言葉のはたらき
動物は声を出しますが、人間のように話すことはできません。
話す言葉を知っているということは、非常に便利なことなのです。
たとえば、ある人が山奥でとつぜん、クマに出会いました。
その人が死んだふりをしたところ、クマは噛みつきませんでした。
その人はクマのことを仲間に話して聞かせました。
それを聞いた仲間は、クマにてあっても、まごつかないですむようになりました。
これは、お互いにわかる言葉のおかげです。
また、大人は子どもに自分の経験を話してやりました。
その子どもは、やがて大人になり、子どものころに聞いた話をまた自分の子どもに聞かせます。
こうして昔の人たちの経験が、ずっと後まで伝わるようになりました。
文字の発明
しかし口からロヘの言い伝えの不便な点は、すぐに消えてしまって後に残らないことです。
そこで、人々は言葉を符号であらわし、後の世まで書き残しておく方法を工夫しました。
こうしてできたのが文字です。
人間が文字を書くようになったのは、今から1万年も昔のことです。
もちろん、今日のような紙などありません。
ですから、ほとんど木の板や、石や粘土板に掘り込んだものでした。
このような石や粘土板が、今でもたくさん残っています。
その文字も、はじめは木の幹や石などに刻んだ心覚えのようなもので文字というより、絵に似た絵文字でした。
絵文字はしだいに簡単になり、それを見ただけではもとの形を思いだせないぐらいにまでかわりました。
それが象形文字です。
象形文字は、さらに簡単になり今日私たちが使っている表意文字になったのです。
また、形のないものは表意文字の発言だけを借りいろいろに組み合わせてあらわしていましたがそのうちに発音だけをあらわす表音文字を発明しました。
文字が発明されると人々はできごとや考えを文字で書きあらわすようになりました。
文字にしておくと書いたものがなくならないかぎりいつまでも、間違いなく伝えることができるからです。