電流と磁気との関係が研究されはじめたのはいつ頃?

科学の進歩

カエルの実験

クーロンの法則が発見されたころ、医者のあいだには「電気を人体にあたえると、病気が治るのではないか」という考えかたがありました。

イタリアのガルバーニも、このような考えを持った医者でした。

ある日彼は、カエルを解剖していました。
メスをカエルの足に触れると、瞬間、足がびりびりと震えるのが目に止まりました。

よく注意して見ると、傍の起電機から、パチッパチッと火花が飛んでいます。

ガルバーニは、この不思議な出来事を、夢中になって、十数年も研究がされました。

そして、起電機がなくても、2種類の金属をつなぎ合わせた針金がカエルの足に触れると、びくびく動くことがわかりました。

ガルバーニは、カエルの体の中から動物電気がでたと考えました。
しかしこの考えは間違っていました。

それをはっきりさせたのは物理学者、ポルタです。


電たいの発明

ガルバーニが発見したのは、ごくわずかの電流でした。
ボルタは、ごくわずかの電流でも調べることのできるしくみをつくりました。

そしていろいろの実験をした後、2種類の違った金属を合わせただけで電流が流れることを発見しました。
カエルの体から、電流が出るのではありませんでした。

またボルタは、銀とすず、または銅と亜鉛をかわるがわるに積み重ねて電気をつくりだすしくみを発明しました。
このしくみでは、2つの金属の組み合わせのあいだいに塩水を浸した布をはさんであります。
こうすると、両はしの金属のあいだには、割合に大きな電流が流れるからです。

1799年、ボルタは、この電気をつくり出すしくみを発表しました。
これは、ボルタの電たいとよばれて、各国ですばらしい人気を集めました。

同じ強さで、たえまなく流れる電流をとり出すことに成功したことはそれからの電気の研究の進歩にとって、たいヘん大きな力となりました。

電流の磁気作用

19世紀はじめまで電気と磁気とは、関係がないと考えられていました。
ところが、デンマークの物理学者エールステッドに、その考えを打ち破りました。

1820年のある日、エールステッドは机の上で、針金に電流を通じるとそばに置いてあった磁石の針(磁針)が生き物のように触れ動くことを発見しました。

詳しく調べると、針金と磁針との距離が小さいほどまた、電流の強さが大きいほど、触れ方が大きくなることもわかりました。

エールステッドに続いて、ドイツのゼーベックなどが電流の磁気作用について研究をすすめました。



アンペールの研究

フランスの物理学者アンペールは、電流と磁気との関係を調べて電気についての学問の土台を築きました。

1820年、ニールステッドの報告をきいたアンペールはその実験を繰り返して1週間の後には、つぎのような法則にまとめあげました。

「もし人が、電流の方向に体を横たえ電流がその人の足から頭のほうに向かって流れていて、その人の顔を磁針のほうに向けているとすれば電流の作用は、磁針の北極の方を、その人の左手の方向に引っ張るようにはたらく」

アンペールはそれに続いて、電流の磁気作用とは反対に磁石が電流に作用するしかたを研究しました。

こうしてアンペールは、電流と磁石との関係をいろいろ実験して電流と磁石のあいだにはたらく力がニュートンの運動の法則で説明できることを明らかにしました。

そして、実験の結果をつぎのような法則にまとめあげました。

「2つの平行した針金に、電流が流れている場合電流の向きが同じなら、引っ張り合い、反対なら退け合う」

オームの研究と電磁石の発明

アンペールと並んで、すぐれた研究を残したのはドイツのゲオルク・シモン・オームでした。

オームは、電気の研究にとって大切な起電力(電圧)・電流の強さ・電気抵抗
などについての考えを、はっきりさせました。

これらのあいだの関係を研究してオームの法則を立てました。

続いて、イギリスのチャールズ・ホイートストンはオームの電気抵抗を正確にはかる方法を発見しました。

また、アメリカのジョーゼフ・ヘンリーに電信機のいちばん大切な部分である電磁石について、詳しく研究しました。

同じころ、イギリスにすばらしい実験の天才があらわれました。
それはマイケル・ファラデーです。




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