音の速さ
音が伝わるのに時間がかかることは、遠くで鉄砲を打ったりするとき発火してからしばらくして音が聞こえることなどから、古くから人びとに知られていました。
しかし、伝わる速さは、どんな音でも同じなのかまた、その速さはどれくらいなのかというようなことはわかっていませんでした。
音の速さの測定は、17世紀の中ごろからおもにフランス・イタリア・イギリスの科学者によっておこなわれました。
その方法は、2つの地点のいっぽうでたまの入っていない大砲を打ちもういっぽうの地点で、大砲から出た火を見たときから大砲の音を聞くまでの時間を測るのです。
そして、この時間で2つの地点間の距離を割ると、音の速さがもとまります。
光も音と同じように、伝わるのに時間がかかりますがその時間は、音の速さとはくらべものにならないくらい速いのです。
その後、たくさんの科学者がいろいろな実験をおこなって0℃で一気圧の空気中では、どんな音の速さでも毎秒331.5メートルであることがわかりました。
音の速さと温度
空気中の音の速さは温度が高くなるほど速くなります。
実験により、温度が1℃高くなるごとに毎秒0.6メートルだけ速くなることがわかりました。
したがって、15℃のときには、つぎのような計算によって、音の速さがもとめられます。
331.5 + (0.6 × 15)= 340.5(メートル/秒)
この計算から、音の速さは、気温15℃で、毎秒340.5メートルとなります。
雷が遠くでなっているときには、稲妻が光ってからしばらく経って、音が聞こえます。
このとき、稲妻が光ってから音が聞こえるまでの時間に音の速さをかけたものが雷の鳴っているところまでの距離になります。
音の速さと風
川をさかのぼる船の速さは、流れのない水での船の速さから水の流れる速さを引いた値になります。
また、川をくだるときには、水の流れる速さを足した値になります。
これと同じように、風上にむかう音の速さは風のない空気中での音の速さから、風の速さを引いた値になります。
これと反対に風下にむかうときは、風の速さを足した値になります。
水中の音の速さ
水中の音の速さをはじめてはかったのは、およそ140年ほどまえでコラドンとシュトルムというふたりの学者によって、スイスの湖でおこなわれました。
ふたりは、2そうのボートを遠くはなして浮かべました。
そして、1そうのボートで、水中につるした鐘を叩いて音を出させもう1そうのボートでは、細長いラッパの大きいほうのはしに膜を張って水中に入れ細いほうのはしに耳をつけて、水中を伝わってくる音を聞きました。
鐘を打つと同時に、火薬に火がつくようにしかけがしてあり音を聞く人は、火を見たときから音が聞こえるまでの時間を測ります。
この時間と、2そうのボートの間の距離から、水中を伝わる音の速さはおよそ毎秒1435メートルであることがわかりました。
その後、海水を伝わる音の速さもたくさんの人たちによって調べられました。
それによると、海水中を伝わる音の速さは、およそ毎秒1500メートルです。
音の速さと振動数
ばねを使った波の発生の実験で、ばねのはしを1回ふると横波なら、山と谷の1組みができ、縦波なら、疎と密の1組みができいずれも波が一波長だけ進むことがわかりました。
このことから、波の速さ・振動数・波長のあいだに、つぎのような式が成り立ちます。
波の速さ=波長×振動数
この式は、音でも成り立ちます。
たとえば、気配が15℃のとき、振動数が1000ヘルツの音の波長は0.34メートルで振動数が200ヘルツの音の波長は1.7メートルとなります。
すなわち、振動数に波長をかけたものは、いつでも毎秒340メートルになり測定された音の速さと等しくなります。
このことから音の速さは、測定された波長と振動数とから計算でもとめることもできます。