山の移り変わり
海底や平野が、広い範囲にわたって隆起すると、高原になります。
高原には、まず小さい谷が刻まれます。
その谷は、しだいに深くなり、それにともなって谷幅も広くなって高原の平らな部分は減ってきます。
そして、残ったところは山の峰になります。
このようにして、険しい山地ができますがさらに浸食が進むと、高い峰も削られてだんだん低くなり山地全体がなだらかになります。
そしてついには、岩石の硬い部分などが山として取り残されるだけで、広い平地になります。
このような山の変化を人間の一生にたとえて、幼年期・壮年期・老年期とよんでいます。
幼年期の山地
浸食のはじまったころの山地です。
このころの谷川に、谷の側面か削るより、谷底を削る力が強いので深い谷間をつくったり、ときには深い峡谷をつくります。
谷の水はいつも流れているわけではなく雨が降ったときに限って流れることが多いのです。
谷と谷のあいだには、もとの地形(原地形)が高原のようになって残っているのも幼年期山地の特色です。
日本では、広い範囲の幼年期山地はみられませんが中国地方の吉備高原や中部地方の美濃三河高原などの一部に、その例がみられます。
外国にはたくさんの例がありますが北アメリカのコロラド峡谷などは、その代表的なものです。
壮年期の山地
浸食作用がもっともさかんで、谷はV字谷になり、支流も多くなります。
山の頂上は、削られてしだいに平らな面が少なくなり、とがった峰になります。
日本の高い山は、大部分が壮年期の山です。
関東山地・赤石山脈・飛騨山脈・四国山地などが、その代表的なものです。
老年期の山地
浸食が進むと谷川は谷底を削るより、谷の側面を削る力か強くなるので山の峰はしだいに削られて低くなります。
それにともなって谷の幅は広がり傾斜もゆるやかになるので水の流れも遅くなります。川が広い谷底を曲がりくねって流れます。
日本には、この山地のはっきりしたもの少なく山口県南部や筑波山付近にみられるくらいです。
筑波山は、斑れい岩や花こう岩などの火成岩でできていますが斑れい岩が固いので、浸食されずに残って峰をつくったものです。
この残った峰は残丘(モナドノック)と呼ばれるもので筑波山付近の老年期の山地の中に、筑波山が残丘として残っているのです。
準平原
浸食でできる地形の最後の姿が準平原です。
ここは、海面に近い高さから内陸に向かって少しずつ高さを増す非常になだらかな地形です。
表画は、ふつう厚い土壌でおおわれています。
日本には、準平原そのままのところはありませんが北アメリカ大陸の内部、シベリア西部、マライ半島などには、この地形がみられます。
隆起準平原
いちど準平原になったものが隆起して現在は高原のようになっているものを隆起準平原といいます。
ふもとのほうから浸食作用のさかんな川が谷を刻みはじめていますが高いほうにはまだ進んでいません。
阿武隈山地、中国地方の山地などに、この例がみられます。
浸食の輪廻
地形が、浸食によって幼年期から準平原になる変化を浸食の輪廻といいます。
準平原が隆起して隆起準平原になると、ふたたび幼年期からの浸食がはじまります。
これを浸食の復活といいますが実際には、準平原にならないうちに山地が隆起して、浸食の復活があることがあります。