです。
瀬戸内海沿岸の夕凪は、非常に蒸し暑いので有名です。

また、朝方、陸風から海風にかわるしばらくのあいだ、風が止みます。これが朝凪です。



季節風

風向きや風速が、1年中に、どのようにかわるかを、調べてみましょう。
つぎの表は東京で観測した結果をとりまとめたものです。

この表を見ると9月から4月までは、北北西または北の風がいちばん多く吹いています。
また、平均の風速のいちばん強いのは3月と4月で、3.2メートルとなっています。

10月ごろから3月ごろまでの北北西の風はおもにシベリア大陸のほうから吹いてくる風で、これを冬の季節風といいます。
6月ごろから8月ごろまでの南の風は太平洋から吹いてくる風で、これを夏の季節風といいます。

5月、6月ごろは、冬の季節風から夏の季節風にうつりかわるときで梅雨は、このころに起こります。
また、9月ごろは、夏の季節風から冬の季節風にうつりかわるときで台風は、このころやってきます。

季節風の吹くわけに、海風・陸風の吹くわけと似ていて熱による対流の、もっと大がかりなものです。




風速・風速計・平均風速とは? わかりやすく解説!

風速

風の速さを風速といいます、ふつう風速は空気が1秒間に何メートル動いたかであらわします。
風速5メートルといえば、1秒間に空気が5メートルだけ動いたことをあらわしています。


風速計

風速を観測するには、風速計を使います。
風速計には、いろいろの形のものがあります。
そのうち気象台や測候所でよく使われているのはエーロベン風向風速計です。

風圧計も風向計も木や家の影にならないような高い塔の上が屋根の上にやぐらを建てて、備え付けます。
ふつう、地上から10メートルくらいの高さのところに据え付けるのがいちばんよいとされています。

平均風速

9時に、風速を測るとしましょう。
9時10分まえに、風速計についている目もりをよみます。

そして、ちょうど9時に、また目もりをよんで、そのひらきをとります。
このひらきは、10分間に風が何メートル動いたかを、しめしています。

したがって、この距離を10分間の秒数、すなわち600で割れば、平均の風速がわかります。

このように、10分間の風の動いた距離からもとめた1秒間の風速のことを10分の平均風速、または、たんに日金風速といいます。

気象台や測候所で用いている風速計は風向と風速が同時に観測できるようになっています。

しかし、学校などで使われている風速計は風はい(風受け皿)のついた風速計が用いられています。
この風速度計には、3つの風はいと4つの風はいのものがあります。



風の息・瞬間風速

風は、急に強くなったり、また弱くなったりして吹いています。これを風の息といいます。

風速計で、風速を10分間測っているあいだにも風は強く吹いたり、弱く吹いたりしています。
ですから、こうして測った風速は、強い風や、弱い風を平均したものです。

風速計には、このように平均風速を測る器械のほかに風の息をそのまま、測ることのできるものもあります。
このような器械を使えば、瞬間の風速を知ることができます。

風の息の強いときには、よく船が沈んだり、家が吹き倒されたりします。
これをふせぐには、風の息の性質を知ることが大切です。

気象台では、1つ分間の平均の風速と、瞬間の風速の両方を測っています。

長いあいだの記録を調べた結果によると瞬間の風速は平均の風速のおよそ1.5倍としてよいようです。

もし、平均の風速を観測して、それが24メートルであったとすると瞬間風速は36メートルくらいであったと考えてよいことになります。

ビューフォート風力階級

風速計がなくても、なれてくると、およその風速の検討をつけることができます。
それには、ビューフォート風力階級を使います。

ビューフォート風力階級の表には海の波の有様や陸上の木の揺れ方などを見て風のおよその強さを知るための説明がついています。

この表で風力階級を知るには表の説明のところをよく読んでいまの有様が、この説明のれにいちばん近いかを見ます。

風力階級がわかれば、それから表の風速の欄を見て、だいたいの風速を知ることができます。

たとえば、木全体が揺れていて風に向かって、なかなか歩きにくいほどの強い風が吹いているとします。

このときの風力が吹いているとします。
このときの風力階級は7で、風速は、およそ14から17メートルの間です。

この風力階級は、0から12までわかれています。




風向とは? 風向計とは? わかりやすく解説!

風向と風速

学校の教室や自分の家の窓から見える煙突の煙を観察して風の吹き方に注意してみましょう。

時刻によって、また、日によって、風の吹いてくる方向がいろいろとかわることに気がつきます。

風のないときには、煙はまっすぐに上へのぼります。


煙突は、ふつう屋根の上に高くつき出ていてまわりに邪魔するものがないので、自然のままの風の様子をあらわしています。

山の斜面や崖のふちや、また、ビルの屋上などでは風が下から上へ吹上たり、反対に上から下へ吹き下ろしたりします。

地形や建物の影響のないような広い原っぱや、上空では、風は水平に吹きます。

気象の観測では、地形や建物の影響のないような位置で自然のままの風の吹いてくる方向や、その速さをはかりこれをその地域の代表的な風向・風速とみなしています。

そして、天気予報に利用したり、また風についての、いろいろの調べをおこなったりします。

地形や建物の影響を受けた、ありのままの風の吹き方を知ることも大切です。
そのためには、町の中の家の建てこんだところで、風がどのように吹いているかまた、丘や谷で、風がどのように吹いているのかを調べます。

そうすると、たとえば、火災のときの火の伝わり方や工場の煙突から出る、有害なガスの流れかたなどを知ることができ、たいへん役立ちます。

このような場合には、風向や風速をはかるためにふつうの器械だけでなく、いろいろかわった器械や、方法が工夫されています。

風向

風の吹いてくる方向を、風向といいます。
北から吹いてくる風は北風、南から吹いてくる風は南風です。

風向は、ふつう8つの方向にわけて観測します。
8つの方向というのは、北・東・南・西の4つの方向と北東・南東・南西・北西の4つの方向です。

これを八方位といいます。

風向はまた、図のように、十六方位であらわすこともあります。

風向を観測して、ノートに書きこむときは北をN、南をSというように、記号を使うと便利です。

風向を観測するかんたんな方法は吹き流しをつくって、そのなびく方向をみることです。
なびく反対の方向が風向になります。
風向が見やすいように棒の下のほうに方位を書いた板をつけておくと便利です。

たき火の煙りや、煙突から出る煙りは空気の動くままに流れますからこれを観察して、風向を知ることもできます。

ただ、この場合に遠くから煙突の煙りを見ていると煙突の右か左かに流れている子とはわかりますが自分のほうに流れているのか、むこうのほうへ流れているのか、区別がつきません。

ですから、煙突の煙りで、風向を見るときにはなるべく煙突のすぐ下から見るように注意しなければなりません。



風向計

かんたんに風向を観測するには、風向計を屋根の上に立てて観測します。
風向計の心棒は、そのまま屋根を貫いて、下の観測室の天井まできています。

天井には、風向板がとりつけてあって、心棒についた指針が風向計と同じ方向を指すようになっています。
こうすれば、観測室で風向を知ることができるわけです。

風の強い日には、風向計の矢羽は、じっと止まっていることはなくあっちへ向いたり、こっちへ向いたりして、動いているのがふつうです。

このように、風向計がふれるのは、風が休みなく方向をかえるからです。
このようなときには、およそ、1分間ぐらいじっと風向計の動きを見ていてその動きの、ちょうど中心と思われる方向を、そのときの風向きとします。

たとえば、9時の風向きを観測しようとするときには9時前後におよそ1分間、風向計の動きを見ています。

風向計が北をはさんで、北北東と北北西のあいだをいったリきたりしているときにはその真ん中をとって北風とするのです。

気象台では、電気を利用して測風塔にある風向計の動きを離れた室内で記録する装置を用いています。




気温・地温・水温の関係とは? わかりやすく解説!

気温と地温の関係

昼のあいだは、地面が太陽の光によって温められてその温度が昇り、その地面によって空気か温められて、気温が昇ります。

つまり、太陽の光が直接空気を温めるのでなくはじめ地面を温め、それから空気が温められるのです。


夜になると、地面が冷やされて、その温度が下がりその地面によって空気が冷やされて、気温が下がります。

このように気温は、地面の温度によってかおるので気温と地温とのあいだには、深い関係があります。
まず、1日中の気温と地温のかわりかたを調べてみましょう。

夏の天気のよい日、最高温度と最低温度の差をみると地面では17度、気温は9度となり、地面のほうがおよそ2倍くらい大きいことがわかります。

つぎに、温度が最高になる時刻をくらべてみると地面では最高温度は午後1時に起こり、気温は午後2時に最高になります。

最低温度は、どちらも午前5時に起きています。

冬の晴れの日の地温と気温は、ほとんど同じようなかわりかたをします。

雨の日には、夏・冬ともに地温と気温はほとんど同じようなかわりかたをします。つぎに、1年中の気温と地温のかわりかたを調べてみましょう。

1月と12月には、平均して地温にのほうが気温より低くそのほかの月には、地温のほうが気温より高くなっています。

とくに夏には、その差が大きくなっています。

最高温度と最低温度の起きる月は、いずれも8月と1月です。
風は、夏は太平洋のほうから、冬はイベリア大陸のほうから吹いてくるので遠くの地温や水温を伝えます。

したがって、気温に自分のところの地温だけでなく遠くの地温や水温の影響を受けているのです。



地温と水温の関係

井戸の水は、夏には冷たく感じられ、冬には、反対に温かく感じられます。

露場ではかった、3メートルの深さの地温や、5メートルの深さの地温もほとんど15度でよく似ています。
井戸の水の温度も、だいたいこれらの地温と同じになっています。

つぎに、同じ露場の気温とくらべてみましょう。
気温は夏には、昼間30度くらいになり冬には朝早いときには0度くらいとなっていますから井戸水の温度は、夏には気温より15度も低く、冬には15度も高いことになります。

それで夏には、井戸水が冷たく感じられ、冬には、反対に温かく感じられるのです。

気温と水温

湖水の水温と気温との関係を調べてみましょう。
山梨県の富士山ろくにある河口湖の水温を16年間続けて測った結果と同じ時期に河口湖の近くにある舮津測候所の気温とをくらべてみました。

まず、1年間の平均の温度を見ると水温のほうが気温より約5度高いことがわかりました。
また、1年間の最高温度と最低温度の差は、ほぼどちらも同じであることがわかります。

このように、あまり大きくない湖の水温と気温は互いに影響しあって、両方があまり違わないようになります。

つぎに、海水の温度を調べてみましょう。
黒潮の水面の最高温度は、8月の28度、最低温度は3月の20度で、最高・最低温度の差は、わずか8度しかありません。

ところで、黒潮の中にある八丈島の最高気温に8月の30度で、海水の温度よりやや高くなっています。

しかし、最低気温に1月~2月の7.5度で、黒潮の温度より、かなり低くなっています。
これは、冬にシベリア大陸から冷たい季節風が吹いてくるためです。




地温とは? 地温のはかりかたとは? わかりやすく解説!

地温

夏、海水浴に行ったときに、裸足で砂浜を歩く足の裏が焼け付くように熱いことを、経験したことがあるでしょう。

夏の時間には砂の温度は、60度ちかくにまでのぼります。

またアスファルトで舗装した道路が、昼間熱くなって、やわらかくなることがあります。
これも、アスファル卜の温度が60度ちかくにのぼるからです。

砂地やアスファルト、そのほかふつうの土地の温度を、まとめて地温といいます。
地温に、深さによっていろいろ違いますがふつう地温といえば、地表面付近の温度をいいます。


地温の測り方

地温はふつうの温度計でも測れますが目もりがよみにくいのでなるべく曲管地中温度計を使います。

これは、水銀温度計をほぼ直角に折り曲げたもので球部を土の中に埋めると目もりの部分が土の上に水平になってよみとりやすいようにできています。

地面の温度を測るには曲管地中温度計の球部が、ちょうど土の中に隠れるくらいに埋めます。
そして、温度計が動かないように木か、針金で支えをつくっておきます。

深さ20センチの地中の温度をはかるには、曲管温度計の球部の中心が地面から20センチの深さになるように埋めます。

このとき、シャベルなどで、土を広く掘り起こさないで細い鉄棒などで温度計がちょうど入るくらいの穴を掘ります。

いろいろの深さの地温とその変化

芝生におおわれた地面の温度と、地面から10センチと30センチの深さの地温の1日中のかわりかたを調べてみましょう。

まず、最高と最低の温度の差は地面がいちばん大きく深さが増すにつれて小さくなっていることがわかります。

30センチの深さでは、1日中、地温はかわりません。

また、最高の温度になった時刻は地面1がいちばん早く午後1時深さ10センチのところでは午後6時、深さ30センチでは午前0時ころとなり深くなるほど、時刻が遅れます。

つぎに、1年中の変化を調べてみましょう。
つぎのページの上の表とグラフのように、いちばんかわりかたの大きいのは地面で深さが増すにつれて小さくなっています。

5メートルの深さは、地温は1年中にわかず3度しかかわっていません。
深い井戸の水の温度が、夏も冬もほとんどかわらないのは、このためです。

また、おもしろいことには地面では8月がいちばん高く1月がいちばん引くのに、地下3メートルでは10月がいちばん高く4月がいちばん低くなっています。

さらに、地下5メートルになると地面とは反対に1月がいちばん高く、7月がいちばん低くなっています。

これは太陽の光で温められた地面から、熱が地中に伝わっていくのにたいへん長い時間がかかるからです。




水温のはかりかたとは? わかりやすく解説!

水温

気温は朝と昼では、かなり違いますが、池やプールの水の温度をはかってみると朝と昼でもあまり違っていません。

川の温度も海水の温度も、空気の温度よりかわりかたが小さいのです。

水の温度を水温といいますが、ふつう水温は水の表面から10センチくらいの深さの温度をはかります。


水温のはかりかた

水の温度を測るには、棒温度計を用います。
木の板についた温度計は、水に濡らすと役に立たなくなります。

表面から約10センチの深さの温度を測るには温度計を右手に握って球部をその深さに沈めます。

また、つぎのように工夫したに温度計を使っても測れます。
板の真ん中に穴をあけて棒温度計を通し球部が板から10センチくらいになるようにしておきます。

棒温度計が抜けて落ちないように、板をはさんで流度計に糸をまきつけておくとよいでしょう。

この板をプールの水に浮かべると球部がちょうど水面から10センチになるので
そこの温度を測ることができます。
このような工夫をすると、楽に水温を測ることができます。

天気のよいときには、球部に太陽の光線があたらないように、自分の体で影をつくります。

温度計を水に入れたら2分間ぐらい、水をかきまわすようにして水の中で温度計をゆるく動かします。それから目盛りをよみます。

このとき、温度計をななめにしないと、目盛りが見えないので目の位置に注意して、水銀の頭と目をむすぶ線が温度計の管と直角になるようにして、よみとります。

川の水や、井戸の水を測るとき、水に手が届かない場合にはバケツやつるべなどで水をくみあげ、すぐにその水の温度を測ります。

いろいろな深さの水温の測りかた

プールなどの、いろいろな深さの水温を測ってみると、おもしろいでしょう。

水温は、深さによって違うことがあります。
深いところの温度を測るには、工夫がいります。
まず温度計の球部に、布切れをぐるぐるとまきつけます。

ピンポン玉より少し小さいくらいになるまでまいたら、糸で縛っておきます。

つぎに温度計の頭にひもをつけ、ひもに球部からの長さを測って印をつけておきます。
そして、このひもを竹ざおの先にむすびつけちょうど魚釣りをするときのように、温度計を水中に沈めます。

この場合も、なるべく太陽の光のあたらないところを選びます。

測ろうと思う深さに温度計を沈めたら、およそ3分間そのままにしておき手早く引き上げて、急いで目盛りをよみます。




1日、1年の気温の変化とは? わかりやすく解説!

1日の気温の変化

1日のうちで、何時ごろがいちばん気温が高く、何時ごろがいちばん低いでしょうか。
下のグラフは、東京の1日の気温の変化を観測した結果です。

気温の変化の特徴をみるに、1日中の最高気温で最低気温にとの差その時刻に注意することです。


太陽からくる熱は、正午ごろにいちばん強くなるのですが気温はそれより1時間から3時間ぐらい後に、いちばん高くなります。

これは、太陽の熱が地面を温め、それから地面近くにある空気へだんだん熱が伝わってくるのに、時間がかかるからです。

また、朝早くに気温が最低になるのに地面が夜のあいだに冷えて日の出まえに最低となりその冷えた地面が空気を冷やすからです。

雲がある日には、つぎのページのグラフのように雲が太陽の熱をさえぎり、最高と最低の気温のひらきが小さくなります。
また、低気圧などが通って強い南風がふきだすと夜中でも、気温が高くなることがあります。

1日の最高気温と最低気温のひらきは、ふつう高岸地方では小さく海岸から遠ざかって陸地の奥のほうにはいるにつれて大きくなります。

東京と宇都宮とをくらべると、左下の表のように宇都宮のほうが約1~3度、大きくなっていることがわかります。

これは、大陸性の気候と、海洋性の気候の違いをあらわしています。
また、山に囲まれた盆地では、ひらきが大きくなります。
反対に、山や丘の上では小さくなります。

ふつう、1日の最高と最低の気温のひらきは、どこでも冬は大きく、夏は小さくなります。



1年の気温の変化

1年の気温の変化を調べるには、まず、毎日の気温を1か月集めて平均します。
そして、それを12か月続けてグラフにします。

これをもとに、最高と最低の気温のひらきや、それらの起こる月を調べてみましょう。

下のグラフによると、日本では、最高の気温の起こるのに8月です。
これは、太陽が高く、昼のいちばん長い夏至の日よりも、1か月以上遅れています。

最低の気温に1月に起こります。
これも、昼のいちばん短い、冬至の日より1か月以上あとになります。

最高と最低の気温のひらきは、1日中の変化の場合と同じように陸地の奥のほうになるほど大きくなるのがふつうです。

このほか、気温は赤道近くでは高く北極や南極に近づくにつれて低くなります。また、空に高く昇るほど、低くなっています。




温度計のしくみとは?最高、最低、自記温度計とは?

温度計のしくみ

温度計には、前に述べたように、板つき温度計や棒温度計があります。

いずれも細いガラス管の中に水銀かアルコールを入れそれが温度によって伸び縮みするのを日もりで読み取るようになっています。

外から見ると、水銀の入っている温度計では水銀が銀色に光ってみえアルコールの入っているほうは赤色かあめ色に見えるので、すぐに区別することができます。


温度計のみかた

気温をはかるときには温度計がその場所の気温になったころを見計らってすばやく目もりをよむようにします。

温度計に顔を近づけると、顔の温かさが温度計に伝わったりいきの熱が伝わったりして、温度計の目もりがあがることがあります。

冬、ストーブや火鉢で体が温まっているときにはそのようなことが起こりやすいので、とくに注意しなければになりません。

目もりをよむには自分の目の高さを水銀(またはアルコール)の頭と同じ高さにしてまず、水銀の頭が、どの目盛りいちばん近いかを見ます。

それから正確に、その目盛りのしめす数字が何度であるかを読み取ります。

最低温度計

ふつう温度計では、目盛りをよんだときの温度しか知ることができません。

1日のうち、気温が最高何度まで昇ったかを知るには温度計に特別の工夫をしなければなりません。

そこで考えられたのが、最高温度計です。

最高温度計は、気温が上がっていくときはふつうの温度計と同じように水銀が昇っていきます。
しかし、気温が下がるときは水銀糸と球部の境のところで、水銀が切れます。

そして、球部より上に昇った水銀は、そのまま残るようなしかけになっています。

最高温度計は、百葉箱の中に横にかけ球部が水平より少し下になるようにしておきます。

最高気温を読み取るときは、目と水銀の頭とをむすぶ線が最高温度計の管と直角になるように気をつけます。目もりをよんだら復度します。

復度というのは、最高温度計の水銀糸をさげて、球部の水銀とつないでおくことです。
復度するには、右手で温度計の頭のところをにぎりかけわくから取り外し、百葉箱の外へ取り出して、しっかり握ったまま強く前後にふればよいのです。

体温計で体温をはかったあと、水銀をさげるのと同じやりかたです。
ふるときに温度計を自分の体や、まわりのものにぶつけて壊さないように気をつけましょう。

2、3回ふってから、目もりをよんでみて、また、2、3回ふります。
何回かふって水銀の頭の目もりがさがらなくたったら、復度におおったことになります。
そのときの目もりのよみは、百葉箱の中にあるふつうの温度計の目もりのよみとだいたい同じです。

もし、2度以上も違っている場合にはその最高温度計はくるっているおそれがありますから、注意しましょう。



最低温度計

最高温度計と反対に、1日のうちの最低の温度を知るために考えられたのが最低温度計です。

最低温度計はアルコール温度計に工夫をくわえたものでアルコール糸の中にガラスの小さいほうが入っています。
気温が上がるときは、ガラス棒をそのまま置き去りにして、アルコールの頭がのびます。

気温が下がると、アルコールの頭は、カラス棒をいっしょに押し下げます。

最低温度計は、百葉箱の中に、だいたい水平にして、かけておきます。
最高温度計をよみとるときは、ガラス棒のはし(球部より遠いほうのはし)の一の目盛りをよみます。

アルコールの頭の位置をよんだり、球部に近いほうのガラス棒のはしの目盛りをよんだりすることがないよう、注意しましょう。

目盛りをよんだら復度します。

まず、温度計をにぎり、かけわくから外して球部の棒を少し高くあげます。

すると、アルコール糸の中のガラス棒が静かに動いてアルコールの頭に近づきます。最高温度計のように、振ってはいけません。

アルコールの頭に、ガラス棒のいっぽうのはしが触れたら温度計を水平に戻して、そのままわくにかければよいのです。

そのときの目もりは百葉箱の中のふつうの温度計のしめす気温とだいたい同じにならているはずです。

自記温度計

自記温度計は気温のうつりかわりが、あとになってもわかるように工夫されています。

ふつうの自記温度計は、バイメタルやブルドン管(アルコールかエーテルを中に入れた金属管で切り口は平たい楕円形で少し曲がっている。気温が上がると、中のアルコールやエーテルがふくれて管が伸びる)が気温によって曲がることを利用したものです。

その曲がりは、てこによって大きくされ、てこの先についたペンを動かします。

別に、時計じかけで動く円筒があって、紙がまきつけてあります。
この紙に気温のうつりかわりが記録されるのです。

自記温度計も、ほかの温度計といっしょに、百葉箱にすえつけます。
自記温度計にくらべると、水銀やアルコールの温度計のほうが正確です。

しかし、自記温度計では、そのときそのときの気温の変化ばかりでなく気温の変化ばかりでなく、気温が最高・最低になった時刻がわかるので気象観測に、なくてはならないものになっています。




気温のはかりかたと注意点とは? 百葉箱とは? わかりやすく解説!

暑さや寒さは、主に空気の温度によって決まります。
この空気の温度を気温といいます。

暑いときは空気の温度が高く、寒いときには空気の温度が低くなっています。


気温をはかる場所

気温は、部屋の中と外では違い、また部屋の外でも地面のすぐそばと少し高いところとでは違っています。

同じ高さでも、草原の上と砂地の上とでは違います。

このように気温は場所によって違うので気象台でおこなう気象観測では世界中を通して1つの約束をしています。

それは、部屋の外の、芝生をうえた広い平地で地面よりの高さ1.5メートルくらいのところの気位をはかるということです。
このような広い平らな芝生の地面のあるところを、露場とよんでいます。

どうして地上1.5メートルくらいの高さを選んだのでしょうか。
これは、ちょうど、人が立ったときに口や鼻で呼吸をする高さにあたり、人の生活に関係が深いからです。

また、これより低いと、地面の影響を受けて、温度がかわりやすくなるからです。

気温をはかるときの注意

気温を正しくはかるには、温度計を使います。ふつうは板についた温度計を用います。この温度計を板つき温度計といいます。

また、温度計の前のほうに金属の板か、網をつけたものもあります。
これは、ガラス球が壊れるのをふせぐためと太陽の熱やストーブの熱が直接あたらないようにするためです。

部屋の中の気温は天井の近くは高く床の近くは低い場合が多いのでいろいろの高さに温度計をつりさげてそれぞれの場所の温度を調べてみると、おもしろいでしょう。

部屋の外で気温をはかるには、つぎのような3つのことがらに注意することが大切です。

① 太陽の光が、温度計に直接あたらないようにする。
これは、気温をはかるうえでいちばん大切なことです。

そのためには、木の下とか、家の北側の日のあたらない場所を選びます。

② なるべく、風通しのよいところに温度計をおき、風かよくあたるようにする。

③ 雨や雪がかからないようにする。

天気が悪くて雨や雪が直接に温度計にあたるようなときには温度計の少し上に小さいかさのようなものをとりつけて、ふせぎます。

このような場所で、温度計を吊り下げて5分間くらいそのままにしておきます。
風が1秒間3メートル以上もふいていて温度計にその風があたっているともっと早くはかれます。

風のないときに、急いではかりたいときには、器であおぐと早くはかれます。
また、ふりまわし式の温度計を用いることもあります。

これは、温度計をうちわであおぐかわりに、温度計をふりまわして風にあてる方法です。

下の写真にしめすようなしかけで、できていますがふつうに用いる棒温度計や仮つき温度計を用いて自分でつくることもできます。

もっとも簡単な方法として温度計の頭を手にもち左右にふって、空気にあてるようにしてもよいのです。

いずれの場合にも、直接太陽の光があたらないように注意しなければなりません。



百葉箱

気象台や測侯所でおこなう気象観測では、これら①②③の条件を備えた特別の箱をつくって、その中で気温をはかります。

この箱を百葉箱とよびます。百葉箱は、足のついた小さな本の小屋です。

四方はよろい戸で、全体に白いペンキでがぬってあります。
この中に温度計をかけると太陽の光が温度計に直接あたったり雨や雪がふりかかったりすることがおりません。

よろい戸の隙間からは風が自由に、中をふきぬけるようになっています。

百葉箱は、ふつう、屋根の低いほうを常に、扉のついているほうを北に向けてすえつけます。
北側に踏み台をつけておけば、扉を開けて、温度計をよむのに便利です。

気象観測に百葉箱にもいろいろあります。
箱の一変の長さが1メートルくらいの大きいものでよろい戸が二重になったもので一辺の長さが70センチくらいでよろい戸が一重のもの一辺が50センチくらいの小さいものなどがあります。

いずれにしても、その中の温度汁の感部(温度を感じる水銀やアルコールのたまった部分)の高さは、地上1.2~1.5メートルくらいになっています。

風をあてるためには、百葉箱に手まわしの扇風機をつけたものもあります。

また、温度計の感部を筒で囲み、この筒の中をモーターつきの扇風機で風を通すしかけのものを百葉箱の中にいれる場合もあります。




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