地球最初の生物
大むかしの生物は、化石で知ることができます。
しかし、地球上にはじめてあらわれた生物については化石によって知ることができません。
地球が、生物の住めるような状態になったのは、いまから、約20億年も前のことです。
その後、地球には、何回か大きな地殻変動がありました。
そのために、地殻をつくる岩石などが、壊されたり、変質したりしています。
ですから、たとえ地球で最初の生物が化石になったとしてもそれらはこの地殻変動によって壊されてしまい、残っていないでしょう。
地質時代の最初にあたる先カンブリア代の化石は、非常に珍しいものです。
そう類やカイメンの化石はありますが、これらは下等な生物のうちでもかなり進化のすすんだもので原始生物とは言えません。
かつて、フィンランドの先カンブリア代前期の岩石から一種の炭素のかたまりのようなものが発見されました。
断面がふくろのような形をしていて、コリシウムと呼ばれました。
これは、研究の結果、生物の遺体で、植物性のものであることが、証明されました。
つまり、コリシウムは化石であるわけです。
これは18億年もまえのもので、世界でもっとも古い化石ということになります。
このコリシウムにしても、かなり進化した生物のようでこれより古い時代の原始生物の化石は、いまのところ見つかっていません。
ですから、化石によって、地球最初の生物を探ることはできません。
生物の発生
生物の特徴は、同じような形と性質をもった子孫をつくることです。
無生物には、このようなことはできません。
また、無生物から生物をつくることもできません。
フランスのパスツールは消毒したフラスコに肉のスープや、食べ物の煮出し汁を入れ、外から微生物が入らないように栓をしたり、図のようにフラスコの首を長く伸ばしたり、S字形に曲げたりしておきました。
こうしておくと、いつまで経っても、液の中から微生物が発生しませんでした。
生物が自然に発生しないことは、現在の地球上では、広く認められています。
どんなに下等な微生物でも、親がなければ子はうまれないのです。
そうすると大むかしの地球上にあらわれた最初の生物は、どうしてできたのでしょうか。
ある人は、ほかの天体からやってきたと考えました。
しかし、原始生物には、こうしたことができない、ということがわかりました。
そして、どうしても地球上で無生物から生物が発生したと考えなければ説明がつきません。
そこで、むかしから人工的に生命をつくる研究がおこなわれてきました。
しかし無生物から生物をつくるということは、非常に難しいことです。
ところが1967年、アメリカのグーリアン博士とコンバーグ博士は大腸菌に寄生するビールスのDNAを、酵素の助けを借りて試験管の中で人工的に合成して、しかも、増殖させることに成功したのです。
この人工生命の成功は、世界の学者に大きなショックをあたえると同時に無生物らも生物ができることがわかりました。
人工的につくられた、このビールスのDNAはデオキシリボ核酸といって細胞核の中やビールスにふくまれており、増殖能力をつかさどり遺伝のカギを握る物質です。
このようにして合成されたDNAは、形・性質も天然のものと少しもかわらず増えて子どもをつくることができることも証明されたのです。
大むかしの地球上でも、いろいろな自然環境の中から偶然に生命が発生したと考えられます。
オパーリンの説
生命の起源について物理学や化学の方面から説明した学者は、たくさんあります。もっとも有名なのはソ連のオパーリンです。
彼の考えたしくみは、つぎのようになっています。
第一の段階では、地球上にメタンとして存在した炭化水素が同じように地球上にあったアンモニアと反応して窒素の混合物ができました。
第二の段階では第一の段階でできたかんたんなつくりの窒素混合物が水や水素やアンモニアと反応してしだいに複雑な成分をもった有機物になっていきました。
この有機物のいくつかが、いっしょになって、やがてアミノ酸をつくります。
そしてさらに、いろいろな種類のアミノ酸がいっしょになって、たんぱく質ができました。
第三の段階では、たんぱく質から生物の細胞をつくるのに大切な原形質が生じました。
この原形質に、細胞に見られるようなうすい膜ができ原形質は、この膜を通して物質を取り入れその物質をもとにして、たんぱく質をつくりだします。
そのときできた不用なものは、外部に送り出すはたらきをするようになります。
オパーリンは、このような生命現象をする最初のものは原始の海水中にできたと考えています。
そしてこれをコアセルベートと名付けました。
原ビールス
コアセルベートのようなものから発生した、もっとも原始的な生物はビールスのようなものであったと思われます。
これを原ビールスといいます。
現在のビールスは、高等生物に寄生して生活しています。
しかし、先カンブリア代の地球は現在とはだいぶ様子が違っていて酸素は、ほとんどなかったとされています。
このため酸素の嫌いな、ビールスのような下等生物もそのころは独り立ちして生活できたのでしょう。
この原ビールスを食べるような生物は、まだ発生していませんでした。