てこの利用
私たちが使っている道具や機械のうちにはてこのはたらきを利用したものが、たくさんあります。
しかし、てこのはたらきは、支点の位置によってかわりますからわけて調べてみましょう。
支点がなかにあるてこ
まくらになる丸太を使って、棒で大きな石を持ち上げるときには手で棒を押し下げるところが力点、石にあたっている棒のはしが作用点、まくらのところが支点になっています。
この場合、まくらを石に近づけるほどまた、押すところが棒のはしに近いほど、大きな力がでます。
このように、支点と作用点のあいだを短く支点と力点のあいだを長くすると、小さい力で大きな力がでます。
このようなてこを、第一種のてこと言います。
紀元前三世紀に、ギリシアの有名な学者アルキメデスは「我に支点をあたえよ。そうすれば、地球をも動かしてみせる」と言ったと伝えられています。
これは、第一種のてこのはたらきを、よくあらわしています。
地球の外のどこかに、支点をつくれるなら地球のような重いものでも、動かせるわけです。
かじや・ポンプのえ・ペンチ・釘抜き・洋ばさみなどはこの第一種のてこを利用したものです。
かじやは、先の近くが曲がっていて、ここが支点になります。
釘をはさむ先のところが作用点です。
このため、まっすぐな長いえのはしに力をかけると作用点に大きな力がでて、釘が楽に抜けるのです。
洋ばさみは、支点がいっしょになっている、2つのてこの組み合わせです。
指を入れて、力を加えるところと支点との距離は決まっていますからなるべく支点の近くに物をはさむようにすると大きな力がでて、厚い紙でもよく切れます。
支点がはしにあるてこ
まくらを使わないで、棒で重い石を動かすときには、棒の先を地面につけ、その近くに石をあてておいて、棒の手もとのはしを押し上げるようにします。
このように、支点が棒のはしにあって、作用点が力点と支点とのあいだにあるてこを、第二種のてこと言います。
このときも、作用点が支点に近いほど、力点が支点から遠いほどてこの出す力は大きくなります。
紙をきるカッター・缶切り・栓抜きなどはこの種類のてこのはたらきを利用したものです。
ボートをこぐオールはその先が水中に止まっていて支点のはたらきをしています。
そのため、オールの手もとをひくと止め輪のところ(作用点)に大きな力が出て、ボートを押し進めます。
オールの先が動いているように見えるのは動いているボートの上から見ているからです。
ですからボートの上から見れば、止め輪を支点と考えてもよいのです。
支点がはしにあっても、第二種のてこと違って力点が作用点よりも、支点に近くなっているてこがあります。
これを第三種のてこと言います。
このてこでは、作用点に出る力は力点に加える力より小さくなるので、力ではそんをします。
そのかわり、力点の小さな動きを作用点の大きな動きにかえるはたらきをします。
ピンセット・毛抜き・日本ばさみなどは、このはたらきを利用したものです。
私たちのうでも、第三種のてこになっています。
ひじのところか支点になっていて筋肉が少し縮むだけで手は大きく動きます。
なお、第一種のてこでも、支点と作用点との距離が支点と力点との距離より大きいときには力のとくはできません。
しかし、作用点の動きを、大きくすることができます。