日本の冬、日本海側の雪の特徴とは? わかりやすく解説!

日本の冬

日本の冬は、地形に影響されるために太平洋側と日本海側とでは天気の様子がだいぶ異なります。

太平洋側では、湿り気の少ない北西風が吹き天気のよい日が続きます。
いっぽう、日本海側では、くもりがちで、雪の多い日が続きます。
このように、場所によって、雪が多く降る地域と降らない地域とがあります。


日本海側の雪

日本海側では、大陸から吹いてくる、冷たい北西の季節風は日本海をわたるとき、海面であたためられます。
下のほうがあたためられると、空気は、対流で上に上がっていきます。

このとき、海面から蒸発した水蒸気も、上に上がってきます。
そして、上空に上がっていった水蒸気は雲になります。

こうして、日本海を渡ってきた雲は本州の中央を通るとき山脈に突き当たり上昇して冷え、日本海側に雪を降らせます。

この雪を降らせた空気は山脈を越えると温度が上がるため乾燥して雲は消えてしまいます。

太平洋側で、乾いた北西風が吹くのは、この乾燥した空気のためです。
この乾いた風を、地方によってはからっ風とかおろし風とよんでいます。

雪国の生活

東北のうち日本地方では冬になるとたくさんの雪が降るために表での仕事ができなくなります。
このため、雪が降るまえに長い冬の生活に備えて、いろいろな工夫がされています。

たとえば農家では、家畜小屋や仕事をする所が1つの尾根でつながったL字形の中門造りなども、その1つです。

また、雪がたくさん積もる地方では、雪の重みで家が潰されないように屋根の傾斜を急にして、雪がすぐ落ちるようにしてあります。

そのほか、1階からの出入りができるなくなるため2階からの出入りができるように家のつくりが工夫されています。

農家では、畑仕事かできなくなるため夏に備えて縄をなったり、俵をつくったりして冬を過ごしています。

しかし、最近は、機械化と生活様式などの変化から冬の仕事はなくなり都市へ出稼ぎにいく人が多いようです。



雪の害と益

日本海側では、たくさんの雪のために線路が埋まって、列車が通れなくなることがあります。

また、線路ぎわの崖などから、雪が崩れ落ちて線路を埋めてしまい列車が立往生することもしばしばあります。

最近道路交通が非常に発達したため、雪国でも主な市街道路の雪を早く解かさなければなりません。
このため、道路の中央に、噴水のように絶えず水が出ている融雪器が設けられています。

雪国に限らず、都会でも雪が降ると、自動車はみなタイヤチェーンを巻かないと走ることができません。
そのため、スピードが落ちて、交通が麻痺状態になることもあります。

ぼたん雪が降ると、電線のまわりに雪がくっついてその重みで伝染が切れることもあります。
そして、電気もつかず、電話もできない、という事態が起こることもあります。

そのほか、山の斜面に積もった雪が、急に流れ出して雪崩が生じることがあります。
雪崩が起こると人が死んだり、家が潰されたりすることもあります。

このように、雪はいろいろの害をあたえます。
しかし、春になって、山の雪がとけて川に流れだすと水力発電に利用され、役に立つこともあります。

大きな水力発電所やダムは、ほとんど雪どけの水が利用できる川にそってつくられています。

また、水田の多いうら日本では、この雪どけ水をかんがい用水として、田植えに利用しています。




冬の天気図の特徴とは? わかりやすく解説!

冬の天気図

下の図は、冬の天気図の1つの例です。まず、この天気図の特徴を調べてみましょう。

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夏のあいだ南の海上にあった小笠原高気圧は弱くなり南東のほうにいってしまって、この天気図には顔を出していません。

そのかわり、大陸に中心のある大きな高気圧が、この天気図の大部分を占めています。
また千島の北部には、目立って発達した低気圧があります。
このような気圧配置を「西高東低」の気圧配置といって、冬の天気図の代表的なものです。


冬の季節風

この天気図では、風向はたいてい北から西のあいだで東シナ海の南部だけが北東の風になっています。

このように広い範囲に渡って大陸から太平洋に向かって吹く風を、冬の季節風といいます。
冬のあいだ、シベリア大陸の高気圧はたいへん強く、ときには1080ミリバールにもなります。

そして、日本の近くを強い低気圧が発達しながら千島かアリューシャン列島のほうへ動いているようなとき、季節風は強くなります。

この強い風は、1日か2日で治まることもありますが、3日も4日も続くことがあります。
日本の東の海上では、1週間ぐらい、強い風が吹き続けることもあります。

このように長続きする季節風は、昔、大西風と言われていました。

帆を使っていた時代や、私の機関の力が強かった時代には大西風にであって港へ戻れなくなり、ただよい流れた漁船がたくさんありました。

むかしの漁師や船乗りは、冬の大西風を台風と同じように恐れていました。

上の天気図のように、季節風が強いときは、日本海側の北のほうでは雪が降り、日本海側の席のほうでは、雪が雨が降ります。

本州の中央を通っている山脈の東または南側では、晴れていて関東地方などでは関東地方などでは、からっ風が吹いています。

日本の陸地から離れた海上では、ところどころ雲が多くなってにわか雨の降っているところもあります。

冬、千島やアリューシャン列島方面で、低気圧が非常に発達することがあります。
このときの中心の気圧は950ミリバールまたはそれ以下に下がり低気圧の直径が2000~3000キロメートルになることがあります。

このようなときは、暴風の範囲も非常に大きくなりますが最大風速は毎秒30メートルほどで、台風の場合のように秒速50メートルにもなるようなことはありません。

この低気圧は、いつもあるわけでなく、ふつう3日か4日で東の海上に去ってしまいます。

そして、新しい低気圧が、また発達するようになります。




冬の天気の特徴とは? 霜・霜柱・氷柱(つらら)とは?

冬の天気

暦の上では、12月から2月までが冬になっています。
しかし、北海道のような北の地方では、10月の下旬になると気泡はかなり低くなりそろそろ雪が降りはじめます。

そして、11月の中ごろになると、雪が積もるところもあります。

日本の北のほうでは、11月というと、もう冬の気候になっているのです。
また、九州の南部や四国の南部では、12月の中ごろまでは、秋の気侯ということができます。


よく晴れた冬の朝、地面や屋根の上に、まっ白な霜がおりているのを見ることがあります。

霜は、空気の中の水蒸気が、地面や地面の近くの0度以下に冷えているものに触れて、氷の結晶になったものです。

よく見ると、美しい結晶をしていますが、中には、結晶が見られないのもあります。

霜がおりるのは、夜、空がよく晴れて、風が弱くしかも地面の近くに、かなり水蒸気が多いときです。

もちろん、気温も低いときで、百葉箱の中の気温が、3、4度以下にならなければなりません。
このようなときには、地面近くにあるものは、だいたい0度以下に冷やされます。
山奥などで見られる樹水は、樹木に霜ができたものです。

霜柱

霜柱は、冬の夜、湿った地面にできるもので、細長い氷の結晶が集まって地面に直角に立つたものです。

夜、地面のすぐ近くの空気の温度が、0度より下がるとまず土の表面の水分が凍って、小さな霜柱ができます。

このとき、土の中の温度は、まだ0度にならず、水は凍っていません。

土の中の水は、土の粒の細かい隙間を通って、地面に向かって上がってきます。
その水が、はじめにできた氷の根本に届くと、そこで冷やされて、氷になります。

このように氷の根もとに、つぎつぎに氷ができて氷の柱が上のほうに押し上げられていくのです。

霜柱は、粒の非常に細かい粘土と砂とがちょうどよく混じりあってできている土に、よくできます。

凍上

土地があまり冷え過ぎて、土の中のほうの水まで、凍ってしまうようなときがあります。
このようなとき、霜柱は地面にはできないで土の中のほうにでき、地面を持ち上げるようになります。これを凍上といいます。

凍上がよくおこるのは、寒くて積雪が少なく、地下水位の高いところです。
ひどいときには、舗装道路が壊れたり、鉄道線路がまがったりします。

冬の寒さが厳しくなると、手洗い鉢や池の水が凍ります。

水は、温度が0度以下になると、表面のほうから凍っていきます。
氷の厚さは、温度が低いときほど、厚くなります。

つらら

雪国では 軒先に大きなつららがぶら下がっていることが、よくあります。

これは、まず家の中のあたたかみが屋根に伝わると屋根に積もっている雪が解け出し、解けた水が、軒先から滴となって落ちるときに、冷たい空気に触れて、凍ったものです。




秋の天気の特徴とは? 秋霖・時雨・秋の天気図とは?

秋になると、台風は日本の南の海上を通って、東に行ってしまうようになります。

秋霖

秋は、夏の天気から冬の天気にうつりかわる、途中の季節です。

春のあとに梅雨の期間があって、そのあと、真夏になるように真夏から本当の秋の天気になるまでのあいだには、秋の長雨があります。

この長雨を秋霖といいます。

秋霖が終わると、本当の秋になるのですが、そのころになると北海道あたりでは、そろそろ初霜がおりるようになります。

また11月になると東北地方にも、霜がおりるようになってきます。


時雨

時雨というのは、秋の終わりから冬のはじめにかけて降る、にわか雨のことです。

時雨は、大陸から冷たい空気が吹きこんでくるときに起こるもので日本海の沿岸や、海岸から少し離れた盆地などで、よく起こります。

風が強くなって、さあっとひと雨降ったあと、しばらく風が弱くなって雨も止みますが、また風が強くなって雨が降るということを何回も繰り返すものです。

秋の天気図

夏のあいだは、太平洋の高気圧が強く日本の天気は、まったく、この高気圧の影響を受けていました。

秋になると、太平洋の高気圧は少しずつ弱くなりいっぽう、大陸の高気圧が、しだいに強くなってきます。

秋のはじめには、これら2つの高気圧が日本の付近で押し合いをして梅雨に似た長雨の時期があります。
そして、シベリアの高気圧は、だんだんと勢いが強くなってきます。

秋霖は、9月の中ごろから10月の中ごろまで、およそ1か月続きます。
このあいだに台風がくると、雨量はたいへん多くなります。

日本晴れ

秋霖が終わると、そろそろ、大陸のほうから移動性高気圧が出てきます。

移動性高気圧が近づく少し前から天気はよくなってその中心付近では雲1つないさわやかな天気になります。
このような天気を、日本晴れということがあります。

移動性高気圧によるよい天気は、長くは続きません。
高気圧が過ぎ去ったあとには、すぐに低気圧が近づいてきて、雨を降らせます。




台風の影響とは? 台風の予報とは? わかりやすく解説!

うねり

夏休みの終わりごろ海へ行くと、風はあまりないのに、波が高いことがあります。これを土用波といいます。

これは、遠くの海上にある、台風の中心の近くは強い風によって起こされた波が、伝わってきたものです。

土用波のように、遠いところから伝わってきた波を、うねりといいます。
うねりは、波の山と山の間隔(波長)が大きくて、波の山の形がなだらかです。

台風が1000キロメートルも2000キロメートルも遠くにあるのに強いうねりが海岸に打ち寄せて、海岸の堤防を壊してしまうようなことがあります。

東海道や四国の太平洋岸では、ときどきうねりによって被害が起こることがあります。


台風の通過

台風が近づいてくると、まず、にわか雨が多くなります。
雲の流れが速くなり、風もしだいに強くなってきます。

台風の中心が300~400キロメートルまで近づいてくると、暴風雨になってきます。

風の速さは、中心が近づくにつれて大きくなりますが、目の中では弱くなってしまいます。

そして雲の切れ目ができて昼ならば青空が見え、夜ならば星空の見えることがあります。
中心が通り過ぎてしまうと、もういちど風が強くなってそれがしばらく続いてから、すっかり風が治まります。

風害

風によって受ける害を、風害といいます。

台風の中心の近くでは、ものすごい風が吹きますから町の中では、かわらが飛んだり、看板が外れたり、窓ガラスが割れたり、電線が切れたりします。

とくに風が強いときには、家が倒れたり、鉄塔が曲がったりします。

田畑の作物が荒らされたり、木が倒れるのも暴風のためです。
ものすごい台風のため、走っている列車が転覆したことさえあります。

台風の近くで、山ごしの強い風が吹くようなところでは、空気が乾いているため稲が白穂(実が実らず、白くなった穂)になったり大火事のもとになったりすることがあります。

海上では風が強いと波も大きくなり船が壊れたり、沈没したりすることも、珍しくありません。

船乗りのあいだでは、「可航半円」とか「危険半円」という言葉が使われています。
可航半円というのは、台風が進んでいく方向に向かって、左からの半分をさしています。
まだ、危険半円というのは、台風の進む方向の右半分のことです。

台風の危険半円にいる船は、しだいに台風の前のほうに流されるようになります。
また、危険半円は、可航半円よりも、風速が大きいことが多いのです。

可航半円では、台風で船が流されても、台風の後ろ側にできますから右半分よりは安全ということができるでしょう。

海岸の近くでは、波のしぶきが風に吹き飛ばされます。
塩水が木の葉につくと、葉が枯れます。
また、電線につくと、故障を起こす原因にもなります。

水害

台風が近づくと風が強くなるだけではなく、大雨が降ることもよくあります。
そのため、田畑が水浸しになったり、洪水になって、橋や家が流されたりします。

水害の中で、いちばん恐ろしいのは、山崩れです。

これは、山にたくさんの雨が降ったため、土の中に多くの水が染み込んで地盤がゆるくなって、崩れ落ちるものです。

このとき、水と泥がいっしょになって、山の斜面をものすごい勢いで流れだし家でも大木でも、みんな倒してしまいます。
流れが速いので、逃げ遅れて死ぬ人もあります。

秋になってから、台風が日本に近づくと、本州の南岸に前線ができるためいっそう多くの雨が降ります。

台風による水害が、秋に多いのは、このためです。台風のときの雨は、平地よりも山地に多く降ります。

1つの台風で、山地に1000ミリぐらいの雨が降ったという例も、いくつかあります。
1000ミリの雨というと、東京あたりで1年中に降る雨量の3分の2ぐらいですからたいへんな大雨です。



高潮

台風の災害には、風や雨で起こるもののほかに、高潮があります。
海上を台風の中心が通ると、気圧が非常に下がるため、海面がふくれあがります。

そのうえに、強い風が海水を岸に吹き寄せて、海面はさらに高くなります。
こうして高潮となり、陸地に押し寄せた海水によって、大きな災害が起こります。

とくに、強い台風の中心が、南に開いている湾のすぐ西側を通ったときには、大きな高潮が起こります。

満潮のときには、被害がいっそう大きくなります。
海岸の近くの家が水浸しになり、海水といっしょに船が陸地に押し上げられることもあります。

いままで、台風のため、高潮の大きな被害を受けたとことは東京湾・大阪湾・有明海・周防灘・伊勢湾などです。

台風は、いろいろな被害を起こしますが中心から遠く離れたところでは、被害はありません。
かえって雨だけが降って、夏のあいだの水不足がなくなるというところもあります。

台風の予報

強い台風が日本にくると、暴風・大波・大雨・高潮などのために大勢の人が死んだり、怪我をしたり何百億という損害がでたりします。

このような損害を、できるだけ少なくするためには台風がくるまえにいろいろな準備が必要です。

その準備をするためには台風がいつ、どこにきてどのくらいの風を吹かせ、どのくらいの雨を降らせるかをまえもって知っておかなければなりません。

台風の予報は、日本の気象の仕事のうちで、いちばん大切なものの1つになっています。
台風が近づいたことは、気象台の予報でわかりますが私たちでも、つぎのような前触れを観察することができます。

  1. 強いにわか雨が何回も降る
  2. 海岸地方では、毎日規則正しく吹いていた海風や陸風が、乱れてくる
  3. 梅岸では、うねりが出てくる。海鳴りがする
  4. 雲の動きが速くなる
  5. 黒い色をした、朝焼けや夕焼けになる

なお台風が、自分のいるところの、すぐ近くを通るときには台風の進路によって、風向のかわりかたが、違います。

このかわりかたを知っておくと、台風がどちらを通っていくか検討をつけることができます。

図は、台風が通るときの風向のかわりかたをあらわしたものです。(台風が①に来たときの風向は1、⑥にきたときの風向は6)

⑥ 台風が自分の西または北(図のイ)を通るときには風向は時計の針の動きと、反対の向きにかわっていきます。

⑦ 台風が自分の南または東側(図のア)を通るときには風向は時計の針の動きと、同じ向きにかわっていきます。




台風の名前の付け方とは? 台風の来る季節と道筋・形とは?

台風の名前

何年何月何日の台風というかわりに、台風に名前をつけておくと便利です。

第二次世界大戦の終わりごろまで、日本では大きな災害を起こした台風にだけ、名前をつけていました。

たとえば、1934年9月21日に、四国の室戸岬に上陸し大阪に大きな高潮の被害をもたらした台風には室戸台風という名前がついています。

戦後は1つ1つの台風にアメリカの女の人の名前をつけることにしました。

たとえば1947年9月に、関東地方に大洪水を起こした台風にはカスリーン台風という名前がついています。

名前をつけるときには、はじめからABCの順に名前を決めておいて台風ができると、それに順々に名前をつけていくのです。

しかし、人の名前の数は、そうたくさんはありません。
何年かすると、また同じ名前をつけるようになって、不便なことが起こります。
それで日本では、1953年のときから、番号をつけることにしました。

たとえば1954年9月26日に、函館で洞爺丸など数隻の船を沈めた台風はその年の15番目の台風ですから、1954年の15号台風というわけです。

とくに、被害が大きかった場合には、番号のほかに名前をつけることがあります。
1959年9月26日、中部地方を襲った台風は、伊勢湾で大きな高潮を起こしたくさんの死者や大きな被害をあたえました。

そこで、1959年の15号台風であるこの台風には別に伊勢湾台風という名前もつけられています。


台風の進む道

台風は南洋で生まれてから、少なくとも数日のあいだは西または西北西にむかって進みます。
このあいだの速度はわりあい遅く、1時間に20~30キロメートル1日に500~700キロメートル進みます。

たくさんできる台風のうち、全体の約4分の1は、そのま真西または西北西に進んでフィリピンや中国大陸南都のほうに行ってしまいます。

このような台風は、まず、日本へは来ません。

はじめ、西または西北西に向かって進んでいた台風か途中で北西のほうに向きをかえ、さらに北または北東に向きをかえて東シナ海や沖縄、あるいは日本のほうにくることがあります。

台風は、向きをかえた後は、進む速さが速くなります。

ふつう1時間に40~50キロメートル、ときには80キロメートルぐらいの速い速度です。

台風の進む道は、かんたんな形をしているものと、曲がりくねった込み入った形のものとがあります。

また、月によって、かなり違った道を通ります。
前ページの上の図は、1967年に起こった台風のうち、日本付近を通過した台風の道筋です。

台風は、●印のところで発生して矢印をつけた方向に進んでいったものです。
図の中には、ずいぶん、曲がりくねった進み方をした台風のあることがわかりますすが中には、もっとかわった進みかたをする台風もあります。

このようなときには、気象台でも台風の予報をするのに、たいへん苦労します。

台風が日本に上陸したり、日本のすぐ近くを通る月は、主に8月と9月です。
7月や10月に日本に近づくものも、少しはあります。

12月から5月までは、日本に近づくものはないと考えてよいでしょう。



台風の来る季節

台風は、なぜ8月や9月に、日本に来ることが多いのでしょう。
日本の南の海上には、太平洋の高気圧ががんばっています。

台風は、この太平洋の高気圧のふちにそって進みます。
高気圧の南側では、海面からかなりの上空まで東よりの風(これを偏東風という)が吹いています。

台風は、この風によって、西のほうに向かって流されます。
この高気圧が中国大陸のほうまで広がっていると台風はそのまま西のほうに行ってしまって、日本に流行ってきません。

高気圧の西のはしが、琉球諸島あたりにあるときには台風は琉球付近から、だんだんと向きをかえて、北または北東に進むようになります。

小笠原高気圧の北側では、西よりの風(偏西風)が吹いていて、台風は東に流されるのです。
このようなとき、台風は日本に近づきやすいことになります。

高気圧の西のはしが、日本の南東まで退いているときは台風は日本へこないで、日本の東の洋上に行ってしまいます。

10月ごろになると、このような場合が多くなります。

二百十日

二百十日というのは、立春から数えて210日目にあたる日で、9月の1日か2日になっています。
むかしから、この日は暴風雨が起こる厄日だと言い伝えられてきました。

台風が日本に来るのは、9月のはじめだけとは限りません。
最近の3、40年のあいだに9月1日に台風が上陸したのは1938年と1949年の2回しかありません。

このころは、ちょうど稲の花が咲くころですから台風にやってこられてはたいへんだということでとくに警戒するようになったものと思われます。

台風の形

台風は、真上から見ると、まるい形をした渦巻きになっています。
その直径は、ふつう1000キロメートルぐらいで、小さいものでは500キロメートル
大きいものでは1500キロメートルもあります。

しかし、まめ台風といって直径が200~300キロメートルぐらいしかないような小さいものもあります。

台風の背の高さは、発達した台風でも20キロメートルくらいですから全体としては、レコードか、せんべいのように平たい形をしています。

いま、台風の中心を通って、垂直に切ってみると中心のまわりの雲や気流の様子は上の図のようになっています。

中心付近の雲のないところは、台風の目です。

目の大きさは、台風によってかなり違いがあり、1つの台風でもかわっていくものですがふつうは直径20~30キロメートルぐらいです。

形は、ふつう円形ですが、楕円形によっていることもあります。




台風とは? 台風の生まれ方と発達のしかたとは?

台風

夏の終わりごろになると、毎年のように、台風が日本を襲います。
台風というのは、南洋の海の上や南シナ海でできて、暴風雨を起こす低気圧のことです。

このうち日本にくるものは、たいてい南洋で生まれたものです。

台風は一種の低気圧ですが、いろいろの点でふつうの低気圧(温帯低気圧とも言う)とは、性質が違っています。


その主なてんは、次のようです。

① 台風の等圧線は、だいたい円形をしています。

② 中心に近づくにつれて、急に気圧が低くなっています。
風速は中心の近くで、急に大きくなります。

③ 中心のごく近くでは、風が弱く、雲がきれて、青空が見え、夜ならば星が見えます。これを台風の目といいます。

④ ふつうの低気圧の中心からは温暖前線と寒冷前線がでていますが台風が熱帯地方にあるあいだは、前線がありません。

⑤ 台風の中心のまわりでの雨の降りかたには、特徴があります。

それは、中心にむかって集まる螺旋状の雲のところです。
そして、雨は同じように降らないで、ある間隔をおいて、強く降ります。

台風の生まれかた

台風が日本にくるのは、夏か秋です。
しかし、台風が南洋の海の上で生まれるのは夏や秋だけとはかぎりません。

台風が生まれるのは、夏と秋に多く、冬には少ないことがわかります。
また1年中には、だいたい27個の台風ができていることになります。

台風が生まれる場所は、広い南洋の海の上と南シナ海です。
下の図は、15年間に台風が発生した場所です。
○印は、そこで台風が1つ発生したことを、あらわしています。

大きいまるは強い台風です。
この図をみると、台風の生まれる場所は、赤道より少し北(北緯5度)から日本の南の海上(北緯30度)までの、東西に長い区域です。

この区域の東のはしは、だいたい東経170度でそれよりも東野ほうでは、台風のできる数が、非常に少なくなります。

強い台風が生まれる場所は、マリアナ諸島・カロリン諸島マーシャル諸島・硫黄島の付近となっています。

また台風は、春予秋の終わりには、赤道に近いところでできやすくま夏と秋のはじめには、それよりも北によったところでできやすいものです。

台風が生まれる場所は、熱帯地方の海の上でしかも、海面の温度が高い(26度以上)ところです。

熱帯地方の海面は、強い太陽の光を受けてあたためられ海面からさかんに、水蒸気が蒸発しています。

そのため、海面上の空気は湿り気が多くなります。

このように温度が高く、湿り気の多い空気はなにかの原因で、いちど上昇しはじめると、だんだん強い上昇気流を起こす性質があります。

そして、この強い上昇気流のあるところに、台風の渦巻きができるようになるのです。



台風と熱帯低気圧

台風は、生まれたばかりのときは、あまり大きなものではなく中心の気圧もそれほど低くはありませんが、しばらく経つと中心の気圧が低くなります。

そして風速が毎秒17メートル以上になったものを台風としいます。
このほかに、中心の気圧があまり低くなく風速もそれほど大きくならないこともあります。

これを熱帯低気圧といいます。

台風の発達

台風が発達する場合には生まれてから数日後に急に気圧が低くなって、風速も大きくなります。

中心の気圧が下がりきってしまうと、それからのちは台風の範囲(中心のまわりの、まるい等圧線で囲まれている区域)が広くなってきます。

つぎに、中心の気圧が、少しずつ、上がってきます。
上の図は台風の中心気圧の下がりかたと台風の範囲の広がりかたをあらわしたものです。




竜巻・夕立・虹とは? 夏の天気図の特徴とは?

竜巻

竜巻は、小さな空気の渦巻きです。

直径が、100メートルくらいのものですが中心のところは気圧がたいへん低く、ものすごいき暴風になっています。

風の強さは毎秒50メートル以上、ときには、100メートルくらいになることもあります。


竜巻は、たいてい、かみなりを伴うことが多いようです。

竜巻の起こるときは、まず、まっ黒な雲の底が乳房のような形に垂れ下がってきて、その先のほうがしだいに伸びゾウの鼻のような形で、地面に届きます。

海の上に竜巻が起こったときは、海面から水の柱が立つように見えます。
これは、雲の足が海面に届いたあとでできるものです。

陸地で竜巻ができると、ものすごい砂ぼこりが空に巻き上げられときには人や馬が、空中に持ち上げられて、遠くまで吹き飛ばされることがあります。

竜巻は、小さな渦巻きですから、被害が起こるのも竜巻の通り道になった帯のような地域だけです。

そのほかのところは、ほとんど影響がありません。
日本でも、竜巻が起こることがありますが、その数はあまり多くありません。

トルネード

また、アメリカのミシシッピ川の流域では、トルネードといわれる竜巻がよく起こります。

トルネードは、とくに激しい竜巻で、それが通ったところはひどい被害を受けるので、たいへん恐れられています。

夕立

かみなりは午後の2時から4時のあいだに、いちばん多く起こります。
かみなりのときには、にわか雨が降ります。

また、かみなりは鳴らなくても、にわか雨だけが降ることもあります。

このように、にわか雨は、夏の午後に多いものですがさっときて、すぐに行ってしまうので、夕立といわれるのでしょう。



夕立の通り過ぎたあとなどに、虹が出ることがあります。
虹は、太陽の方向と反対側に、雨が降っているときに見えるものです。

虹は、太陽の光が空に浮かぶ水粒にあたって、屈折・反射するためにできるものです。

虹の色は、外側が赤で、内側が、紫に並んでいるのがふつうです。
しかし、これよりも輪がすこし大きくて、内側が赤色、外側が紫色という並び方の色のうすい虹が、いっしょに見えることもあります。

虹の輪の中心は、太陽の中心と、見る人の目とを、結んだ線の上にあります。

平らなところでは、虹の輪が円になって見えることはありませんが飛行機の上や山の上などからは、円形の虹が見えることがあります。

実験

太陽を背にして、霧吹きで霧をつくると、虹のようなものが見えます。
太陽の光が、霧吹きでつくられた水粒にあたって、屈折・反射した光が目に入るからです。

また、夏、水泳に行ったとき、太陽を背にして水面で水を吹くと、やはり同じような現象が見られます。

夏の天気図

図は、夏の天気図の一例です。
日本の南の海上には、高気圧があって本州のほとんど全部が小笠原高気圧におおわれています。

この天気図では、北海道のほかは、天気がよくて風が弱く温度は朝からすでにかなり高くなっています。

この日の午後は、全国にわたって、最高気に30度以上になりとくに東京では34.5度までものぼりました。

気圧配置と季節風

満州の北方には低気圧があって、気圧配置は南が高く、北が低くなっています。
このような型を「南高北低型」といいます。

夏のあいだ、風は太平洋上の高気圧から大陸の低気圧にむかって吹きます。
これを夏の季節風といいます。

夏の季節風は南よりの風で、風の速さは、わりあいに遅く湿り気を多くふくんだ温度の高い風です。




夏の天気の特徴とは? 雷の正体と起こるときの天気の変化とは?

梅雨が明けると、本当の夏になります。
真夏のあいだは、わりあいに、同じような天気が続くものです。

夏の天気の特徴は、朝と夜には雲が少なく、昼間はわりあいに雲が多いことです。
また、かみなりが多いことも、夏の天気の特徴です。

夏は、だいたい風の弱いときですから、海岸の近くでは、昼問は海風が吹き、夜には陸風が吹きます。
そして、朝と夕方はなぎになって、まったく風が吹かないことがあります。

このようなときには、たいへん蒸し暑くなります。


雷(かみなり)

電光(いなびかり)と雷鳴(ゴロゴロという音)とにわか雨をひとまとめにしたものを、かみなりといいます。

かみなりが遠くにあるときには、電光だけが見えることがあります。
音だけ聞こえて電光が見えないときでも雲の中では、必ず電光かつています。

なぜかというとかみなりは、雲の中でできたプラスの電気とマイナスの電気のあいだに、火花が飛んだものだからです。
かみなりが電気の火花だということは、アメリカのフランクリンが発見しました。

雷の正体

かみなりの電気は、積乱雲の中の雨粒が強い上昇気流で高いところに運ばれて凍るときに起こると考えられています。

雲の中でできたプラスの電気とマイナスの電気は、別々のところに集まります。

そして電圧が高くなると、火花が飛ぶようになるのです。
雲と地面のあいだにも、電気の火花が飛ぶことがあります。

これが落雷です。

雲の中で火花が飛ぶときの音は、決してゴロゴロという音ではありません。
雷が落ちたときの、ピシャッとか、ガラッという音と同じ音がでるのです。

ところが、その音が空気の中を伝わってくるあいだにゴロゴロという音にかわって聞こえてくるのです。

かみなりは、高いところや、電気の伝わりやすい金物などに、落ちることが多いものです。

山に登って、雷にであったときは、とくに危険です。
高い木のそばにいたり、金物を持つことのないように、気をつけなければなりません。

雷が落ちて、火事になることもあります。

1940年6月に、かみなりが落ちたのがもとで、東京で大火事になったことがあります。

雷の起こるとき

① 夏、日差しが強くて風が弱く地面が強くあたためられるために激しい上昇気流ができるとき。

② 寒冷前線の近くで、激しい上昇気流ができるとき。

どの場合でも、激しい上昇気流があって、積乱雲ができます。
強い雷の場合には強いにわか雨を降らせたり、ときにはひょうを降らせることもあります。

また、ふつう、雷の後は、温度が下がるものです。



雷のときの天気の変化

日差しが強いために起こる、雷の場合を例にして雷のときの天気のかわりかたの様子を、観察しましょう。

まず、積乱雲が近づいてくると少し遠いところから、ゴロゴロという音が聞こえてきます。

しばらくすると、電光が見えるようになります。

雷雲が頭の上にくると四方がまっ暗になり、冷たい風がさっと吹いてきて電光がものすごく光り、大きな雷鳴がします。

また、温度が急に下がって風向がかわり、大きな雨が、ぼつりぼつりと降りはじめます。

雨はしだいに強くなって、どしゃぶりになりますがたいてい1時間か2時間で終わってしまいます。
そのあとは、からりと晴れて、すがすがしくなります。

雷は、日本中、どこでも起こりますが、関東地方の山よりの地域や九州の南西部でいちばん多く、東北地方の西部や北陸地方でもかなり多く起こります。

日本では、1年中にかなりのあった日の数は、いちばん多いところでも、平均30~35日です。

アフリカや南アメリカの赤道に近いところでは、200日以上にもなるところがあります。




梅雨の影響とは?かび、大水、農作物の影響とは?

梅雨とかび

梅雨には、長いあいだ雨が続くので、子どもたちにとっては外で遊べないのが、いちばん困ることです。

また、湿っぽいうえに、温度がかなり高いので、かびが生えやすくなります。

食物にかびが生えると、中毒を起こしやすく着物を汚れたままにしておくと、かびが生えて、傷みやすくなります。


梅雨と大水

梅雨のあいだは、よく大雨が降って、大水や山くずれが起こります。
1953年の6月末には、九州で非常な大雨が降りました。

このとき、筑後川の上流では、雨量が1000ミリぐらいになったところがあります。
そのため、筑後川の流域は大洪水になり、田畑が水浸しになったりたくさんの家が流され、また7000人以上もの人が死にました。

この大雨では、熊本を流れている白川が反乱して、熊本の町が泥でいっぱいになったり関門トンネルに水が入って列車が不通になるなど、いろいろな被害がでました。

1967年7月のはじめには、西日本一帯が豪雨に見舞われ佐世保・呉・神戸などで、雨量が300ミリを越えました。

そのため、各地で山くずれや堤防の決壊などが起こり、家が流され350人もの人が死にました。

梅雨と農作物

梅雨が長引くと、夏の日照時聞が短くなるので、農作物のできが悪くなります。

とくに、北日本では稲のできが悪くなって、たいへん困ります。
最近では、北海道で、1964年・1965年・1966年と3年も続いて、米が不作でした。

このように、梅雨は、いろいろな災害を起こすこともありますが日本にとっては、なくてはならない、大切な雨の期間なのです。

農家の人たちは、梅雨の雨を頼りにして田植えをします。

もし、空梅雨で、この時期に雨が少ないと、田植えに困るばかりでなく夏になってからは、田の水が少なくて困ることになります。

また、梅雨の雨が少ないと、水力発電のための水が足りなくなるし水道用水も足りなくなってしまいます。

1959年の梅雨のときは、非常に雨が少なくて、田植えにも、飲み水にも困りました。




天気図から見る梅雨の特徴とは? わかりやすく解説!

梅雨のころの天気図には、どんな特徴があるでしょう。

まずはじめに気がつくことは、本州の南の海上に、東西にのびる前線があり前線の上に、低気圧があることです。

前線にそって、細長い範囲に雨が降っています。
ところどころに強い雨も降っています。


前線の北と南に、それぞれ高気圧があります。
北海道の東のほうにあるのは、オホーツク海高気圧で、日本海まではりだしています。

露の天気図には、いつもこの高気圧があらわれています。
また、日本の南のほうには、小笠原高気圧があります。

この天気図では、その中心が、小笠原諸島の東のほうにありますが、もっと西のほうにきていることもあります。

上の天気図では、前線の上に低気圧が2つもあらわれています。

低気圧は、前線の上にできることが多いのですが、露のときにはこの図のように前線の上に、いくつもの低気圧ができることがよくあります。

オホーツク海の高気圧は、温度が低くて、湿り気の多い空気でできています。
太平洋の高気圧のほうは、温度が高くて、湿り気の多い空気でできています。

梅雨前線

この冷たい空気と温かい空気は、日本の海の海上でぶつかりあって、前線をつくっています。

これが梅雨前線です。

前線の近くでは、温かい空気が、冷たい空気の上にはいあがっていくので冷たい空気の上に雲ができて雨を降らせます。

前線の北と南では、温度が6、7度違っています。
また前線の南側では、南風がかなり強く吹いています。

太平洋の温かい空気が、冷たい空気の上に押し上がってていく有様がこの天気図からよくわかります。



梅雨と低気圧

前線の上には、ふつう弱い低気圧が発生していることが多いようです。
そして、低気圧は、前線にそって、西から東へうつっていきます。
したがって天気も低気圧の動きに伴って、かわっていきます。

低気圧が遠ざかると、くもりか弱い雨が降っていますが、近づくと強い雨となります。
上の天気図でも、低気圧が遠ざかっている東京ではくもりとなっていますが、低気圧が近づく四国や近畿地方では雨が降っています。

このようにして、梅雨のころには、低気圧が近づくと雨が強くなり遠ざかると雨が弱くなるということが、何度も繰り返されます。

上の図のような気圧配置は、なかなかかわらないので長いあいだ、くもりや雨の天気が続きます。

梅雨明け

本川の疳岸の前線は、少しずつ、北や南に動きながらだんだん日本の北のほうまでのぼっていきます。

そうなると梅雨が終わるわけです。

日本の北のほうへいくと、前線がはっきりしなくなるので北海道あたりでは、本州ほど、はっきりした梅雨はありません。

空梅雨

梅雨は、ほとんど毎年あります。

しかし、年によっては、前線の動きがはやく、数日雨を降らせるだけでさっさと北のほうに、逃げてしまうことがあります。

また、毎年、オホーツク海にがんばっている高気圧がさっさと東のほうへ通り過ぎていってしまうため、梅雨型の気圧配置にならないこともあります。
このような梅雨を「からつゆ」といいます。

空梅雨の起こるのはオホーツク海の高気圧の勢いが弱いかまたは太平洋の高気圧が強すぎるときです。

しかし、ときにはオホーツク海の高気圧が強く前線が南に下がったままで、梅雨が明けてしまう年もあります。

梅雨には、近頃では、まえに書いたようにオホーツク海高気圧や小笠原高気圧と関係があるだけではなくもっと広い範囲の気象状態とも、関係があることがわかってきました。




梅雨とは? 梅雨の特徴とは? わかりやすく解説!

春は、冬から夏にうつりかわる途中の季節ですが春から本当の夏になるまでのあいだに、梅雨(つゆ)の期間があります。


梅雨というのは、6月10日ごろから約1か月のあいだ、くもりがちで雨の多い季節のことです。
5月の終わりごろにも数日、梅雨と同じような天気があらわれます。
これを「梅雨の前触れ」とか、「はしり梅雨」などといいます。

暦のうえでは、6月の11日か12日が、入梅(梅雨に入る日)となっています。
東京あたりでは、梅雨に入った日は、平均して、6月10日ごろです。

しかし、入悔は場町によって違い、日本の南のほうからはじまってだんだん北のほうまで進んでいきます。

梅雨のあいだは、毎日、雨が降るというわけではありません。
梅雨の中休みといって、梅雨の期間のうちで、2、3日晴れの日が続くことがあります。

梅雨の期間を30日として、そのあいだのくもりと雨の日を合計すると東京で約25日、福岡で約22日となります。
つまり、梅雨の期間は、全体の日数の70~80パーセントはくもっているか雨が降っていることになります。

梅雨のころの雨は、しとしと降るのがふつうです。
しかし、ときには、すさまじい勢いで、大雨が降ることもあります。

しとしと降る雨は、だいたい、梅雨のはじめのころに多くすさまじい雨に、梅雨の終わりごろに多く降ります。

梅雨のあいだは、よく雨が降りますから、この雨量をあわせると、かなりの量になります。
場所によっては、1年中の雨量の30パーセント以上にまでなるところがあります。

梅雨には、うすら寒い日と、蒸し暑い日とがありますが1年中で、いちばん湿り気の多い時期です。




春雨・花曇・蜃気楼・霞・陽炎とは? 春の天気の特徴とは?

春雨

春は、冬よりも雨の降る日が多く、1回に降る雨の量も多くなります。
草木に若芽のでるころに降る、細かい雨は、春雨といわれています。

これは本州の南に前線があるようなときに、降る雨です。


花ぐもリ

前線が近づいて、雨が降るまえは、空一面にうす雲(絹層雲)やおぼろ雲(高層雲)が広がってきます。

花見のころの、このような天気は、花ぐもりといわれています。
空一面に、うす雲が出ているときは、太陽や月のまわりに大きな輪ができます。

これを日のかさ、月のかさといいます。
昔から「月がかさをかぶると、雨が降る」といわれています。

春の夜、おぼろ雲が広がっていると、月の形が、ぼんやりと見えるものです。
これをおぼろ月といいます。

霞(かすみ)

風が静かで、天気のよい日の朝や夕方に、かすみのかかることがあります。
かすみは、霧や、煙霧のうすいもので地面の近くの空気が上空の気温よりも低いときに起こるものです。

陽炎(かげろう)

春さき、風が弱くて、日差しが強いとき川原や、線路のところでものがゆらゆら揺れて見えることがあります。これをかげろうといいます。

ふつう空気は、地直に近いところがいちばん濃く高いところにいくほど、少しずつうすくなっています。

ところが、地面が強く温めれると、地面近くの空気が温まって膨張し、軽くなります。
軽くなった空気は上のほうに昇っていきます。
すると、地面に近いところの空気には、濃いところと、うすいところができます。

いっぽう、光は空気の中を通るとき、濃さが違うところでは屈折してすすむので、物が揺れて見えるわけです。

蜃気楼

冷たい空気と温かい空気が接しているとき遠くの景色が空中に見えることがあります。この現象を蜃気楼といいます。

蜃気楼が起こるのは、密度の違う空気が接しているとその接する面で光が屈折するためです。

蜃気楼は、砂漠などで地表近くの空気の温度が高く上のほうの空気の温度が急に低くなっているとき、極地方の海のように海面の温度が空気の温度よりも非常に低いとき水平方向に温度の異なる空気層があるとき、などに起こります。

日本では、富山県の魚津で見られる、蜃気楼が有名です。

富山湾では、春から夏のはじめにかけて、山の雪が溶け冷たい水が海に流れだして、海面の温度が低くなります。

すると、海面近くの空気が濃くなりますが、そのすぐ上には温かい薄い空気が重なっています。
このため、光の進みかたがかわり、蜃気楼があらわれると考えられています。

逃げ水

天気のよい日のアスファルト道路などで
水がないのに遠くのほうに水があるように見えることがあります。
この現象を逃げ水といいます。

逃げ水は、蜃気楼の一種で、地面が高温に熱せられると
その近くの空気が温められて密度が小さくなります。

すると、密度の大きい上側の空気中にある物体から出た光は
下側の密度の小さい空気との境目で屈折します。

したがって遠くで見ると、あたかもその物体が道路の上の水面にうつっているように
逆さまに見えます。
しかし、近づくと消えてしまい、後ろへと逃げていくので逃げ水といわれています。



雪解け

冬のあいだに降り積もった雪は、温度が上がるとともに、解けはじめます。
急に温度が高くなると、山の雪がいちどにとけて川に流れこみ、洪水が起こることがあります。

北海道から北陸地方までの雪の多いところでは、春に、雪解けの洪水がよく起こります。
しかし、春から夏にかけて、水の足りない季節には
山奥の雪がとけて流れ出す水が、水力発電にとって、大切なはたらきをしています。

春の霜の害

4月を過ぎてから、高気圧でおおわれると、夜、気温が下がるため霜がおりクワや、果物の木などの農作物が害を受けます。

上の天気図は、1967年4月8日の朝のものです。
本州のまん中にある高気圧は、朝鮮のほうから動いてきた移動性の高気圧です。
日本の各地とも、高気圧の影響で風が弱く、ほとんどよい天気になっています。

このようなときは、夜間の冷え込みが強いのです。

そのうえ、グラフでわかるように、ちょうどこのころは、気温の低い時期にもあたっています。

8日の朝は、関東地方の北部から東北地方にかけて気温が0度以下に下がったところもあったほどです。

このような移動性高気圧におおわれ、気温が下がったとき、よく霜がおります。
このころに霜がおりると、梨・桃などの果樹や茶・クワ・じゃがいもなどの農作物におおきな被害を与えることがあります。

春の天気図

上の天気図を見ると、本州の中央部に移動性高気圧があります。
この影響で、全国的に快晴になっています。

春に気温が急に高くなるときは、太平洋の気団が、日本付近に顔を出したときです。
このようなときには、必ず日本海かシベリアに、強い低気圧があります。

そして、本州では各地とも気温が高く、南風が強くなっていきます。
このようなときは、せっかく咲いているサクラの花が、いっぺんに散ってしまいます。

また、とくに日本海側では、気温が高くなり湿り気が少なくなるので、大火事が起こりやすくなります。




春の天気の特徴とは? わかりやすく解説!

私たちの住んでいる温帯地方では、春・夏・秋・冬の4つの季節が、はっきりしています。
しかし、赤道に近い熱帯地方では、1年中の温度の違いが小さいので四季の区別が、はっきりしません。

また北極や南極に近いところでは、夏と冬の温度の違いは大きいのですが1年中、雪や氷があるので、温帯地方のような季節の変化は見られません。

温帯地方の中でも、日本はシベリア大陸と太平洋とのあいだにあって四季の区別が、とくにはっきりしています。

日本は、北東から南西に細長く伸びた列島ですから場所によって、季節のあらわれかたがかなり違っています。
北海道では、冬が長くて、暖かい季節が短く、とくに秋が短くなっています。

これとは反対に、西日本の太平洋側では、冬が短くて、暖かい季節が長くなっています。


春の天気

春になると、冬にくらべて、だいぶ日が長くなるので地面は冬のあいだより暖かくなってきます。

そうすると、空気の温度もだんだん高くなってきてあまり寒くもなく、暑くもない天候になります。

暦のうえでは、3月になると、北海道から九州まで春になるわけですが気象のほうでは、北海道の春と九州の春とでは、ずいぶん大きな違いがあります。

いま、温度の違いを調べてみましょう。

図は、3月の平均気温を等温線であらわしたものです。
3月の平均気温にというのは3月1日から31日までの、毎日の気温を平均したものです。

また、この図は、長い年数の3月の気温を平均したものです。
このような図は、全国のたくさんの測候所で何十年も温度の観測を続けて、はじめてつくられるのです。

図で見るといちばん気温の低いところは、北海這の中央あたりです。
この部分は、3月の気温が、零下4度以下になっているのです。
こんなところでは、まだ雪が残っています。

関東地方は、だいたい4度の線と、8度の線のあいだにありますから、北海道より約10度高いことになります。

いちばん気温が高いのは、四国や九州の南部で、ここは10度の線が通っています。

寒い北の地方でも、5月になると、平均気温が10度ぐらいになります。
つまり、九州の南のほうより約2か月遅れて、本当に春らしい暖かさになってくるのです。

上の図は、東京の3月のはじめから4月の終わりまでの毎日の平均気温をグラフにしたものです。

このグラフによると、3月のはじめから4月の終わりまで気温は全体としては、だんだん上がっていきますが毎日少しずつ高くなるのではありません。

急に気温が上がって、2、3日暖かい日が続き、また急に寒い日がやってきます。そして、また急に暖かくなってきます。

このように、気温が急に高くなったり、低くなったりするのが、春の気象の特徴の1つです。

春には、気温の変化が激しいだけでなく、天気の変化も大きいのです。
晴れの日と雨の日が、わりあい規則正しく繰り替えされます。




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