キノコとカビの体のつくりと特徴とは? わかりやすく解説!

キノコの体

キノコをとってみると根もとのところに、糸のようなものがついています。
これは、キノコの体のもとになっているもので、菌糸と言います。


シイタケの体

シイタケは、シイ・ナラ・カシ・クヌギなどの枯れ木にできます。
食べるところは、かさと柄からできています。

これは菌糸から生長したものです。
そして、かさの裏には放射状のひだがあり、ひだの表面に、たくさんの胞子がついています。

スッポンタケの体

スッポンタケは、野山でよく見かけるものです。

はじめ、地面にやわらかいたまご形のものができ、やがてこれが破れて、中からキノコが出てきます。

かさは、くらい緑色で、つりがねの形をしています。

かさの表面には、網のめのようなひだがあり、粘液がついています。
この粘液の中に、胞子がたくさん入っているのです。

カビの体

カビも、キノコと同じように、体は困糸でできています。
菌糸は、細長い細胞が、一列につながったものです。

カビによっては、細胞と細胞とのあいだのしきりが、なくなったものがあります。



餅にはえるカビ

餅が古くなると青・赤・黒などの色をしたカビがはえてきます。
黒いのはクロカビで、青いのはアオカビ、赤いのはアカパンカビです。

これらの菌糸のあるものは、棒のようになって、その先にまるい胞子をつけています。
カビがさまざまな色をしているのは、この胞子の色なのです。

ムラサキホコリカビの体

腐りかけた材木などに濃い紫色のビロードのようなものがついていることがあります。

これがムラサキホコリカビです。

これには、カビという名がついていますがアオカどやクロカビと違って体は菌糸からできていないので本当はカビではありません。

ムラサキホコリカビのふつうの姿はどろどろした粘液が湿った材木などをゆっくりはっているのです。

これが生長して、体が乾くと柄のついた胞子のうをたくさんつくります。
ビロードの毛のように見えるのは、この胞子のうの集まりなのです。




シダとコケの仲間の体のつくりと特徴とは? わかりやすく解説!

シダの体

シダの仲間は、ワラビ・イヌワラビ・シノブなどの身近なものから私たちの見たこともないようなものまで、いろいろあります。

そして、これらは、それぞれ違った体つきをしていますが、もとになるつくりはあまりかわりません。

根を、ていねいに掘ってみると、地中に根茎がはっていて、これに細いひげ根がついています。

また、根茎のほかに、地上茎があって、カニクサのようにつるになるものや、ウラジロのように何年も枯れないもの、ヘゴのように木になるものなどがあります。

そして、たいてい鳥の羽根のような、羽状複葉となります。
その葉柄には、うろこのようなものが、ついています。

これらの葉のつきかた、その他は、すべて種類わけの手がかりになります。


胞子のう

イヌワラビやシノブなどでは、葉のうらのところどころに胞子の入った胞子のうというふくろが集まって胞子のう群をつくっています。

この胞子のうには柄がついていて、ふくろの表面は一層の細胞でできた、うすい膜になっています。
そして、胞子のう群は、包膜といううすい膜でおおわれています。

イノモトソウやワラビなどでは、葉のへりに、やはり包膜でつつまれた、胞子のう群がたくさんならんでいます。

ノキシノブやミゾシダなどのように、包膜のないシダもあります。

茎のつくリ

シダの仲間の茎も、木部と師部が集まって維管束をつくっていることは、花の咲く植物と同じですが、形成層がありません。

ワラビでは、維管束が、隣りのものとつながって網のめのようになっていますが種類によって、さまざまなならびかたをしています。

葉のつくリ

シダの仲間の葉は、花の咲く植物とあまりかわりません。
しかし、表皮にも葉緑体があることが、たいへん違っています。

スギナの体

春になると、野原などに、ツクシがでてきます。

これは、スギナの胞子をつくる特殊な茎で、かっ色のりん片状のものが葉にあたります。

ツクシの先にある長楕円形の部分が胞子のうの穂で、これは六角形をしたたてのようなものが集まってできています。
この六角形のものの裏側に、たくさんの胞子のうがついています。

胞子は、この胞子のうの中に入っているのです。
ほかのシダの胞子と違って、4本の糸をもっています。

この糸は空気が乾くと伸びて湿ると縮み、この運動で胞子は飛び散ります。

スギナは、ふつうのシダの体(栄養体)にあたり、ふしからは、放射状に細い葉が出ています。

そして、光合成はおもに茎でおこないます。

コケの仲間の体

コケの仲間は、種類によってさまざまな形をしています。
そして、スギゴケの仲間のほかは茎・葉・根の区別がはっきりしていません。

スギゴケの体

スギゴケは茎・葉・根からできていますが茎には道管や師管がなく、葉には葉脈がありません。

根が仮根と言って、細胞が1列にならんでいるか、それが枝わかれしているかだけで道管も師管もありません。

スギゴケは、茎の先に長い柄をだして、その先に、帽子のようなものをかぶった、胞子のうをつくります。

この中に、胞子がたくさん入っています。

スギゴケの仲間には、おすのかぶと、めすのかぶが別々になっているものがあります。

このようなものでは、めすのかぶだけに、胞子のうができます。

ゼニゴケの体

ゼニゴケには、葉と茎の区別がありません。平たい葉のようなものと、根があるだけです。

葉のようなものには、葉脈がなく根も仮根で細胞が一列につながっているだけです。

ゼニゴケにも、おすのかぶとめすのかぶとがあります。

ウメノキゴケの体

ウメノキゴケは、ウメの幹などについていて、広がっています。
体は平たい葉のようなものだけで、根も茎もありません。

これは、コケといっても、ふつうのコケではなく、モとカビがいっしょになり、カビがモをつつんでいるのです。

このような仲間は、地衣類と言います。




葉のつくりとは? 表皮・気孔・水孔とは? わかりやすく解説!

葉のつくり

葉は、でんぷんなどの養分をつくったり、呼吸をしたり体の水分を調節したりするなど、大切なはたらきをしています。

また、このほかに、形をかえてさまざまなはたらきをしています。

このようなはたらきをする葉は、どんな形やつくりをしているでしょうか。

葉は、葉身・葉柄・たく葉(そえ葉)の3つの部分からできています。
たとえば、サクラの葉をとってみると平たい葉のおもな部分が葉身で葉の柄のところが葉柄です。

そして、たく葉というのは葉柄の根もとにある小さな2枚の葉のことです。

たく葉は、たいていのものにありますが、これをもっていない植物や、あってもはやく落ちるので目立たないものもたくさんあります。


表皮

葉を横切りにしてみると、葉のいちばん外側に、うすい表皮があるのがわかります。
この表皮に囲まれた中の部分を葉肉と言います。

表皮は、一層の細胞からなり外側の細胞膜は、内側のよりも厚くなっています。

この表皮の外側が、カシやシイなどの葉のように、とくに硬くなったものをクチクラ(角皮)と言います。

また、この細胞膜にろうがふくまれているとツバキの葉のように、硬くて、つやのある葉になります。

この表皮の細胞には、葉緑体はふくまれていません。

気孔

たいていの植物では、葉の裏側の表皮のところどころに気孔という穴があいています。

これは、呼吸や光合成のとき、酸素や二酸化炭素を出し入れしたり体の水分を水蒸気として外に出すところです。

この気孔の入り口には孔辺細胞という特別な形の、2つの細胞があります。
この孔辺細胞は、ふつうの表皮の細胞とは違って葉緑体をふくんでいます。

孔辺細胞は、水分が多くなってふくらむと、2つの細胞が外側に曲がり気孔を広げ、水蒸気が外に出やすいようになります。

水分が少なくなると、もとにもどって気孔を閉じ水蒸気が外にでないようになります。

このような気孔のはたらきによって葉の中の水分を調節することができるのです。

水孔

夏の朝などに、イネやタケなどの葉のふちに水玉がついていることがあります。
これは、葉のふちにある水孔という穴から出た水です。

水孔は、気孔に似た形をしていますが葉身のふちにあって、葉脈のはしに口をあけています。
そして、気孔とは違って口を開閉することはできません。

植物が、生活に必要な養分や水分を、根から吸収して茎の先端まで上げるためには葉から水を蒸散させなければならないのですが気孔が閉じているときには、気孔から水を蒸散させることができません。

こんなときは、葉脈を通して、水孔から液体のままで押し出すのです。

葉の内部

葉の内部を見ると上のほうに縦に細長い細胞がぎっしりつまっています。

下のほうになるにつれ、いろいろな形の細胞が網のめのようにつながり、隙間が多くなっていて、気孔を通して外の空気に通じています。

葉の内部の細胞は、みな葉緑体をもっていて、光合成をしています。
葉が緑色に見えるのは、この葉緑体のためです。

葉のすじ

葉のすじ(葉脈)は養分や水分の通り道で茎の維管束につながっています。

イネ・ササ・チゴユリのように、このすじが平行しているものを平行脈と言い、これは単子葉柆物の特徴の1つになっています。
バショウ・ショウガなどのように横の方向に平行しているものもあります。

また、すじが網のめのようになっているものを網状脈と言いキク・サクラ・ヒイラギなどに見られます。

葉ならび

葉が、茎につく様子を、葉ならび(葉序)と言います。

茎のふしに、葉が1枚ずつついているものを互生(アサガオ・ドクダミ・サクラ・テッポウユリなど)2枚ずつ向きあってついているものを対生(ハコベ・ナデシコなど)3枚以上の葉が、1つのふしについているものを輪生(ヤエムグラ・ツリガネノウ・クロモなど)と言います。



葉の形

葉は、植物の種類によってさまざまな形をしていますがふつうは1本の葉柄に1枚の葉(葉身)がついており、これを単葉と言います。

また、葉身いいくつかの小さな葉(小葉)にわかれているものを複葉と言います。

複葉でも、バラやサンショウのように、葉柄が羽根のように枝を出し、これに小葉がついているものを羽状複葉と言います。

アケビやトチノキのように葉柄の先に小葉がたくさんついて手のひらのようになったものは掌状複葉と言います。

また、葉のへりには、滑らかなものと、いろいろな形の切れ込みのあるものとがあります。

葉身の形も、マツのような針形、エンドウのような長円形、シュウカイドウのような心臓形、ニセアカシアなどのようなたまご形、スミレのようなさじ形など、さまざまなものがあります。

葉のかわったもの

葉には、特別なはたらきをするために姿をかえてしまったものがあります。
エンドウのまきひげ、サボテンのとげ、タケノコの皮などは、みな葉のかわったものです。

また、モウセンゴケ・タヌキモ・ムジナモ・ウツボカズラなどの食虫植物の葉は、小さな虫をとらえるために特別な形になり捕虫葉と言われています。

珍しい葉

食虫植物のウッボカズラの葉(捕虫葉)は、先がふくろになっています。
そして、その底に液体があって、中に入った虫は、この液体で溶かされ、養分にされてしまいます。

また、イシコロマツバギクは南アフリカの強い日光が直射する乾燥地にはえますが葉が水をたくわえてまるくなり表面が茶色で、まわりの小石と区別できないくらい、よく似ています。

ウェルウィッチアも、アフリカの砂漠にはえていて2枚のベルトのような葉をだしますが、この葉は年々生長して長さ2メートルくらいにまで伸び、100年以上も生きています。




茎の形とは?芽・節・つるとは? わかりやすく解説!

茎の形

茎は、芽・花・葉などをつけて、上へ上へと伸びていきます。
茎を手にとってみると、これらのものが、みな規則正しくついていることがわかります。

茎は、1本だけで枝わかれのしないものもありますが、たいていの植物は枝わかれしています。

枝は、わき芽が伸びたものですが長く伸びた長枝と、あまり長くならない短枝とがあります。

マツやイチョウなどの枝は、毎年、規則正しく伸びていくので前の年の葉や枝のあとを調べれば1年間に伸びた枝の長さがわかります。


茎や葉・花のもとになるものをふくむものを芽と言います。
芽には、茎の先につく頂芽と、わきにつくわき芽とがあります。

そして、これらの芽の・うち、やがて花になるものを花芽、葉になるものを葉芽と言います。

また、頂芽とわき芽をふくめて定芽、茎の先や葉のわきにできる芽以外のものを不定芽とわけることもあります。

多年生の草や木は、冬を越すために芽をりん片でつつみますが、このような芽を冬芽と言います。
草などで、その年にでて冬を越さない芽は、夏芽と言います。

茎や枝が伸びるのは、芽の中に生長点というところがあって、ここでどんどん細胞か増えるからです。

ふし

風で倒されたムギなどの茎が、いく日か経つと起き上がっているのを見ることがあります。

イネ・ムギ・タケなどの単子葉植物の茎には、ところどころにふしがあります。

ふしのところは、少し太くなって、ここに葉がついています。

ふしのすぐ上には、細胞の増えるところがあるので茎が横倒しになるとここの細胞かさかんに増え、茎は、ふしのところから、起き上がることができるのです。

このように、ふしのところで細胞が増えるのは、単子葉植物の特徴です。

しかし、双子葉植物や裸子植物でも葉が茎についているところを、ふしと言います。

スギやヒノキの板などを見ると円形のふしがあります。
このふしは、幹からわかれた枝のあとです。

木のふしのところをたて切りにしてみると幹から枝のわかれる様子が、よくわかります。

草と木

草は、地上の茎が細くて、やわらかく、だいたい1年ぐらいしか生きていません。

種から芽を出して、しばらく生長すると、もう、それからは枯れるまで、あまり姿がかわりません。

イネ・ムギ・タケなどの茎は、中に穴があいていて、ところどころにふしがあり、枯れるまで太さがかわらないので、とくに、かんと言います。

木には、マツ・スギ・サクラなどのように幹が太くて高くなる高木とツツジやアジサイのように、幹のもとから、たくさんの枝を出した丈の低い低木とがあります。

つる

木や草には、つるを伸ばすものがありますが、つるといっても形はさまざまです。

つるには、まきひげ・付着根・とげなどで、ほかのものにまきつくよじのぼり茎(ブドウやツタなど)や直接、ほかのものにまきつく、まきつき茎(アサガオやヤマノイモなど)などがあります。

また、茎から出た枝が、地面をはって、ところどころで根や葉をだす走茎(オランダイチゴやヘビイチゴなど)もあります。

つるがまきつくものでも、アサガオのように左まきのものと、フジのように、右まきのものとがあります。

上から見てつるの先が時計の針と同じ方向に進むものが右まきで、これと反対のものが左まきです。

また、なかには、左右どちらにもまきつくものがあります。



茎のかわったもの

茎を大きくわけると、地上茎と地下茎になります。
地上に出て枝や葉を伸ばし、花を咲かせるのが地上茎です。

地下茎は地中に埋まっていて水分や養分をたくわえたり仲間を増やしたりする役目をします。

茎のなかには、特別のはたらきをするために、いろいろと形のかわったものがあります。

根茎

地下茎が横にはって、たくさんの根を出すもの。(タケ・ハス・スギナなど)

槐茎

地下茎に養分がたくわえられて、まるいかたまりのようになっているもの。(ジャガイモ・クワイなど)

りん茎

茎が小さくなって、葉に養分がたくわえられているもの。(タマネギ・ユリ・チューリップなど)

吸ばん

茎がほかのものに吸いついて、体を支えるはたらきをしているもの。(ツタ)

まきひげ

茎が、ほかのものにまきつく役目をしているもの。
(ヘチマ・ブドウなど)エンドウのまきひげは茎ではなく葉のかわったものです。

むかご

葉のわきの茎の一部に、養分がたくわえられてたまになったもの。(ヤマノイモ・オニユリなど)

とげ

枝があまり伸びないで先が針のようにとがったもの。(カラタチ・サイカチなど)

葉状茎

茎がひらたくなって葉のように見えるもの。(ナギイカダ・カニサボテンなど)

多肉茎

茎が水分をたくわえるように、厚くなっているもの。(サボテン)






茎のつくりとは? 茎と根の違いとは? 年輪・仮道管・樹脂道とは?

茎のつくり

草などの茎を切ると、切り口から、汁が出てきます。
この汁は、根から吸いとった水分や養分と、葉でつくられた。

養分をふくんだ水分などです。

茎は、これらのものが体のいろいろなところに運ばれるときの、通り道になるのです。

このような、大切な役目をする茎は、どんなつくりになっているか、くわしく調べてみましょう。


表皮・皮層・中心柱

サクラ・タンポポ・マメなどの双子葉植物やマツ・イチョウなどの裸子植物では、茎の表面に表皮という一層の細胞があります。

そして、その中に皮層と言う、やわらかい細胞でできた部分があります。
また、皮層の内側には中心柱という部分があります。

これらのつくりは、根と同じです。

木部・師部・形成層

中心柱のいちばん外側には、内皮と言う一層の細胞の層があり、その内部には、木部と師部とがあります。
それらのならびかたは、植物の種類によってさまざまです。

木部には、道管という、横のしきりのない管があって、根から吸いあげた水分や養分が、ここを通ります。

師部には、師管という網めのようなしきりが、ところどころについた管があります。

師管は、葉でつくられた養分を通す役目をしています。
これらのつくりも、根にあるものと同じです。

しかし、茎にある、木部と師部とのならびかたは、むかいあっていることもあり、木部のまわりを師部がとりまいていることもあり、植物の種類によって、さまざまですが、いずれも根とは、違ったならびかたをしています。

木部と師部とのあいだには根と同じように形成層と呼ぶ一層の細胞の層があります。

この細胞が分裂して木部の細胞や師部の細胞が増え茎はしだいに太くなっていくのです。

これらの木部・師部・形成層でひとかたまりになっているところを維管束と言います。

茎と根の違い

茎と根は、ひとつながりになっているので、どこまでが根で、どこから茎なのか、はっきり言うことは、難しいのです。

しかし、大きくわけて、つぎのように区別することができます。

① 茎には葉がつきますが、根には葉がありません。
② 茎と根とでは、道管や師管のならびかたが違っています。



単子葉植物の茎

イネ・ムギ・タケなどの単子葉植物の茎は内側に木部、外側に師部がありますが、そのあいだには形成層がありません。

双子葉植物や裸子植物では形成層で細胞が分裂して増えていくので茎が太くなっていきます。

しかし、形成層のない単子葉植物では茎は、はじめから、ほとんど太さがかわりません。

たとえば、タケノコは、どんどん伸びますが若いうちでも伸びきってしまってからでも太さは、ほとんど同じです。

木の幹

木の幹では、形成層が、さかんに細胞をつくって、だんだん太くなっていきます。

ところが、表皮は、細胞分裂をしてふとることができないので、やがて破れてしまいます。

また、そのころになると表皮のすぐ下にコルク形成層ができるので表皮ははがれ落ちてしまいます。

コルク形成層は細胞分裂をすることができ外側にコルク層という硬い層をつくって幹を保護し幹が太くなると、それにつれて、たくさんの細胞をつくります。

この形成層より外の部分を、樹皮と言います。
木が年をとって、しだいに樹皮が厚くなると幹が呼吸しやすいように、ところどころに、皮目という穴があきます。

サクラの幹などには、この皮目がよく見られます。
木の幹から、樹皮をはぎとった部分は、材と言います。

材の中心は心材または赤身と言い、濃い色がついていて硬くなり、死んだ細胞からできています。

そのまわりの、色のうすいところは辺材または白太と言い、やわらかい生きた細胞でできています。

根から吸いあげられた水分や養分は、この辺材の道管を通って、上にのぼっていきます。

仮道管・樹脂道

ふつうの木の材にある細胞は、おもに道管です。

しかし、マツやスギなどの裸子植物では道管がないかわりに仮道管という管があります。

仮道管は、道管と同じようなはたらきをします。
中に上下のしきりがあり、横に平たい穴で上下の細胞がつながっています。
仮道管も、死んだ細胞です。

また、マツやウイキョウなどの幹や枝には、たくさんの枝わかれした管が通っています。

この管は樹脂道と呼ばれ、中に樹脂をたくわえています。
ですから、このような木の幹や枝に傷をつけると、樹脂が出てきます。

年輪

サクラ・マツ・スギなどの木になる植物では形成層の細胞の増えかたが、とくにさかんです。

そして、春から夏にかけては細胞膜のうすい大形の道管ができ夏から秋にかけては細胞膜の厚い小形の道管ができます。

しかし冬は気温が低いために、体のほかの部分と同じように形成層も、はたらきが衰えてしまいます。

このために、新しい道管は、ほとんどつくられません。

春から夏にかけてできた部分を春材、夏の終わりから秋にかけてできた部分を秋材と言います。

幹を輪切りにしてみると、濃い色をした筋が見られますが、この筋のところが秋材です。

年輪というのは、1年間にできた、春材と秋材の輪のことです。

秋材のすじは、1年に1本ずつできるので、このすじを数えれば、その木の年令がわかります。

熱帯地方では、四季の区別がないために、年輪はできません。

しかし、雨の多い雨期と雨の少ない乾期との区別があるために、この2つの気候の違いによって、年輪に似たものができることもあります。




根のつくりとは? 表皮・皮層・中心柱とは? わかりやすく解説!

根のつくり

種をまくと、芽がでるまえに、まず、根がでます。
この根は、植物の体を支え、土の中から大切な養分を水といっしょに吸いとって、体のいろいろなところにおくります。

このように大切なはたらきをする根は、どんなつくりになっているのか調べてみましょう。


表皮・皮層・中心柱

根のいちばん外側には表皮とよばれる一層の細胞があって根をつつんでいます。

表皮の内側には、やわらかい細胞が、ぎっしりつまっていて、これを皮層と言います。
さらに皮層の内側には、中心柱という部分があります。

中心柱は、内皮とよばれる一層の細胞で、外側がつつまれています。

植物によっては中心柱のまん中に、ずいというやわらかい細胞の集まりをもつものもあります。

木部・師部

中心柱には木部という部分と師部(または師管部)という部分があります。
木部は、木質部とも言われています。

この木部と師部は、互い違いにならんで輪のように中心をとりまいています。

木などの根のように、年ごとに太くなる根では木部は内側に師部は外側にうつり、ずいを中心にして木部と師部がむかいあった形で放射状にならんでいます。

木部は、おもに道管(細長い細胞が管のようにつらなったもの)からできています。

この細胞は死んでいる細胞で中身はなくなって細胞膜だけが残ったものです。

そして、この細胞膜にはいくつもの穴があいていて水などが通りやすいようになっています。

また、道管と道管とのあいだには繊維や、やわらかい生きた細胞があります。

マツ・スギなどの裸子植物では、道管はありませんが道管と同じようなはたらきをする仮道管というものがあります。
仮道管も、管のように細長い細胞かつらなってできたものです。

師部は、師管という細長い細胞と、やわらかいふつうの細胞と、繊維とがまじってできたものです。

師管の上下のしきりの膜は師板とよばれ、ふるいのようにたくさんの穴がおいていて養分が通りやすくなっています。

植物によっては左右の壁にも穴があいていて師板になってしまったものもあります。
師管は、道管や仮道管と違って、生きている細胞です。

形成層

木の根のように、年ごとに太くなっていくものでは木部と師部とのあいだに、形成層という一層の細胞があります。

この細胞は、さかんに分裂して、内側に道管などの木部の細胞をつくり、外側に師管などの師部の細胞をつくっていきます。

こうして、根は、しだいに太っていくのです。

根のかたち

根のいちばん先には、根冠という部分があり帽子のように根の先を保護しています。
根冠のすぐ上には、生長点という部分かあります。

生長点の細胞は、さかんに分裂して先のほうに伸びていくので根はしだいに長くなります。

また、根の先近くには、細い毛がたくさんはえています。
この毛は根毛とよばれ、ここから地中の水分や養分を吸いとっています。



根のいろいろ

種の中の胚のうち、根になる部分を幼根と言います。
幼根が育つと、主根という太い根になります。
主根からは、横のほうへ側根という枝根がでます。

イネ・ムギのような植物では、主根が発達しないかわりに側根がたくさん出て、ひげ根とよばれています。

このように、胚の幼根からできる根を定根と言います。

よく生長した茎や葉などからも根が出てくることがありますが、これを不定根と言います。
さし葉やさし木によって出てくる根も不定根と見られています。

かわった根

根のおもなはたらきは、地中の水分や養分をとることと植物の体を、しっかり支えることです。

このほか、根には、つぎのようなはたらきをするものがあります。

塊根

地中に埋まっていて、養分をたくわえるための根で貯蔵根とも言います。
サツマイモ・ダリア・シャクヤクなどは、塊根をもっています。

気根

地上にある茎、ときには葉などからでる不定根や地中の根がとくに地上に伸びてきた根のことで、つぎのようなものがあります。

①吸水根

幹から垂れ下がって、空気中の水分を吸う根でセッコウ・タコノキ・アダンなどに見られます。

タコノキ・アダンなどでは、吸水根が地中にまでとどき、幹を支えるはたらきもしているので支柱根とも言います。

②付着根

キヅタ・テイカカズラのようにつるになる植物では、ほかのものにくっつくために、茎のところから根をだします。

このような根を付着根と言います。

③寄生根

ほかの植物の幹や根に入りこんで、それから養分を吸いとるための根です。
ヤドリギ・ネナシカズラなどの寄生植物の根は、寄生根です。

④呼吸根

マングローブ・ミズキンバイ・ラクウショウなどの水生植物では根を空気中に出して呼吸します。

このような根を呼吸根と言います。

水中根

ウキクサやヒンジモのように水に浮かぶ植物では体のつりあいを保つために、水中に長レ根を伸ばしています。

このような根を水中根と言います。




実の種類とは? 種のつくリとは? 種と実の違いとは?

実のいろいろ

植物の実は、種類によっていろいろな形をしています。

これを、実のできかたやふくまれている水分の多少から、つぎのようにわけることができます。


単果・複合果・集合果

実は、そのできかたから見て、3つにわけられます。

モモ・リンゴ・ブドウなどのように1つの花から1つの実ができるものを、単果と言います。

キイチゴやキツネノボタン・ダイコンソウなどは1つの花からたくさんの実ができますが、これを複合果と言います。

パイナップル・クワ・イチジクなどのように、たくさんの花が集まって1つの実ができるものは集合果と言います。

液果と乾果

実は、ふくまれている水分によって液果と乾果にわけることができます。
モモ・リンゴ・ミカンなどのように肉が厚く、水分の多い実が液果です。

また、イネ・ムギ・マメ類のように熟すと乾いて水分の少なくなるものを、乾果と言います。

果物はたいてい液果で、穀類はみな乾果です。

おもしろい実

イチジクの食べるところは花たくで、とくに、いちじく果というふくろになっています。
この中には、め花とお花が別々になってついています。
ですからイチジクの食べるところは、実とも花とも言えるのです。

クリのいがは、総包と言われるつつみで中にあるクリの実の硬い皮は、子房がかわったものです。

この皮より内側の部分が種にあたり、中には、子葉と若い芽があります。
また、実の先のとがったところは、花柱のあとです。

トウモロコシの種は、子房が熟したもので、実にあたります。
中には胚珠からかわったでんぷん質の胚乳と芽があり、これが種にあたります。

種と実の違い

まえにも説明したように、種は、胚珠がかわってできたものであり、実は、子房やそのほかの花の部分がかわってできたものです。

ですから、もとのものがなんであるかを調べれば種と実の区別がわかるわけです。

種(種子)

花の咲く植物は、ほとんどのものが種をつくります。
そして、シダやコケのように花の咲かない植物は、種をつくりません。

それで、花の咲く植物のことを種子植物とも言います。



種のつくリ

めしべに花粉がつき、子房の中の胚珠で受精がおこなわれると胚珠は生長して種になります。

種は、外側に種皮とよばれる皮をかぶっています。
この種皮は、胚珠の皮(種皮)がかわったもので種皮の内部には、ふつう胚乳と胚があります。

胚は、子葉・胚軸・幼根・幼芽の4つの部分からなり種が芽を出すと若い植物になります。

胚乳は、発芽した若い小さな植物が、ひとりで養分がとれるようになるまで、植物の養分になります。

このように、種の内部が胚と胚乳とからできているものを有胚乳種子と言います。
イネ・カキ・トウモロコシなどの種は有胚乳種子です。

しかし、リンゴ・クリ・マメ類などの種では胚乳の養分が子葉の中にふくまれています。
そのため、子葉がたいへん大きく、あつくなったものもあります。

このような種を無胚乳種子と言います。

子葉の数は、植物によっていろいろ違います。
アサガオ・サクラ・マメ類・ツバキなどでは子葉が2枚あるので双子葉植物と言います。

イネ・ムギなどの種は子葉が1枚なので、単子葉植物と言います。
裸子植物の子葉の数は種類によってまちまちで2枚から10枚あるものもあります。

アカマツなどは、6枚から8枚もあります。

種のいろいろ

ふつうの種は、硬い丈夫な種皮が外側をつつみ、内部を保護しています。
しかし、ナンキンマメ・モモ・ウメなどのように果皮や果皮の一部が硬く丈夫になっているものでは種皮がたいへんうすくなっています。

種の大きさは、植物の種類によってさまざまで大きな植物に大きな種ができ小さな植物に小さな種ができるとはかぎりません。

マツ・スギなどの種は、その木にくらべてたいへん小さくソラマメなどの種は、育った植物にくらべて、たいへん大きなものです。

ランの種は、1ミリにも足りない小さなもので1かぶのランに、何十万とつきます。

また、ヤシの種はたいへん大きなもので大きな実の中に直径10センチもある種が1つ入っています。

種にふくまれる養分

種は、実と同じように、いろいろな養分をふくんでいますが、そのおもなものは、でんぷん・たんぱく質・脂肪・ビタミンなどです。

イネ・ムギなどの種は、でんぷんを多くふくんでいますしダイズなどのマメ類は、たんぱく質や脂肪を多くふくんでいるので食用にされています。

また、アブラナやゴマの種のように脂肪がたくさんあるために油をしぼるものもあります。

ヤシの種も脂肪が多く、しぼった油からはマーガリンや石鹸・シャンプー・ろうそくなどがつくられます。




実のつくりとは? 果皮と種とは? 実の養分とは?

実(果実)は、花のいろいろな部分がかわったものです。

花が咲いて、めしべに花粉がつき、受精すると子房や花たく(花の台)やがくは実にかわり、胚珠は種にかわります。


ウメ・モモ・キュウリ・カボチヤ・スイカ・ナス・トマト・カキ・ブドウなどの実やエソドウ・アズキ・ダイズなどのマメのさやは子房がかわったものです。
この子房が実になったものを真果と言います。

しかし、リンゴ・ナシなどの実は、花たくがかわったものです。
そして、実の中の種をつつんでいる硬い部分が子房のかわったものです。

イチゴの実も花たくがかわったものです。
表面にある粒は子房のかわったもので、種の先についている短い毛は、めしべのなごりです。

ザクロの実は、め花のがくがかわったものです。

このように、子房以外のものが大きくなって実になったものを偽果と言います。

しかし、ふつうは真果と偽果をいっしょにして、実と言っています。

果皮と種

ふつうの実は、実の中心にある種と種をつつんでいる果皮とからできています。

果皮とは、実の皮や肉のことです。
ブドウやカキの食べるところは、肉が厚くなった果皮です。
果皮は、ふつう外果皮・中果皮・内果皮の3つにわけられます。

カキの実では、いちばん外側のふつうに皮といわれているところが外果皮で、その内側の、肉が厚くて水分を多くふくんでいる部分が中果皮、さらにその内側の、やわらかい部分が内果皮です。

種は、内果皮の中に埋もれているわけです。

ウメやモモの実では、内果皮が硬い皮になって、種をつつんでいます。
これはふつう、心または核と言われています。

ミカンの実では、いちばん外側の皮が外果果皮、皮の内側の綿のようなものが中果皮、ふくろの皮が内果皮です。

ふくろの中の食べるところは、子房の中にあった毛がかわって養分をたくわえているものです。



実の色

実の色は若いときはたいてい緑色をしています。
これは、実の皮や肉の表面に近いところに葉と同じようにクロロフィル(葉緑素)がふくまれているからです。

しかし、実が熟すと、ここにいろいろな色素ができるので、さまざまな色にかわっていきます。

実の色のもとになるのは花と同じように、おもにアントシアンとカロチノイドという色素の仲間です。

リンゴやブドウ・クワなどの実の、赤・紫の色は、たいていアントシアンの色です。

アントシアンにはいろいろな色がありますが、その色がみないっしょになると、ヤツデの実などのように黒くなります。

また、カキやミカン・トマト・カラシ・セイヨウカボチヤなどの実の黄や赤の色は、カロチノイドの仲間の色です。

カロチノイドの仲間は、たいてい黄色かだいだい色ですがトマトやトウガラシでは、実が熟すとカロチノイドのなかの1つのカロチンという赤黄色の色素が、たくさん集まって赤くなるのです。

実の養分

実は、いろいろな養分をふくんでいるので人や動物の食物や、いろいろな品物の原料になります。

実の味は種類によってさまざまです。甘い味はおもに糖分の味です。
酸味は有機酸(すの仲間)の味です。

有機酸は、リンゴ・ミカンなどの果物に、とくに多くふくまれています。

実には、このほかたんぱく質やビタミン類などが多くふくまれています。
果物には、とくにビタミンCが多くトマトの実にはビタミンAが多くふくまれ、栄養価の高い、よい食物です。




花の色・香り・蜜・形の種類と性質とは? わかりやすく解説!

花の形のいろいろ

花の形は、植物によっていろいろと違っていますが、これを大きくわけると、整形花冠と不整形花冠の2つになります。

整形花冠というのはウメ・サクラ・アサガオ・キキョウなどのような花です。
これらは、花を+の線でわけてみると縦線の左右も横線の上下も同じ形です。

これに対して不整形花冠というのはエンドウやキンギョソウなどのような形の花で縦線の左右は同じでも横線の上下の形が違います。


お花・め花

ふつうの花は、1つの花の中に、めしべとおしべがあるものです。
こういう花を両性花と言います。

ところが、ウリやカボチャでは1つのかぶに、おしべだけしかないお花とめしべだけしかないめ花とが別々に咲くものがあります。

こういう花は単性花と言い、お花もめ花も、みな不完全花です。
なお、こういう花のつきかたをするかぶを、雌雄同株と言います。

また。スイバ・カナムグラ・ホウレンソウ・イチョウ・ソテツなどでは、お花とめ花が、それぞれ別のかぶにつきます。

お花がつくかぶをおかぶ、め花のつくかぶをめかぶと言います。
このような花のつきかたをするものを、雌雄異株と言います。

大きな花、小さな花

世界でいちばん大きな花は熱帯地方の木に寄生する、ラフレシアの花です。
この植物は、直径が1メートルもある、大きな花を咲かせます。

また、いちばん小さな花を咲かせるのは、ウキクサの仲間です。
アオウキクサは、田や池の水面に浮いていますが裏側に直径1ミリほどの花を咲かせます。

ウキクサの仲間のなかでも、ミジンコウキクサは、もっと小さな花を咲かせます。



花の色

花には、さまざまな、美しい色があります。
これは、花びらの細胞の中に色素という色のついたものが、あるからです。

しかし白い花は、白い色素があるわけではありません。
花びらの細胞のあいだに、たくさんの空気があるので白く見えるのです。
これは、滝の水が、白く見えるのと、同じわけです。

青・紫・赤などの色をした花はアントシアンという色素をふくんでいます。
このアントシアンは、アルカリ性のところでは青、中性のところでは紫、酸性のところでは赤になる性質をもっています。

黄色の花にはカロチノイドという色素が、花びらの細胞の中にあります。
カロチノイドは、花だけでなく、植物の体のいろいろなところに、ふくまれています。

たとえばニンジンの根のだいだい色は、このカロチノイドによるのです。

花の香り

花の香りは、花にふくまれている精油または芳香油と呼ばれるもののにおいです。

スミレ・バラ・オレンジ・レモンなどからは、それぞれの精油を取り出して、香料をつくる材料にしています。

花の蜜

蜜は花びらの内側にある、蜜腺という小さなふくろからでます。

蜜は、花にとって大切な役目をしています。
虫が蜜をとりに花の中に入りこむと、虫の体に花粉がつきます。
このように蜜は、虫に花粉を運んでもらう、呼びえになるのです。

私たちが、食用にするはち蜜はミツバチが花から集めて、たくわえたものです。

サクラには、葉の付け根に近いところに蜜腺があって、ここから密を出しますが、これは、どういうはたらきをするものか、まだわかっていません。




花のつくりとは?おしべ・めしべ・花粉とは? わかりやすく解説!

花のつくリ

日本は、花の種類の多い国です。
春から夏にかけて咲く花は私たちの身のまわりのものだけでも数えきれないほどです。

そして、花の形もさまざまで植物の種類をみわけるときの目印になります。

しかし、そのもとになる形を調べてみると、たいてい、いちばん外側にがく(うてな)があり、その内側に花びら、さらにその中に、おしべとめしべがあります。

がく・花びら・おしべ・めしべなどのついている部分は、花たく(花の台)と言います。

その形には、さらのような円板形のものや、お椀形のものもあります。

花たくには、また、サクラ・タンポポ・ユリなどのように、花くび(枝から花を支えている部分)が長くなって花こうというものになっているものがあります。

このほか、モクレン・クリなどのように、花くびのないものもあります。


がくと花びら

おしべやめしべは、種をつくるために植物にとってなくてはならないものです。

また、花のそのほかの部分は、めしべやおしべをまもったり虫を呼んで花粉をめしべにつける仲立ちの役をしたりします。

がくは、ふつうは緑色で葉緑体をふくんでいます。
なかには、ユリやチューリップのように、がくと花びらが同じ色や形をしているものもあります。

アヤメのように、花びらとがくとの区別がつかない花もあります。

このような花は花びらにあたるものと、がくにあたるものをいっしょにして、花がいと言います。

また、花びらとがくとをいっしょにして花被と言い1つの花の花びら全体を花冠と言うこともあります。

完全花と不完全花

ナスやエンドウのように、がく・花びら・おしべ・めしべなどがそろっている花を完全花と言い、このうちどれかが欠けている花を不完全花と言います。

オオケタデの花は、花びらがなくドクダミやヤナギの花は、がくも花びらもありません。
これらは、みな不完全花です。

合弁花と離弁花

サクラ・バラ・アブラナなどのように花びらが1枚ずつはなれているものを離弁花、または離弁花冠と言います。

また、キク・キュウリ・キキョウ・アサガオ・ツツジなどのように花びらがひと続きになっているものを合弁花あるいは合弁花冠と言っています。



おしべ・めしべ・花粉

おしべは、花粉の入っているやく(花粉ぶくろ)と、これを支える柄の花糸とからできています。

花糸は、サクラのように1本ずつはなれているのがふつうですが。ツバキ・ムクゲなどは、花糸のもとが全部いっしょになっています。

また、エンドウでは1本だけ別になっていますし、アブラナなどでは、6本のおしべのうち4本は長くなっています。

タンポポやキクなどでは、やくが全部くっついています。

やくの中では、花粉がつくられます。花粉の表面には突起があり、ざらざらしていて、めしべにつきやすいようになっています。

ツツジなどでは、花粉に細い糸がついていて、めしべにねばりつきます。
花粉は、風に吹かれたり、昆虫や鳥の体について、めしべに運ばれます。

めしべは、花の中心にあって、その先の部分を柱頭、根もとの部分を子房、その中間の部分を花柱と言います。

子房の中には、胚珠があります。

胚珠は、その中の卵細胞と花粉管の中の精核とが受精すると生長して種となります。

ですから、イネやクルミのように種が1つしかできないものは、胚珠が1つです。
キュウリやヘチマのように、種のたくさんできるものは子房の中にたくさんの胚珠があります。

子房は、受精したのち、大きくなって果実になります。

子房の位置は、植物によって、さまざまです。
たとえば、ナスとキュウリをくらべてみるとナスではへた(がくのあと)が実のもとにありますがキュウリではへたが実の先にあります。

ナス型のものは、花のときに子房ががくの上にあるので子房上位と言い、
いちばんふつうにあるものです。

また、キュウリ型のものは、子房ががくの下にあるので子房下位と言い、高等な植物のキク・ウリ・キキョウなどがその例です。

チダケサシ・シモツケソウ・アマチャなどは子房の中ほどにがくがあるので、子房中位ですが、このようなものはあまり多くありません。

花のつきかた

花が茎についている様子を花序と言います。
花序は、つぎのように大きく2つにわけることができます。

いくつかの花が、ユリのように茎の先から下にむかって咲いていくものは有限花序と言われ、これと反対にフジのように下から上のほうにだんだん咲いていくものは、無限花序と言われます。

有限花序は、ふつう集散花序と言われ、これには単頂花序(チューリップ)・多出集散花序(ミズキ)き散花序(ハコベ)・巻散花序(キュウリグサ)互散花序(ハンニチバナ)などがあります。

また、無限花序には、穂状花序(オオバコ)・総状花序(アブラナ)散房花序(オミナエシ)・散形花序(サクラソウ)頭状花序(タンポポ)などがあります。




モバイルバージョンを終了