電気抵抗
乾電池にいろいろな豆電球をつけると、豆電球によって明るいものもあるし、暗いものもあります。
これは、同じ電圧でも電気がたくさん流れる豆電球もあればあまり電気の流れない豆電球もあるからです。
つまり、豆電球をつくるとき電流の流れやすい線でフィラメントをつくれば明るい豆電球ができます。
このように、電気の流れやすい線もあれば、電気の流れにくい線もあります。
電気の流れやすさ、流れにくさは、線ごとに決まっていてこれを電気抵抗またはただ抵抗と言います。
高いところにたまっている水を、パイプで流すときパイプの太さや長さによって、水の流れ方が違うのとよく似ています。
細いパイプや長いパイプは、水流にたいする抵抗が大きく水が流れにくいのと同じような考え方です。
電気抵抗の単位
電気の流れにくさは、線の種類によって決まっています。
ある線の両はしに、1ボルトの電圧をかけたとき強さ1アンペアの電流が流れたとするとこの線のもつ電気抵抗を1オーム(Ω)と約束します。
これはオームの法則E=IRからでてくる約束です。
この式からE=1(ボルト)のとき、I=1(アンペア)なら、R=1となるからです。
ですから、ある線の電気抵抗の値を調べるにはその線に適当な電圧をかけて電流を流して、そのときの電圧と電流を測ります。
そして、オームの法則の式に入れて計算すればもとめられます。
たとえば、電圧1.5ボルトをかけたとき、流れる電流が0.3アンペアならその線の抵抗は、1.5(ボルト)÷ 0.3(アンペア)= 5(オーム)です。
テスターを使えば、もっとかんたんに線の抵抗を測ることができます。
大きい抵抗では、1000オームを単位とします。
1000Ω =1kΩ(キロオーム)です。
たとえば、10000Ωにと言わないで10kΩと言います。
線の長さ・太さと電気抵抗
電気抵抗の値は、電流を通す線の種類(鉄・ニクロム・アルミニウム・銅など)によって違います。
また、同じ種類からできている2本の線でも、長さや太さによって違います。
実験1
300ワッ卜用・1メートルのニクロム線数本、直流電流計(1アンペア用)
直流電圧計(5ボルト用)、乾電池2個を用意します。
ニクロム線を図のように板にはり、板に10センチごとの目もりをつけます。
これに乾電池・電流計・電圧計を、図のようにつなぎます。
クリップで、ニクロム線の長さが10センチメートル・20センチメートル……となるようにはさみそれぞれの長さでスイッチを入れて、電気を流しそのたびに電流と電圧の大きさを測って、電気抵抗を計算します。
(電気抵抗=電圧÷電流)
この実験の結果をグラフにすると、図のように、原点を通る1本の直線になります。
このことから、ニクロム線の電気抵抗は、長さに比例して大きくなることがわかります。
このことは、ニクロム線にかぎらず太さの決まった線の電気抵抗の大きさは、線の長さに比例します。
実験2
300ワッ卜のニクロム線2本を図のように並列につなぎ乾電池・電圧計を、まえの実験と同じようにつなぎます。
スイッチを入れて電流の強さ、電圧の大きさを測り、電気抵抗を計算します。
この抵抗の大きさは1本のときとくらべてみると長さは同じでも、太さが2倍のニクロム線の抵抗を測ったことになります。
つぎに、3本を並列にして実験しましょう。
太さが3倍のニクロム線の抵抗の大きさがでます。
このようにして、4本・5本と増やして実験すれば、太さと電気抵抗の関係がわかります。
この実験から、長さが同じ導線の電気抵抗の大きさは切り口の面横に反比例することがわかります。
つまり、針金の面積が、2倍、3倍……となると電気抵抗は2分の1、3分の1……となります。
抵抗率
太さ・長さが同じでも、金属の種類が違うと、導線の抵抗の大きさも違ってきます。
つまり、電気の流れやすい物質もあれば、流れにくい物質もあるのです。
そこで、いろいろな物質で同じ太さ、同じ長さの線をつくってそれぞれの抵抗をはかって、表にしておくと電気の流れやすい物質かどうかをくらべるのに便利です。
右下の表で、値の小さい物質は、電気が流れやすい物質です。
この値が非常に大きい物質は、ほとんど電気が流れない物質で不導体と言われるものです。
電気抵抗は、針金の長さに比例し切り口の面積に反比例するという関係がありますから表のように、断面積1平方ミリメートル、長さ1メートルの抵抗の値がわかっていると、ある長さ、ある太さの抵抗の値を計算でもとめることができます。
たとえば断面積0.5平方ミリメートル、長さ3メートルのタングステン線の抵抗の値は、
となります。
とくに、断面積1平方メートル、長さ1メートル、つまり1立方メートルあたりの電気抵抗の大きさを、その物質の抵抗率と言います。