アリの世界
アリにはたくさんの種類があり、それぞれ少しずつ習性が違っています。
女王アリとはたらきアリ
ひとつの単には数匹、ときには、数十匹の女王アリがいます。
女王アリは、たまごを生むことができ体が大きくて、とくに腹の大きいのが目立ちます。
そのほかのアリは、はたらきアリです。
ミツバチのはたらきバチと同じように、たまごを生むことはできませんが、たまごや幼虫の世話をし食物を運び、巣を広げたり、敵をふせいだりします。
種類によっては、はたらきアリのほかに、もっと体の大きな兵アリがまじっていることもあります。
兵アリのしごとは、はたらきアリとかわりません。
おすアリとめすアリ
ふつう、アリには、羽根がありません。
しかし、1年のある季節には、それぞれのアリの巣には羽根のはえた、おすアリとめすアリが生まれてきます。
よく、ハアリといっているのは、このアリたちのことです。
ときがくると、このおすアリとめすアリは巣を飛び立って結婚飛行にでかけます。
結婚飛行の時期はアリの種類によって違いますが、ふつう春から秋のあいだです。
結婚の終わっためすアリは地面にまいおり、自分で羽根をもぎとります。
そして、自分の体の入るぐらいの小さい穴を掘り、たまごを生みます。
こうして、このアリは女王アリになるのです。
結婚をすませたおすアリは地面に降りると、まもなく死んでしまいます。
アリの単
アリは、ふつう土の中に単をつくります。
しかし、トビイロシリアゲアリ・ムネアカオオアリ・ヨツボシオオアリ・トゲアリなどは、木の幹に巣をつくります。
アリの巣はたくさんのろうかと、いくつかの出入り口からできていますがミツバチやアシナガバチの巣のように、規則正しくありません。
アミメアリは、かわったアリで、女王アリがいません。
はたらきアリが少しずつたまごを生むのです。
ちょっとした隙間でもあると巣に利用するくせがあるので幼虫やさなぎをくわえて別な場所に引っ越しているのをよく見かけます。
アリの食物
下等なオオハリアリは、昆虫の死骸だけを食べます。
もっと高等なふつうのアリたちは昆虫やミミズの死骸を巣に運んで食べます。
また、巣の中にアリマキを飼って、その尻からでる、甘い汁を吸っているアリもあります。
クロナガアリは、秋になると雑草の種を集めて巣の中にたくわえ、これを食べて暮らします。
昆虫の帰り道
アリやハチなどの昆虫は食物を集めにでかけていっても道を間違えることなく必ず、自分の巣にかえってきます。
巣にかえるしくみは、つぎのように考えられます。
① 巣から出た若いハチやアリは巣のまわりをぐるぐるまわって巣の近くの木や草の形、色やにおいをよく覚えます。
それから、だんだん遠くまでの道を覚えます。
このようにして、覚えておいた道をたどれば遠く巣からはなれたところからでも迷わずに巣にかえることができるわけです。
② アリは、巣から近いところにでかけるときは太陽の差す方角を覚えておいて、かえりにはきたときと体の反対側に、光を受けながら巣にかえります。
このように、昆虫でも親虫になってから日数が経っているものは、なれているので、上手に帰ることができます。
しかし巣からあまり出たことのない若いものは遠くからはなしてやると自分の巣に帰ることができなくなり迷子になってしまいます。
ヤマトシロアリの生活
シロアリは、アリの仲間ではなく、ゴキブリの親戚です。
ヤマトシロアリは、腐った木や古い柱などの中に巣をつくりますが、にわ木を食い荒らすことは、まずありません。
ふつうのアリでは、結婚がすむと、おすアリは死んでしまいますがヤマトシロアリでは結婚がすんだおすとめすは羽根を落として走りまわり腐った木などを探して新しい巣をつくり、王と女王になります。
はたらきアリは、頭が小さくて、体全体が白っぽい色をしています。
また、兵アリはミカン色の大きな頭と大あごをもっていて外から巣に入ろうとする敵をふせぎます。