水素イオン濃度が違えば、同じ液でも非常に性質がかわってきます。
そのため、いろいろな溶液の水素イオン濃度を調べることは非常に大切です。
指示薬
溶液が酸性か塩基性かを調べるいちばん簡単な方法は、なめてみることです。
もし酸味があれば酸ですし、舌を刺すような味ならば塩基です。
しかし、なめるのは、たいへん危険なだけでなく不正確です。
そこで、水素イオン濃度を詳しく調べるときには指素イオン濃度の小さいときにしめす色を塩基性の色といいます。
例えばリトマスの酸性の色は赤、塩基性の色は青です。
この、酸性の色から塩基性の色にかわるときの水素イオン濃度の範囲を変色域といいます。
例えば、リトマスはpH4.4からpH8.3までの間で酸性の色から塩基pH5~pH8ということになります。
リトマス
リトマスは、水素イオン濃度が大きいときには酸性の色である赤をしめしますが、中性の近くになるにしたがってだんだん紫色になります。
水素イオン濃度が中性よりさらに小さくなって水酸イオン濃度より小さくなるとこんどは塩基性の色である青をしめします。
リトマスをアルコールに溶かした液に希塩酸を少量加えると赤色になりアンモニア水を少量加えると青色になります。
この赤色と青色の液を、それぞれろ紙にふくませて乾かしたものが赤色リトマス紙と青色リトマス紙です。
もし、調べる液が酸性ならば、青色リトマス紙の色が酸性の色である赤にかわります。
液が塩基性ならば、赤色リトマス紙の色が塩基性の色である青にかわります。
フェノールフタレイン
フェノールフタレインは無色の結晶で水にはごくわずかしか溶けませんがアルコールにはよく溶けます。
それで、指示薬としてはフェノールフタレインをアルコール溶液にして使います。
フェノールフタレインは、酸性や中性の溶液では無色ですが塩基性の液では赤色になります。
つまり、変色域が中性よりやや塩基性によっているのです。
ですから、フェノールフタレインを赤色にする液は必ず塩基性です。
フェノールフタレインは、液が塩基性かどうかを試すのに使われます。
また、酸を塩基で中和する反応のとき中和が完全に行われたかどうかを調べるのにも使われます。
メチルオレンジ
メチルオレンジの酸性の色は赤色、塩基性の色は黄色です。
メチルオレンジは、フェノールフタレインと同じように中和を調べる中和指示薬として使われます。
とくに、塩酸とアンモニア水のような強酸とか弱塩基の中和のときに多く使われます。
pH試験紙
指示薬にはリトマス・フェノールフタレインのほかにもいろいろなものがあります。
指示薬によっては変色域が心中性の水素イオン濃度より大きい(pHが7より小さい)ところ、つまり酸性の側にあるものと、変色域が中性の水素イオン濃度より小さい(pHが7より大きい)ところつまり塩基性の側にあるものとがあります。
ですからいろいろな種類の指示薬の試験紙をそろえておけば水溶液の水素イオン濃度、つまりpHを調べることができます。
例えば、ある水溶液のpHを調べるときにはその水溶液をいろいろな試験紙につけてみて変色域の色をしめす試験紙をみつけだせば水溶液のpHは、その試験紙の変色域の範囲にあることがわかります。
また、変色域でしめす色の調子をくわしく調べるともっとくわしいpHを決めることができます。
このように、pHを測定するためにいろいろな試験紙を組みにしたものをpH試験紙といいます。
pH試験紙には、それぞれの試験紙の変色域の色の変化を色ずりにした見本がついています。