電熱の利用とは?発熱量とは? ジュールの法則とは?

電熱の利用

金属や合金に電流を流すと、熱がでます。これを、電熱と言います。
電気アイロン・電気コンロ・電気ストーブなどは、この熱を利用する電熱器具です。

電熱線に電流を流すと電熱線は赤く光ってきます。
それは、電熱線が熱のために高温になったからです。

電熱線に多くの電流を流し、高い温度に熱すれば熱するほど電熱線は強い光をだすようになります。
しかし、あまり多くの電流を流すと電熱線は高温にたえかね、溶けて切れてしまいます。

高い温度にたえる特別の金属を使って細くて、短い針金(フィラメント)をつくって電流を流せばわりあい少ない電気で明るい光がえられます。

このように、少ない電力で明るい光をえようとするのが電灯のようなものです。


針金の種類と発熱量

針金の種類によって、発熱量が違うことは、かんたんな実験で知ることができます。

実験1

同じ太さ、同じ長さのニクロム線と銅線を図のように乾く電池に直列につなぎ、電流を流してみます。

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すると、ニクロム線のほうが、ずっと速く熱くなります。
このことは、2本の針金にろうをぬっておけば、そのろうの溶け方からわかります。

つまり、同じ電流が流れるときには、ニクロム線のほうが、熱を多くだします。

実験2

まえのニクロム線と銅線を別々に乾電池につなぎ電流計で流れる電流の強さを調べると銅線に流れる電流のほうが大きいことがわかります。

つまり、同じ電流が流れるときには、電気抵抗が大きくて電気を通しにくい針金のほうが熱を多くだします。

しかし、電流は針金にかける電圧によっても違います。

実験3

まえに使ったニクロム線に、乾電池を1個、2個、3個と直列につないでみます。
すると、電池の数が多くなるほど、電流の強さも、熱のでかたも大きくなります。

電熱線

電熱器具で熱を発生する針金を、電熱線と言います。

たくさんの熱がでるように、電熱線では抵抗の大きいことが必要です。
また、高い温度にたえ、溶けたり、切れたりしないことも重要です。

ニクロム線は、ニッケルが80、クロムが20の割合にまぜた合金です。
このニッケルを減らし、鉄(数十パーセント程度)でおきかえた鉄クロム線も電熱線として使われます。

この合金は色が黒く、高温でもろくなる恐れがあるだけでなく水にあうと錆びる欠点もあります。



ジュールの法則

針金の発熱量は、まえに述べたように、電圧や電流・抵抗などによって違いますがこの関係を正しく知るためには、もっとくわしい実験が必要です。

スライダック(変圧器)、交流電流計、電熱線を中に組みこんだ水熱量計を図のようにつなぎ、100ボルトのコンセントから電流をとります。

水熱量計には、水を入れたビーカーを熱が逃げないように絶縁体でくるみ同じように絶縁体のふたをかぶせ、温度計とかきまぜ棒を用意しておきます。

電熱線から出た熱は水を熱しますから、発熱量は水温の上がりかたに比例します。
かきまぜ棒で水をよくかきまぜ、水全体が同じ温度になるようにしておけば温度計のしめす温度から、発生した熱が計算されます。

また、この実験では、たくさんの熱を発生させる必要があるので乾電池のかわりに100ボルトのコンセントから電気をとり、スライダックでいろいろな電圧を自由にえられるようにしておきます。

スライダックは、100ボルトのコンセントから電気をとり0から120ボルトまで、電圧を自由にかえられるようになっています。

何ボルトの電圧になったかは、交流電圧計で正しくよみます。
そして、電熱線を流れる電流は、交流電流計でよみます。

電熱線をかえたり、電流や電圧をかえて実験すると電熱は、電圧と電流の積に比例することがわかります。

また、オームの法則から、電流の二乗と電気抵抗の積にも比例します。
正確に式で書くと、

発熱量=0.24×電圧 × 電流 × 時間
=0.24×(電流)2 × 抵抗 × 時間

となります。

この式は、今から130年ほどまえにジュールが発見したので、ジュールの法則とよばれ電熱のことを、ジュール熱と言います。

これは、それまでの、熱が物質だと考える説を否定し熱は仕事をする能力(エネルギー)だという説を決定したもっとも重要な実験の1つでした。




電力と電力量とは?電力の単位とは? わかりやすく解説!

電力

モーターは回転して物を運びあげたり、電車を動かしたりするしごとをします。
もちろん、しごとをしているモーターは、電気を使ってします。
また、電熱器に電流が流れると、熱が発生します。

水蒸気などに熱をあたえるとタービンをまわす仕事をしますから熱も仕事をするはたらきがあります。

このように、電気はもともと、仕事をするはたらきをもっています。
モーターが仕事をすれば、それだけ電気が使われるわけです。
そこで、電気器具が1秒間に使う電気のことを電力と言います。

電力の測りかたは、その電気器具を流れた電気の量ではなく電気器具を流れた電気が1秒間にどれだけの量の仕事をするはたらきがあったかで測ります。

つまり、電気器具が電気を使う割合です。


電力のもとめ方

家庭にきている電気は100ボルトです。

どこの家庭でも同じ電圧の電気を使いますからたとえば、いろいろなモーターの電力は、それぞれを流れる電流の強さに比例します。

しかし、同じモーターでも、電圧が違うところで使えば電流の強さも違うし、そのモーターのする仕事も違ってきます。

ですから、電力をもとめるには、電気器具を流れる電流と電気器具に加える電圧がわかっていなければなりません。

電力(P)、電圧(E)、電流(I)の間には、つぎのような関係があります。

P = E × I ……………………①

電気器具の電気抵抗をRとすると、E、I、Rの間にはオームの法則で、E=IR または、I=E/Rという関係がありますから①式はつぎのようにもあらわすこともできます。

P = I2 × R …………………②

P = E2/R……………………③

電気器具を使うとき、その器具についてE、I、Rのどの値がわかっているかによって①、②、③のどれかを使います。

電力の単位

まえの①~③の式でEをボルト単位、Iをアンペア単位Rをオーム単位で計算したときの電力の単位を、ワッ卜(W)と約束しています。

たとえば、100ボルトの電圧を加えたとき、1.5アンペアの電流が流れるモーターは、100(ボルト)× 1.5(アンペア)=150(ワット)となり3ボルトの電圧で、0.15アンペアの電流が流れる豆電球は3(ボルト)× 0.15(アンペア)= 0.45(ワット)となります。

また、1000ワッ卜のことを1キロワット(kW)と言います。
1キロワッ卜の電力を消費する器具を、100ボルトの電源につないだとき流れる電流の強さは、①式で E=100、P=1000として

1000=100× I

これより、I=10(アンペア)ともとめられます。



電気器具の記号

電球や電気コンロなどの電気器具には記号で、電圧と電力の数字が書いてあります。

電圧の値は、その器具を使うときの電圧をしめしています。
その電圧以上の電源で使うと、電流が強すぎて故障をおこします。
電球ならば、寿命がたいへん短くなります。

60Wとか、100Wと書いてあるのは決められた電圧で使ったとき、その電気器具が使う電力をしめしています。

電気器具にしめされている電圧と電力の値から、その器具の電気抵抗がわかります。
たとえば、100V、60Wと書いてあれば、まえの③式で。

60 = 1002/R です。これから計算してR=167(Ω)ともとめられます。

電力の和

2つ以上の電気器具を使うときは、ふつうは、並列つなぎで使います。
そのときの全体の電力は、それぞれが使う電力を加えた和になります。

たとえば、30ワットの蛍光灯4本、500ワッ卜の電気アイロン1個150ワッ卜のテレビ1台、100ワッ卜の電気洗濯機を同時に使用すると全体の電力は{30(W)×4 }+ 500(W) + 150(W) + 100(W) = 870(W) となります。
したがって、このときに安全器を流れる電流の強さは、870(W)÷100(W) =8.7(A)となります。

ですから、安全器のヒューズは9アンペアにたえるものでなければならないことになります。

電力量

電気器具が1秒間に使う電気が電力ですから電気器具を何時間か使ったときの電力の全体の量は(電力)×(時間)で計算します。

これを電力量と言い、ワッ卜時(Wh)の単位であらわします。

1ワッ卜時は、1ワットの電力を消費する器具を2時間使用したときに使われる電力量です。

ふつうは、キロワッ卜時(kWh)を使います。

たとえば、150ワッ卜のテレビを3時間つけると、150(W)×3 = 450(Wh)= 0.45(kWh)の電気を使ったことになります。

家庭や工場で使った電力量を計算する器械が、積算電力計です。

積算電力計の内部には、アルミニウムの円板があってこれが、モーターと同じしくみで、まわっています。

この円板の回転数が、歯車のはたらきで目もりをつぎつぎにかえるしくみになっています。

ですから、目もりを見れば、使った電力量がわかるのです。




電気抵抗と温度の関係とは?導体・不導体・半導体とは?

電気抵抗と温度の関係

電気抵抗は、温度によって違います。

ニクロム線やタングステン線のような金属は温度が高くなるほど電気抵抗が大きくなります。

電球のフィラメントに使われているタングステン線はついているときには3000℃ちかくなるので抵抗は、ついていないときの20倍にもなります。

温度を低くしていくと、金属の電気抵抗は、いっぱんに小さくなります。
ところがアルミニウムは、およそ零下255℃、また、水銀では零下270℃のようにある温度にまで冷やすと、抵抗が急に0になるものがあります。

これを超伝導と言い、超伝導のおこる温度はそれぞれの金属の種類によって決まっています。

超伝導のおこる金属は、その温度以下では、低抗がなくなりますからなにかの方法で電流が流れはじめると永久に流れ続けることになります。


抵抗器

電気器具では、使い道によって、電気の流れかたを多くしたり少なくしたりしなければなりません。
そのために、いろいろな抵抗の大きさをもった抵抗器がつくられています。

固定抵抗器は、抵抗の大きさが一定です。

同じ抵抗の大きさでも、電流がたくさん流れるところに使うものは熱をだして温度があがらないような材料でできたものを使います。

また、スライド抵抗器は抵抗の大きさが線の長さに比例することを利用したものです。

スライド片と抵抗線がふれている場所をかえて抵抗の大きさがかえられるようになっています。

ラジオ・テレビのつまみをまわすと音が大きくなったり映像の明るさがかわったりするのは、スライド抵抗器のためです。

電気抵抗のつなぎ方

抵抗のつなぎ方の主なものには、直列つなぎと並列つなぎがあります。

①直列つなぎ

図の(a)のように、抵抗をつぎつぎにつなげるつなぎ方を、縦列つなぎといいます。

図のように、A・Bを電池につなげたとき、Iアンペアの電流が流れたとしましょう。
これとは別に、同じ乾電池に1本の抵抗Rをつないでちょうど(a)と同じ強さの電流Iアンペアが流れるような抵抗がみつかったとします(c図)。

この抵抗Rは、R1とR2のはたらきとまったく同じです。
そういう意味で、このRの抵抗の大きさをR1とR2の合成抵抗と言います。

くわしい計算によると。R=R1+R2 という関係があります。

たとえば、20オームと30オームの抵抗を、直列につなげると、(20+30)=50オームの抵抗が1つだけあるのと同じことになります。

直列につないだ抵抗は、どちらも同じ大きさの電流が流れます。
また、抵抗の両はしには、乾電池の電圧が抵抗の大きさに比例配分されてかかります。

②並列つなぎ

図の(b)のように、左側は左側どうし右側は右側どうしにつなげるつなぎ方を並列つなぎと言います。

このときも、電池から電気が流れでて、ふたたび電池にながれこんでいます。
だから、電池に1本の抵抗Rがつなげられているのと同じことになります。

R1(Ω)とR2(Ω)の抵抗を並列つなぎにすると

で計算される抵抗線と同じことになります。
たとえば、20オームと30オームの抵抗を並列にすると

を計算してR=12オームが合成抵抗です。



導体・不導体・半導体

金属や炭素などのように、電気をよく通すものを電気の導体と言います。
純粋な水は電気が通りにくいのですが硫酸や食塩などが溶けている水は、電気をよく通します。

これにたいして、電気を通しにくいものが不導体です。
不導体と言っても、電気をまったく通さないわけではありません。

表面が汚れていたり、湿っていたりすると表面を伝わって電気が通りやすくなります。
また、電気の不導体は、熱の不導体でもあります。

不導体は、電気を通しにくいので、電気を必要なところだけに安全に通すために、絶縁体として使われています。

送電線をつりさげているがいしなどは、絶縁体です。

いろいろな物を電気抵抗の大きさによってわけると、抵抗の非常に小さい導体と非常に大きい不導体のほかに不純物の量や、光のあたり具合、温度の違いなどの条件で、抵抗の大きさがかわる性質をもったものがあります。

このような性質をもったものには酸化第一銅・酸化亜鉛・酸化ニッケル・酸化バリウムなどの金属の酸化物のほかシリコン・ゲルマニウム・セレンなどがあります。

抵抗の大きさが、導体にくらべるとはるかに大きいが絶縁体にくらべると、かなり電気をよく伝えるので、半導体と言います。

半導体は、金属とは違った特別な性質をもっているので整流器や、トランジスターに広く利用されています。

真空管と同じはたらきをしますが小形で、電力をあまり使いません。

接触抵抗

2つの針金をふれあわせるとき、おしつけ方の強さによって電気の通りにくさがかわります。

これは、ふれあうところに抵抗ができるためです。
この抵抗を接触抵抗と言い、かなり大きくなることがあります。

接触抵抗が大きいと、電気が通りにくいばかりでなくその部分から熱をだして、火災や電気器具の故障の原因となることもあります。

線をつなぐときは、表面を磨いたり、よくねじりあわせ、はんだづけをしたりします。

抵抗の調べ方

電気抵抗の大きさをかんたんに測るには、テスターを使います。

テスターのつまみを抵抗計にまわし、1本のテスター棒の先をふれたときにメーターの針が、ちょうどいっぱいに右にふりきれて0Ωを指すように0点調節をしておきます。

調節が終わったら、抵抗を調べたい両はしに、テスター棒をふれます。

このとき、メーターの針を読みとればその線の抵抗の大きさがもとめられるようにできています。

屋内配線は建物とよく絶縁されていないと火災の原因となります。
絶縁の度合(大きな抵抗の値)を調べるには、メガーという道具を使います。




電気抵抗とは?抵抗率とは?電気抵抗の単位とは?

電気抵抗

乾電池にいろいろな豆電球をつけると、豆電球によって明るいものもあるし、暗いものもあります。

これは、同じ電圧でも電気がたくさん流れる豆電球もあればあまり電気の流れない豆電球もあるからです。

つまり、豆電球をつくるとき電流の流れやすい線でフィラメントをつくれば明るい豆電球ができます。

このように、電気の流れやすい線もあれば、電気の流れにくい線もあります。
電気の流れやすさ、流れにくさは、線ごとに決まっていてこれを電気抵抗またはただ抵抗と言います。

高いところにたまっている水を、パイプで流すときパイプの太さや長さによって、水の流れ方が違うのとよく似ています。

細いパイプや長いパイプは、水流にたいする抵抗が大きく水が流れにくいのと同じような考え方です。


電気抵抗の単位

電気の流れにくさは、線の種類によって決まっています。

ある線の両はしに、1ボルトの電圧をかけたとき強さ1アンペアの電流が流れたとするとこの線のもつ電気抵抗を1オーム(Ω)と約束します。

これはオームの法則E=IRからでてくる約束です。
この式からE=1(ボルト)のとき、I=1(アンペア)なら、R=1となるからです。

ですから、ある線の電気抵抗の値を調べるにはその線に適当な電圧をかけて電流を流して、そのときの電圧と電流を測ります。

そして、オームの法則の式に入れて計算すればもとめられます。

たとえば、電圧1.5ボルトをかけたとき、流れる電流が0.3アンペアならその線の抵抗は、1.5(ボルト)÷ 0.3(アンペア)= 5(オーム)です。

テスターを使えば、もっとかんたんに線の抵抗を測ることができます。

大きい抵抗では、1000オームを単位とします。
1000Ω =1kΩ(キロオーム)です。

たとえば、10000Ωにと言わないで10kΩと言います。

線の長さ・太さと電気抵抗

電気抵抗の値は、電流を通す線の種類(鉄・ニクロム・アルミニウム・銅など)によって違います。
また、同じ種類からできている2本の線でも、長さや太さによって違います。

実験1

300ワッ卜用・1メートルのニクロム線数本、直流電流計(1アンペア用)
直流電圧計(5ボルト用)、乾電池2個を用意します。

ニクロム線を図のように板にはり、板に10センチごとの目もりをつけます。
これに乾電池・電流計・電圧計を、図のようにつなぎます。

クリップで、ニクロム線の長さが10センチメートル・20センチメートル……となるようにはさみそれぞれの長さでスイッチを入れて、電気を流しそのたびに電流と電圧の大きさを測って、電気抵抗を計算します。

(電気抵抗=電圧÷電流)

この実験の結果をグラフにすると、図のように、原点を通る1本の直線になります。
このことから、ニクロム線の電気抵抗は、長さに比例して大きくなることがわかります。

このことは、ニクロム線にかぎらず太さの決まった線の電気抵抗の大きさは、線の長さに比例します。



実験2

300ワッ卜のニクロム線2本を図のように並列につなぎ乾電池・電圧計を、まえの実験と同じようにつなぎます。

スイッチを入れて電流の強さ、電圧の大きさを測り、電気抵抗を計算します。

この抵抗の大きさは1本のときとくらべてみると長さは同じでも、太さが2倍のニクロム線の抵抗を測ったことになります。

つぎに、3本を並列にして実験しましょう。

太さが3倍のニクロム線の抵抗の大きさがでます。
このようにして、4本・5本と増やして実験すれば、太さと電気抵抗の関係がわかります。

この実験から、長さが同じ導線の電気抵抗の大きさは切り口の面横に反比例することがわかります。

つまり、針金の面積が、2倍、3倍……となると電気抵抗は2分の1、3分の1……となります。

抵抗率

太さ・長さが同じでも、金属の種類が違うと、導線の抵抗の大きさも違ってきます。
つまり、電気の流れやすい物質もあれば、流れにくい物質もあるのです。

そこで、いろいろな物質で同じ太さ、同じ長さの線をつくってそれぞれの抵抗をはかって、表にしておくと電気の流れやすい物質かどうかをくらべるのに便利です。

右下の表で、値の小さい物質は、電気が流れやすい物質です。
この値が非常に大きい物質は、ほとんど電気が流れない物質で不導体と言われるものです。

電気抵抗は、針金の長さに比例し切り口の面積に反比例するという関係がありますから表のように、断面積1平方ミリメートル、長さ1メートルの抵抗の値がわかっていると、ある長さ、ある太さの抵抗の値を計算でもとめることができます。

たとえば断面積0.5平方ミリメートル、長さ3メートルのタングステン線の抵抗の値は、

となります。

とくに、断面積1平方メートル、長さ1メートル、つまり1立方メートルあたりの電気抵抗の大きさを、その物質の抵抗率と言います。




電流計と電圧計の使い方とは? わかりやすく解説!

電気の実験では、電流計や電圧計を使うことが、よくあります。

これらの使い方を誤ると、内部の線が切れたりうまく電気が流れなかったりしますから、正しい使い方を覚えましょう。


① 電気には、直流と交流の電気があります。

電流計・電圧計には、それぞれ直流用と交流用があって直流用のものは交流電気には使えませんし、交流用のものは直流電気には使えません。

目もり板には、図のような記号で、直流用と交流用を区別しています。

② 電流計は、測ろうとする回路に、直列に入れます。
これを間違えて、並列につなぐと電流計の中の線が切れます。

③ 電圧計は、測ろうとする回路に、並列に入れます。
これを直列につなぐと、回路に電流が通りません。

④ 測ろうとする電流の強さや電圧の、およその見当をつけて適当なものを使います。
たとえば、電流の強さがだいたい3アンペアとしたら5アンペア用を使います。
また電圧が10ボルトくらいならば、15ボルト用を使います。

ふつうは、1つのメーターで2、3通りに使えるようになっていてそれぞれ端子が別についてしますから、適当な端子につなぎます。

もし、およその見当もつかないときは、大きいほうの端子から順につなぎます。
反対に小さなほうからつなぐと、針がふりきって、故障することがあります。

⑤ 針が、目もりの0点にあっているかどうかを確かめます。
もしあっていなければ、0点調整のねじで訓節します。

⑥ 直流用は、端子に+記と-記号があります。
+記号のあるほうを電池の+側に、-記号のあるほうを電池の-に必ずつながなければなりません。

交流用には、+・-がありません。

⑦ 目もり板には、上の図のようにななめにおいて使うことや垂直において使うことをかいたものがありますから、それにしたがって使います。

⑧ 2.5級と書いてあるのは、正確さの段階をしめすもので間違いが2.5パーセント以内ということです。

学校の実験などに使う電流計・電圧計は、2.5級でかまいませんがもっと正確な値が必要なときは、0.5級とか、1.0級のものを使います。




電流と電圧とは?オームの法則とは? わかりやすく解説!

電流

乾電池の+と-に豆電球をつなぐと、電気が+から-ヘ流れて、豆電球がともります。
この電気の流れを電流と言い、流れる電気の多少を電流の強さとよびます。

強い電流と言えば、電気が多く流れていることであり弱い電流と言えば、少し流れていることです。

電流は、目で直に見ることはできません。
しかし、これを水の流れにたとえて考えると、わかりやすくなります。

大きな川ではたくさんの水が流れ、小さな川では少ししか流れません。
大きな川の流れは強い電流にあたり、小さな川の流れは、弱い電流にあたります。

また、池やダ厶にたまっている水は、摩擦電気(静電気)にあたります。


電圧

水が流れるのは、水面の高さが違うためです。
水面の高さが違えば水圧も違い、水圧の高いほうから低いほうへ水が流れます。

電流の場合には、水圧にあたるものを電圧と言います。
水圧が水流を起こす原因となるように、電圧は電流を起こす原因となる力です。

電池の+というのは、電圧が高いほうで、-というのは、電圧の低いほうです。

2つの水槽に、水圧の差がいくらあってもそれをつなぐ、パイプが細ければ、水流も少ないように電圧がいくらあっても、+と-をむすぶ線によって、電流の強さは違ってきます。

電流と電圧の単位

電流の強さをくわしく測るには電流計で測り、アンペア(A)という単位であらわします。
100ワッ卜の電球に流れる電流は、100ボルトの電圧がかかっているとき1アンペアです。

電圧は、電圧計で測り、ボルト(V)という単位であらわします。
単一・単二などの乾電池の電圧は1.5ボルト、家庭にきている電圧は100ボルトです。

電圧が高いほど、電気を流す力が強いので危険になります。
家庭にきている電気に手をふれると、体に電気がながれてビリビリと感じます。
50ボルト以上の電圧のものは、体に直接ふれないように、注意しましょう。

電池のつなぎ方と電圧

電池のつなぎ力には、直列と並列があります。
直列つなぎは、水にたとえると、水槽を何個も積み重ねたようなものです。

水槽を積み重ねるほど水圧が増すように、電池の列直つなぎでは両はしの電圧は、それぞれの電池の電圧の和に等しくなります。

したがって、両はしに豆電球をつなぐと強い電流が流れて明るくなりますが、電池の電気は速くなくなります。

並列つなぎは、水槽を同じ高さのところで横にならべてつないだようなもので水圧は、1個のときとかわりません。

ただし、1個のときより、長いあいだ水が流れます。電池の並列つなぎでも同じです。

電流と電圧の関係

水圧が大きくなれば、水流の勢いが強くなります。
これと同じように、電圧が高くなるほど、電流も強くなります。

実験

直流電流計(1アンペア用)、直流電圧計(10ボルト用)単一乾電池3~4個、エナメル線、300ワッ卜用ニクロム線を用意します。

ニクロム線・直流電流計・直流電圧計・乾電池を図のようにつないで回路をつくったときの電流計・電圧計の針のふれをよんで記録します。

つぎに、乾電池の数を、2個・3個……と直列につなぎそれぞれの場合で、電流の強さと電圧の大きさを測って記録します。

実験の結果をグラフにしてみるとこれらの点は、図のように、原点を通る1本の直線上にならびます。

このことから「電流の強さは、加える電圧に比例する」ことがわかります。
つまり、電圧が2倍・3倍……となれば、電流の強さも2倍・3倍……となるわけです。

いま、ニクロム線に加える電圧をEボルト、そのときの電流の強さをIアンペアとすれば、この関係は左のような式であらわされます。

E∝I(∝は比例することをあらわす記号)比例定数をRとすると E=I×Rとなります。

このときのRは、電気抵抗または抵抗とよび、電気の流れにくさをあらわします。



オームの法則

ニクロム線に電流を流したとき、電圧・電流・電気抵抗のあいだには

E = I × R ………… ①

(電圧=電流×電気抵抗)

という関係があることがわかりました。これをオームの法則と言います。

オームの法則をあらわす①の式に、つぎのようにも変えられます。

I = E ÷ R(電流=電圧÷電気抵抗)…………②

R = E ÷ I (電気抵抗=電圧÷電流)…………③

この3つの式は、つぎのような計算のもとになります。

(a)電圧がもとめられる

6ボルトの電圧に、電気抵抗5オームの豆電球をつなぐと1.2アンペアの電流が流れます。

いま、このうち電気抵抗の値と電流の強さがわかっている場合は①の式から電圧がもとめられます。

1.2(I)×5(R)=6(E)
と、計算によって、6ボルトがでます。

(b)電流の強さがもとめられる

電圧と電気抵抗かわかっていると②の式から電流の強さがもとめられます。

6(E)÷ 5(R)=1.2(I)

(c)電気抵抗がもとめられる

電圧と電流の強さがわかっていると、③の式から電気抵抗がもとめられます。

6 (E)÷ 1.2(I)= 5(R)

オームの法則は、かんたんなものですがいろいろな電気の計算のもとになる、大切な法則です。




乾電池と豆電球のつなぎ方とは?電気の流れる道とは?

乾電池と豆電球のつなぎ方

ソケットに豆電球をはめて、ソケットの2本の線を、図のようにして乾電池の+と-の極につなぐと、豆電球がつきます。

これは、電池の+のほうから電流がでて銅線・フィラメントを通り、-のほうへ流れこむためです。

電流は、見ることはできませんが電気は、+の極から-の極へ流れるものと、決められています。


実験

2個の乾電池と、1個の豆電球をつなぐつなぎ方は、下の図のように、5通りあります。

A・Dのつなぎ方では豆電球がつきますが、B・C・Eのつなぎ方ではつきません。
電気は、+から+へや、-から-へは、流れないからです。
また、Eのようにつなぐと電池がすぐ弱ってしまいますから、気をつけましょう。

電池の直列つなぎと並列つなぎ

Aのように、1つの電池の+の極に、ほかの電池の-の極をつなぐのを電池の直列つなぎと言います。

このときの豆電球の明るさを、電池1個つけたときの明るさとくらべると2個の電池を直列つなぎにしたAのほうがずっと明るくなります。

これは、直列つなぎにすると、豆電球に流れる電気の量が、多くなるからです。

直列つなぎでは電池をたくさんつなげばつなぐほど強くなりますが電気が多く流れて、速く電池が弱ります。

このときの電気を流す力(電圧)はつないだ電池の数に1.5ボルトをかければ、そのときのだいたいの電圧になります。

Dのように、電池の+と+、-と-をつないだつなぎ方を、並列つなぎと言います。

並列つなぎでは、電池1個のときと、豆電球の明るさはかわりません。しかし、電池は長もちします。

これは、大きな電池を使ったのと、同じことになります。

実験

1個の電池に2個の豆電球をつなぐには、下の図のように①・②の2通りがあります。

①では、2つの豆電球が明るくつきますが、②では暗くつきます。
このことから、①には、2つの豆電球にたくさんの電気が流れ②には電気の流れが少ないことがわかります。

豆電球の並列つなぎと直列つなぎ

実験の①のように、2つ以上の豆電球の両はしを電池の同じ側につなぐことを並列つなぎといいます。

並列つなぎでは、どの豆電球にも、電気を流す力が同じにはたらき同じ強さの電流が通るので、明るさも同じになります。

また、1つの豆電球を消しても、もう1つの豆電球は、ついています。
このことから、家庭の配線では、すべての電気器具を並列につながなければならないことがわかります。

②のように、豆電球のはしとはしをつないで一列にしたものを、直列つなぎと言います。
直列つなぎでは、豆電球に流れる電気が少なくなって明るさが減ります。

そして、直列につなぐ豆電球の数が、多くなるほど明るさは暗くなって、しまいにはつかなくなってしまいます。

また、いくつかつないだ豆電球の1個を消すと、ほかの全部の豆電球が消えてしまいます。



電気の回路

豆電球を乾電池につなぐと、電気は+から出てソケットの導線を通り豆電球のフィラメントからふたたびソケッ卜の導線を通って、電池の-にかえります。

そして、途中のどこかが切れていると、電気は流れることができません。
それで、この電気の通る道筋のことを回路(1回りする道筋という意味)とよびます。

電気を流すときは、この回路ができていることが大切です。

回路の途中に故障があって、接触が悪かったり線が切れたりしていると電気が流れません。
回路は、電池の+からはじまって-で終わります。

1つの回路では、どこでも同じ強さの電気が流れます。
回路のはじめも終わりもかわりません。

上の図のように2個の豆電球を直列につないだ場合でも両方の豆電球には同じ強さの電気が流れて、同じ明るさになります。

スイッチ

電気の回路をつないだり、切ったりするものに、スイッチがあります。
スイッチを入れると回路が閉じ、切ると回路が開くので電気を流したり、止めたりするのに便利です。

配線図

電気の実験をしたり、電池を使った模型をつくったりするとき電気の回路を図に書いておくと、電気をどのように流すかを考えたりどの部分が故障したかを見つけるのに、たいへん便利です。

この回路図のことを、配線図ともよびます。

配線図には、実体配線図と平面配線図とがあります。
実体配線図は、実物をそのまま立体的に書いたものでいままで出て来たような図は、すべて実体配線図です。

回路が複雑になると、実体配線図を書くのは、非常に大変です。

平面配線図は回路をわかりやすくかんたんにあらわしたもので、つぎのようにして書きます。

① 電池・豆電球・スイッチなど、器具は、すべて記号であらわします。

② 回路に使う導線などはまっすぐに書き、曲がるところは、立角に曲げて書きます。




乾電池と豆電球のしくみと種類とは? わかりやすく解説!

乾電池と豆電球

電気は危なくて怖いものと思っている人が、多いようです。
確かに、私たちの家庭にきている電気に、直に手をふれると危険です。

しかし、ふつうの懐中電灯などに使っている乾電池は、どんな使い方をしても安全です。

そこで、乾電池と、それでつく豆電球を使って、いろいろな実験をしながら電気の働きや性質を、調べてみましょう。


乾電池の種類

乾電池には使い道によってまるいもの・四角いもの、大きいもの・小さいものなど、いろいろあります。

ふつう、懐中電灯などで使っている乾電池はまるい形のもので、大きさによって単一・単二・単三などの種類があります。

この3つは、電気を流す力はみな同じで1.5ボルトですが形の大きいものほど、長もちします。

私たちの実験には、このうちのどれかを使います。

携帯ラジオや写真のフラッシュなどに使う電池に、積層乾電池といって小形の乾電池をいくつも積み重ねたもので、高い電圧を出すことができます。

乾電池のしくみ

電池には、どんなものも、+と-の、極とよばれる2つのはしがあります。
電池から電気をとりだすには、必ず、この2つの極からとらなければなりません。
1つだけでは、電気をとりだして、利用することはできません。

乾電池では、頭の真ん中にある黄銅のキャップは中の炭素棒につながっていて、+の極になっています。

横は、金属やボール紙・プラスチックなどで包まれていますがその下にあるはし色の金属の筒は、亜鉛の板でつくられていて、全体が-の極です。

中には、図のように、炭素棒と、それを囲んで炭素の粉と二酸化マンガンを塩化アンモニウム液で硬くねった合剤が詰まっています。

さらにそのまわりには塩化アンモニウムの濃い液でつくったのり(電解液)がとりまいています。

筒の上は、中身がこぼれないように、ピッチ(石炭を蒸し焼きにしてできたもので電気を通さない)で固めてあり、黄銅のキャップだけがでています。

電池が弱ってくると、亜鉛の筒がぼろぼろになり、中の薬品がこぼれるので外側は、ボール紙の上を、鉄板やプラスチックの膜で包んであります。

乾電池の取扱い方

乾電池は長く続けて使っていると、だんだん弱ってしまいに、電気を流す力がなくなります。

乾電池は、続けて長いあいだ使うよりも、ときどき休ませて使うほうが長もちします。

また、使わないでも、長い年月のあいだには弱ってきますから製造年月の新しいものを選んで買いましょう。
亜鉛は、湿気にあうと錆びますから、なるべく、乾いた場所におくようにしましょう。

乾電池は、ホルダーにはめて使うと便利です。



豆電球の種類

豆電球にも、写真のように、いろいろな形や大きさのものがあります。

2.5ボルト用というのは、電圧2.5ボルトの電池につなぐとちょうどよい明るさに輝くように、つくられたものです。

もし、2.5ボルト用の豆電球を10ボルトの電池につなぐと電気が流れすぎてフィラメントが切れます。
まだ、これを1.5ボルトの電池につなぐと電気の流れ方が少なくて、暗くなります。

しかし、2.5ボルト用といっても、4ボルトや5ボルトの電池につないでもすぐフィラメントが切れるようなことはありません。

私たちの実験には、2.5ボルト用が適当でしょう。

豆電球のしくみ

豆電球は、ふつうの電球と同じように、口金とガラスの球とからできています。
ガラス球の中には、細いタングステンのフィラメントがあります。

フィラメントは、2本の支柱で支えられていて1本の支柱は口金のねじにつながり、もう1本は、口金の頭のところに出ています。




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