発電機
電磁誘導を応用して、機械エネルギーを電気エネルギーにかえるものを発電機と言います。
工場や家庭で使われる電気の大部分は、この発電機で起こされます。
発電機には、発電する電気の種類から交流発電機と直流発電機にわけられます。
交流発電機
発電機は、磁界をつくるための界磁(磁界をつくる部分)とコイルにあたる電機子からできています。
いま、A図の位置に磁石があるとき電機子コイル内に磁力線が4本できたとします。
磁石を回転させると、B図の位置では磁力線が2本になりさらに、C図の位置では磁力線はなくなります。
続いてD図の位置まで磁石を回転させると、磁力線の数はふたたび4本になりますが、A図とは磁力線の方向が反対になります。
このように磁石の位置で電機子コイル内の磁力線の数がかわります。
これをグラフにあらわしたのがグラフAです。
交流発電機では、界磁を一定の速度でぐるぐるまわすしくみになっていますから電機子内の磁力線の数は、時間とともにグラフBのようにかわります。
いっぽう、電磁誘導の原理から、コイルにできる電圧はコイル内の磁力線の変化が大きいほど大きくなるので電圧の変化は、グラフCのようになります。
グラフCでは、電圧の大きさがある方向(ここでは+の方向)の大きな値から、時間とともに0になり、つぎに-の方向の値となりふたたび0になって、これを繰り返すことをしめしています。
このように、電圧の向きが時間とともに規則正しくかわる電気を、交流電気と言います。
そして、交流電気をつくる発電機を、交流発電機と言います。
実際に使われている大きな発電機では界磁には電磁石を使っていますが、これは永久磁石ではだんだん力が弱くなりますしまた、界磁の強さをかえて電圧を変化させたいときがあるからです。
直流発電機
交流発電機によってつくられた電圧の変化はグラフDのように直すことができます。
つまり、一方向の電圧を、+の方向にかえたわけです。
こうすれば、でこぼこはありますが、電圧の方向はいつも+です。
このでこぼこを小さくすれば、直流の電気がえられます。
直流発電機のしくみは、交流発電機と反対に界磁が止まっていて、その中を電機子が回転するようになっています。
そして、電機子コイルは、半円周の金属板につながり止まっているブラシが、これをこするようになっています。
いま、A図では、金属板aにはブラシbが金属板a’にはブラシB’がつながっています。
電機子が回転して、B図のようになると金属板a’にはブラシbが、金属板aにはブラシb’がつながります。
つまり、金属板aとa’の間には電機子コイルと同じ交流の電圧があらわれますがブラシbとb’の間には、Dのような直流電圧(脈流)があらわれます。
実際の自流発電機では、数百個も金属板を使って電機子コイルとたくみにつなぎ、電圧のでこぼこを少なくしてなめらかな直流がえられるように、工夫しています。
模型用の電動機は、直流発電機としくみが似ていて直流発電機の図と同じようなしくみのものもあるし金属板が3個のものもあります。
この金属板は、交流を直流に直すはたらきをするので整流子と言います。
三相交流
私たちの家庭に送られてくる電気の電線はみな2本ですが工場に送られてくる高圧線の送電線はみな3本で1組みになっています。
これは三相交流と言って、下の図のようなしくみの発電機から取り出した電気を、送っているからです。
三相交流では、3本の電線に流れる電流の変化が図のA・B・Cのように、時間とともに規則正しくずれています。
3本の電線の電流は、どの時間をとっても+のものがあれば必ず-のものがあり、その合計はいつも0になります。
つまり、三相交流では、3本の電線で3種類の交流電気を送り帰り道を共通にすれば、帰り道には電線がいらないことになります。
ふつうの交流電気を3種類送るのに必要な6本の伝染にくらべて半分の3本ですむわけです。
さて、三相交流を使うと交流電動機などに使われている回転磁界をつくることができます。
三相交流電流IA・IB・ICを、コイルA・B・Cに流すとします。
すると、Aコイルの電流IAは、図のt1という時間に正の最大値となりAの位置にN極を生じます。
時間がt2になると、こんどはIBが正の最大値となりますからBコイルの位置にN極ができます。
つぎに時間t3になると、Cの位置にN極ができます。
時間t4では、IAがふたたび正の最大値となってAの位置にN極がもどってきます。
このように三相交流を使えば実際に磁石を動かさなくてもちょうど磁石を回転させたときと同じような磁界をつくることができます。
これを、回転磁界と言います。