尾翼のはたらきとは?胴体と脚のはたらきとは?

力の利用

尾翼のはたらき

尾翼のはたらきを調べるために、つぎのような実験をしてみましょう。


実験

1本の棒を図のように糸でつってみましょう。
ちょうどその重心のところをつるしてやれば、棒はうまく水平につりあいます。

しかし重心からはなれたところをつるすと、棒は傾いてしまいます。

bandicam 2015-04-27 18-42-05-056

そこで、もう1本別の糸を使い、上の図のように上からひっぱるようにしてみましょう。
こうすれば、うまく水平に保つことができます。

1本の糸で重心のところをつるすよりも、ずっと安定で、傾く心配がありません。
たいていのものは、1つの点で支えるより、2つの点で支えたほうが安定します。

水平に保つはたらき 尾翼は、このもう1本別の糸のはたらきをします。

主翼にはたらく揚力は、飛行機が飛ぶ速さによって、はたらく位置が前後に少しずつ動きます。
このため揚力は、いつでも重心の真上にはたらいているとはかぎりません。

そこで揚力が重心よりまえにはたらいているときは尾翼に上向きの力をはたらかせるようにします。
また、揚力が重心よりうしろにはたらいているときは尾翼に下向きの力をはたらかせるようにします。

こうすれば、うまくつりあいを保つことができます。

この場合の尾翼は、主翼と同じように胴体に水平についているので、水平尾翼と言います。

水平尾翼のうしろの部分は蝶番で取り付けられ上にも下にも動くようになっています。この部分を、昇降だと言います。

昇降だを上げると尾翼には下向きの力が起こり、機首は上を向きます。
また、昇降だを下げると、尾翼に上向きの力が起こって、機首は下を向きます。

ですから、昇降だの角度をちょうどよく加減すれば、飛行機は水平にうまくつりあいが保てるのです。

方向を保つはたらき

尾翼には、水平尾翼のほかに垂直尾翼があります。
これは、飛行機をふらふらさせないで、目指す方向にまっすぐ進めるものです。

垂直尾翼のうしろの部分も、やはり蝶番いで左岩に動くようになっていて、これを方向だと言います。

方向だを左に曲げると、飛行機は左を向き、方向だを右に曲げると飛行機は右を向きます。
飛行機によっては、2枚の垂直尾翼と、2枚の方向だをもったものもあります。

3つのかじとフラップ

飛行機には、昇降だと方向だのほかに、補助翼というかじがあります。

補助翼は、左右の主翼のうしろ側に、蝶番でついています。
そして、一方を下げると、もう一方は上に上がるようになっています。

いま、右の補助翼を下げ、左を上げた場合を考えてみましょう。
このときは右の翼の揚力が左より大きくなって、飛行機は左に傾きます。

つぎに、補助翼をこの反対に動かせば飛行機は、右に傾きます。

かじを操るしくみ

飛行機の操縦席には、操縦桿(またはハンドル)とペダルがあります。
操縦桿をまえに押すと、昇降だが下がって、飛行機は下を向きます。
うしろに引くと昇降だが上がって飛行機は上を向きます。

操縦桿を左に倒すかまたは、ハンドルを左にまわすと左の補助翼が上がり右の補助翼が下がって飛行機は左に傾きます。

また、右のペダルを足で踏むと方向だが右に動いて飛行機は右を向き、左足を踏むと飛行機は左を向きます。

このようにして、操縦する人は、飛行機を自由に操って宙返りや、横転などのいろいろの運動をさせることができるのです。

フラップ

主翼のうしろ側には、補助翼のほかに、もう1つ動く部分がついています。
ここをフラップと言います。
フラップは、補助翼と違って、左と右が同時に下がるようになっており、上げることはありません。

フラップを下げると、翼の揚力が急に増えるので着陸のときなどスピードを落として、ふわりと着陸することができます。



胴体と脚

胴体の中には、操縦席や、客席や荷物を入れるところなどがあります。
脚(着陸装置)は、飛行機が離陸したり、着陸したりするとき、地面を滑走するのに使われます。

このごろの飛行機では、重心の少しうしろに2つ(または2組み)の大きな車輪、ずっとまえのほうに、小さい1つ(または1組み)の車輪をつけたものが多くなりました。

これを前輪式と言っています。

このほか、重心のまえに2つの大きな車輪と尾翼の下に1つの小さな尾輪をつけた尾輪式もあります。
この形では、着陸のとき、車輪と尾輪が同時に地面につくように着陸姿勢をかえないと機体が跳ね上がることがあります。

そのため、速度の大きい機体では、尾軸式による着陸は難しくなります。

飛行機が飛んでいるときは、脚はいらないわけですから翼や胴体の中にひっこめておくのがふつうです。
脚を出しておくと、大きな空気抵抗がはたらき、速度が減って損をするからです。

また、水上を滑走して、離水したり、着水したりする水上機には車輪のかわりにフロート(浮舟)をつけたものや、胴体をボートのようにしたものもあります。

胴体をボートのようにしたものを、飛行艇と言います。

水上機に対して、車輪のついている飛行機を水陸両用機と言います。




タイトルとURLをコピーしました