蒸発と沸騰
洗濯物を干しておくと、冬でも乾きます。
また、やかんに水を入れて火にかけておくと、しまいには水が全部なくなってしまいます。
これは、水が水蒸気になって、空中に逃げていくからです。
冬、風呂場は湯気がもうもうとしていますが湯気は水蒸気ではなく水蒸気が冷えて、小さな水滴になったものです。
水蒸気は、空気などと同じように、無色透明の気体なのです。
空気と違うのは、水蒸気は少し冷えると、すぐに水にもどることです。
蒸発
液体がその表面から気体になることを蒸発と言います。
冬でも洗濯物が乾くように、水は低い温度でも蒸発します。
しかし、日光をあてたり、火であぶると早く乾くように温度が高いほど蒸発はさかんです。
また、風のある日には、風が水蒸気を吹き飛ばし、蒸発がさかんになります。
また、空気中の水蒸気の量(湿度)によっても、蒸発のしかたがかわります。
沸騰
水が、ぐらぐら煮えたっているときは、水の表面からの蒸発だけでなく水の中に水蒸気の泡ができて浮き上がっていきます。
この現象を、沸騰と言います。
水の中には、目に見えない小さな空気の泡がふくまれていますが水が熱せられると、蒸発がさかんになって、小さな空気の泡の中にも蒸気が増え泡をふくらませるので泡が浮き上がるのです。
実験
ビーカーに水を入れ、ガスの炎で熱して、沸騰の様子を見てみましょう。
はじめのうちは、底から小さな泡がのぼってきますが表面までこないうちに消えてしまうものもあります。
はじめのうちは、底から小さな泡がのぼってきますが表面までこないうちに消えてしまうものもあります。
消えたのは、のぼる途中で冷やされて、泡の中の蒸気が水にもどったからです。
水の温度が上がると泡も大きくなり、底だけでなく水の内部からも泡ができるようになります。
底から泡がたくさんでるのは、底の温度がもっとも高いからです。
沸騰核
つぎに、小さなガラス玉やガラスのかけらを水の中に入れるとますますさかんに沸騰するようになります。
このガラスの玉やかけらなどのことを沸騰核と言います。
沸点
水の表面からの蒸発はどんな温度でも起こりますが、沸騰が起こる温度は決まっています。
沸騰しているあいだは、強く熱しても沸騰がさかんになるだけで、温度はかわりません。
この温度のことを、沸点といいます。
水の沸点は100℃です。水が沸騰しているあいだ、温度がかわらないのは熱が水を水蒸気にかえるために使われているからです。
この熱を気化熱と言います。
沸点と気圧
水の沸点は、水の面に一気圧の圧力が加わっているときに、100℃なのです。
沸騰が起こるのは、水中に水蒸気がたくさんでき、大きな泡をつくるためですが泡の水蒸気の圧力が小さければ、水の表面の圧力のために、泡は押し潰されてしまいます。
それで、ある温度にならないと、沸騰は起こらないのです。
ところが富士山のような高い山の上には水の表面に加わる気圧が小さいので水中の泡をつぶす力が小さくなるので低い温度でも沸騰が起こります。
そのため、それ以上温度が上がらないので、米がよく炊けなかったりします。
エベレストの頂上(884メートル)は、約71℃で沸騰が起き3000メートルでは、約90℃で沸騰が起きます。
反対に、水の表面に圧力をくわえれば沸点は高くなります。
圧力なべや圧力がまを使うと、100℃以上の温度でものを煮ることができます。
これは、ふたがしっかりしていて蒸気が逃げないようにしてあります。
熱すると、水蒸気が逃げないので水の表面に蒸気の圧力が加わり100℃になっても、沸騰が起こらないのです。
こうすると、ふつうではやわらかく煮えない物でも高い温度で煮るので、やわらかくなります。
圧力がまや圧力なべには、安全弁というものがついています。
中の蒸気の圧力があまり高くなると、爆発するので蒸気の圧力がある程度高くなると安全弁から蒸気が噴き出るようになっています。
水が蒸気になるときの体積の変化
水を水蒸気にすると、とても大きな体積になります。
1グラムの水の体積は、100℃のとき、1.03立方センチですがこれが水蒸気になると、1気圧のとき、1650立方センチになります。
空気1グラムの体積は、100℃1気圧で約1000立方センチなので、同じ体積の水蒸気は空気よりも軽く、水蒸気は、空中へどんどんのぼっていきます。
このように液体が気体になると、体積が非常に増えます。
実験
注射器に、メチルアルコールを少し吸い込み、空気を追い出します。
アルコールがでないように赤く焼いて根本から曲げ、あまりを切り取った注射針をつけます。
注射器の底を水につけ、水の温度を上げていくと注射器の中のアルコールが蒸発して、ピストンは、ぐんぐん押し出されます。
ピストンが飛び出さないうちに取り出して冷たい水で冷やすとピストンは中に入っていき、もとにもどります。