水の凍り方
純粋な水は、1気圧のとき、0℃になると、凍ります。
冬、水たまりや水おけにできている氷をみると大きな針のような形の模様がついていることがあります。
また、水を入れたビーカーを、電気冷蔵庫などに入れて氷ができはじめるところを見ると、水の表面に、細長い氷が小さな枝を出して浮いているのが見られます。
この針のような氷がつながりあって、表面が全部氷になっていきます。
氷は、水の表面からできていきますが、それは水が4℃のとき、もっとも重くなるためです。
気温が下がって、湖水などの表面の水温がしだいに下がっていくと表面の水は4℃になるまでは底に沈んでいくので、表面の水はいつも入れ替わっています。
しかし、4℃より下がると、水はかえって軽くなるので、沈まなくなります。
そのため、同じ水が冷やされるようになり、水は、表面から凍っていきます。
しかし、いつも、水は表面から凍るとはかぎりません。
寒剤を入れたビーカーを水につけると冷やされたガラスのところの水が、先に凍りつきます。
氷点
水は、だんだん温度が下がって、0℃になると、氷になりはじめます。
氷ができかかっているあいだは、温度はこれ以上下がりません。
純粋な水が、一気圧のとき凍る温度を、氷点といいます。
水が、全部氷になってしまってから、温度は0℃より低く下がっていくのがみられます。
純粋な水は0℃になると凍りますが水に何かが溶けこんでいると0℃になっても凍りません。
たとえば海水は零下2.5℃までは凍りません。
また、純粋な水でも、一気圧より圧力が大きいと、0℃以下になっても凍りません。
実験1
大きな入れ物に寒剤を入れ、その中に、水を入れたビーカー、または缶を入れます。
静かにかきまぜながら、水に温度計を入れて温度を測ります。
少し経つと温度は0℃ぐらいまで下がりますが、それ以下には下がりません。
しばらくすると、ビーカーの底や壁に、氷がはりついてきます。
このとき、寒剤の中に、0℃以下に下がっています。
実験2
下の図のように氷に針金をかけて、その両はしに重いおもりをつけます。
すると、針金は、だんだん氷の中にめりこんでいきます。
針金の通ったあとは、また氷になって針金が氷を通り抜けてしまっても、氷は割れません。
これは、氷は圧力が大きくなると、0℃では凍らないためです。
細い針金に重いおもりをかけたので、針金の下の氷には大きな圧力がくわわります。
すると氷点が下がり、氷が溶けて、針金は下に下がります。
溶けた氷は針金の上にまわり、そこでは針金の圧力をうけていないので、ふたたび凍ります。
この実験は、気温が0℃以下ででもできます。
スケートで氷の上をよくすべれるのも、スケートの下の氷が大きな圧力をうけて溶けスケートと氷のあいだにうすい水の膜ができるからです。
水が凍るときの体積の変化
冬の寒い朝、水道竹が破れたり、瓶の水が凍って、瓶が壊れたりするのを見かけます。
これは、水が、凍って氷になるとき、体積が増えるからです。
水が凍るときには、体積が約9パーセント増えます。
100立方センチの水が凍れば、109立方センチの氷になるのです。
しかし、水が凍って体積は増えても、重さはかわりません。それで、氷は水に浮くのです。
実験
ふたのしっかりした錠剤などの空き瓶に、水を口までいっぱいに入れふたをしっかりしめて寒い冬の夜に、外へ出しておきます。
すると、よく朝には、水が凍って瓶が割れているでしょう。
寒剤を使ったり、電気冷蔵庫で水を凍らせても、瓶が割れるでしょう。
融解熱
氷が溶けるときに、温度を測ってみると温度計のめもりは氷が全部溶けてしまうまでは、0℃ぐらいでとまっています。
そして、溶けて水になってしまうと、温度が上がっていくのがわかります。
これは熱が温度を上げるために使われたのではなく、氷を溶かすために使われたからです。
0℃の氷1グラムを、0℃の水にするために必要な熱を、氷の融解熱と言います。氷の融解熱は、約80カロリーです。
反対に、0℃の水を0℃の氷にするときは水から融解熱だけの熱をとらなければなりません。
実験
0℃の水15グラムを60℃の水100立方センチの中に入れてかきまぜ温度を測ると、約51.2℃になります。
つぎに、氷15グラムを、60℃の水100立方センチの中に入れると氷はどんどん溶けて、溶け切ってしまうと約40℃になるでしょう。
つまり、同じ温度で同じ重さの水と氷とでは、温度を下げる働きがたいへん違うことがわかるでしょう。
この温度の違いは氷を溶かして水にするために熱がたくさん使われて、温度を下げたためです。
風邪をひいて熱のあるとき、冷たい水で頭を冷やしても水がすぐあたたまってしまいますが氷を使って冷やすと、長いあいだ冷やしていられます。
これは、氷を溶かすのに熱が使われ、氷が溶けきるまでは、温度がかわらないからです。