電球のしくみ
真空または、燃えないガスを入れたガラス球内に、フィラメントを入れ電流を流すと、電気抵抗が大きいのでフィラメントは熱をだし、光りはじめます。
このようにして、わりあい小さな電熱で明るい光をえようとするのが白熱電球です。
電球を分解してみると、つぎのようになっていることがわかります。
口金には、ソケットにはめこむ真鍮のねじと、はんだをつけた中央のでっぱりがあり、これらは、黒色ガラスで絶縁されています。
フィラメントに続く2本の導入線のうち1本はねじの部分に、もう1本は中央のでっぱりにつながっています。
導入線はステ厶管のつまみの部分をつらぬいてガラス球の内側に入っています。
その先に、細い針金をらせん状にまいたものがついています。
これがフィラメントで、タングステンでできています。
フィラメントのまき方には、単コイル式と二重コイル式の2つがあります。
そして、ステムの先からはアンカがでていて、電球をつけているときでもフィラメントが動かないように支えています。
電球の発達
針金に電流を流し、照明用の明るい光をえようという考えは130年まえからありました。
しかし、はじめて実用的な電球をつくったのはアメリカのエジソンで、1879年のことでした。
炭素電球
エジソンが発明した電球は、真空のガラス球の中に炭素線のフィラメントを入れたものでした。
エジソンは、日本の竹からつくった炭素線が非常によいことを発見しました。
この炭素電球は切れやすく、長もちしませんでしたがこの電球を発明すると、エジソンはすぐさま発電所をつくり電灯のために電流を送ることを考え、それを実現するためにたくさんの技術的な発明や改良をおこないました。
タングステン電球
フィラメントとして大切なことは、
①高温でも溶けないこと
②高温度になっても蒸発が少ないこと
③電気抵抗が大きいばかりでなく、温度が高くなると、その値がどんどん大きくなること
④たやすく細い針金にひけること
⑤値段が安いことなどですが
こうした点で、タングステンがいちばんすぐれていることが20世紀のはじめに、クーリッジが発見しました。
こうして現在では全部タングステン電球にかわりました。
しかし、はじめのうちは電球内を真空にしたので2200℃を越えるとタングステンが蒸発してガラス球が黒くなりフィラメントが切れてしまいました。
こうした欠点を除くために、ガス入り電球ができたのです。
ガス入り電球
炭素線と同じく、タングステン線も空気中では高温で燃えてしまいます。
そのため、ガス入り電球の場合には、まず、電球内の空気を抜きそれからタングステンと作用しないガスを入れるようになりました。
電球に入れるガスには、はじめ窒素ガスが使われました。
しかし電球に入れた窒素ガスはフィラメントに熱せられて対流をおこしフィラメントの熱をうばいさるので、電気の無駄が増えました。
この無駄を少なくするために、タングステン線をらせん状にまいたフィラメントが使われるようになりました。
こうすると、らせん状にまいたフィラメントの隙間にはガスが流れこみにくいのでフィラメントとガスのふれあう面積が少なくなり、電気の無駄が少なくなりました。
また今日では、窒素ガスより熱の伝わり方の悪いアルゴンガスが使われるようになりましたが、これもガスの対流を少なくし電気の無駄をいっそう少なくすることに役立ちます。
つやけし電球
はじめのころの電球は、ガラス球の先から空気を抜いたのでそのあとが電球の先にとんがりとなって残っていました。
いまでは、電球の根本から空気を抜き、アルゴンガスを入れるので電球の先の危険なガラスのとんがりはなくなりました。
また、透き通ったガラス電球では光がまぶしいのでガラス球の内側をすりガラスにして、光をやわらげる工夫がされました。
これがつやけし電球です。
現在の電球は、ほとんどがらせん状にまいたタングステンのフィラメントを利用したアルゴンガス入りのつやけし電球です。
ただし、10ワットや20ワットの小さな電球では、ガスを入れません。
ガス入りにすると、対流による電気の無駄が大きいからです。
ふつうの住宅内の白熱電球による照明には1畳あたり、10から15ワットが適当だとされています。