電信機の誕生
ライデン瓶に針金をつなぎます。すると電気は、針金を伝わって流れます。
200年ほど昔「長い針金を使えば、電流の流れる速さをはかれるだろう」と考えた学者がいました。
そこで、川や湖を越えて針金を張り、電流を流しました。
しかし、電流はあまりに速くて、どんなに針金を長くしてもその速さは、はかれませんでした。
でも、この仕事は無駄だったわけではありません。
これから「針金さえ張れば、遠くまで電気を運ぶことができる。
電気を使って通信ができはしないか」という考えがうまれたのです。
ゼンメリングの電信機
ゼンメリングという人は、水の泡を利用した電信機をつくりました。
これは、アルファベットの文宇の数だけ電線が張ってあります。
電線には、それぞれAの電線、Bの電線という具合に名前がつけてあります。
Aという文字を送ろうと思えば、Aの電線に電流を流します。
すると、Aの電線の受け取る側に、水の泡ができます。
この泡は、電流が水を分解するときにできるものです。
通信を受ける側では、どの電線に水の泡ができるかを読みとれば送られてきた文字がわかります。
五針電信機
1837年には、電流の磁気作用を使った電信機が、イギリスで発明されました。
この電信機には、5本の磁針が使ってあります。
そして磁針は、電流の向きによって、左右に振れるようになっています。
5つの磁針のうち、2つの磁針の振れが2つの信号としてくみ合わせるとアルファベットの文字を全部しめすことができるのです。
これは、5針電信機とよばれています。
磁針を使う電信機は、数十人の学者や発明家が、苦心してつくりあげたものです。
しかし、磁針の振れが速すぎて、読みとりにくいので、ほとんど実用になりませんでした。
モールスの電信機
実際に使うことのできる電信機をつくったのは、アメリカの若い画家、モールスです。
彼は電磁石を使って、もっとかんたんな電信機ができないものかと考えました。
電信機に電磁石を使うということは、専門の電気学者や技術者が考えもしなかったことです。
モールスは、早速通信機をつくる仕事にとりかかりました。
しかし思わぬところでつまずきました。
それは、磁石の動きを紙テープの上に記録するしくみ通信に使う符号、遠いところまで通信線をひくことなどです。
モールスは、貧乏と戦いながら、1837年、やっと電磁石を使った電信機を完成しました。
しかしこれは、まだ実際には役立ちませんでした。
実用に役立つ電信機をつくりあげたのは、それから10年くらいのものことです。
それから20~30年のあいだに、ヨーロッパやアメリカでこの電信機がどんどん使われるようになったのです。
海底の電信線
陸上に電信線がひかれると、こんどは、海底に電信線をひく仕事がはじまりました。
19世紀の中ごろのことです。
イギリスなどでは、工業が発達し、外国との商品の取り引きがさかんでした。
どうしても、海の向こうの外国と通信する必要ができてきたのです。
1857年から10年間に渡って大西洋横断の海底電信線をひく計画が6回も実行されました。
しかしこの計画は、どれも失敗に終わりました。
机の上で考えた理屈のようにはいかなかったのです。
長い電線が途中で切れたり、信号がうまく届かなかったりしたのです。
そこで、物理学者が海底電線をひく船に乗り込んで、いろいろ失敗の原因を調べました。
そして1867年に、やっと電線をひくことに成功しました。
それからは通信の技術も、すばらしくすすんだのです。