蒸気圧とは?低温沸騰・飽和蒸気圧とは? わかりやすく解説!

熱・音・光

蒸気圧

液体は、蒸気になると、体積が非常に増えますが、その圧力を蒸気圧と言います。
そして、温度が上がれば、蒸発もさかんになり、蒸気圧は大きくなります。
 
水が100℃で沸騰するのは泡の中にできる水蒸気が一気圧になる温度が、100℃だからです。

それ以下の温度では、泡ができてきても泡の圧力が一気圧以下なので、大気の圧力に押し潰されてしまいます。

温度が高くなると水から蒸発する蒸気の圧力は大きくなり200℃では15.3気圧、300℃では85気圧にもなります。

魔法瓶に、湯が少ししか入ってないとき栓を抜こうとすると硬くなってとりにくいことがあります。そして、栓を抜くと、ポンと音がします。

これは、温度が下がってくると、水蒸気の圧力が小さくなるからです。


実験

ふたがしっかりできて、空気がもれない容器を用意します。
ふたを外しておいて水を少し入れ、火にかけて充分沸騰させます。

沸騰したら、ふたをしっかりして火からおろし、空気がもれないようにふたのほうを底にして、ワセリンなどをぬっておきます。

この容器に水をかけて冷やすと、容器は、ぐさっと潰れます。

これは、温度が低くなって、水蒸気の圧力が小さくなったためです。
ブリキ製のゆたんぽも、湯を少し入れておくと、冷えてきたとき潰れることがあります。

低温沸騰

フラスコに半分ぐらい水を入れて、よく沸騰させ、栓をして、逆さまにします。
このフラスコに、上から水をかけて冷やすと、また、さかんに沸騰しはじめます。

これは、蒸気が水で冷やされ、圧力が下がったので水の中で、それまで押し潰されていた泡がふくらんで浮き上がったのです。

このように、水は100℃より低い温度でも、圧力が低くなると、沸騰します。
これを低温沸騰と言います。

飽和蒸気圧

長さ1メートル、中の直径5ミリぐらいで、いっぽうのはしを閉じてあるガラス管に水銀をいっぱい入れて、水銀を入れた入れ物に、この管を逆さまに立てます。

すると、ガラス管の中の水銀の表面は、水銀入れの水銀面から約76センチの高さまで下がり、その上が、真空になります。

この真空を、“トリチェリの真空”と言います。

つぎに、先を少し曲げた、スポイトなどでエーテルを吸い込んで水銀柱の下からエーテルを、ガラス管の中に少し入れます。

するとエーテルは、水銀柱の中をブクブクとあがっていって管の上部の真空のところにくると、全部蒸発してしまいます。

そして、水銀は少し下がります。

このようにして、少しずつエーテルを入れていくとはじめのうちは入れたエーテルは全部蒸発して、水銀柱は少しずつ下がりますがしまいには、入れただけのエーテルが水銀柱の上にたまり、水銀柱は下がらなくなります。

そこで、真空の部分を手で握ったりしてあたためると水銀柱の上にたまっていたエーテルは、また、蒸発して、水銀柱は下がります。

反対に、真空の部分を冷やすとエーテルの蒸気が液体のエーテルにもどり水銀柱は上がってきます。

このように、液体の蒸発は、できた蒸気の圧力がある大きさになるまで続きます。

蒸発できるだけ蒸発してできた蒸気のことを飽和蒸気と言い、その蒸気の圧力を、飽和蒸気圧と言います。

飽和蒸気圧は、温度が低ければ小さく温度が高ければ大きくなります。
同じ温度でくらべてみると、エーテルの飽和蒸気圧は水よりずっと大きく、アルコールは、その2つの中間です。




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