凸レンズの像
暗い部屋の中で、火をつけたろうそくを、机の上に立てます。
凸レンズの面をろうそくの炎に向けておき、ろうそくの反対側にレンズの軸と直角に白い紙をおきます。
この紙とレンズの位置をいろいろとかえてみるとろうそくの形が紙の上に、上下・左右とも反対にうつります。
これが、凸レンズによってできる像です。
ところで、像のできる位置は、1か所とはかぎりません。
凸レンズを動かさないで、ろうそくと紙を動かせば炎の像を何回もうつしだすことができます。
しかし、凸レンズとろうそくを動かさなければ像のできる位置は、1か所しかありません。
実験
凸レンズとすりガラスとろうそくを用意します。
凸レンズを太陽にむけて固定しておき、すりガラスを動かしてみて太陽光線が一点に集まるところを探し、焦点距離を測っておきます。
つぎに、暗い部屋の中で、凸レンズを固定しておき火をつけたろうそくを、焦点距離の2倍より遠いところにおいてみましょう。
ろうそくの反対側で、すりガラスを前後に動かしてみると逆さまの小さな像が、焦点と焦点距離が2倍のところとの間にできます。
ろうそくを、焦点距離の2倍のところにおいてみましょう。
すると、そのろうそくと大きさの等しい、逆さまの像がろうそくと反対側の、焦点距離の2倍のところにできます。
ろうそくを、焦点と焦点距離の2倍のところとの間においてみましょう。
すると、実物より大きな逆さまの像が、ろうそくと反対側で焦点距離の2倍より遠いところにできます。
ろうそくを、焦点のところにおいてみますと、像はどこにもできません。
ろうそくを、焦点より内側におしてみましょう。
すると、像をすりガラスにうつすことはできませんが、ろうそくを立てたほうにレンズを通して実物より大きな、正立の像を見ることができます。
このようにしてできた像は、ろうそくより大きいことも小さいこともあります。
そして、ろうそくが凸レンズの焦点に近いほど、大きな像ができます。
ろうそくの像がすりガラスの上にできているとき、すりガラスを取り除いてすりガラスのあった位置の25センチくらいうしろから凸レンズを見てみましょう。
すると、すりガラスがあった位置に、はじめと同じような像が見られます。
凹レンズの像
凹レンズを使い、凸レンズと同じようにろうそくの炎の像を、紙の上にうつしてみましょう。
しかし、ろうそくと紙をどんな位置にもってきても、像はできません。
紙を取り除いて、凹レンズを通してろうそくの炎を見てみましょう。
すると、上下・左右とも同じで、実際のろうそくより小さな像が見えます。
レンズの像のもとめ方
レンズの焦点距離と、物の位置がわかっていると球面鏡のときと同じように、図を書いて像の位置や大きさをもとめることができます。
レンズの像を図でもとめるときには、物のはしの一点からひいたつぎにあげる3本の光線のうち、どれか2本を選びそのまじわる点をもとめれば、その点が物のはしの一点の像となります。
① レンズの軸に平行に進み、レンズを通ったあと焦点を通る光線、または焦点から出たように進む光線。
② レンズの中心を通り、そのまま、まっすぐに進む光線。
③ 焦点を通り、またはレンズのむこう側の焦点にむかいレンズを通ったあと、レンズの軸に平行に進む光線。
この3本の光線のうち、2本の光線がまじわる点をもとめるとこの点が、はじめに光線をひきだした点の像になります。
実験の①~⑤までの像を図でもとめてみると、図のようになります。
実像
光が実際に集まってできる像を実像と言います。
凸レンズでは、物を焦点より遠いところにおいたとき逆さまの実像(倒立実像)ができます。
虚像
凸レンズの実験で、ろうそくを焦点の内側に入れると、像ができませんでした。
このとき、ろうそくを、レンズを通して反対側から見ると実物より大きな像が見えます。
このようなときに、レンズを通った光を反対側に伸ばしてみると、一点に集まります。
光は、実際にはその点を通りませんが、レンズを通ったあとで光がその点から出てくるように見えます。
そこで、このような像を虚像と言います。
虚像は、物のある側に、実物と同じむきの像(正立虚像)になります。
1枚のレンズでは、実像は倒立実像、虚像は正立虚像になります。