電子計算機とは? わかりやすく解説!

人間はいろいろな機械を発明して、科学を発達させました。
そして、人間が力を使ってするしごとを機械にさせるようになりました。

機械は人間の手や足ではできないような大きな力や速さでしごとができます。

そのうえ人間は、頭を使ってするしごとまでも機械にやらせることができるようになりました。


人間がやれば何十年もかかるというような面倒な計算をたった何秒という短い時間にしかも間違えないで計算する機械が、いまでは使われています。

電子計算機はそういう機械です。

1946年に、アメリカのエニアックという電子計算機は数千の真空管を使い、円周の長さと直径の割合、つまり円周率を二千余けたまで計算しました。

電了計算機の大きなものは、トランジスタなどを何万本も使っています。
最大では、トランジスタよりもさらに小型の集積回路(IC)を使ったものがつくられています。

電子計算機は計算をするだけではなく非常にたくさんの資料の整理をしたり、統計をとったりその結果を覚えておくこともやります。

そればかりでなく、将棋をさす機械も、電子計算機のしくみでできます。

また、翻訳する機械、たとえば、ロシア語を英語になおしたりすることができる機械もあり日本語を英語になおす機械も考えられています。

これらの機械は電子頭脳と言われます。

電子頭脳は、化学工場などの機械をあやつるのにも利用されオートメーションといって、人間のいらない工場もできています。

制御室には計器を見つめる人が2、3人いるだけで機械が故障すればブザーが知らせたり、自動的になおるようになっています。




FM(周波数変調)・宇宙通信・レーザー光線とは?わかりやすく解説!

FM(周波数変調)

ふつうの中波を使ったラジオ放送では送りたい音声の振動にしたがうように音声より周波数のずっと高い電波にのせて送るAM(振幅変調)を利用しています。

この方法では、1つの電波に、1つの放送しかのせられません。

ところがFM放送では、周波数の高い電波の周波数を送る音声にしたがって変化させて放送する方法です。

AMにくらべて雑音の影響か入りにくく音質がよく、そのうえPM多重通信では、ある幅の電波に何百という言葉や音をのせることができます。

ですから、FM多重通信は都市のあいだの電話の中継やテレビの中継に使われています。

たとえば、東京から大阪へ電話をかけるような場合でもFMの中継が使われるようになってからは電話を申しこめば待たずに通話ができるようになりました。

FM通信には、テレビに使われている電波よりいっそう波長が短い極超短波(FMでは76~110メガヘルツ)が使われています。

そのため、電波が光と同じように直進しビルや山の陰では弱くなってしまいます。

そのため、見通せるところまでしか電波が届かないのでバラボラアンテナで中継しています。

放送局や大きなビル、山の上などで見かけるおわん形をしたパラボラアンテナは、たいていFM多重通信用のアンテナです。


レーダー

レーダーは、第1次世界大戦のときに敵の飛行機をはやく見つけるために研究され、発達したものです。

レーダーから送られた超短波は、何か物にあたると跳ね返ってきます。
とくに金属などにあたると、強く反射されます。

ですから、ある方向に送った電波が跳ね返ってきたらそちらに何かがあることがわかります。
また、電波をだしてから、跳ね返ってくるまでの時間を調べればその物までの距離もわかります。

いまでは、レーダーのおかげで飛行機は霧や雲の中でも、安全に飛び、着陸することができます。
船の航海も、ずっと安全になりました。

気象用レーダーは、台風の目をとらえたり雨雲を観測したりするために用いられます。

レーダーは、どんな霧の中でも暗闇の中でも見える電波の目と言えるでしょう。

電波望遠鏡

太陽や星に関することを研究する学問を天文学と言いますが以前には、太陽や星から送られてくる光を望遠鏡やそのほかの器械によって調べいろいろなことが研究されていました。

ところが、1932年、アメリカのジャンスキーが銀河の方向から電波がくることを発見しそれ以来、太陽や星から、いろいろな周波数の電波が出ていることがわかり、その電波を調べることによって今までわからなかったことも、知ることができるようになりました。

そのうえ、光は出していないが電波やX線を出している星もいろいろ見つかり宇宙の様子が、いっそうはっきりしてきました。

しかし、天体からくる電波は極めて弱いのでそれをはっきりと受けるには大きなアンテナがいります。

このような装置を電波望遠鏡といって、日本にもありますが外国では大じかけなものがたくさんつくられています。

ロラン

第二次世界大戦中に遠くの船や飛行機に位置を教えるために発明されました。

陸上の離れた2か所の無線局からそれぞれ特別な形の信号をのせた電波を同時に送りだしそれらを船などで受信し、2つの信号のずれをはかることによって船などがいまいる位置を地図上で知ることができるようなしくみになってします。

ロラン電波は、送信所から2000キロメートルも離れたところでも受信できるので、太平洋や大西洋で広く使われています。

宇宙通信

地球から宇宙にある人工衛星などと通信したり宇宙にある衛星船どうしなどで通信することを宇宙通信と言います。

月やそのほかの天体に打ち上げたりロケットが勝手なところにいってしまわないために地球から送る電波で正しい飛び方をするように命令することができます。

そして、天体に近づくと、逆推進ロケットをはたらかせゆっくりと天体に着陸するように命令することもできます。

また、天体の表面の様子を写真にうつし特殊な方法で地球へ送ってくるように命令することもできます。

そのほか、小さなシャベルを使って地面をほり、その岩石の種類を調べ、さらにそれを電波で報告させることもできます。

このように、宇宙通信により天体のいろいろなことが、だんたんわかるようになってきました。



通信衛星

外国との無線通信は、短波を使ってできますがテレビ放送や多重通信は短波ではできません。

それは、周波数が低いので、多くの信号を送ることができないからです。
そのため、マイクロ波を使えばよいのですがマイクロ波は電離層を通り抜けるので、地球の裏側には届きません。

そこで、赤道上の3万6000キロメートルの高さにそれぞれが三角形の頂点になるように人工衛星を打ち上げそれにマイクロ波の中継をさせます。

それが通信衛星です。

この衛星は、ほかの人工衛星と違って地球から見ると止まっているように見えます。
しかし、本当は地球のまわりを公転してしるので落ちてこないのです。

このように、3個の通信衛星を打ち上げておくと世界中の人々がいっしょに同じテレビを見たりどこの国の人とでも、かんたんに通信ができます。

レーザー光線

写頁を撮るときによく使われるキセノンガスの放電管から強い光を出してこれをルビー(宝石と同じ質の鉱物)などの特殊な物質にあてると特別な性質をもった強い光がでます。

これがレーザー光線です。

レーザー光線は、ふつうの電灯などから出る光線と違って遠くへいっても広がらないので弱まりません。

それで、マイクロ波と同じように見通しのきくところで通信に使うことが考えられています。

将来の宇宙通信の有力な方法になることでしょう。




テレビジョン放送のしくみとは? わかりやすく解説!

テレビジョン受像機

テレビジョン受像機にはふつう20本くらいの真空管やトランジスタなどが使われています。
そのうちいちばん大切なのは、ブラウン管です。

アンテナで受信した電波を増幅しそれから、信号電流(映像電流と音声電流)をとりだします。
これは、ラジオの電波から音声電流をとりだす検波にあたります。

とりだした信号電流のうち、音声電流は増幅してスピーカーへおくり音声をださせ、映像電流も増幅してからブラウン管へ送ります。


ブラウン管

ブラウン管は、電流の強弱を光の強弱にかえる真空管です。

ブラウン管の中には、速い電子の流れをつくる部分(電子銃という)その流れを調節する部分、電子の流れがあたると光る部分(蛍光面)があります。

映像電流がブラウン管に届くと電流の強弱の通りに蛍光面の明るさがかわり、映像になります。

放送局で電気にかえられた光が、また光にもどって実際に目に見えるようになるわけです。

テレビジョン放送のしくみ

テレビジョンは、音といっしょに、いろいろな映像を電波にのせて放送するしくみです。

イメージオルシコン

ラジオ放送では、マイクロホンで音波を電気振動にかえました。
ところが、テレビジョンでは光の強弱を電流の強弱にかえなければなりません。

このはたらきをするのがテレビカメラのイメージオルシコンです。

テレビカメラでは、ふつうのカメラのフィルムにそうとうするところに、イメージオルシコンの光電面というスクリーンがあります。

テレビカとフのレンズを通った光で、スクリーンの上に像ができるとそこから電子(光電子)が飛出します。
光電面というのに、光を電気にかえる面という意味です。

光電面は強い光があたったところからはたくさんの光電子が飛出し弱い光があたったところからは、光電子が少し飛出します。

ですから、光の明暗を、電流の強弱にかえることができます。
この電流を映像電流と言います。

音声は、マイクロホンで音声電流にかえて増幅し別につくった100メガヘルツくらいの高周波を映像電流と音声電流がいっしょにのるように変調してアンテナから電波として送りだします。

カラーテレビジョン

レンズを通った光を三原色(赤・緑・青)にわけてその三原色をふつうのテレビジョンと同じように電流の強弱にかえて超短波などにのせて送ります。

電波をうける受像機にはふつう3本の電子銃と三原色の蛍光を出す物質を細かくぬりわけた蛍光面があり、おくられてきた電流を映像電流にかえ、三原色をうまく重ね、もとの映像をつくりだすようになっています。




コイルとコンデンサーのしくみとは?ラジオ放送のしくみとは?

コイル

電線を何回かまいたものをコイルと言います。コイルに電流を流すと、磁石になります。

しかも、コイルは電流が強く流れようとするとそれを弱め、電流が弱くなろうとすると、それを強める性質があります。


コンデンサー

電気をたくわえるはたらきをするものをコンデンサー(蓄電器)と言います。
2枚の金属板を向い合せたようなつくりになっています。

電気がたまっているコンデンサーに、コイルを図の①のようにつなぐと、電気は+から-側へ、コイルを伝わって流れます。

このとき、コイルのはたらきによってコンデンサーの-側が、はじめと反対に+になります。

そして、こんどはコイルの中を反対向きに電流が流れます。
これを繰り返すので、電気は何度もいったりきたりします。

1秒間に何回いったりきたりするか、コンデンサーの大きさと、コイルのまき数できまります。

大きなコンデンサーとまき数の多いコイルを使えば振動数の少ない電流、つまり低周波電流がつくれます。

小さなコンデンサーと、まき数の少ないコイルを使えば高周波の電流ができます。

けれども、この電流はすぐに弱まってしまいます。
いつまでも続く振動電流にするには弱まろうとする電流を強めてやらなければなりません。

それには、真空管の増幅作用を使えばできます。

図は、三極管とコイルとコンデンサーを使って振動電流をつくりだす真空竹発振器です。

コイルAにできた振動電流は、すぐ近くにあるコイルBにうつります。
これはトランス(変圧器)と、まったく同じはたらきをします。

コイルBにできた電圧は、真空管のグリッドに入り増幅されて、プレートからまたコイルAに入ります。

これが繰り返されて電気振動がいつまでも続けられます。



ラジオ放送のしくみ

音声電流

人の声や音楽を放送するときには外から余計な音が入らないようになっているスタジオでマイクロホンで音を受け、音波(空気の振動)を電流の振動にかえます。

これを、音声電流と言います。

この音声電流をそのままの形で電線でおくりレシーバーで聞くのが電話です。

ラジオ放送では、音声電流を調整室で調整したりほかのマイクロホンから送られてきた音声電流とまぜたりしてから増幅器で増幅し、送信所へ送ります。

変調

送信所では、水晶発振器と真空管を使って周波数が一定の高周波電流をつくりだします。

これを搬送波と言います。

そこで、音声電流の波の高さによって高周波電流の波の高さを加えると、下の図Cのような波ができます。

これを音声電流で振幅変調(AMともいう)された高周波と言い。
音声の波形の通りに、大きく振動したり小さく振動したりしている高周波と考えることができます。

そして、これをさらに増幅器で増幅して、アンテナへ送ります。

アンテナは、地上にはられた1本の銅線でこれに変調された高周波電流が流れここから音声をのせた電波が空中へ送り出されます。

波長

放送に使われる高周波の周波数にはいろいろありますがふつうのラジオ放送では、535キロヘルツから1600キロヘルツまでのあいだの電波がそれぞれの放送局にわりあてられています。

たとえば、NHKの東京第一放送は590キロヘルツ大阪の第一放送は670キロヘルツの電波を使っています。

周波数の多い電波は、それだけ波長が短いので3000キロヘルツから3万キロヘルツまでの電波を、短波とよびます。

ふつうのラジオ放送に使われている電波は、中波と言います。
短波よりさらに波長の短い電波を超短波と言いまた、中波よりさらに振動数の少ない電波を、長波と言います。




アンテナとアースのしくみとは? わかりやすく解説!

放送局では、強い電波を送り出すために大仕掛けなアンテナとアースを使っています。

空中を伝わってきた電波を受けるにもアンテナとアースが必要です。


アンテナには、ふつう、銅線が使われます。

電波がくるとアンテナには電波の周波数と同じ周波数の高周波電流ができます。

この電流は、アンテナの形や大きさによってかわりますがたいてい地上からの高さが高いほど強く水平な部分が長いほど強くなります。

感度のよいラジオ受信機では室内に、アンテナ線を少しはるだけでよいようです。

アンテナにできた高周波電流はラジオの入り口であるアンテナ同調コイルを通ってアース線から地面に伝わっていきます。

ですから、アース線も電気をよく伝える銅線でつくり湿った地面に埋めた銅の板に、よくはんたづけしておかなければなりません。

アンテナ線は、はだか線でも、被ふく線でもよいのですがラジオ受信機に入る途中で、立木や、軒先などにふれると高周波電流が逃げます。

ですから、ところどころに、がいしを使って止めておかなければなりません。

近頃のラジオ受信機にはμアンテナというものを器械の中に備えたものが多くなりました。

このアンテナは、写真のような、5~15センチほどのダストコアに電線をまいたものでこれだと、とくにアースがいらないので便利です。

それで、ポータブルラジオには、たいてい、μアンテナが使われています。

しかしμアンテナは、その向きによって電波の受け方(指向性)が違いますからラジオをおく向きに気をつけなければなりません。

テレビジョン受像機に使われる電波の波長はラジオの電波より短く、3メートルぐらいです。
このような電波をうけるには、ダイポールアンテナが使われます。

これは、全長が電波の波長の半分の長さか波長と同じ長さになるようにすると、電波がよくうけられます。
アンテナと受像機の間に、フィーダーでつなぎます。

波長が、もっと短い極超短波になるとおわん形をしたパラボラアンテナや使い道によっていろいろな形のアンテナが使われます。




ラジオ受信機のしくみと種類とは?受信のしくみとは?

ラジオ受信機

ラジオ受信機には、かんたんな鉱石ラジオ受信機(ほとんどがゲルマニウムダイオードを使っている)をはじめ、ふつうの中波放送のほかに短波放送やFM放送が聞かれるものまでたくさんの種類があります。


鉱石ラジオ受信機

まず、鉱石ラジオ受信機について調べてみましょう。図はその配線図です。

電波はアンテナから入り、同調コイルを通ってアースヘ出ていきます。
同調コイルとバリコンの組みあわせで、聞きたい放送の電波を選びだします。

そこで、ゲルマニウムダイオード検波器を通すと電流の強さが音波の形をした2方向だけの高周波電流がえられます。

さらにレシーバーとコンデンサーをつなぐと、音が聞こえてきます。
鉱石ラジオ受信機は、電波が強いところではよく聞こえますが弱いところでは真空管やトランジスタを使ったラジオ受信機がいります。

三球ラジオ受信機

3本の真空管を使って放送を聞くようにしたラジオ受信機を三球ラジオ受信機と言います。

弱い電波を受けて、大きな音ではっきり聞くためにはアンテナから取り入れた高周波電流を充分強めてやらなければなりません。

これを、増幅すると言います。

三球ラジオ受信機では、まずアンテナから取り入れた高周波電流の中から、アンテナ同調コイルとバリコンの組みあわせで放送を選びだします。

これを検波管で検波すると音声電流が取り出せます。

これを同じ真空管で増幅し、つぎの低周波増幅管によってスピーカーを鳴らすことができるように増幅して、スピーカーへ送ります。

三球ラジオ受信機は、鉱石ラジオ受信機よりやや込み入っていますが原理は同じです。
残りの1本の真空管は整流管で他の真空管のはたらきに必要な高電圧の直流をつくる役目をします。

五球スーパーラジオ受信機

三球ラジオ受信機と同じようにアンテナから取り入れた高周波電流の中からアンテナ同調コイルとバリコンの組みあわせで、放送を選びだします。

周波数変換管は、選びだした周波数を常に455キロヘルツの中間周波数をもった高周波電流にかえます。
こうすると、さらに大きく増幅することも、かんたんになるのです。

中間周波増幅管で増幅された電流は検波増幅管でまず検波さか、音声電流が取り出され再び増幅されます。

増幅された音声電流は、最後の真空管の低周波増幅管によってスピーカーを鳴らすことができるように増幅して送られます。

五球スーパーラジオ受信機は、込み入っているようですが鉱石ラジオ受信機と原理は同じものです。



同調

たくさんの放送局からでたいろいろな周波数の電波が、空中を伝わってきます。

この電波をアンテナで受けてその中から聞きたい放送を選びださなければなりません。
これには同調回路というものを使います。

コイルとコンデンサーをつないだものにいろいろな周波数の高周波電流を送るとその中で、ちょうどよい周波数の高周波だけが、とくに強く振動します。

これが同調です。

コイルやコンデンサーをかえると、同調する周波数がかわり違う周波数の電波を、強く受けることができます。

ふつうのラジオ受信機では、コンデンサーの大きさ(電気容量)をかえて、いろいろな周波数の電波に同調させます。

このようなコンデンサーをバリアブルコンデンサー(バリコン)と言います。

また、コイルの中にダストコアという鉄の合金の細かい粉を絶縁物でかためた芯をさしこんで、同調する周波数をかえるものもあります。

いちばんかんたんな鉱石ラジオ受信機ではコイルの途中からタップという線を何本もだしそれらにバリコンを適当につなぎかえて同調周波数をかえることもあります。

検波・増幅

選びだされた高周波電流は、レシーバーに通しても音声にはなりません。
その中から、音声電流をとりださなければなりません。

これが検波です。

鉱石ラジオ受信機の音声電流は、非常に弱いのでそのままでは、スピーカーを鳴らすことはできません。

三球ラジオ受信機では、検波されたばかりの音声電流は弱いので真空管を使って、充分強くします。これが低周波増幅です。

五球スーパーラジオ受信機では、高周波電流を一度別の周波数(中間周波数)の電流にかえ、増幅してから検波し音声電流を取り出します。

これを2つの真空管で増幅し、スピーカーを鳴らします。

とくに感度のよいものでは、アンテナから取り入れた高周波電流をそのまま増幅します。

それを、高周波増幅と言います。
それから中間周波にかえ、増幅してから検波します。




鉱石検波器・トランジスタ・パラメトロンとは?

ゲルマニウムダイオードと検波作用

放送局から送られてくるラジオの電波をアンテナから取り入れてそれをレシーバーに通しても音声は聞こえません。

放送電波は、図のAのようになっていて1秒間に数十万回以上も振動している高周波だからです。
このような振動から音声電流を取り出すことが検波です。

鉱石ラジオに使われているゲルマニウムを使った鉱石検波器は検波するためのもので、二極管と同じように電流を片方にだけ通す性質をもっています。

Aのような、音声で変調された高周波電流を検査波器に通すとBのような片方だけの高周波電流になって出てきます。

これをコンデンサーにつなぐと、Cのような音声電流になります。
この電流をレシーバーに通すと音になって聞こえるのです。


トランジスタ

真空管は、長いあいだラジオやそのほかの電気器械に使われてきました。
真空管の大部分は高い温度のカソードからでる熱電子を利用しているので、形が大きく、重く、熱くなりやすく、電力をたくさん使うので不便でした。

1848年に、ゲルマニウムを使ったトランジスタが発明され小型ラジオやテレビなどにたくさん使われています。

トランジスタは、真空管にくらべるとずっと小さく、カソードを熱する必要がなくとくに低い電圧ではたらくので、電力も少なくてすみます。

そのうえ、丈夫で、寿命が何倍も長いので非常に進歩して、広く使われるようになってきました。

半導体は、純粋なゲルマニウムやシリコンに混ぜる不純物の種類と割合により、N形の半導体とP形の半導体ができます。

トランジスタには、N形を2個のP形ではさんだPNP形トランジスタや逆にP形をN形ではさんだNPN形トランジスタなどがあります。

ふつうの、トランジスタではそれぞれの半導体に導線がとりつけてあるので3本あしのように見えます。

これらは、それぞれ三極管のプレート(陽極)・グリッド(格子)カソード(陰極)に相当する役目をし、それぞれをコレクター・ベース・エミッタと言います。

集積回路(IC)

トランジスタは真空管にかわるすばらしい性質をもっているうえに極めて小さくつくれるので、小型で性能のよいラジオやテレビ・電子計算機など、がつくられるようになりました。

しかし、トランジスタに取り付けてはたらかすコンデンサーや抵抗器・ダイオードのような部分品はあまり小さくはできません。

そこで、これらの部分品をトランジスタと同じように小さなかたまりにつくっておき、それぞれを電線でつなぐかわりに順々に重ね合わせたり、ならべたりして、全体を1つにしたものが集積回路です。

こうすれば、ラジオなどは現在よりもっと小さくなり腕時計くらいにすることもできるしそのほかの電気器械もずっと小型にすることができ私たちの生活にも大へん役に立つことでしょう。

パラメトロン

1955年に、後藤英一によって発明され電子計算機に使われている部分品です。

フェライト(一種の半導体で鉄・コバルト・ニッケルなどの酸化物でつくる)でつくられた小さなドーナツ形(フェライトコアという)のものに電線が何回かまいてあります。

この電線に電流を流すと、フェライトは磁石になりますがその強さは電流の強さに比例しません。
この性質が、電子計算機にうまく利用されています。

パラメトロンに真空管より構造がかんたんで丈夫なうえ、はたらきが確かなので、計算機に適しています。

エサキダイオード

1957年に、江崎玲於奈が発明したダイオードです。

ふつうのゲルマニウムダイオードは一方向だけに電流を流す性質があります。
この性質は、ラジオ受信機の中で、検波や整流に使われています。

エサキダイオードは、たいへん小さくすることができ電圧を高くしていくと、途中で電流が少なくなるところがあります。

この性質を利用すると、よいスイッチができるので計算機などに使いはたらきをずっとよくすることができます。




真空放電とは? 二極管・三極管とは? わかりやすく解説!

真空放電

電極を2個入れて真空にしたガラス管に高い電圧をかけると電極の間に電流が流れます。
この現象を、真空放電と言います。

このときガラス管の中に空気などのガスが少しでも残っていると美しい色の光がでます。
広告などに使うネオンサインは、これを利用したものです。
管の中にガスがほとんどないときは、+側の管の内側がうす緑色に光ります。

これらは、-側の電極から電子とよばれる-電気をもった非常に小さい粒子が飛出し、これがガスに衝突するとガスが+と-の電気をもったものにわかれそれがふたたびいっしょになるときあざやかな光がでてまた、電子がガラスに直接衝突すると緑色の蛍光がでるものと考えられています。

蛍光灯は、この真空放電を利用したもので管の中の水銀の蒸気からでる紫外線が管の内側にぬってある蛍光物質にあたり、目に見える光を出させるものです。


エジソン効果

エジソンは、中を真空にした電球の研究をしていてつぎのような発見をしました。

真空電球の中にフィラメントのほかに、金属の板を入れ図の(A)のようにつないでフィラメントを熱くしてやると金属板とフィラメントの間に電流が流れました。

(B)のようにつないだのでは、電流は流れませんでした。
そして、フィラメントが熱くないときはどの場合にも電流が流れませんでした。

フィラメントが熱いと、電子がたやすくたくさん飛出しやすくなるからです。
このようなはたらきをエジソン効果と言い、真空の中での電流はこの電子の流れのことなのです。

二極管(二極真空管)

フィラメントとプレート(金属板)とをふうじこんだ真空管でプレートのほうがフィラメントより電圧が高い場合を考えてみましょう。

このとき、プレートは+に、フィラメントは-になっています。

フィラメントに電流を流して高い温度にさせ、赤く光るようにすると-の電気をもつた電子が飛出し、プレートの+の電気にひかれて飛んでいきます。

逆に、プレートよりフィラメントのほうが電圧が高い場合はフィラメントから電子がでてもプレートのほうへ飛んでいくことができません。

二極管は、電流を1つの方向にだけしか流さないのでちょうど水をくみあげるポンプの弁のようなはたらきをすることになります。

整流作用

交流は、行ったり来たりする電流ですが、これを二極管に流すと一方向だけに流れる直流になります。

このはたらきを整流作用と言い、テレビやラジオなどに使われています。

シリコン整流器

シリコン(ケイ素)は、ゲルマニウムとよく似た性質をもっているので、ダイオードをつくることができます。

シリコンダイオードはゲルマニウムダイオードより高い電圧で使うことができるとともに大きな電流を流すことができるので、いっそう便利です。

電車を走らせるときなどに必要な直流を交流からつくるときシリコンを使った整流器が、さかんに使われています。



三極管(三極真空管)

三極管は、二極管をもとにしてつくられた真空管で+極(プレート)と-極(カソード)のあいだに格子(グリッド)というものがあります。

グリッドは、金属の網が螺旋になっていて電子の通り道をふさいでいます。

電子は、網の目を通り抜けて+極へ届くのですがもし、グリッドが-極より電圧が低く-の電気をもっていたらどうでしょう。

電子も-の電気をもっているのでグリッドの-の電気に跳ね返され、ほとんど+極へ届きません。

グリッドの-電気を弱くしてやれば、電子のうちのいくつかはグリッドの網の目をくぐりぬけていきます。

グリッドの-電気をいろいろにかえるとそれにつれて、+極に届く電子の数がかわります。

つまり、グリッドの電圧をかえてやることによって真空管を流れる山流の大きさをかえることができるのです。

増幅作用

三極管のグリッド電圧をわずかにかえてやるだけで真空管を流れる電流を大きくかえることができます。
これを三極管の増幅作用と言い、三極管のもっとも大切なはたらきの1つです。

遠い放送局からおくられてきた、弱い電波は受信機に入っても、弱い電圧にしかなりません。

これをゲルマニウム検波器や、二極管検波器を通してレシーバーで聞いても、小さな音しか聞こえてきません。

しかし、この弱い電圧を三極管のグリッドに入れてやれば大きく変化する電流にかえることができます。

レシーバーできけば、まえよりずっと大きな音に聞こえてきますしスピーカーを鳴らすこともできるようになります。

いろいろな真空管

真空管には、二極管・三極管のほかにも、いろいろな種類があります。

四極管にはグリッドが2つ、五極管には3つあります。
これらは、三極管を改良したもので、スーパー受信機には特別なはたらきをする七極管も使われています。

たいていの真空管は、-極(カソード)が真ん中にあってまわりを螺旋形のグリッドが取り囲み、その外側を筒形の+極(プレート)が取り囲んでいます。

カソードには2通りあります。

フィラメントに電流を流して高温度にしそこから、直接飛び出す電子を利用している直熱型でこのような真空管は、おもに電池などの直流で使う装置に用いられています。

けれども、電灯線からの交流の電気を使うふつうのラジオでは防熱型のカソードをもつ真空管が使われています。

この真空管では金属酸化物をぬったニッケルの細い管の中にヒーターが入っていて、ヒーターで管を熱して管の表面から電子が飛び出すようになっています。




電離層とは?X線の性質と利用とは? わかりやすく解説!

電離層

地球をとりまく大気中には、電波を跳ね返す層があります。

この層は、電気をもった小さな粒がたくさん集まってできていて、電離層と言われます。

電離層は、ふつう2つの層になっていて低いほうをE層、高いほうをF層と言います。
長波や中波はE層で反射されますが、短波や超短波は通り抜けます。

F層はE層より電波を反射するはたらきが強いので短波はここで反射されますが、超短波は通り抜けます。

短波は、F層と地球の表面で反射されます。
それが繰り返されて、地球の裏側に伝わりやすいので外国むけの放送などに使われます。


X線の性質

白金やタングステンのような重い金属に非常に速い電子を衝突させると、X線がでます。

X線は光や紫外線と同じような電磁波ですが波長がずっと短く、10ミリミクロンから、0.001ミリミクロンほどです。
ですから、他の電磁波とは、その性質もたいへん違っています。

多くの物質を通り抜け、写真フィルムを感光させたり蛍光物質を光らせたりします。
また、物質の中を通ると、その物質に+と-の電気を帯びさせます。

これらの性質は、X線の波長によってかわりますが波長は、衝突させた電子の速度によってかわります。

通り抜ける力の強いX線をつくるには数万ボルトの電圧で電子を衝突させます。

X線の利用

体の内部を調べるレントゲン検査はX線を利用したものです。
ガンを治すために使われることもありますが確実に治るとはかぎらないようです。

工業用としては、金属材料の内部の傷を検査するにはもっとも大切な方法の、1つになっています。

また、物質の内部の細かいしくみを調べるために使います。
X線をあてると内部の細かいしくみによって通り方や、跳ね返され方が違うからです。

X線は遺伝の研究にも使われます。

X線を生物にあてると、かわった子どもが生まれることがあるので遺伝がどのようにおこなわれるかを調べるのに役立ちます。




電波の性質とは?周波数・電磁波とは? わかりやすく解説!

電波とは

太鼓を打つと、その振動は音波となって、空気中を伝わります。
ラジオの音声やテレビの画像は電波によって空間を伝わります。

しかし、電波と音波とは、いろいろな点で、たいへん違います。
音波も電波も、むかしから自然界にありました。
もとからあった電波と言えば、雷からでる電波があります。

しかし音波と違って、このような電波はラジオやテレビには使えません。
私たちの利用している電波は、真空管などを使って人間がつくりだしたものです。

イギリスのマクスウェル(1831一1879)は電波は光や赤外線と同じように電磁波とよばれる波の一種であることを、数学を使って確かめました。

その後、ドイツのヘルツ(1857-1894)は人工的に電気火花を飛ばして、電波をつくることに成功しました。


電磁波

万年筆や下じきのようなプラスチック製品を、毛皮や毛織物でこすって、電気を起こすと、細かいほこりや紙きれなどが、吸いつきます。

電線を流れている電気も同じように電線のまわりに力をおよぼし磁針を近づけると、ふれ動きます。

このような力を電磁力と言います。
電磁力は遠くなるにつれて弱まりますがこの力のはたらく範囲を、電磁界と言います。

振動する電流が流れるときには、それにつれて、電磁界も振動します。
もし、このとき近くに磁石があれば、振動する力がはたらきます。
また、近くの金属には振動する電流があらわれます。

50ヘルツの交流が流れる電灯線のまわりには1秒間に50回振動する電磁界ができます。
このような電磁界は、光と同じ速さで伝わっていきます。

振動がまわりに伝わっていくところちょうど水面に広がっていく波に似ています。これが電磁波です。

50ヘルツとか60ヘルツでなく何万ヘルツから何百メガヘルツ(メガは百万倍のこと)と言う非常に速く振動する電流をつくり、この振動電流を流したときに出る電磁波が、ふつうに使われている電波です。

このようにつくられた電波は、遠くまで伝わっていきます。



周波数

放送局のアンテナから送り出される電波は、音の波とよく似ています。
どちらも、振動する状態が空気中を伝わる現象です。

だから、波を調べるには、波の伝わる速さと1秒間に振動する回数(周波数)を調べることが大切です。
波は下の図のように書きあらわすことができます。

図で、山(高くなったところ)からつぎの山までの間隔を波長と言います。
そして1秒間に伝わる距離を波長で割ったものが、周波数になるわけです。

水面の波や、音の波が伝わる速さは1秒間に数メートルか、340メートルくらいです。
しかし、電波が伝わる速さは、1秒間に30万キロメートルもあります。
自然界で、これよりも早いものはありません。

いっぽう、電波の周波数は、1秒間に1万回(10キロヘルツ)から3兆回(30万ヘルツ)ぐらいまであります。

ですから、電波の波長は3万メートルから1ミリメートルといろいろの種類があります。
波長が違うと、電波の性質にいろいろな違いがあらわれます。

しかし、どの電波にも言える性質は、ほかの物質にあたると一部分は反射され、その他の部分は、進む道が折れ曲がってその物質に入っていき、しだいに弱まってしまうということです。

電波が金属のような、電気をよく伝える物質にあたるととてもよく跳ね返されます。

地面もよく電気を伝えるので、電波をよく跳ね返します。
このことは、電波を使うときに役立つ、大切な性質です。

電波の伝わり方

放送局のアンテナから送り出された電波は地面すれすれに伝わって進む地表波と、空に向かって進む空間波とになります。

これらの電波は、途中に山や建物のような邪魔物があると波長の短い電波ほどさえぎられます。

そして、そのうしろ側に、電波の届かない影ができやすい性質があります。

ですから、波長の長い長波や中波は途中に邪魔物の多いところで使うのに適しています。

非常に波長の短い電波は互いに見通しの利かないところでは使えないことになります。
波長の短い電波は、光と同じようにまっすぐ進んで、あまり弱まりません。

そこで、お椀型のパラボラアンテナを使って見通しの利くところへ、強い電波を送ることができます。

これは、テレビジョンや電話の多重通信の中継などに使われています。




送電線のしくみとは?変電所とは? わかりやすく解説!

送電線

電気は、発電所から私たちの住むところまで高い鉄塔にかけられた太い送電線を伝わって送られてきます。

送電線には、鉄塔にかけられたものだけでなく地下に埋められたケーブルもあります。

送電線にも、電気抵抗があります。
そのため、電気の一部が途中で熱にかわって、無駄になってしまいます。

この無駄をできるだけ少なくするためにできるだけ送電線の抵抗を小さくすることが必要です。

送電線の抵抗を小さくするには電気抵抗の小さい銅・アルミニウム(銀はいちばん抵抗が小さいが、値段が高すぎる)を使います。

また、同じ金属でも、太さが太いほど電気抵抗に小さくなりますから、送電線には、太い線を使います。

しかし、あまり太くすると、送電線の値段が高くなるばかりでなく重くなるので、がいしや鉄塔を丈夫にするためにも費用が余計にかかります。

がいし 鉄塔と電線をつないでいる陶器でできたものをがいし(碍子)と言います。
がいしは、絶縁するために使います。

ふつうの家庭で使われているがいしは、小さなものですが高圧線のがいしは、人よりも大きなものがあり絶縁がよく、丈夫なものが使われています。


電圧と送電線

電気の無駄を少なくするのに、電圧を高くする方法があります。

いま、同じ電力を送るときを考えてみましょう。
電力に、電圧と電流の積ですから、電圧が大きければ電流は小さくてよいことになります。

電流が小さければ電気抵抗のために無駄になる電気も少なくてすみます。
ですから、送電線に使う電圧は、だんだん高くなっています。

我が国での最高電圧は27万5000ボルトですが50万ボルトの送電線を建設中です。

このように、送電線の電圧はだんだん高くなっていきますが、そうかと言って、かぎりなく高くするわけにはいきません。

高圧線が、暗い夜に光ったり、雨降りの日にシージーなっていることがあります。

送電線が光るのは、コロナ放電といって電気が空気中に逃げていっているからです。

また音がするのは、がいしの表面を伝わって逃げる電気が小さな火花を出す音です。

電圧をあまり高くすると、コロナ放電などで失われる電気が増えます。
また、鉄塔を高くしたり、がいしも高い電圧に耐えるものにするなど費用がやはり高くなります。

コロナ放電をふせぐ方法として、1本の電線のかわりに2~4本の電線を20センチほど離して使うが方法があります。

25万ボルト以上の送電線では、この方法がよく使われ多導体方式、あるいは群導体方式と言われています。

送電線の鉄塔には、ふつう6本の電線がつられています。
これは、3本ずつ2組みになって、三相交流の電気を送っているからです。

2組みの電線が1つの鉄塔にかけられているわけは1組みの送電線が雷などで故障しても、もう1組みの送電線を使い停電をなるべく少なくするためです。

直流送電

電気が家庭の電灯だけに使われていたころは電気を送るには直流送電が使われていました。

しかし、電気を送る量が増えて、送る距離が遠くなると高い電圧が必要になり、電圧を上げたり下げたりする変圧器という便利な装置が使える、交流送電に切りかえられました。

しかしまた、送電に必要な電線の数が増えるにつれて1組み2本ですむ直流送電のほうがよいのではないかという考え方が出てきました。

直流送電にすると、コロナ放電も交流より少なくてすみます。

このように、直流送電が考えられはじめたのは交流から直流へまた、直流から交流へかえる水銀整流器や半導体整流器が発達してきたためです。

直流送電は、ケーブル送電線を使うとき、とくに有利です。

そのためイギリスとフランスをむすぶ海底ケーブルには10万ボルトの直流送電がおこなわれています。

変電所

発電機で起こす電気の電圧はふつう交流1万ボルトくらいです。

発電所には電圧を上げるための変圧器がふって高い電圧にかえて送り出します。

この高い電圧の電気を、安全で使いやすい電圧の電気にかえるところが、変電所です。

変電所には一次・二次・配電用と、いくつかの変電所があってしだいに電圧を下げるようになっています。



変圧器

変圧器(トランス)は電圧をかえる器械で、鉄の輪(鉄心)のまわりに2組みのコイルがまかれていて電磁誘導の法則を利用したもので1万のコイルから他のコイルに電流を誘導します。

1組みのコイル(1次コイル)に、交流の電圧を加えて電流を流すと鉄心の中には、磁界ができ、これが交流電流の規則正しい変化につれて、同じように規則正しい変化をします。

つまり、交流の磁界ができることになります。

この磁界は、もう1組のコイル(二次コイル)の中も通っていますから交流の電圧が二次コイルにできます。

そして、一次コイルに加えた電圧と、二次コイルにできる電圧の比は一次コイルと二次コイルのまき数の比に等しくなります。

一次コイルの電流をI、電圧をE、まき数をnとし二次コイルの電流を、I’電圧をE’、まき数をがn’とするとnI=n’I’、nE’=n’E の関係があります。

変圧器では、一次コイルと1次コイルのまき数をかえて二次コイルからいろいろな電圧を、自由に取り出すことができます。
送電線に交流が使われるのは、こういう便利な変圧器があるからです。

変圧器の一次コイルに直流を流しても二次コイルには電圧はできませんが、このわけは、電磁誘導の法則を考えてみればすぐわかります。

二次コイルの電圧は、磁界の変化で起こるわけですが一次コイルに直流電流を流しただけでは磁界も一定となり変化しないからです。

柱上変圧器

家庭にいちばん近いところにある変圧器は柱上変圧器といって、電柱の上に取り付けられているものです。

柱上変圧器の一次コイルは、ふつう6600ボル卜の配電線につながれ二次コイルの電圧は1000ボルトか2000ボルトです。
二次コイルからは引込線で家の中に電気がおくられています。

変圧器は、長いあいだ使っていると、かなり熱くなります。

そのために、ふつうの変圧器では鉄の管が何本もつけられた鉄の箱の中に、油づけにされています。




火力発電・原子力発電・地熱発電のしくみと特徴とは?

火力発電

日本は、むかしから水力発電の国でした。
しかし、電力の利用がさかんになるにつれて大きな水力発電所をつくる場所が、少まくなってきました。

また、日本の川に、夏と冬に水量がずっと減るので水力発電だけでは、電気が足りなくなります。
それで、電気的不足を補うために、火力発電所がつくられています。

火力発電は、蒸気タービンで、発電機をまわすのがふつうです。
燃料には、重泊・原油や石炭が使われています。

水力発電所は、たいてい山奥につくられていますが、火力発電所は石炭や重油を運ぶのに便利なように、海岸地方につくられています。

日本の工業地帯は、海岸ぞいに発達しているので電気をおくるのにたいへん都合がよいのです。

火力発電では、燃料の熱をできるだけ無駄なく使わなければなりません。

ボイラやタービンもだんだん改良されて、小さな火力発電所でもたくさんの電気を起こすことができるようになりました。

また、なるべく大きな発電機を使うほうが1キロワットあたりの費用が少なくてすむのでいまでは60万キロワットという大きな火力発電所ができています。

最近では、蒸気タービンのかわりにガスタービンを使う発電機もつくられています。

ガスタービンは、蒸気タービンより設備費が小さくてすみますが能率が低いので電気が足りなくなる夕方などだけに運転されています。


原子力発電

原子力発電は、原子の力を利用する、新しい発電方法です。

原子力発電は、ウランの原子が分裂したときに出す大きな熱を使って蒸気をつくり、あとは火力発電と同じように蒸気タービンで発電機をまわします。

ウランは自然の状態でも分裂を起こしますが1か所に集めると、分裂がさかんになる性質があります。
原子爆弾は、その特殊な例で、大爆発を起こすのです。

発電にウランを利用するには、いちどに爆発しないようしかもさかんに分裂を起こして熱を出すようにします。

その調節ができるようにしたのが、原子炉です。

原子炉は、ウランの燃料棒、熱を外にだす冷却系、核分裂をお越しやすくする減速材などを組みあわせてつくります。

燃料には、天然のウランか使うものや濃縮したウランを使うものなどがあります。

冷却方式には、ガス冷却方式・高圧水冷却方式のほか炉の中で水を沸騰させる方式などがあります。

現在では、これらの装置の改良やいろいろな組みあわせが開発されています。

ウラン235は、1キログラムが全部分裂したとすると石炭3000トンが燃えたときと同じくらいの熱量を出します。

ですから、一度原子炉をつくりさえすれば燃料を補給しないで、長い間運転ができます。
原子力発電は、これからの発電方法として、世界各国で研究されています。

世界最初の原子力発電は1951年にアメリカで出力100キロワットの発電に成功し実用的な発電は、1954年6月にソ連で出力5000キロワットの発電をはじめたのが最初です。

日本では、1963年10月に、原子力研究所の動力試験炉ではじめて2400キロワットの発電実験がおこなわれました。

そして、1965年には、茨城県東海村に建段された東海発電所で出力16万6千キロワッ卜の発電がはじめられました。

原子力発電は、原子炉からでる放射線による被害をなくすことが必要ですし燃料のウランが高くつくという欠点がありました。

しかし現在では、技術の進歩によって火力発電にちかい費用で電力がえられるようになっています。

地熱発電

地熱発電は、地下にたまった水蒸気や熱水を取り出しこれによって蒸気タービンをまわして発電する方法です。

地熱発電の方法には、地下から取り出した水蒸気で直接にタービンをまわす直接式、水蒸気の中の不純物を取り除くために、熱交換器を使って別の水蒸気を発生させてタービンをまわす間接式水蒸気をふくんだ熱水から蒸気を取り出してタービンをまわす熱水分離式などがあります。

イタリアやニュージーランドでは、早くから実用化されています。
日本では、岩手県にある松川地熱発電所(出力2万キロワット)大分県の大岳発電所(出力1万1000キロワット)があります。




水力発電のしくみと種類と方法とは? わかりやすく解説!

発電所

電気をつくりだすためには、発電機をまわす力が必要です。
発電機をどのような動力でまわすかによって水力発電・火力発電・原子力発電などいろいろな方法があります。

日本では、1952年ごろまでは、水力発電による発電量が火力発電による発電量より多く水主火従(水力発電による電気をおもに使い、火力発電は補助的に使うこと)の時代でした。

その後、効率のよい火力発電所がつぎつぎと建設され火力発電による発電量のほうがはるかに多くなり火主水従の時代になっています。

それから、発電の近代化を目指し、原子力発電所が各地で建設され日本でも、1973年には、およそ240万キロワッ卜の発電ができるようになる予定です。


水力発電

水力発電では、水車の回転で、発電機をまわします。
水車をまわすには、水の流れが必要です。

しかし、ふつうの川の流では、雨がふればたくさん流れ晴天が続くと水が減ってしまうので、電気を起こすにはいろいろと不便です。

それに、日本の川では、ふつう水の多い年と少ない年とでは水の量が3倍以上も違います。

そこで、たくさんの水があるところたとえば、大きな湖などから流れ出る川などを利用します。
そして、湖の出口に水門をつけ、水の量を調節しています。

ダム式発電所

湖がないところではダムをつくり、川をせき止めて、人工の湖をつくります。

ダムをできるだけ高くしてダムの下につくった発砲所に水圧鉄管を通して水を落とし発電するしくみになっています。

これがダム式発電所です。

ダムの高さが高いほど、たくさんの電気を起こすことができます。
また、大きな川をせきとめるには、横にも広くつくらなければなりません。

ですから、水力発電では、まずダムをつくることが大きなしごとになります。

ダムは、発電に利用するだけでなく川の流れを調節することができるので川下の水害や干害をふせぐのにも、役に立ちます。



水路式発電所

大きなダムをつくるかわりに本流とは別に流れのゆるやかな人工の川(水路)をつくってそれに導いた水を利用して発電する発電所を、水路式発電所と言います。

これは、流れのゆるやかな水路と流れの急な本流との高さの差を利用したものです。

高さの差が大きくなったところで鉄管で水を一気に落として、その力で発電機をまわすのです。

ダム水路式発電所

ダム式発電所と水路式発電所の両方の長所を備えた発電所がダム水路式発電所です。

この発電所は、ダムでせき止めた水を下流まで水路で導き高さの差を大きくしています。
黒部川第四発電所は、ダム水路暴発電所です。

揚水式発電所

ダム式発電所で、発電機を電動機として使い水車をポンプとして使えば、電気を起こすかわりに水をダムにためることができます。

このようにつくられた発電所を揚水式発電所と言います。

夜の余った電気を使って水をため、昼の必要なときに発電します。

落差

落差というのは、ダムの上と下の水面の高さの違いです。
発電所で起こる電力は、この落差と水量をかけあわせた数に比例します。

ですから、流れが急で水の少ない川の発電所と流れはゆるやかだが水の多い川とでは同じくらいの応力を出させることになります。

落差の大小により、発電機に使われる水車が違います。

落差の大きいところではペルトン水車、小さいところではフランシス水車やカプラン水車が使われています。

日本は山国なので、落差の大きい発電所はたくさんありますが水の量が少ないのがふつうです。

もしも、海の干満の差を利用した発電所ができれば落差は小さいけれど、水量が非常に多い発電所ができるはずです。

このような発電を潮力発電と言い、フランスにつくられています。




直流と交流とは?マイクロホンとは? わかりやすく解説!

直流と交流

電気には、直流と交流があります。

私たちが家庭や工場で使っている電気のほとんどは交流です。
それから、懐中電灯などに使う乾電池から流れでる電流は直流です。


直流

電池には+と-の極があり、電流は+から-の極にむかって流れます。

このように、電流の流れる方向がかわらないものを直流といいDCの記号であらわします。

電気分解やめっきをするときには、交流ではできません。
そのため、交流を直流にしてから使います。

また、電動機を非常に速く回転させたり回転速度を自由に調節することは、交流では難しいのです。

そのため、電車や電気機関車では交流を直流に直し直流電動機をまわして走ります。

交流

交流発電機のところで説明したように、界磁が回転すると電機子コイルには、方向が規則正しく変化する電流が流れます。

このような電流を、交流と言い、ACの記号であらわします。
交流の波の形を、交流波形と言います。

そして、この波形の山から山、または谷から谷までを一周波と言い1秒間の周波の数を周波数と言います。

そして、W波数はヘルツであらわします。

日本では、50ヘルツの交流れを使っているところと60ヘルツの交流を使っているところがあります。

コイルと交流

コイルに電流を流すとコイルには磁界ができます。
しかし、コイルに直流を流したときと、交流を流したときとでは交流を流したときのほうが電流が流れにくくなります。

これは、コイルに交流を流したときにはコイルが自己誘導という現象を起こしたからです。

コイルに交流を流すと、電流の向きと大きさが絶えず変化するのでコイルの中の磁界の強さが、電流の変化につれてかわります。

ところで、磁界が変化すると電磁誘導によって磁界の変化をさまたげるような向きに電流が流れます。

このように、コイルを流れる電流の変化によって起こる電磁誘導を自己誘導と言います。

そのため、コイルに交流を流すとコイルの自己誘導によって常に電流が変化するのがさまたげられ交流はコイルを流れにくくなりコイルは交流に対して抵抗としてはたらきます。



マイクロホン

マイクロホンは、音波を振動板に受けて、それを電流にかえるしくみです。

電磁誘導を利用したマイクロホンにはダイナミックマイクロホン(可動コイルマイクロホン)やリボンマイクロホン(ベロシティーマイクロホン)などがあります。

ダイナミックマイクロホン

ダイナミックマイクロホンのしくみは、磁石のN極とS極のあいだにコイルがまいてありこのコイルは、振動板の振動につれて動くようになっています。

音波によって振動板が振動すると振動板といっしょにコイルが振動するのでコイルには、磁石の磁界によって電流が生じます。

そのため、音波の振動にしたがった電流をえることができます。

リボンマイクロホン

リボンマイクロホンのしくみはアルミニウムなどのうすい金属のリボンが磁石のN極とS極のあいだにつるしてあります。

音波によってリボンが振動すると音波の変化にしたがった誘導電流がリボンに流れるようになっています。

ダイナミヅクマイクロホンもリボンマイクロホンも非常に感度がよくさかんに使われています。

とくにリボンマイクロホンは横からくる音にはあまり感じない性質があるので、対談の放送のときなどによく使われます。




原子磁石とは?直接発電とは? わかりやすく解説!

原子磁石

電子の運動

鉄が磁化することを、分子磁石という小さな磁石を考えて説明しましたが学問が進んで物質をつくっている原子の構造がはっきりしてくると原子1つ1つが小さな磁石になりうると考えられるようになりました。

原子は、中心に+の電気をもった原子核がありそのまわりを-の電気をもった電子がまわっています。

この電子の動きが、電気の流れ(電流)をつくりだすわけです。
しかし、原子が磁石になるのは、もう1つの原因があるのです。
それは、電子が自分で「こま」のようにまわっているためなのです。

この電子が原子孩のまわりをまわる運動を太陽のまわりをまわる地球の公転にあたるとすれば電子の「こま」のような迎動は、地球の自転にあたるわけです。

電子が自転すると、電子のもっている電気もまわることになります。

この場合も電流が流れる場合と同じように磁界をつくります。
そのため原子は磁石になります。
これを原子磁石と言います。

このように、金属が磁石になるのは電子の公転によるよりも、おもに自転によっているというわけです。


金属の結晶と磁石

ところで原子が磁石になるならば鉄が磁石になって、銅が磁石にならないのはなぜでしょう。

鉄・銅・銀などの金属は常温では結晶といって規則正しく原子がくっつきあってならんでいます。

ところが、この規則正しいならび方が問題なのです。

鉄の中の電子は自転の向きが、みんなそろっていますが銅の場合は、隣りどうしの原子で電子の自転の向きが反対のときに結晶ができるのです。

それで、銅の原子磁石は、隣りどうしで、互いに打消しあって全体としては磁石の性質が出てこないというわけです。

鉄の電子の自転の向きがそろっているならふつうの鉄は、なぜ磁石になっていないのでしょう。

金属の結晶は、ごく小さく、だいたい0.01ミリぐらいのものでこれを磁区と言います。
金属は、この磁区がたくさん集まってできているわけです。

以前、分子磁石について述べましたがこの磁区が分子磁石をさしていると考えればよいわけです。

分子磁石によって、磁石の説明をしたのはドイツのウェーバーという人ですが分子磁石にあたる磁区が確認されるようになって分子磁石の説が非常にすぐれた考えであったことがわかってきたのです。



直接発電

近頃、小型の通信機や人工衛星の電源としてかんたんで小型な発電機が必要になってきました。

そこで今までに考えられてきた方法を大きくわけると①熱エネルギーの利用、②光エネルギーの利用、③化学エネルギーの利用の3つになります。

MHD発電

ふつう、熱エネルギーで発電するには石炭・重油などを燃料にしていますが、能率があまりよくないのでそれにかわるものとして、MHD発電が研究されています。

MHD発電は2000℃以上に熱して電気を通すようにした気体を高速度で磁界の間に流すとファラデーの法則により図①のように電気を直接に取り出すことができます。

太陽電池

光エネルギーから、直接電気をおこす太陽電池は人工衛星の電源や無人灯台・無人無線中継所などの電源として利用されています。

太陽電池は、シリコンという物質にひ素をまぜてつくった結晶を輪切りにして、うすい板(基板)をつくりこの板の表面にほう素を染みこませてうすい膜をつくったものです(図②)。

太陽の光があたると、うすいまくが+極、基板が-極になって電気が起こります。

1つあたり、0.5ボルトの電気が起こります。

燃料電池

化学エネルギーを直接電気にするものに、燃料電池があります。
燃料電池にもいろいろなものが考えられていて図③は水素を燃料にした燃料電池のしくみです。

+極は炭素に銀や銅をふくませたもの-極は炭素に白金やバラジウムをふくませたものです。

これを、40~50%の水酸化カリウムの水溶液にひたし両側から、一気圧くらいの水素と酸素を吹き付けると約1.1ボルトの電気が起こります。




交流電動機・誘導電動機・同期電動機とは? わかりやすく解説!

交流電動機

交流電動機のおもな種類には回転磁界と、うず電流を使った誘導電動機と、回転磁界と電磁石の吸引力を使った同期があります。


誘導電動機

回転磁界の中に銅板をおけば、うず電流ができて電流と磁界との間に力がはたらくことは、まえに述べました。

もし、このとき銅板を回転しやすくしておけば銅板は回転する磁界にしたがって、ぐるぐるまわるでしょう。

これを応用したものが、誘導電動機(インダクションモーター)です。
回転磁界の中の銅板のかわりに、銅線でハツカネズミがぐるぐるまわす、かごのようなものをつくっておいてみても同じです。

かごはぐるぐるまわります。

かごの横棒には磁界の変化によってうず電流が流れ、それによってかごが回転するのです。

かごの回転がだんだん速くなり回転磁界の速さと同じになると、かごは磁界の変化を感じなくなります。
磁界の変化がなければ、うず電流は流れなくなり、回転力はなくなります。

しかし、かごの回転が遅くなってくると磁界の変化を感じることになり、また回転力が出てきます。

このようにして誘導電動機は回転磁界の速さより少し遅い速さでまわります。

回転磁界のまわる速さは交流電流の周波数(1秒間に電流の方向がかわる回数)と三相交流を流すコイルの数で決まります。

たとえば、まえの回転磁界の図からわかるように磁極をつくるコイルが3つあるときには、1ヘルツで1回転します。

このようなかご型誘導電動機は起動回転力(まわりはじめの回転力)は弱いのですがほかの電動機のように整流子などの火花のでる部分がなく鉱山などで使っても爆発の危険がありません。

また、構造がかんたんで壊れにくく家庭(冷蔵庫・井戸・扇風機など)や工場や農業用などの電動機のうちでは、もっとも広く使われています。



同期電動機

シンクロナスモーターとも言い、誘導電動機とは違って回転磁界の速さとまったく同じ速さで回転します。

磁界の中に互いに反対の磁極が向きあうように磁石をおいて外側の界磁のほうを回転させれば、NとSの吸引力によって中の磁石も回転します。

これが同期電動機の原理です。

磁針を使えば、この実験がかんたんにできます。
磁針に対して棒磁石の異なった極を近づけ棒磁石をうまくまわしてやると磁針がこれにつれてぐるぐるまわります。

まえの説明で、外側の磁石のかわりに回転磁界を使い内側に電磁石をおけばよいわけです。

回転磁界とまったく同じ速さでまわるので同期電動機は、電源の周波数が一定であれば回転数はいつも一定になるので、紡績機械や空気圧縮機・電気時計などに使われます。

同期電動機は、構造は交流発電機と同じで発電機として使っていたものを電動機として使うこともできます。




交流発電機・直流発電機とは?三相交流とは?

発電機

電磁誘導を応用して、機械エネルギーを電気エネルギーにかえるものを発電機と言います。
工場や家庭で使われる電気の大部分は、この発電機で起こされます。

発電機には、発電する電気の種類から交流発電機と直流発電機にわけられます。


交流発電機

発電機は、磁界をつくるための界磁(磁界をつくる部分)とコイルにあたる電機子からできています。

いま、A図の位置に磁石があるとき電機子コイル内に磁力線が4本できたとします。

磁石を回転させると、B図の位置では磁力線が2本になりさらに、C図の位置では磁力線はなくなります。

続いてD図の位置まで磁石を回転させると、磁力線の数はふたたび4本になりますが、A図とは磁力線の方向が反対になります。

このように磁石の位置で電機子コイル内の磁力線の数がかわります。
これをグラフにあらわしたのがグラフAです。

交流発電機では、界磁を一定の速度でぐるぐるまわすしくみになっていますから電機子内の磁力線の数は、時間とともにグラフBのようにかわります。

いっぽう、電磁誘導の原理から、コイルにできる電圧はコイル内の磁力線の変化が大きいほど大きくなるので電圧の変化は、グラフCのようになります。

グラフCでは、電圧の大きさがある方向(ここでは+の方向)の大きな値から、時間とともに0になり、つぎに-の方向の値となりふたたび0になって、これを繰り返すことをしめしています。

このように、電圧の向きが時間とともに規則正しくかわる電気を、交流電気と言います。
そして、交流電気をつくる発電機を、交流発電機と言います。

実際に使われている大きな発電機では界磁には電磁石を使っていますが、これは永久磁石ではだんだん力が弱くなりますしまた、界磁の強さをかえて電圧を変化させたいときがあるからです。

直流発電機

交流発電機によってつくられた電圧の変化はグラフDのように直すことができます。

つまり、一方向の電圧を、+の方向にかえたわけです。

こうすれば、でこぼこはありますが、電圧の方向はいつも+です。
このでこぼこを小さくすれば、直流の電気がえられます。

直流発電機のしくみは、交流発電機と反対に界磁が止まっていて、その中を電機子が回転するようになっています。

そして、電機子コイルは、半円周の金属板につながり止まっているブラシが、これをこするようになっています。

いま、A図では、金属板aにはブラシbが金属板a’にはブラシB’がつながっています。

電機子が回転して、B図のようになると金属板a’にはブラシbが、金属板aにはブラシb’がつながります。

つまり、金属板aとa’の間には電機子コイルと同じ交流の電圧があらわれますがブラシbとb’の間には、Dのような直流電圧(脈流)があらわれます。

実際の自流発電機では、数百個も金属板を使って電機子コイルとたくみにつなぎ、電圧のでこぼこを少なくしてなめらかな直流がえられるように、工夫しています。

模型用の電動機は、直流発電機としくみが似ていて直流発電機の図と同じようなしくみのものもあるし金属板が3個のものもあります。

この金属板は、交流を直流に直すはたらきをするので整流子と言います。



三相交流

私たちの家庭に送られてくる電気の電線はみな2本ですが工場に送られてくる高圧線の送電線はみな3本で1組みになっています。

これは三相交流と言って、下の図のようなしくみの発電機から取り出した電気を、送っているからです。

三相交流では、3本の電線に流れる電流の変化が図のA・B・Cのように、時間とともに規則正しくずれています。

3本の電線の電流は、どの時間をとっても+のものがあれば必ず-のものがあり、その合計はいつも0になります。

つまり、三相交流では、3本の電線で3種類の交流電気を送り帰り道を共通にすれば、帰り道には電線がいらないことになります。

ふつうの交流電気を3種類送るのに必要な6本の伝染にくらべて半分の3本ですむわけです。

さて、三相交流を使うと交流電動機などに使われている回転磁界をつくることができます。

三相交流電流IA・IB・ICを、コイルA・B・Cに流すとします。
すると、Aコイルの電流IAは、図のt1という時間に正の最大値となりAの位置にN極を生じます。

時間がt2になると、こんどはIBが正の最大値となりますからBコイルの位置にN極ができます。

つぎに時間t3になると、Cの位置にN極ができます。
時間t4では、IAがふたたび正の最大値となってAの位置にN極がもどってきます。

このように三相交流を使えば実際に磁石を動かさなくてもちょうど磁石を回転させたときと同じような磁界をつくることができます。

これを、回転磁界と言います。




電磁誘導とは?レンツの法則・フレミングの右手の法則とは?

磁石でつくられる電流

釘のような軟鉄の棒に、エナメル線をまいて電流れを流すと軟鉄の棒が磁石になります。

それで、この反対に磁石で電気を起こすことができないだろうかと考えたのが、イギリスのファラデーでした。

ファラデーは、つぎのような実験をして発電機の原理である電磁誘導を、1831年に発見しました。


ファラデーの実験

ファラデーのはじめの実験は、つぎのようなものでした。
下の図のように、鉄の輪のまわりに、A・B二組みのコイル(導線を螺旋状にまいた物)をつくりました。

Aのコイルは、スイッチを通して電池にBのコイルは検流計(わずかな電流でも感じるようにした感度のよい電流計)につなぎます。

① スイッチを入れたり、切ったりするとそのたびにコイルに電流が流れて、検流計の針が動く。

② スイッチを入れたときと、切ったときとではコイルBをながれる電流の向きが、反対になる。

このことは、検流計の針の動き方でわかる。

しかし、スイッチを入れたままでは、コイルBには電流が流れない。
この実験の結果を、ファラデーは、つぎのように考えました。

「スイッチを入れるとコイルAに電流が流れ、鉄の輪の中に磁界ができる。
スイッチを切ると、磁界はなくなる。

この磁界は、コイルBの中も通っているのでスイッチを入れたり、切ったりすることによってコイルBの中の磁界もできたりなくなったりする。

しかし、コイルBに電流が流れるのは、コイルの中に磁界があるかないかによるのではなくこの磁界が変化したかしないかによる。

そして、磁界が増えたときと、減ったときとでは反対の向きの電流が流れる」

このファラデーの考え方は、まえの実験の結果を、うまく説明しています。

電磁誘導

ファラデーの実験では、コイルに電流を流して、磁界をつくりました。
しかし、電磁誘導を起こすには磁界を変化させてやればよいのですから、もっとかんたんな磁界をつくる方法に、磁石を使う方法があります。

コイルのそばに磁石をおいて、この磁石を動かしても反対に、磁石をそのままにして、コイルを動かしてもやはり同じようにコイルに電流が流れます。

また、上の図のようにしてコイルに入れる磁石の動かす速さをかえたり、コイルのまき数をかえたりしてみると、コイルに流れる電流がかわり検流計の針の動き方がかわります。

磁石を動かす速さが速いほど、またコイルのまき数が多いほどコイルに大きな電圧が起こり、多くの電流が流れます。

このように、磁界の変化でコイルに電圧ができ電流が流れることを電磁誘導と言い電磁誘導でできた電流を誘導電流と言います。

発電機は、この電磁誘導の原理を利用して電気を起こしています。

いままでの説明から、電磁誘導を起こすための磁界の変化には2つの方法があります。

その1つは、2つのコイルを用いて、1つのコイルの電流を変化させてもう1つのコイルに交わる磁界を変化させる方法でありもう1つは一定の磁界(つくり方は、永久磁石でも電磁石でもよい)のもとでコイルの位置を変化させ、コイルと交わる磁界を変化させる方法です。

電磁誘導でコイルにあらわれる電圧は、磁界の変化に比例します。

このときに流れる電流は誘導電圧に比例し誘導電流が流れる回路の抵抗に反比例します。

レンツの法則

誘導電流の流れる方向は
コイルの中の磁界の変化をさまたげるような方向になります。
これはドイツの物理学者レンツが発見したので、レンツの法則と言います。



フレミングの右手の法則

右手の人さし指・親指・中指がそれぞれ直角になるようにして人さし指が磁界の向き、親指が導線の運動の向きとすれば導線の中には、中指のさす向きに電流が流れます。

このような法則を、フレミングの右手の法則と言います。

いままでは、電磁誘導を受けるものがコイルでしたがこれが1本の導線である場合にはフレミングの右手の法則にしたがった現象が起きます。

この場合、導線に生じた電流と磁界の間には力がはたらきます。
その力は、フレミングの左手の法則によるわけで導線の動く向きと反対向きにはたらきます。

言いかえると、導線の中を流れる電流は運動をさまたげる向きに流れるということができます。

ファラデーの実験では、1つのコイルの電流を変化させるともう1つのコイルには交わっている磁界の変化をさまたげるような向きに電流が流れます。

うず電流

電磁誘導を受けるものがコイルでも導線でもなく銅板であったら、うず電流という現象が起きます。

そこで、銅板のまえで磁石を動かす場合を考えてみましょう。
図のように、S極を左へ動かすとS極がまえのほうにフレミングの右手の法則により、回転するように流れるうず電流が生じます。

このうず電流は磁石の運動方向に対してまえのほうにS極がまた、うしろのほうにN極ができるような流れ方をします。

銅版を動けるようにしておけば、磁石のS極と銅板にできる極とが反発・吸引して銅板は左に動きます。

つまり、銅板が磁石に引かれる力となるわけでこれが誘導電動機の原理です。

実験

電気の実験で、電圧があるかどうかを調べるのに便利な器械に、テスターという検流計があります。

このテスターと模型用の電動機2個を使って、発電機の実験をしてみましょう。

左の図のように電動機2個の回転軸をつないでいっしょに回転するようにします。

まず、電動機に電池をつなぎ、それぞれまわることを確かめておきます。

図のように、1つの電動機の電機子は別に電池につなぎブラシの間にテスターをつなぎます。
テスターのつまみを直流電圧の1ボルトくらいの位置におきます。

別の電動機を電池につないで回転させるとテスターの針が、わずかですが動きます。
もし、反対方向に針が動くときには、テスターのつなぎ方を反対にします。

この実験から、電動機の界磁に電流を流しておき電機子を外からの力でまわすと電圧が起きることがわかります。

発電機のしくみは、このことを応用したものです。




電話のしくみとは?送信機と受信機のしくみとは?

電話

電信は、たいへん便利なものですが文字をいったんモールス符号にかえて、その符号をおくりこれをまた、文字にかえる必要があります。

もし、声または音を直接、電流にかえて送り電流から声または音を再生させることができれば、もっと便利です。

モースの電信機ができてまもなく、このような機械がアメリカのろうあ学校の先生をしていた、グラハム=ベルによって偶然に発明されました。


送話器

ベルが発明した送話器は電磁石のまえにうすい鉄板を測ったもので現在のものとあまりかわりません。

これは、音波によって鉄板が振動し、その振動で電磁石の中のコイルに電流の変化が起こるようになっていたのですがこれはあまり感度がよくなかったのでまもなく現在使われているような(エジソンが1876年に発明した)炭素送話器に置き換えられました。

炭素送話器は、アルミニウムの振動板のうしろにある炭素の粒が振動板の振動で強く押されたり、弱く押されたりします。

炭素の粒は、強く押されると電気抵抗が小さくなり弱く押されると抵抗が大きくなるので、電池につないでおくと流れる電流が大きくなったり、小さくなったりします。

送話器の2つの電極の間に、図のように炭素の粒をつめ電池と受話器につなぐと電池から流れる電流は送話器に入ってくる音の振動にしたがって強くなったり弱くなったりして流れます。

このようにして音は電流の変化にかえられ、受話器に伝わるのです。

受話器

送話器で音の振動にしたがって強くなったり弱くなったりした電流は音声電流とよばれます。

受話器には、U字型の磁石の先に電磁石を備え付けたものがおさめられています。
この電磁石のすぐそばに、うすい鉄板があります。

電磁石のコイルに音声電流が流れると磁石は強くなったり、弱くなったりします。

それにつれて鉄板が強く、あるいは弱くひかれるので音声と同じ振動をおこします。
これが空気に伝わり、送話器にむかって出された声と同じ声になるのです。

電話は電信と違って、直接、話ができるので、たいへん便利です。
そのため電話の数は、どんどん増えています。

自動交換機

はじめに電話局に交換手という人がいて電話のとりつぎをしていましたがその後、ダイヤルをまわすだけで相手をよびだせるようになりました。

これを自動交換機と言います。

これは、電磁石で接点を閉じたり開いたりすることによって動くもので、これも、電磁石の応用です。

この自動交換機は、一種のロボッ卜(人間のかわりをする機械)で現在大きな話題になっている、電子計算機は自動交換機の進歩したものということができるでしょう。




電信機のしくみとは?モールス符号とは? わかりやすく解説!

電信

電線を長くひっぱって、いっぽうのはしに電池とキー(電鍵)をおき、もういっぽうのはしに電流計(電流を測るもの、アンメーター)をおいてキーをとじたり開いたりすれば電流が流れたり流れなかったりします。

メーターのかわりにベルをおけば、ベルは、鳴ったり止んだりするわけです。

このように、電流を使って遠いところに音や符号を送って通信することを、電気通信と言います。


モールス符号

モールス符号は、短い符号(短点)と長い符号(長点)との組みあわせでいろいろな文字をあらわせるようにしたものです。

電信機のしくみ

電信機は、電磁石を使って、符号をうける機械です。
いちばん古いかんたんなものに、「カタカタ」と音がしてその音で符号を聞きわけたものです。

送信側でキーを押せば「カタ」と音がし離せばまた「ガタ」と音がするので「音響器」と言ってむかしの郵便局にあったものです。

電信機に電流を送るのには、2本の線がいりますが実際には、1本の線でつなぐようになっています。

もう1本の線のかわりに、アースといって、地面を代用させるからです。

1本の線の両方に送信機と受信機をおきしかも、同時に通信ができるような工夫もされています。

進んだ電信機

音で信号を聞くかわりに、これを紙の上に記録しておく電信機もあります。

これは細長い紙を決まった速さで走らせておき紙の上のペンが上下して、短点・長点を響くようにしたものです。

また、送信機のキーにあたるスイッチを機械で非常に早くたたかせて発信し紙の上にそれを機械でかかせて受信するという方法もできました。

いまではテレックスといって、送信側でタイプライターのような機械を打つと受信側のタイプライターと同じような機械がはたらいて紙の上に自動的に文字があらわれる便利なものもできています。

陸上の通信には電線が使えますが海洋をへだてた遠距離の通信では電波を使って電信を送ります。

これが無線電信で、世界中のどこでも通信できるようになっています。




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