温度計のしくみ
温度計には、前に述べたように、板つき温度計や棒温度計があります。
いずれも細いガラス管の中に水銀かアルコールを入れそれが温度によって伸び縮みするのを日もりで読み取るようになっています。
外から見ると、水銀の入っている温度計では水銀が銀色に光ってみえアルコールの入っているほうは赤色かあめ色に見えるので、すぐに区別することができます。
温度計のみかた
気温をはかるときには温度計がその場所の気温になったころを見計らってすばやく目もりをよむようにします。
温度計に顔を近づけると、顔の温かさが温度計に伝わったりいきの熱が伝わったりして、温度計の目もりがあがることがあります。
冬、ストーブや火鉢で体が温まっているときにはそのようなことが起こりやすいので、とくに注意しなければになりません。
目もりをよむには自分の目の高さを水銀(またはアルコール)の頭と同じ高さにしてまず、水銀の頭が、どの目盛りいちばん近いかを見ます。
それから正確に、その目盛りのしめす数字が何度であるかを読み取ります。
最低温度計
ふつう温度計では、目盛りをよんだときの温度しか知ることができません。
1日のうち、気温が最高何度まで昇ったかを知るには温度計に特別の工夫をしなければなりません。
そこで考えられたのが、最高温度計です。
最高温度計は、気温が上がっていくときはふつうの温度計と同じように水銀が昇っていきます。
しかし、気温が下がるときは水銀糸と球部の境のところで、水銀が切れます。
そして、球部より上に昇った水銀は、そのまま残るようなしかけになっています。
最高温度計は、百葉箱の中に横にかけ球部が水平より少し下になるようにしておきます。
最高気温を読み取るときは、目と水銀の頭とをむすぶ線が最高温度計の管と直角になるように気をつけます。目もりをよんだら復度します。
復度というのは、最高温度計の水銀糸をさげて、球部の水銀とつないでおくことです。
復度するには、右手で温度計の頭のところをにぎりかけわくから取り外し、百葉箱の外へ取り出して、しっかり握ったまま強く前後にふればよいのです。
体温計で体温をはかったあと、水銀をさげるのと同じやりかたです。
ふるときに温度計を自分の体や、まわりのものにぶつけて壊さないように気をつけましょう。
2、3回ふってから、目もりをよんでみて、また、2、3回ふります。
何回かふって水銀の頭の目もりがさがらなくたったら、復度におおったことになります。
そのときの目もりのよみは、百葉箱の中にあるふつうの温度計の目もりのよみとだいたい同じです。
もし、2度以上も違っている場合にはその最高温度計はくるっているおそれがありますから、注意しましょう。
最低温度計
最高温度計と反対に、1日のうちの最低の温度を知るために考えられたのが最低温度計です。
最低温度計はアルコール温度計に工夫をくわえたものでアルコール糸の中にガラスの小さいほうが入っています。
気温が上がるときは、ガラス棒をそのまま置き去りにして、アルコールの頭がのびます。
気温が下がると、アルコールの頭は、カラス棒をいっしょに押し下げます。
最低温度計は、百葉箱の中に、だいたい水平にして、かけておきます。
最高温度計をよみとるときは、ガラス棒のはし(球部より遠いほうのはし)の一の目盛りをよみます。
アルコールの頭の位置をよんだり、球部に近いほうのガラス棒のはしの目盛りをよんだりすることがないよう、注意しましょう。
目盛りをよんだら復度します。
まず、温度計をにぎり、かけわくから外して球部の棒を少し高くあげます。
すると、アルコール糸の中のガラス棒が静かに動いてアルコールの頭に近づきます。最高温度計のように、振ってはいけません。
アルコールの頭に、ガラス棒のいっぽうのはしが触れたら温度計を水平に戻して、そのままわくにかければよいのです。
そのときの目もりは百葉箱の中のふつうの温度計のしめす気温とだいたい同じにならているはずです。
自記温度計
自記温度計は気温のうつりかわりが、あとになってもわかるように工夫されています。
ふつうの自記温度計は、バイメタルやブルドン管(アルコールかエーテルを中に入れた金属管で切り口は平たい楕円形で少し曲がっている。気温が上がると、中のアルコールやエーテルがふくれて管が伸びる)が気温によって曲がることを利用したものです。
その曲がりは、てこによって大きくされ、てこの先についたペンを動かします。
別に、時計じかけで動く円筒があって、紙がまきつけてあります。
この紙に気温のうつりかわりが記録されるのです。
自記温度計も、ほかの温度計といっしょに、百葉箱にすえつけます。
自記温度計にくらべると、水銀やアルコールの温度計のほうが正確です。
しかし、自記温度計では、そのときそのときの気温の変化ばかりでなく気温の変化ばかりでなく、気温が最高・最低になった時刻がわかるので気象観測に、なくてはならないものになっています。