サツマイモ・ジャガイモや、米・麦などがたくわえているでんぷんは植物が芽をだしたり生長したりするために使われるエネルギーの材料として、大切なはたらきをしています。
動物は、植物のつくったでんぷんを食べて消化・吸収し分解します。
そしてそのときでてくるエネルギーを利用して体温をたもったり、運動したり成長するために必要な物質をつくったりしています。
てんぷんのでき方
でんぷんは、緑色植物が太陽の光の助けを借りて水と二酸化炭素とから合成したものです。
このとき、同時に酸素もできます。
でんぷんができるときには植物体のなかで多くの酵素という物質がはたらき複雑な化学反応が進みます。
それで、まだ人間の力では水と二酸化炭素とからでんぷんをつくることには成功していません。
でんぷんがつくられるところは、ほとんど葉緑素をもった葉の部分ですがつくられたでんぷんは、根や地下茎・種子などの中にたくわえられます。
たとえば、サツマイモは根にジャガイモは地下茎にイネや麦は種子にでんぷんをたくわえます。
生物によって、でんぷんが分解されつくすと、また水と二酸化炭素になりますがこのとき、でんぷん1グラムにつき約4000カロリーの熱が発生します。
空気中にでた二酸化炭素は、また植物がでんぷんをつくるときに利用されます。
てんぷん粒
でんぷんが植物にたくわえられているときはでんぷん粒とよばれる粒の形をしています。
このでんぷん粒は、植物の種類によって形が違うため顕微鏡で調べるとどの植物のものか、かんたんに見分けがつきます。
でんぷん粒の大きさは、直径が0.002~0.15ミリとさまざまです。
そしてこの粒は、皮におおわれているので、水に浸しただけでは溶けません。
湯の中ではだんだんふくらみ、ついに皮が破れて中の物質が外へ出てきて溶けていきます。
くず湯をつくるのに湯を使うのは、このためです。
実験
ジャガイモの皮をむき、水で洗ってから、おろし金ですりおろします。
これを二重、三重に重ねたガーゼに包んで水の中でもむと赤黒くにごった汁がでます。
この汁を鉢に入れておくと、底にでんぷんが沈んでたまります。
つぎに、鉢を静かに傾けて上澄みを捨て、きれいな水を入れてかきまわします。
底にでんぷんが沈んだら、また水を捨てます。
これを何回か繰り返したあと乾かすと、きれいなでんぷんの粉がとれます。
顕微鏡で調べると、大小さまざまなでんぷんの粒がよくわかります。
食物中にふくまれるでんぷんの量
食物によって、でんぷんのふくまれる割合はいろいろと違います。
たとえば、つぎの食物100グラム中にふくまれるでんぷんの量は小麦では77グラム、米87グラム、大豆13グラム、バナナ9グラムです。
でんぷんの成分
でんぷんは、ぶどう糖C6H12O6がいくつもつながってできた分子量の非常に大きい化合物です。
ぶどう糖が結合するとき、一分子の水を放出するので化学式であらわすと[C6H10O5]nとなりますが、このnはぶどう糖がいくちもつながっていることをしめす数字です。
でんぷんをとった材料によって、この数字はいろいろと違いますがふつうは450から2200のあいだです。
つまりでんぷんは、ぶどう糖の分子が450から2200個ぐらいも結合してできあがっているということができます。
しかし、よく調べてみると、ぶどう糖のつながり方の違いからでんぷんには2つの成分のあることがわかります。
2つのうち1つは、アミロースとよばれぶどう糖がひものように、まっすぐにくっついているものです。
もう1つは、アミロペクチンとよばれぶどう糖が木のえだのようにつながったものです。
でんぷんに熱湯を注ぐとゼリーのようにどろっとなるのはアミロペクチンがあるためです。
でんぷんの中のアミロースとアミロペクチンの割合はでんぷんをふくむ植物の種類によって、ずいぶん違います。
たとえば、米のでんぷんはアミロペクチンが83パーセントですがもち米のでんぷんは、ほとんど全部がアミロペクチンです。
トウモロコシでは79パーセント、小麦では76パーセントジャガイモでは78パーセントがアミロペクチンです。