火と道具
火を自由につくりだせるのは、人間だけです。
人間は、この素晴らしい知恵を何万年かの昔に覚えました。
はじめは、自然に起こった山火事の火を乾いた草や木にうつして消えないようにしていました。
しかし、そのうちに、石と石とを打ち合わせたり木ぎれをこすり合わせて、火をつくるようになりました。
火と大昔の生活
火のおかげで、人間は、ほかの動物よりも自由に生活できるようになりました。
恐ろしい獣も火を見ると近よってこないし、寒い地方の冬の夜でも火があれば凍えることがありません。
また、肉や魚を、煮たり焼いたりすることもできます。
生では硬くて食べられなかったものまで、おいしく食べられることがわかったのです。
そればかりか、煮たり、焼いたりすると消化がよいので体もずっと丈夫になりました。
肉や魚などは焼いておくと、長持ちするので毎日の食べ物を集める時間も少なくてすむようになりました。
この余った時間に、人間はいろいろなことを考えたり道具をつくる工夫をするようになりました。
こうして人間は、ますます賢くなったのです。
道具の発明
人間は火を使いはじめたころ道具を発明しました。
今では、私たちの周りに複雑で立派な道具がたくさんあります。
しかし、はじめて使われた道具は、棒切れや石ころでした。
それでも、道具を知らないときよりは、ずっと便利になったに違いありません。
道具の利用
手の届かないところにある木の実も、棒切れで落とすことができます。
硬い肉も、とがった石でわけなく切ることができます。
重い石もてこを使えば、軽々とあげられるし下にころを使えば軽く動かすこともできます。
人間の知恵がもっとすすむと弓矢のような飛び道具、食べ物を入れる土器、丸木船など、いろいろな道具を発明しました。
しかし、こういう道具類は自然にある木や石などを切ったり削ったりしてつくらなければなりません。
つまり、道具をつくる道具が必要でした。
そういう道具として原始人たちがいちばんはじめに使っていたのはとがった天然の石でした。
そのうち、彼らは自然石をとがらせて使うようになりました。
そののち、原始人たちは銅を発見しまもなく銅にすずをくわえて青銅をつくりだしました。
青銅は銅よりもかたく、いろいろな道具に利用されました。
紀元前1000~500年ごろになると鉄器が発明され道具づくりは、にわかに進歩しはじめました。