ゲルマニウムダイオードと検波作用
放送局から送られてくるラジオの電波をアンテナから取り入れてそれをレシーバーに通しても音声は聞こえません。
放送電波は、図のAのようになっていて1秒間に数十万回以上も振動している高周波だからです。
このような振動から音声電流を取り出すことが検波です。
鉱石ラジオに使われているゲルマニウムを使った鉱石検波器は検波するためのもので、二極管と同じように電流を片方にだけ通す性質をもっています。
Aのような、音声で変調された高周波電流を検査波器に通すとBのような片方だけの高周波電流になって出てきます。
これをコンデンサーにつなぐと、Cのような音声電流になります。
この電流をレシーバーに通すと音になって聞こえるのです。
トランジスタ
真空管は、長いあいだラジオやそのほかの電気器械に使われてきました。
真空管の大部分は高い温度のカソードからでる熱電子を利用しているので、形が大きく、重く、熱くなりやすく、電力をたくさん使うので不便でした。
1848年に、ゲルマニウムを使ったトランジスタが発明され小型ラジオやテレビなどにたくさん使われています。
トランジスタは、真空管にくらべるとずっと小さく、カソードを熱する必要がなくとくに低い電圧ではたらくので、電力も少なくてすみます。
そのうえ、丈夫で、寿命が何倍も長いので非常に進歩して、広く使われるようになってきました。
半導体は、純粋なゲルマニウムやシリコンに混ぜる不純物の種類と割合により、N形の半導体とP形の半導体ができます。
トランジスタには、N形を2個のP形ではさんだPNP形トランジスタや逆にP形をN形ではさんだNPN形トランジスタなどがあります。
ふつうの、トランジスタではそれぞれの半導体に導線がとりつけてあるので3本あしのように見えます。
これらは、それぞれ三極管のプレート(陽極)・グリッド(格子)カソード(陰極)に相当する役目をし、それぞれをコレクター・ベース・エミッタと言います。
集積回路(IC)
トランジスタは真空管にかわるすばらしい性質をもっているうえに極めて小さくつくれるので、小型で性能のよいラジオやテレビ・電子計算機など、がつくられるようになりました。
しかし、トランジスタに取り付けてはたらかすコンデンサーや抵抗器・ダイオードのような部分品はあまり小さくはできません。
そこで、これらの部分品をトランジスタと同じように小さなかたまりにつくっておき、それぞれを電線でつなぐかわりに順々に重ね合わせたり、ならべたりして、全体を1つにしたものが集積回路です。
こうすれば、ラジオなどは現在よりもっと小さくなり腕時計くらいにすることもできるしそのほかの電気器械もずっと小型にすることができ私たちの生活にも大へん役に立つことでしょう。
パラメトロン
1955年に、後藤英一によって発明され電子計算機に使われている部分品です。
フェライト(一種の半導体で鉄・コバルト・ニッケルなどの酸化物でつくる)でつくられた小さなドーナツ形(フェライトコアという)のものに電線が何回かまいてあります。
この電線に電流を流すと、フェライトは磁石になりますがその強さは電流の強さに比例しません。
この性質が、電子計算機にうまく利用されています。
パラメトロンに真空管より構造がかんたんで丈夫なうえ、はたらきが確かなので、計算機に適しています。
エサキダイオード
1957年に、江崎玲於奈が発明したダイオードです。
ふつうのゲルマニウムダイオードは一方向だけに電流を流す性質があります。
この性質は、ラジオ受信機の中で、検波や整流に使われています。
エサキダイオードは、たいへん小さくすることができ電圧を高くしていくと、途中で電流が少なくなるところがあります。
この性質を利用すると、よいスイッチができるので計算機などに使いはたらきをずっとよくすることができます。