骨
私たもの体は、表面が皮膚で包まれているため、中の様子が少しもわかりません。
そこで、中の様子を知るために解剖といって死んだ人の体を、メスとはさみで切り開いてみるのです。
皮膚を、そのすぐ下にある皮下脂肪といっしょに剥いでいくと筋肉がいくつも見えてきます。
この筋肉を切り開いたり、切り取ったりすると血管や神経がでてきますが、もっと深いところへ進むと白い硬いものに触れます。
これが骨です。
筋肉・血管・神経・内臓などを、みな取り去ってしまうと骨だけが残ります。
この骨は、いろいろに組み合わさって、体をつくる基礎になっています。
この骨の組み合わせを、骨格といいます。
骨のしくみ
人間の骨格は、200あまりの骨からできています。
これらの形や大きさはさまざまですが、中のしくみは、だいたい同じです。
骨は、いちばん表面が骨膜という薄い膜で包まれ、その内部に骨質があります。
骨質は、骨のはしのほうでは、中にたくさんの隙間があって海綿か軽石のように見えますが、骨の真ん中へんでは竹のように、中が空になっています。
これらの隙間や、空のところには骨髄というやわらかい組織が詰まっています。
骨髄は、若い人では、赤血球や白血球をつくるので赤い色をしています。
しかし、年をとるにしたがって、脂肪にかわるので老人では黄色くなっています。
このほか、骨のはしに、軟骨が薄くかぶさっています。
そのため、関節で骨と骨とが動きあうとき滑りがよく、ゴツンとぶつかることがありません。
軟骨は、ちょうど、くつの底にうつゴムのようなはたらきをしているのです。
骨は、ちょっと見ると石のようですが石よりもよくはずみ、石のようにもろくはありません。
また、内部には、目に見えない繊維がたくさんあってその繊維の間に、カルシウム分(とくに、リン酸カルシウム分)がたくわえられているため、硬くて丈夫です。
このように、骨の成分は、ほとんどカルシウム分ですから皮膚や筋肉などのようなやわらかい部分と違って、レントゲン線が通りにくいのです。
それで、レントゲン写真をとってみると、体の内部にある骨もかげとなって、はっきりと見えるのです。
軟骨
ふつうの骨のほかに、軟骨があります。
軟骨は、骨とよく似ていますが、カルシウム分がありません。
ですから、骨と違ってやわらかく、メスで楽に切ることができます。
しかし、軟骨は、ほかのやわらかい組織(筋肉など)と違ってしっかり形を保っています。
外から力が加わっても、ちょっと形がかわるだけで、すぐもとの形にもどります。
これが、軟骨の大切な性質です。
軟骨は、耳や鼻などの支えになっていて、それぞれの形をつくっています。
ちょっと鼻の先をぶつけたり、耳を打たれたりしても砕けたり、折れたりしないのは、そのためです。
ろっ骨の先も、軟骨でできていますが、これは呼吸運動をしやすくするためです。