電話のしくみとは?送信機と受信機のしくみとは?

電話

電信は、たいへん便利なものですが文字をいったんモールス符号にかえて、その符号をおくりこれをまた、文字にかえる必要があります。

もし、声または音を直接、電流にかえて送り電流から声または音を再生させることができれば、もっと便利です。

モースの電信機ができてまもなく、このような機械がアメリカのろうあ学校の先生をしていた、グラハム=ベルによって偶然に発明されました。


送話器

ベルが発明した送話器は電磁石のまえにうすい鉄板を測ったもので現在のものとあまりかわりません。

これは、音波によって鉄板が振動し、その振動で電磁石の中のコイルに電流の変化が起こるようになっていたのですがこれはあまり感度がよくなかったのでまもなく現在使われているような(エジソンが1876年に発明した)炭素送話器に置き換えられました。

炭素送話器は、アルミニウムの振動板のうしろにある炭素の粒が振動板の振動で強く押されたり、弱く押されたりします。

炭素の粒は、強く押されると電気抵抗が小さくなり弱く押されると抵抗が大きくなるので、電池につないでおくと流れる電流が大きくなったり、小さくなったりします。

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送話器の2つの電極の間に、図のように炭素の粒をつめ電池と受話器につなぐと電池から流れる電流は送話器に入ってくる音の振動にしたがって強くなったり弱くなったりして流れます。

このようにして音は電流の変化にかえられ、受話器に伝わるのです。

受話器

送話器で音の振動にしたがって強くなったり弱くなったりした電流は音声電流とよばれます。

受話器には、U字型の磁石の先に電磁石を備え付けたものがおさめられています。
この電磁石のすぐそばに、うすい鉄板があります。

電磁石のコイルに音声電流が流れると磁石は強くなったり、弱くなったりします。

それにつれて鉄板が強く、あるいは弱くひかれるので音声と同じ振動をおこします。
これが空気に伝わり、送話器にむかって出された声と同じ声になるのです。

電話は電信と違って、直接、話ができるので、たいへん便利です。
そのため電話の数は、どんどん増えています。

自動交換機

はじめに電話局に交換手という人がいて電話のとりつぎをしていましたがその後、ダイヤルをまわすだけで相手をよびだせるようになりました。

これを自動交換機と言います。

これは、電磁石で接点を閉じたり開いたりすることによって動くもので、これも、電磁石の応用です。

この自動交換機は、一種のロボッ卜(人間のかわりをする機械)で現在大きな話題になっている、電子計算機は自動交換機の進歩したものということができるでしょう。




電信機のしくみとは?モールス符号とは? わかりやすく解説!

電信

電線を長くひっぱって、いっぽうのはしに電池とキー(電鍵)をおき、もういっぽうのはしに電流計(電流を測るもの、アンメーター)をおいてキーをとじたり開いたりすれば電流が流れたり流れなかったりします。

メーターのかわりにベルをおけば、ベルは、鳴ったり止んだりするわけです。

このように、電流を使って遠いところに音や符号を送って通信することを、電気通信と言います。


モールス符号

モールス符号は、短い符号(短点)と長い符号(長点)との組みあわせでいろいろな文字をあらわせるようにしたものです。

電信機のしくみ

電信機は、電磁石を使って、符号をうける機械です。
いちばん古いかんたんなものに、「カタカタ」と音がしてその音で符号を聞きわけたものです。

送信側でキーを押せば「カタ」と音がし離せばまた「ガタ」と音がするので「音響器」と言ってむかしの郵便局にあったものです。

電信機に電流を送るのには、2本の線がいりますが実際には、1本の線でつなぐようになっています。

もう1本の線のかわりに、アースといって、地面を代用させるからです。

1本の線の両方に送信機と受信機をおきしかも、同時に通信ができるような工夫もされています。

進んだ電信機

音で信号を聞くかわりに、これを紙の上に記録しておく電信機もあります。

これは細長い紙を決まった速さで走らせておき紙の上のペンが上下して、短点・長点を響くようにしたものです。

また、送信機のキーにあたるスイッチを機械で非常に早くたたかせて発信し紙の上にそれを機械でかかせて受信するという方法もできました。

いまではテレックスといって、送信側でタイプライターのような機械を打つと受信側のタイプライターと同じような機械がはたらいて紙の上に自動的に文字があらわれる便利なものもできています。

陸上の通信には電線が使えますが海洋をへだてた遠距離の通信では電波を使って電信を送ります。

これが無線電信で、世界中のどこでも通信できるようになっています。




電磁石のそのほかの利用とは?電子顕微鏡・スピーカーのしくみとは?

電子顕微鏡

電磁石の性質は、電子顕微鏡にも使われています。
電子顕微鏡は、光のかわりに電子を使った顕微鏡で光で見えるものよりもっと小さいものを見ることができます。

光を使う顕微鏡で、レンズがする役目を電磁石がするのです。
光はレンズの中を通るとき屈折しますがこれと同じように、電子が磁界の中を通るときにも屈折します。

電子顕微鏡は、それを利用したものです。


サイクロトロン

原子核の研究に必要なサイクロトロンにも非常に強い電磁石が使われています。

イオン電流というものに磁界をはたらかせるとイオン電流は向きをかえます。

サイクロトロンは、その働きを利用したもので電磁石によりイオン電流に大きなエネルギーをあたえそれを原子核にあて、原子を分裂させたりして原子核の性質を研究する機械です。

スピーカー

このごろのラジオやテレビについているスピーカーはみなダイナミックスピーカーと言って電磁石または永久磁石の磁界の中に、可動コイルというコイルをおいたものです。

これに音声電流(音と同じ変化をする電流)を流すと、コイルが振動し、紙でつくった振動板が動いて、音や声がでるようになっています。

電流計と電圧計

電流や電圧の強さを測る電流計や電圧計も磁界と電流のあいだにはたらく力を利用したものです。

電流計は永久磁石の磁界の中に回転するコイルをおき、これに電流を流します。

コイルに流れる電流の強さによってコイルの回転する度合が違うので逆に、回転する度合によって電流の強弱を知ることができるのです。

電圧計は敏感な電流計(マイクロアンメーター)と直列に大きな抵抗を、つなぎあわせてつくったものです。




ベルとブザーのしくみとは? わかりやすく解説!

ベルとブザー

電磁石が、電流の流れるときだけ磁石になって鉄片を引きつけ電流を切ると引きつけなくなる性質を利用したものにベルとブザーがあります。


ベル

ベルのしくみは、図のようになっています。

乾電池の1つの極からでた銅線はボタンスイッチを通ってベルの1つの端子につながりこの端子は、電磁石のまき線につながっています。

電磁石のまき線のいっぽうのはしはねじ接点を通ってベルのいっぽうの端子に出てきます。

この端子から出た銅線が乾電池のもういっぽうの極につながっていて電流の流れる道をつくっています。

いま、ボタンスイッチを押すと電流が流れて電磁石がはたらき、そのまえにある鉄片をひきます。
この鉄片には、たたき棒がついているので、それがベルをうちます。

ところが、鉄片がひきつけられるとねじ接点がひらくようになっているので、電流が切れます。
電流が切れると電磁石ははたらかなくなるので鉄片はばねの力でもとにもどり、ねじ接点がくっつきます。

ねじ接点がつけば、また電流が流れて、はじめの状態になります。
これが何回も繰り返されて、ベルは鳴り続けるわけです。

このベルは、電磁石の性質をうまく利用したおもしろい機械ですがもっとも大切なことは電流が流れると接点がひらいて電流が流れなくなり、流れなくなると、接点がとじて電流が流れるようになるつまり、原因が結果を生じ、その結果がもとの原因を生じるということです。

この原理は、振動をつくりだす場合によく利用されているものです。

ベルの音の振動数

ベルは、ふつう1秒間に20回ぐらい鳴ります。
言いかえると、たたき棒は1秒間に20回振動します。
これは、なにによって決まるのでしょう。

まず電流が流れて、ネジ接点が切れるまでの時間は鉄片とたたき棒の重さが重いほど、遅くなります。

(これは慣性と言って、止まっているものはいつまでも止まっていようとする性質があり重いものほど慣性が大きいからです)

つぎに電流が切れて、鉄片がもとの位置にもどるまでの時間はばねが弱いほど遅いわけです。

このようにベルが1秒間になる回数は鉄片やたたき棒の重さが重いほどまた、ばねの強さが弱いほど少なくなります。

反対に、鉄片をかるく、ばねを強くすればなる回数が多くなるわけです。



ブザーのしくみ

ベルは、電磁石を使って鐘をたたくようにしたものですが。

ブザーは、電磁石で振動板をふるわせその振動を空気に伝えて、音を出すようにしたものです。

電磁石を使って振動させる方法はベルとほとんど同じですがその振動数が、ベルのたたき棒よりもずっと多くなっています。

これは、振動数が、1秒間に1000回から数千回の音がいちばん耳によく聞こえるからです。
そのため、ばねは、ベルより強いものが使われています。

ばねの強さを調整したり、ばねにつけた重りの大きさをかえたりすると、音の高さ(振動数)がかわります。

また、ばねの振動だけでは音が小さいので振動板の共振を利用して音を大きくするようにつくってあります。

ベルの場合も、音は、ばねや鉄片の振動で出るのではなくたたかれた鐘の振動によって出るので、この音の振動数はたたき棒の振動数よりも、ずっと高いものになっているわけです。




二極電動機・三極電動機の作り方とは? わかりやすく解説!

直流電動機(直流モーター)

電磁石を使った機械のなかで電動機は近代産業の原動力と言える、もっとも大事な機械です。
工場の機械が動くのも、電車が走るのも、電気洗濯機が動くのも、電動機のはたらきです。

電動機には、交流電動機と直流電動機があります。
ふつう使われているのは、すべて交流電動機ですがはじめに、理解しやすい直流電動機について述べましょう。


二極電動機の作り方

トタン板とエナメル線で、図のような二極電動機をつくってみましょう。
二極電動機はしくみはかんたんですが、力の弱い電動機です。

できあがったら、電池(3~4.5ボルト)につないでみましょう。
はじめに、指で少しまわしてやれば、くるくるとまわり続けます。

まわらないときは、コイルのまき方や整流子の接触をよく調べてみましょう。
界磁と電機子とが離れすぎているとまわりません。

二極電動機のまわるわけ

二極電動機の外側の電磁石を界磁、その内側でまわる電磁石を電機子と言います。
電機子の軸についていて、電機子のコイルに流れる電流の出入り口になっているものを整流子と言います。

図を見てください。

電機子が①のような位置にあるとき電流は、まき線の矢印の方向に流れ、界磁と電機子は、磁石となります。

このとき、むかいあった磁石の極どうしはNとN(またはSとS)になっているので同じ極どうしは退け合って、電機子は右へまわります。

電機子が②のところにくると、右側の界磁のSと電機子のNは引き合って電機子は、ますます右へまわります。

②から③にうつるところで、整機子が反対になるので電機子のコイルに流れる電流が逆になり、いままでNであった電機子の極が急にSになり③の状態になります。

①と③とはまったく同じような状態ですが、それは電機子がまだ半回転しかしていないのに、整流子は①と③では反対になっているからです。

このように、半回転で、界磁と電機子の極の関係はまた前と同じようになり、続けて右へぐるぐるまわるわけです。

二極電動機は、はじめ、指でまわしてやらないと、まわりださないことがあります。
これは、図のような、死点という状態があるからです。



死点のときは、図のように、電機子と界磁の極がNとS、またはSとS(またはNとN)のようにむきあって、吸引力または反発力の向きが電機子を回転させる方向にむいていません。

また、ブラシが2つの整流子にまたがって接触する位置では電流が、ブラシ→整流子→ブラシと流れて電機子には流れません。

死点または死点のすぐそばでは、回転力が0または非常に小さくなりますがいったんまわりはじめれば、勢いで死点を通り越してしまうわけです。

また、界磁はN・Sの極が常に一定ですから、永久磁石を使ってもよいわけです。模型の電動機には、そのようなものもあります。

このように、二極電動機のまわる原理は電磁石のあいだの吸引力・反発力によって回転迎動をおこさせるわけです。
しかし整流子がなければ、せいぜい半回転で止まってしまうでしょう。

整流子によって電流の流れる方向をかえ、電機子のN・Sの極を上手にとりかえて止まることなく回転できるようにしたのが、二極電動機です。

これまで、電動機の動くわけを電磁石と電磁石のあいだの力として説明しましたが図のように、磁界の中の電流にはたらく力としても説明することができます。

すなわち、①の状態では、電流は整流子C1からコイルをabcdの方向に通りますからまえに述べたフレミングの左手の法則で、コイルのcd部分には上向きの力がはたらき、abの部分には、下向きの力がはたらいて電機子は右に回転します。

半回転した②の状態では、電流は整流子がC2にかわっているのでやはり図のように右にまわる力がはたらいていて回転を続けます。

三極電動機の作り方

二極電動機は死点があるために、まわりはじめに指でまわしてやらなければならないような欠点があります。

この欠点をなくすために、三極電動機が考えられました。

三極電動機には電機子の極が3つあり、整流子も3つあって死点ができない特徴があります。まわる原理は、二極の場合と同じです。

立流電動機は電車によく使われていますが速度をかえるのに便利なことと、スタートのときの力が強いので電車の運転に適しています。

電車の電動機は多極電動機ですから三極電動機より力が強く、回転もなめらかです。

東海道新幹線では、交流き電方式といって、パンタグラフに送られる電気は交流ですが、列車の中で交流を直流にかえ、直流電動機をまわしています。

これは、電気を送るには交流のほうが便利がよいためです。
いっぽう、直流電動機は電車を動かすのに適しているからです。




フレミングの左手の法則とは?磁界の中で電流は力を受けるのはなぜ?

磁界の中で電流は力を受ける

まえに述べたように、磁針の近くにある針金に電流を通すと、磁針が動きます。
ところで、これは磁針が動きやすく、針金が動きにくい場合です。

逆に磁針のかわりに重い磁石をおき針金のほうを動きやすくすれば、針金のほうが動きます。

(これはニュートンの発見した作用反作用の原理で考えられます。
力というものは2つの物体のあいだに作用するものでAがBに力を及ぼすというときは、同時にBがAに力を及ぼしているわけです。

どちらが動くかは、動きやすいほうが動くわけで両方が同時に動く場合もあるわけです)

これはつぎのような電気ブランコをつくって実験することができます。


実験

下の図のように、馬てい形磁石を横にたおしてブランコの横棒が、磁石のN極とS極の真ん中にくるようにします。

ブランコのつなは、銅のやわらかいより線で、横棒は、やや太い銅線でつくります。
ブランコのつなを通して電流を流すとブランコが左右に動きます。
電池のつなぎ方を逆にすると、ブランコの動き方が逆になります。

また、電流の向きはそのままにしておいて磁石のN極とS極を逆にしても、ブランコのふれは逆になります。

フレミングの左手の法則

磁界の中で電流を流したとき親指と人さし指と中指を互いに直角において電流の向きが中指、磁界の向きが人さし指とすると、力の向きは親指の向きになります。

この法則を、フレミングの左手の法則と言います。
この法則は、右ねじを用いてつぎのようにあらわすことができます。

図のように磁界の向き(磁石のN極からS極へ向かう向き)と電流の流れる方向をそれぞれ、PS・PQとし、これに直角に右ねじをおいたときPQ(電流の向き)がPS(磁界の向き)に重なるようにまわすと右ねじの進む向きに力がはたらきます。




電磁石の性質とは?電磁石の強さとは? わかりやすく解説!

電磁石と永久磁石

電磁石をふつうの磁石とくらべると、つぎのような違いがあります。

① 電磁石は、コイルに電流を流したり切ったりしてかんたんに磁力を起こしたりなくしたりすることができます。

永久磁石はそんなわけにはいきません。一度吸いついた鉄の板を引き離すには、別の力が入ります。

② 電磁石の磁力は、コイルのまき数と電流の強さをかえることによって自由にかえられます。

永久磁石は、自由に強さをかえることはできません。

③ 電磁石にも、もちろん、N極・S極があります。

ところが、電池のつなぎ方を反対にして電流の方向をかえたりまた、コイルのまき方を反対にすると、N極とS極をかえることができます。

永久磁石はそういうわけにはいきません。


実験

2本の大きな釘を用意して、細いエナメル線を50回ぐらいずつまきます。
1つは右まき、もう1つは左まきにします。

これに2つとも釘の頭のほうが+になるように電流を通してみます。
ほかに永久磁石を用意して2つの電磁石のN極とS極が反対になっていることを確かめましょう。

つぎに、いっぽうの電磁石の電流の方向だけを逆にすると2つの電磁石の極は同じになるでしょう。

電磁石の強さ

電磁石の強さは、コイルのまき数と、コイルに流れる電流の強さの積に比例します。

2つの釘に50回ずつエナメル線をまき、いっぽうに電池を1個、もういっぽうに3個直列につないでみます。

このとき、電池3個のほうが強い電磁石になります。
これは、電池を3個直列につないだほうが電流が強いからです。

電磁石のコイルの中の鉄(これを鉄心と言う)は、鋼より軟鉄を使います。
もし鋼を使うと、電流を切っても、鉄心が磁石の性質を持ち続けます。

実験

2本の同じ大きさの釘で、電磁石を2つつくります。
いっぽうにはエナメル線を200回くらい、もういっぽうには50回くらいまきます。

これに電池をつないで電磁石をつくった場合、まき数の多い電磁石のほうがまき数の少ない電磁石より磁力が強いかどうかを調べてみましょう。

エナメル線の太さが同じ場合には、2つの電磁石の強さは、あまりかわらないはずです。
というのは、エナメル線の太さが同じなら、200回まいた場合のエナメル線の長さは50回まいた場合の4倍になります。

したがって電気抵抗が4倍になり、電池をつないだとき、電流が4分の1になります。

まえに説明したように、電磁石の起磁力は電流の強さとコイルのまき数に比例しますから、まき数を4倍にしても電流が4分の1なら、電磁石の強さを増す効果はありません。




電流が作る磁界とは?右ねじの法則とは? わかりやすく解説!

電流は磁界をつくる

まえに述べたように、磁針は磁石のそばで、その方向をかえますが19世紀のはじめに、デンマークのエルステッドという人は電流もまた、磁針をふらせることを発見しました。

それまで電気と磁気とはいろいろ似た性質があるのでなにか関係がありそうだとは思われていましたが、ここではじめて電気と磁気とのあいだに非常に深いつながりのあることがわかったわけです。


実験

板に穴をあけ、針金を板に垂直に通して、電流を通します。
この針金のまわりに小さい磁針を4つおいて、磁界の向きを調べてみましょう。

磁界の向きは、電流を中心とした同心円になっています。

磁界の向きは、磁石のところでわかったように磁針のN極の指す向きですから右ねじをまわす向きでこれは、右ねじの進む向きに流れる電流によってつくられたものです。

つぎに、丈夫な紙でつくった筒に細いエナメル線を300回から500回きちんとまき、それに電流を流して磁界を調べてみましょう。

すると、ちょうど棒磁石と同じような磁力線の図がつくれます。
この場合には、ねじの進む方向の磁力線が右ねじをまわす方向の電流によってつくられたことになります。

右ねじの法則

右ねじの進む向きの電流によって、右ねじをまわす向きの磁界ができ、また、右ねじをまわす向きにまいたコイルに流れる電流によって右ねじの進む向きの磁界がコイルにできることを、右ねじの法則と言います。

コイルに電流を流すと、電流のはたらきによりコイルのまわりに棒磁石がつくる磁界と同じような磁界ができます。



電流で鉄を磁石にする

コイルに電流を流すと、磁石と同じような性質があらわれることや磁石のそばに鉄をもっていくと、鉄も磁石になることをまえに述べました。

それでは鉄にコイルをまいて電流を流したら、鉄はどうなるでしょう。

実験

10~15センチぐらいの長さの釘とわりばしとを1本ずつ用意してそれぞれに太さ26番ぐらいのエナメル線を100回から200回ぐらいしっかりまきつけ、単一乾電池を2つか3つ使って電流を流してみましょう。

釘のほうは小さい釘を吸いつけますが、わりばしのほうは吸いつけません。

同じコイルに同じ電流を流しても、そのコイルの中に木があるか鉄があるかで磁力の強さが違うわけです。

これはコイルの中の鉄が磁石になって電流がつくる磁力に、磁石の磁力が加わるからです。

このような磁石を電磁石と言います。

このように電流によって鉄が磁石になるのは磁石によって鉄が磁化されたときと同じように鉄をつくっているたくさんの分子磁石が電流のつくる磁界によって一定の方向にならべられるからだと考えられます。




磁石の作り方とは?磁化とは? 永久磁石と一時磁石とは?

磁石の作り方

実験

縫い針を磁石のなるべく先のほうで、同じ向きに何度もこすります。

こすった縫い針を、針やクリップなどに近づけると、吸いつきます。
これは、縫い針が磁石になったからです。
細い糸でこの縫い針を水平につるすと、針は南北を指します。

鉄でできているものは、強い磁石に近づけたり磁石にこすりっけたりすると、磁石になります。

このような磁石の作り方はかんたんですが、あまり強い磁石を作ることはできません。
強い磁石は、あとで述べる電磁石と同じ方法で、コイルに電流を流して作ります。


磁化

鉄が磁石に引き付けられるのは、磁石の近くで鉄が磁石になるからです。
このような現象を磁化と言います。

この磁化現象は、なぜ起こるのでしょうか。
これは、ふつうの鉄にも分子磁石がたくさんあり、それぞれの分子磁石がふつうの状態では、決まった方向をむいていないので、磁力がありません。

ところが、これに磁石を近づけると、分子磁石の向きがそろい磁性をあらわすようになるからです。

この現象は、磁気誘導とも言います。

永久磁石と一時磁石

いろいろな鉄について調べると縫い針のような鋼はいったん磁石になると、なかなか磁性をなくしません。

釘のような軟鉄は、すぐ磁性をなくします。
鋼が磁化したものを永久磁石と言い、軟鉄が磁化したものを一時磁石と言います。

これは、分子磁石の動きやすいものとなかなか動きにくいものがあるからだと考えられています。

私たちが、実験に使う棒磁石や馬てい形磁石、また方向を決める磁針などは、みな永久磁石です。




磁石の性質とは?磁力・磁界とは? わかりやすく解説!

磁石の性質

物が落ちるのは、物と地球とのあいだに万有引力があるからです。
このことに気づいたのはイギリスのニュートンでした。

太陽や月や星の運動もこの万有引力によって説明されています。
しかし、机の上に2つの物をおいても万有引力で近づくということはありません。


星と星とか地球と物とか、いっぽう、または両方が非常に大きい物でないと万有引力も大きな力にならないからです。

ところが、小さい物どうしのあいだで引き合ったり、跳ね返したりする力がはたらく場合があります。

物が電気を帯びた場合(摩擦電気)と、磁気を帯びた場合です。
この2つの現象はむかし、古代ギリシアの時代からわかっていました。

電気は、こはくと絹を摩擦するとおきたので英語のエレクトリシティー(電気)という言葉はギリシア語のこはくという言葉からでたのです。

また当時、リディア(小アジア)のマグネシア地方から磁鉄鉱が出てこれが磁気をもっていたので、磁石をマグネットとよんだのだと言われています。

ところで、電気とか磁気とかいう名に、引っ張りあったり跳ね返したりする力の原因につけられたもので電気と磁気は全く別な現象として考えられていたのです。

その後、イタリアのボルタによって電池がつくられ電気の流れ、すなわち電流が発見されデンマークのエ-ルステッドは鉄に電線をまいて電流を通すと磁石がつくられることを発見しました。

こうして、電気と磁気は、非常に深いつながりのあることがわかってきたのです。

電流を通して磁石をつくり、それを利用した機械や器共には電信機・電動機・ベル・スピーカー・電流計・クレーンなど私たちの生活にかくことのできないものが、たくさんあります。

N極とS極

はじめに、いちばんかんたんな棒磁石について、その主な性質を調べてみましょう。

いま、鉄粉を棒磁石にふりかけてみると写真のように鉄粉は磁石の両はしだけにたくさん吸いつけられます。

また、釘を磁石に近づけると、両はしでは強くひきつけられ中央の部分ではなんの力も感じないことがわかります。

この磁石の力の強い両はしを磁極と言います。

実験

棒磁石と磁針を用意します。
磁針は、多くの場合、黒くぬったほうがN極で、北を指すはずです。

そこで、磁針の板に北(N)と書いてある方向に磁針を重ねれば磁針の板の東・西・南・北が、実際の方角をしめします。

ところで、棒磁石のN極を、磁針のN極に近づけると、どうなるでしょう。
磁針のN極は、棒磁石から遠ざかるようにまわります。

つぎに、棒磁石のN極を、磁針のS極に近づけると、磁針のS極が近よってきます。

棒磁石をもちかえて、S極でも同じような実験をすれば棒磁石のS極と磁針のS極は退け合い棒磁石のS極と磁針のN極は引き合うことがわかります。

このことから、同じ磁極(SとS、またはNとN)は退け合い違う磁極(NとS)は引き合うということがわかります。

そこで、S極にある磁気とS極にある磁気とは性質が違うので、N極にある磁気を+、S極にある磁気を-と言うこともできます。



磁力

まえの棒磁石と磁針を使った実験から、棒磁石のN極と磁針のN極、またはS極とS極は互いに退け合い、N極とS極は互いに引き合うことがわかりました。

このような磁石の力を、磁力と言います。

分子磁石

棒磁石を2つに折ると、2つの磁石になります。
折るまえに磁気のなかった真ん中のところにNとSがあらわれるのです。

また、これをさらに2つに折ると4つの磁石ができます。
縦割りしても、細長い4つの磁石ができます。
これを何回も繰り返したと考えてごらんなさい。

1つの磁石は非常に小さな磁石の集まりと考えることができます。
このように考えられた、非常に小さな磁石を分子磁石と言います。

この考え方は、あとに出てくる電磁石の説明に使われる大事な考え方です。

こんどは逆に、2つの磁石のNとSの極を引きあわせてくっつけてみると1つの磁石になってしまいます。

まえに棒磁石の真ん中には磁気がないと言いましたが実はそうではなくて、NとSの磁気が互いに打消し合っているのです。

それで、磁石は両はしにしかないように見えるわけです。

磁力線

磁石を乾いた砂の中に入れると、黒い粉がたくさんついてきます。
これは砂鉄と言って、細かい鉄の鉱石です。

砂鉄をガラス板の上にまいて、ガラスの下に磁石をおきガラスをかるくたたくと、写真のようにきれいな模様ができます。
よく見ると、砂鉄がつぎつぎとつながって曲線になっていることがわかります。

これを、磁力線と言います。

実験

白い紙の上に磁石をおいて、そのまわりの磁力線の様子を小さな磁針で調べてみましょう。
まず、どこでも磁石の近くに磁針をおきます。

説明の都合により、磁針の位置は磁石のS極よりはN極に近いとします。
磁針のN極の先にあたるところに、えんぴつで印をつけます。

つぎに、いま印をつけたところに磁針のS極がくるように磁針を動かしまたN極の先に印をつけます。
これを何回もくりかえし、印をつけた点をむすんでいくと磁力線を描くことができます。

こうして描いた磁力線は磁石の極と極とをむすぶ形となります。
そこで、磁力線の方向として、磁力線はN極からでて、S極に入ると決められています。
N極の磁気は+ですから、磁力線は+の磁気からでて、-の磁気に入るとも言えます。

磁界

磁石の力(磁力)のはたらいている範囲を、磁界と言います。
磁界の中に磁針をおいたとき、磁針のN極が指す方向が磁界の方向です。

砂鉄は1つ1つが小さい磁針と考えられ磁界の方向を指して模様をつくるのです。

地球と磁石

磁針の針が南北を指すのは地球自身が1つの大きな磁石になっているのではないか、ということが考えられます。

実際、地球は1つの大きな磁石で地球の北極の近くに磁石としてのS極があり、南極の近くにN極があります。

ですから、地球上では磁針のN極は地球の北極にあるS極と引き合って北を指すことになります。




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