望遠鏡
遠くの物を、大きくはっきり見るためには、望遠鏡を使います。
遠くの景色を見る双眼鏡や、芝居の舞台やスポーツなどを見るためのオペラグラスなどは、望遠鏡の一種です。
望遠鏡のしくみ
望遠鏡も、顕微鏡と同じように対物レンズと接眼レンズの2種類のレンズからできています。
対物レンズは凸レンズのはたらきをもち遠くの物からやってくる平行な光線を焦点に集め、焦点に倒立した実像をつくります。
この実像を、接眼レンズで、虫眼鏡と同じ原理で拡大して見るのです。
私たちが物を見るとき、物の大小の感じは網膜の上にできるその物の像の大小によります。
レンズの中心を通る光は曲げられませんからそれは、物の両はしから目の中心にやってくる光線がつくる角(視角という)の大小によって決まります。
したがって、同じ物でも遠方にあると小さく、近くにおると大きく感じます。
このことは、決まった幅のレールでも、遠くのほうへいくにつれてせまくなるように見えることでもわかるでしょう。
望遠鏡は、対物レンズと接眼レンズの組みあわせによって視角を大きくして、見やすくしてくれます。
望遠鏡の倍率
望遠鏡を通して遠くにある物の像を見たときの視角が望遠鏡を使わないで直接、目で見たときの視角の何倍になっているか、という数を望遠鏡の倍率と言います。
望遠鏡の倍率は、つぎの式で計算します。
望遠鏡のいろいろ
望遠鏡には、レンズを使った屈折望遠鏡と反射鏡を使った反射望遠鏡とがあります。
屈折望遠鏡
ふつうの天体望遠鏡は、ケプラー式望遠鏡で、像が倒立像となるので天体を観察するには構いませんが、地上の景色を見るときは不便です。
地上用望遠鏡は、プリズムやレンズをたくさん使って、正立した像にかえています。
ふつう、接眼レンズは凸レンズですが凹レンズでも拡大された像を見ることができます。
そのためには、対物レンズの焦点を、凹レンズのうしろ側の焦点に一致させます。
すると対物レンズを通った光は、焦点に集まる前に接眼レンズにあたり散らされて平行光線になってでてきます。
こうして、凹レンズを接眼レンズとして使うと、正立した像をつくることができます。これをガリレオ式望遠鏡と言います。
オペラグラスは、ふつう、ガリレオ式望遠鏡を2つ組みあわせた望遠鏡です。
双眼鏡は、プリズムを使って、像を正立にするとともに、鏡筒の中で光を往復させ全体の長さを短くして持ち運びに便利なようにしてあります。
反射望遠鏡
球面鏡による光の反射を利用した望遠鏡です。
凹面鏡によってつくった遠方の物の実像を、接眼レンズで拡大してみます。
質が同じで、屈折率にむらのない大きなガラスはなかなかつくれないので大きなレンズよりも、大きな反射鏡をつくるほうがかんたんです。
そのため、最近つくられる大きな望遠鏡は、ほとんど反射望遠鏡です。