ばねの利用
振動は、時計の振動のように、いろいろ役に立つことに利用されています。
しかし、いっぽうでは自転車・自動車・電車などの振動のように私たちの役に立たないばかりか、かえって邪魔になる振動もあります。
電車などの車輪の部分には板ばねやつるまきばねがところどころに取り付けてあります。
これは、車体の振動の振幅をばねの弾力よってできるだけ小さくして、乗り心地をよくするためです。
オイルダンパ
板ばねやつるまきばねだけでは電車や自動車が受ける衝撃の力や振動を小さくするのに充分ではないので、オイルダンパが工夫されました。
これは、衝撃や振動のエネルギーを、熱エネルギーにかえて油(オイル)に吸収させ、外部に熱として発散させるものです。
客車などの台車に使われているものは、ピストン型とよばれるものです。
これは、油をつめたシリンダ(円筒)の中に小さい穴のあるピストンを入れたものでビストン棒は車体を支えているはり(ゆれまくら)につながっています。
シリンダは、内側と外側と二重になっていて小さい穴でつながっています。
この場合、一定の容積の中にピストン棒が入るのでそれに相当する容積の油を外側のシリンダへ逃がします。
このとき、油と小さい穴とで起こる摩擦によって電車などの車体の振動を弱めているのです。
空気ばね
空気ばねは、圧縮した空気を、ゴムのふくろ(ゴムペローズ)に入れ空気の弾力を利用して振動を弱める仕掛けになっています。
自転車などのタイヤも、空気ばねの一種と言えましょう。
バスに使われている空気ばねは、ばねをやわらかくするほか車体の重さを一定に保つ装置が、取り付けられています。
上の図は、その仕組みをしめしたものです。
ゴムベローズは、補助空父室とレベリングバルブにつながっています。
補助空気室はベローズが伸びたり縮んだりするときベローズ内の圧力の変化をやわらげて、ばねをやわらかくする役目をします。
いま、車体に重みがかかってベローズが縮むとレベリングバルブが、車体といっしょに下に沈みます。
すると、連結棒が、レベリングバルブの回転腕を押し上げ空気だめの空気をベローズの中へ流す通路をあけます。
そこで、ベローズの中の圧力が高くなって、車体を持ち上げます。
車体が、ある高さまであがると、レベリングバルブの回転腕は水平になり空気の通路がふさがれて、車体の上がるのが止まります。
車体が軽くなると、車体が浮き上がり、レベリングバルブの回転腕が下がります。
排気の穴が開かれて、ベローズの中の空気が外に吐き出され一定の高さのところまで、車体が下がって止まります。