直流式と交流式
電気機関車の電源には、直流電源と交流電源とがあります。
日本国有鉄道では、1500ボルトの直流を使っているものと2万ボルトの交流を使っているものがあります。
また、私鉄では、600~700ボルトの直流を使っているところもあります。
交流を使っているものには、50ヘルツの交流を使うものと60ヘルツの交流を使うものとがあります。
ところで、交流のほうがすぐれているのは、つぎのような点です。
- 高い電圧で送電できるので同じ出力でも電流が少なくてすむとともに電圧降下が少ない
- 変電所の数が少なくてよい
- ふつうの送電線からも電気を受けることができる
- 直流電化より、交流電化のほうが設備費が安くてすむ
直流式は直流電動機を使いますが、交配式の場合、機関車内で交流を直流にかえて、直流電動機を使うものがほとんどです。
日本国有鉄道の.ED61形・EF58形・EF60形・EF62形・EF63形・EF65形などは直流式です。
交流電気機関車
交流電圧を直接変圧器で低くして使う直接式の交流電気機関車もつくられましたが、最近では、交流を整流器で直流にかえ、その電気で直流電動機をまわす間接式の交流電気機関車が使われています。
ED70形・ED71形・ED72形・ED74形・ED75形・EF70形などは交流電気機関車です。
交直流両用電気機関車
直流電化区間では、直接に直流電動機をまわし交流電化区間では交流を直流にしてから直流電動機をまわして走る電気機関車を交直流両用電気機関車と言います。
山陽本線の門司~下関間や常磐線では直流電化区間と交流電化区間の両方を走るため、この電気機関車が使われています。
EF30形やEF80形・EF811形があります。
旅客用・貨物用・こう配用
旅客用の電気機関車は電動機の小歯車と動輪の大歯車との比を小さくとってあります。
EF58形・EF61形などが旅客用です。
貨物用は、力を強くするため、歯車の比を大きくしてかるので引く力は大きくても速力はあまりだせません。
ED61形・ED73形・EH10形・EF66形などは貨物用です。
また、こう配(坂道)用には貨物用の機関車でも代用できますが下りこう配のとき、ブレーキといっしょに電動機を発電機としてはたらかせて発電された電気を抵抗器で熱にする発電ブレーキや電気をふたたび架線に通して送りかえす回生ブレーキを備えた電気機関車などが使われています。
また、電磁石によって、レールと電磁石のあいだに引っ張る力をはたらかせてブレーキをかける、電磁ブレーキを用いた電気機関車もあります。
信越本線の碓氷峠では、レールのあいだにしいた歯型レールと電気機関車に取り付けた歯車とをかみ合わせて滑りをふせぐアプト式のED42形が使われていましたが現在では、ふつうの電気機関車と同じような、EF62形とEF63形が使われています。
EF63形は、発電ブレーキと電磁ブレーキとを備えています。
電気機関車の記号と番号
記号は、蒸気機関車と同じように動輪の軸の数で2軸がB、4軸がD、6軸がF、8軸がHというようにつけます。
そのまえに、英語の電気(エレクトリック)という言葉の頭文字Eをつけてほかの機関車と区別しています。
つぎの数字のはじめの2桁は、電気機関車の種類をあらわします。
10~29までは直流式、30~49までは交流式で最高時速85キロ以下の電気機関車です。
50~69までは直流式、70~89までは交流式で、最高時速85キロ以上の電気機関車です。
90台の番号は試験用に使われている電気機関車と決められています。
そのあとの番号は、同じ形の中の製造番号です。