赤外線
赤外線は、目に見える赤い光よりさらに波長の長い光(1センチ~0.8ミクロンくらい)です。
光といっても、目に見えませんから、不可視光線(これにたいして目に見える光線を可視光線という)ということもあります。
赤外線は、太陽スペクトルの赤色の外側にあります。
このことは、つぎの実験で確かめることができます。
実験
まず、水銀温度計の水銀の入っている管球部を、黒いきれで包んでおきます。
この部分を、太陽スペクトルの赤色の外側の、目には何も見えないところにおきます。
すると、温度計の水銀柱があがって、高い温度をさすようになります。
このことから、赤色の隣りには、目には何もみえないが何か温度計に熱をあたえるものがきていると考えることができます。
これが、赤外線なのです。
赤外線には、このように物をあたためるはたらきがあるので、熱線とも言われます。
赤外線の利用
太陽からは、私たちが物を見るのに役立つ光のほかに赤外線が出ていて、地球をあたためています。
このほかにも、温度の高い物からは、必ず赤外線が出されています。
電熱器のニクロム線のヒーターも、電流を通すと赤く光りますがそばに近づくとあたたかく感じることからわかるように、赤外線が出ています。
また、赤くなった木炭からも、赤外線が出ています。
ふつうの電球では、フィラメントが高い温度に熱せられて光を出していますがそのうちの3分の2くらいは赤外線で物を照らすのに役立っているのは残りの3分の1くらいにすぎません。
つまり、電球で使われた電気の3分の2は、熱になってしまうわけです。
ところが、蛍光灯は、目に見える光しか出さないので、同じだけの電気を使えばふつうの電球よりはるかに明るい光を出すことができます。
また、赤外線の物をあたためるはたらきを利用して物をかわかすのに赤外線電球が広く使われています。
赤外線は、うすい物をかわかすのに適していますからペンキやラッカーの塗膜を乾かしたり織物の湿り気を取り除いたりするのに利用されています。
赤外線写真
赤外線は、ふつうの光より波長が長いので、空気中の塵や雲・霧などのため
その進む道を満たされることが少なく、よく通り抜けていきます。
それで、赤外線に感じやすいフィルムで写真をうつすと遠くにある景色が、はっきりとうつります。
木の葉や草などの緑色は赤外線をよく反射するので赤外線カラー写真には赤くうつります。
また、私たちの体や身近にある物からは、弱い赤外線が出ているのでこれを利用して、暗いところでも写真を撮ることができます。
紫外線
赤外線と同じように、不可視光線です。
紫外線は、目に見える光のうち、波長がいちばん短い紫色の光よりさらに波長が短く(100~3800オングストロームくらい)太陽光線のスペクトルでは、紫色の外側にあるので、外線とよばれています。
太陽からは紫外線がたくさん出ていますが、地面までくるのはごくわずかです。
これは、空気中の塵のために、方向が曲げられ、散らばってしまうためです。
また、紫外線をいちばん吸収してしまうのは、地球をおおっている大気の厚い層です。
紫外線をよく吸収するのは、空気中の窒素・駿素ですがこのほかに、地上30キロメートルくらいの高さにあるオゾン層も紫外線をよく吸収します。
そのため、最近では、太陽からくる紫外線を高い空で調べる実験がおこなわれるようになりました。
これは、ロケットに観測器械を積んで打ち上げ、紫外線を調べるのです。
このように、大じかけに紫外線を調べるのは、地球の大気に紫外線があたると高空の大気中に電離層という層ができて、この層が無線通信に使う電波の伝わり方に、大きな影響をあたえているからです。
紫外線の利用
紫外線には、細菌を殺す力があります。
そのため、日光消毒といって衣類や本を太陽の光にあてて、消毒することができます。
人工的に紫外線をつくり、殺菌に使うものに、殺菌灯があります。
この殺菌灯は、蛍光灯と同じような原理で水銀の蒸気に電子をあてて紫外線をたくさん出させます。
また、強い太陽の光に長い時間あたっていると海水浴や山登りのときにわかるように、皮膚が黒くなります。
これも、太陽の光にふくまれている紫外線のためです。
健康のために紫外線は必要なもので体の中でビタミンDをつくるはたらきがあります。
ビタミンDが不足すると骨の発育が悪くなり、くる病などの病気にかかりやすくなります。
また、太陽の光に布や紙をさらしておくと、色がかわります。
これも紫外線のはたらきで、化学変化か起こったためです。
夏の海岸や高い山で写真を撮ると、露出がうまくいかなくて写真が白っぽくうつるのは、フィルムに紫外線が感光するからです。
このようなとき、UVフィルターやスカイライトフィルターなどの紫外線をよく吸収するフィルターを使うと、写真がきれいに撮れます。
紫外線は、このように化学作用が強いので化学線とも言われます。
蛍光灯
紫外線があたると、目に見える光を出す物があります。
この光を蛍光と言い、蛍光を出す物を、蛍光物質(蛍光体)と言います。
私たちが使っている蛍光灯は、ガラス管の内側に蛍光物質をぬり、その中で水銀の蒸気に電子をあてて、紫外線を出させるようにしたものです。
水銀の蒸気からでた紫外線がガラス管の内側の蛍光物質にあたると蛍光物質が目に見える光線を出します。
紫外線は、紫外線があたると蛍光がでる物があることを利用して真珠や古い文書が、本物か偽物かを見分けるのにも使われています。