油田と地質のつくリ
石油がたまるのに都合のよい地質のつくりには、つぎのようなものがあります。
背斜構造
地層がしゅう曲して、馬の背のようにもちあがったところを、背斜といいます。
ですから、水より軽い石油は、そこにできた高まりのところに集まるのでそこを掘れば、いちどにたくさんの石油がとれます。
単斜構造
地層がまがらないで、そのまま傾いている地質構造を単斜構造といいます。
しかし、この場合は、油そう岩の上のほうに石油をふうじこめておくようなつくりになっていなければ、地表へ逃げてしまいます。
油田の分布
油田は、世界各地に分布しています。
しかし、石油の産出量を国別にみると毎年、アメリカ合衆国が、世界の半分以上をしめています。
ところが、まだく乱されていない量をくらべてみますとイラン・イラク・サウジアラビアなどの中近東が半分以上をしめいちばん石油を使っているアメリカは24パーセントにすぎません。
世界各国、とくにアメリカが、中近東の石油開発に力を入れているのはこのためです。
地質時代別に見ると世界全体としは新生代第三紀にできた地層から産するのが多いようです。
しかし、中国・ソ連・アメリカ東部・アメリカ中西部には古生代の地層のもの、中近東には中生代の地層のものが、かなり発達しています。
日本の油田
日本の石油は、ほとんど新生代第三紀の中ごろにできた地層だけからでています。
しかも、その分布は、新潟から秋田までの日本海の海岸沿いの地域と北海道中央部の平地帯にかぎられています。
それは、これらの地帯が、むかし石油ができるのに都合のよいつくりの地形だったからです。
しかし、その規模は小さく、しゅう曲も激しすぎるし断層も多いので日本全体の石油産出量や、1つの井戸がくみあげる石油の量はわずかです。
したがって、日本で使う石油の量の1パーセントにもなりません。
そこで、大部分は輸入で補っています。
しかし、最近は、日本の石油開発技術者たちは東南アジアや中近東で油田を探しあて、安い石油を日本にもってこようと努力しています。
石油の利用
原油を熱していくと、沸点の違いによって、いろいろな油にわけることができます。
そして、それぞれ重要な燃料や原料となっています。
また、石油を産する地方には、天然ガスがいっしょにでることがあります。
これはそのまま燃料に使うこともありますがこれから、揮発油などをつくることもできます。
最近では、ナイロン・ポリエチレン・ビニルなど合成樹脂や合成繊維をつくるのになくてはならない重要な材料になっています。