レコードの溝
レコードをよく見ると たくさんの細い溝がついているのがわかります。
この溝は、うずまきになっていて、外側からはじまって、だんだん内側に入ってます。
この溝を虫眼鏡で見ると左の写真のように、うねうねと曲がっているのが見られます。
レコードをまわしながら指で針をつまみ、その先を溝の中に、軽く触れてみましょう。
針が左右に震えるのがぴりぴりと指先に感じられます。そして、かすかに音を出しているのがわかります。
つまり、レコードの溝は、音を記録してあるものなのです。
レコードのいろいろ
レコードには、直径が20センチ・25センチ・30センチなどの大きさのものがあります。
SP盤というこれまでのレコードでは、いちばん大きな30センチのものでも
片面が4分間くらいで終わってしまいます。
ですから、長い曲は何舞にもわけて、4分間ごとにかけかえなければなりません。
そこで、1枚のレコードに、長い曲やたくさんの曲を入れられるようにレコードの大きさを大きくしたり、まわり方を遅くすることや溝を細くして、あいだをつめることなどの研究がすすめられました。
しかし、シェラックや松やになどでつくった昔のレコードではなかなかうまくいきませんでした。
ところが、ビニル系合成樹脂が発明されてレコードの材料にたいへん都合のよいことがわかりLPとよばれる長時間レコードがつくられるようになりました。
LPレコードは、摩擦電気を帯びやすいので、ほこりがつきやすいことやかるいピックアップを使わないとレコードの溝が傷みやすいことなどの欠点があります。
しかし、ほこりのつかないLPレコードも発明されいまでは、SPレコードに、すっかりとってかわっています。
このほかに、ドーナツ盤とよばれている、EPレコードがあります。
これもビニル系合成樹脂でできていて溝も細かく、まわり方も遅い長時間レコードです。
しかし、取扱いをかんたんにするために直径を小さくしてあるのでLPレコードほど長い時間はかかりません。
また音の出る雑誌などに使われているソノシート(フォノシート)はビニルびきの紙やビニルに、音の出る溝をつけたものです。
これは、出版物という形をとっていますが実際はレコ-ドと同じことで最近では、音の質もよくなって、非常に増えてきています。
サウンドボックス式蓄音機
レコードから音を出すには、蓄音機を使います。
いちばんはじめにつくられたのは、エジソンの発明がもとになってだんだん改良されてできた、サウンドボックス式(ぜんまい式)蓄音機です。
この蓄音機では、レコードをぜんまいモーターでまわる円盤の上にのせサウンドボックスにつけた針の先を、溝にあてます。
レコードがまわると、針が揺れて、その振動が図のようなてこのしくみで大きくなって、軽金属でできた振動板に伝わります。
振動版が揺れてできた音は、だんだんに広がっている音道を通ってしだいに強められていき、大きな音になって外へでます。
電気蓄音機
蓄音機は、サウンドボックス式にかわって最近では、ほとんど電蓄とよばれる、電気蓄音機が使われています。
これは、レコードをまわすのに電動機(モーター)を使いサウンドボックスのかわりにピックアップを使ったものです。
ピックアップは、クリスタルマイクロホンと同じしくみで針の振動を、電流の強弱にかえるはたらきをします。
その電流を、増幅器で強め、スピ-カーヘおくり、音にかえます。
レコードプレーヤーは、モーターとピッタアップでできていてラジオにつないで電気蓄音機にすることができます。
LPレコードやEPレコードでは、針が溝を強くこすると溝の形がくずれてしまうので、針の先にかかる重さを、軽くしなければなりません。
また、溝が細いので、SPレコードに使っている針より、先の細いものが必要です。
そのため、ダイヤモンドやサファイアなどの硬い鉱物を使った針が使われ針をとりかえる回数も、ずっと少なくなりました。
ステレオレコード
ステレオレコードでは、1本の溝の左右の面に、それぞれ音が記録されています。
このレコードから、音を再生するためのピックアップとして45-45方式カートリッジというものがあります。
ふつう使われているクリスタルカートリッジでは、下の図のようにレコードの盤にたいして45度傾いている2つの結晶板に共通な1本の針をつけて、その針をレコードの溝にあてるようにできています。
この結晶は、クリスタルマイクロホンに使われているのと同じ、ロッシェル塩です。
レコードがまわると針の先を押す力が、溝の左側と右側では、つぎつぎにかわります。
すると2つの結晶板にあらわれる電気が、それにしたがってかわります。
この電気を増幅器で強めて左右に2つのスピーカーヘおくると2つのスピーカーの音の強さが、それぞれ違ってきます。
そのため、実際の音楽会で聞くような立体的な感じがでてくるのです。
ステレオレコードでは、録音のときに音のもとが動いていると再生したときの音も動いているように聞こえます。
テープレコーダー
テープレコーダーは、レコードのかわりに細長い録音テープに音を記録する機械です。
録音テープは、合成樹脂のテープに酸化鉄の粉をぬった物でつぎのようなしくみで、録音されます。
録音のしかた
録音テープは、録音ヘッドという、10分の1ミリくらいの細いすきまのある
電磁石の前を、決まった速さで動くようになっています。
この電磁石のコイルには、マイクロホンから、増幅器を通ってきた電流を通します。
すると、電磁石は、この電流がかわるにつれて強くなったり弱くなったりします。
そのため、磁石のはたらきも強くなったり弱くなったりするのでそこを通るテープの表面の酸化鉄も強い磁石になったり、弱い磁石になったりします。
このような録音のしかたを、磁気録音と言います。
再生のしかた
録音されたテープから、音を出すことを、再生と言います。
録音がすんだテープは巻き戻して、録音のときと同じ速さで、再生ヘッドを通します。
再生ヘッドは録音ヘッドと同じ物で、スイッチの切り替えで二通りに使えるものがほとんどです。
再生ヘッドを通ると、テープの酸化鉄の磁石の強さにしたがってヘッドの電磁石に電流がおこります。
この電流を、増幅器を通してスピーカーへ送り、音にかえます。
テープレコーダーは、持ち運びできる大きさですし長いテープをリールにまいて、長い時間の録音にすることができるのでたいへん便利です。
また、録音してからいらないところを切り取ったり順序をかえてつぎあわせたりすることもできます。
再生の必要がなくなったテープは、消去ヘッドを通してテープの磁石をただの酘化鉄にもどし、ふたたび新しく録音することもできます。
このように、テープレコーダーには、いろいろと便利な点があるので討論会や座談会の録音、街頭録音などのほか個人で英語の発音練習や歌の練習をするときなどに利用されています。
またヘッドの2つあるステレオ式のテープレコーダーでは1本のテープに2つの音が記録され再生のとき立方的な音を聞くことができます。