電流は磁界をつくる
まえに述べたように、磁針は磁石のそばで、その方向をかえますが19世紀のはじめに、デンマークのエルステッドという人は電流もまた、磁針をふらせることを発見しました。
それまで電気と磁気とはいろいろ似た性質があるのでなにか関係がありそうだとは思われていましたが、ここではじめて電気と磁気とのあいだに非常に深いつながりのあることがわかったわけです。
実験
板に穴をあけ、針金を板に垂直に通して、電流を通します。
この針金のまわりに小さい磁針を4つおいて、磁界の向きを調べてみましょう。
磁界の向きは、電流を中心とした同心円になっています。
磁界の向きは、磁石のところでわかったように磁針のN極の指す向きですから右ねじをまわす向きでこれは、右ねじの進む向きに流れる電流によってつくられたものです。
つぎに、丈夫な紙でつくった筒に細いエナメル線を300回から500回きちんとまき、それに電流を流して磁界を調べてみましょう。
すると、ちょうど棒磁石と同じような磁力線の図がつくれます。
この場合には、ねじの進む方向の磁力線が右ねじをまわす方向の電流によってつくられたことになります。
右ねじの法則
右ねじの進む向きの電流によって、右ねじをまわす向きの磁界ができ、また、右ねじをまわす向きにまいたコイルに流れる電流によって右ねじの進む向きの磁界がコイルにできることを、右ねじの法則と言います。
コイルに電流を流すと、電流のはたらきによりコイルのまわりに棒磁石がつくる磁界と同じような磁界ができます。
電流で鉄を磁石にする
コイルに電流を流すと、磁石と同じような性質があらわれることや磁石のそばに鉄をもっていくと、鉄も磁石になることをまえに述べました。
それでは鉄にコイルをまいて電流を流したら、鉄はどうなるでしょう。
実験
10~15センチぐらいの長さの釘とわりばしとを1本ずつ用意してそれぞれに太さ26番ぐらいのエナメル線を100回から200回ぐらいしっかりまきつけ、単一乾電池を2つか3つ使って電流を流してみましょう。
釘のほうは小さい釘を吸いつけますが、わりばしのほうは吸いつけません。
同じコイルに同じ電流を流しても、そのコイルの中に木があるか鉄があるかで磁力の強さが違うわけです。
これはコイルの中の鉄が磁石になって電流がつくる磁力に、磁石の磁力が加わるからです。
このような磁石を電磁石と言います。
このように電流によって鉄が磁石になるのは磁石によって鉄が磁化されたときと同じように鉄をつくっているたくさんの分子磁石が電流のつくる磁界によって一定の方向にならべられるからだと考えられます。