世界の天文台と日本の天文台とは? わかりやすく解説!

東京天文台

東京都三鷹市にあり、東京大学に付属する天文台です。
ここでは、天文学についてのいろいろなしごとをしています。

まず、恒星の位置をくわしく調べ日本全国で標準となる正しい時刻を決めるしごとをしています。

これには、子午環・写真天頂筒・水晶時計・原子時計などの器械が活躍しています。

また、小惑星・彗星・人工衛星の観測は65センチ屈折望遠鏡・シュミットカメラなどでおこなわれます。

日本アルプスの乗鞍岳にあるコロナ観測所、岡山県鴨方町竹林寺山にある岡山天体物理観測所および埼玉県堂平山観測所も東京天文台に属し、宇宙の研究に活躍しています。


緯度観測所

岩手県水沢市にあります。地球の自転の有様を、くわしく調べるためにおかれています。

1898年の国際会議で、北緯39度8分にある世界の6か所に観測所をおくことが決められました。
そのうちの1つが水沢の緯度観測所ですでに70年あまり、観測を続けています。

また、ここは1962年から国際極運動観測事業中央局になっています。

花山天文台

京都の東山連峰の1つにあって、京都大学に付属しています。
この天文台では、60センチの反射望遠鏡が活躍し月の面や火星の面の研究がさかんにおこなわれています。

生駒山太陽研究所は、大阪府と奈良県の境にある生駒山にあり60センチ反射望遠鏡などで太陽を研究しています。

そのほか、旭川・仙台・名古屋・福井などに小さな天文台があります。

ウィルソン山・パロマー山天文台

アメリカ西武にあります。ウィルソン山は、ロサンゼルスの北東約50キロメートル(標高174メートル)にあります。

そして、口径258センチと150センチの反射望遠鏡・塔望遠鏡があります。

パロマー山は、ロサソゼルスの南東約200キロメートル(標高1870メートル)のところにあります。
1948年に完成した508センチ反射望遠鏡は世界最大のもので宇宙の謎を研究しています。

リック天文台

アメリカ中部、サンフランシスコの東300キロメートル(標高180メートル)のハミルトン山上こあります。
口径91センチの屈折望遠鏡のほかに205センチ反射望遠鏡ができあがり活躍しています。

ヤーキス天文台

シカゴの北、約100キロメートルのところにあります。
口径100センチの望遠鏡を屈折型としては、世界最大のものです。
星の距離にたいへん活躍しました。

このほか、マクドナルド天文台・ドミニオン天文台デビッド=タンラップ天文台があります。



グリニッジ天文台

イギリスのグリニッジ天文台は、1675年、遠洋航海に必要な星の位置を、精密に決めるために建てられた天文台です。

世界でも、歴史の古いものです。
経度の0度は、この天文台の子午線の位置を通っていることも有名です。

今は、サセックス州ハーストモンソーにうつされ1965年、249センチ反射望遠鏡がつけられました。

オート=プロバンス天文台

南フランスのサンミッシェルにあります。
193センチ反射望遠鏡は、ヨーロッパ中の天文学者に活用されています。

ソ連の天文台

ソ連では、レニングラードの南にあるプルコボい天文台が1839年いらい活躍しています。

近頃では、黒海に近いクリミヤ天文台に口径264センチ反射望遠鏡ができあがり、活躍をはじめました。




天文台のしごと、役割とは? わかりやすく解説!

天文台は、天体を観測するところでこの観測結果を用い、宇宙の有様を研究しています。
暦の計算や報時のように、私たちの暮らしに関係の深いしごとをするのは、天文台の大切な役目です。

しかし、天文台のしごとは、これだけではありません。

太陽・月・星などの有様を休みなく観測しまだまだたくさんある宇宙の謎を解くために天文学者たちは、いろいろ苦心しています。

このように、私たちの暮らしとは、直接関係のうすいしごともこつこつと毎日続けられているのです。

世界には、大きな天文台だけで、300ほどもあります。

このたくさんの天文台は、お互いに手をつなぎあって研究をすすめています。

天体の研究のためには、いろいろな国の大勢の人が、力をあわせなければならないからです。


太陽の研究

東京の天文台では、昼間、空か晴れているかぎりたえず太腸の観測をしています。

望遠鏡の焦点のところに、白紙をおき投影法によって、毎日、黒点の有様をスケッチしています。
白斑や紅えんは、分光太陽写真儀や分光太陽望遠鏡で写真をとりまた、爆発現象の起こるのを監視しています。

太陽のスペクトル(7色の虹模様)は塔望遠鏡を使って観測します。

これはシースロットを使い、太陽に光を地下室の中に導きその室内にある大きなプリズム分光器(切り口が三角形になったガラスの柱に光をあててその光をわける器械)や、回折格子(よく磨いた金属面、またはガラスの平面に1センチについて5000~7000本の細い線を等間隔にひいたもの)を使い、スペクトル写真をとります。

太陽のコロナは、日食のとき以外にもコロナグラフとにいう、特別なしかけで撮影します。
しかし、空かあまりすんでいなくてほこりの多いときには使えないので高山の頂上に観測所をおいています。

日本では、北アルプスの乗鞍岳に東京天文台のコロナ観測所があり1年中、コロナの形・明るさ・コロナの出すスペクトル線などの研究を続けています。

月と星の研究

東京天文台にある65センチ望遠鏡は屈折型としては、日本でいちばん大きなものです。
筒の後ろのほうに写真かん板・をおき、天体写真を撮ることができます。

これで、月や惑星の表面の模様を研究しまた、衛星で、小惑星・彗星などの位置を決めることができます。

また、焦点のところに光電管(光を電気にかえる真空管)をおき星の明るさを決めることができ、変光星の明るさの変化を調べ星の明るさの研究から、正しい距離を決めたりします。

また、月の後ろに星が隠されるえんべい現象を観測し月の動きの詳しい研究をします。

恒星・惑星・月などの位置を詳しく調べるには子午環や子午儀を使います。



岡山天体物理観測所

1960年に岡山県の鴨方町にある竹林寺山に建設された天文台は岡山天体物理観測所という名前です。
ここでは主に、恒星のいろいろな性質を研究しています。

この観測町には、口径188センチと口径91センチの大小2個の望遠鏡があります。

大きいほうの望遠鏡は、焦点にかん板をおき月・惑星・星雲などの写真を撮ることができますがまた分光器を使って、星のスペクトルの写真を撮ることもできます。

星のスペクトルには、何本もの細い黒線があらわれます。
この線のあらわれかたを調べると星がどのような元素からできているかがわかります。

また、温度や圧力はどのくらいか星の表面では、ガスがどのような動きをしているかということがよくわかるのです。

このように、分光器を使った観測は、星の世界の有様を調べるのにいちばん大事なしごとです。

小さいほうの望遠鏡には、焦点のところに光電管をつけ反射鏡によって集められた星の光を電気にかえ電流の強さによって、星の明るさを調べるのです。

この2つの望遠鏡は、夜の観測だけをおこない昼間はドーム(まる屋根)いし、太陽の熱が室内に入るのをふせぎます。

夜、星を観測するときに室内と室外の温度があまり違うと器械や反射鏡の表面の状態がかわったり、まわりの空気が揺れて拡大された星の像がぼやけたりします。

星がまたたくのは地球をとりまく空気の揺らぎによっておこるのですがこのため、星の像もぼやけます。

せっかく、性能のよい望遠鏡を使っても途中の空気によって、性能が落ちては困ります。

天文台が岡山に建てられたのは晴れた夜が多いというほかに空気の揺らぎが少なく、はっきりした星の像が見られるからです。

時刻を決める

正しい時刻を決めるには写真天頂筒を使い、天頂を通る星を監視します。
これで、天文台で動かしている水晶時計や原子時計のすすみや遅れを監視しています。

このようにして決められた正しい時刻は分秒報時という短波放送で、世界中に伝えられます。
また、ラジオの時報によって、私たちの家庭にまで伝えられるのです。

暦をつくるしごと

暦は、私たちの生活に深い関係があります。この暦のもとになる計算をするのが、天文台です。

天文台では太陽・月・惑星の見える位置、日の出・日の入り、月の出・月の入りの時刻、春分・夏至・秋分・冬至・日食・月食の起こる様子などを、くわしく計算します。

この計算は、毎年、暦象年表というかたちで本になっています。

カレンダーなど私たちが日常に使う暦は、みなこの本をもとにしています。




赤道儀と望遠鏡とは? わかりやすく解説!

赤道儀

長い時間、同じ星を観測するとき望遠鏡を台につけておくと天の日周運動によって星はすぐに望遠鐘から見えなくなります。

星の動きにあわせて、動かすことのできる望遠鏡を赤道儀といいます。

赤道儀のおもな部分は、極軸と赤緯軸との2本の軸です。
極軸は地球の自転軸にあわせ、天の北極、南極に向いた1本の軸です。
赤緯軸は、これに直角に向いた軸で先に望遠鏡の筒が直角についています。

この2本の軽のまわりに鏡筒をまわすと天のどの方向にも向けることができます。

いちど、ある星を視野(見える範囲)にいれればあとはモータや重りのしかけで、望遠鏡は極軸ごといつまでも日周連動をおいかけて同じ星をねらえるようになっています。


赤道儀のいろいろ

赤道儀こは、いろいろの型があります。

いちばんふつうにあるのは、極軸を中央の一か所でささえたものでドイツ式といい、東京天文台の65センチ望遠鏡の赤道儀がそれです。

大望遠鏡では極軸の両端2か所で支えられているものがありこれをイギリス式といいます。

1960年、岡山天体物理観測所に完成した188センチ望遠鏡はこの型です。

また、極軸の先に2本の手がわかれこれに望遠鏡のついているのをフォーク式といいます。
岡山天体物理複測所の91センチ望遠鏡がその一例です。

アメリカのパロマー山天文台の508センチ望遠鏡ウィルソン山天文台の258センチ望遠鏡はこれらとは違った特別の型の赤道儀を使っています。

このほか、日周運動をおいかける機械としてはシーロスタットがあります。

これは2枚の平面鏡の組み合わせでやはり、極軸のまわりにその1つの鏡を回転させ日周運動で動く太陽からの光を、定まった方向に反射させつものです。

糖の上のドームの頂上におき、太陽研究によく使われます。
天体観測にはこのほかに、子午儀という器械を使います。

これは、望遠鏡を東西こ向いた水平の軸で支えたもので望遠鏡の筒先は、子午線(真北・真上・真南をむすぶ線)にそってだけ動きます。

天体の子午楾を通る時刻をはかり星の赤経、赤緯や時刻を決めるのに使われます。

午儀に星の赤緯を読み取るための目もりの環をつけた大型の機械を子午環といいます。

近頃では、時刻を決めるのに写真天頂筒という機械を使っています。
これは、真上を向くようにとりつけたカメラで真上近いところで、子午線を通る星の動きを、かん板上に記録します。

人工衛星を撮影するにはとくに口径比 (レンズの直径を焦点距離で割った値)の小さい明るいカメラを使います。

東京天文台にあるのは、べーカーナン=シュミットカメラでとくに明るく、また人工衛星の軌道にあわせてすばやく筒先を動かす装置がついています。




望遠鏡のしくみとは? わかりやすく解説!

大体の研究をするには、望遠鏡を使います。

望遠鏡は、そのしくみの上から、大きくわけて屈折型と反射型の2つにわかれます。


屈折型望遠鏡

望遠鏡の筒先に凸レンズをつけたもので、星からきた光は筒の後ろ側に集まり、像をむすびます。
この像が接眼レンズの焦点の内側にくるようにして天体の像を大きく拡大してみます。

また、この像のところにフィルムや写真かん板をおくと天体写真を撮ることができます。

天体望遠鏡のレンズは、色によって像がぼやける(色収差)ことをふせぐために、2枚レンズの組み合わせを使っています。

反射型望遠鏡

これは、凸レンズのかわりに、凹面鏡を使って像をつくりできた像を接眼レンズで拡大してみるものです。

凹面鏡の前にできた像は見ることができないのでもういちど反射させて観測しやすいところに導いてみます。

また、屈折型と同じく、接眼鏡でながめたりかん板をおいて写真を撮ったりします。

反射鏡というのは、まるいガラス板を凹面に磨いたもので表面ンは反射がよいようにメッキしてあります。

天体望遠鏡のはたらきは、おもに、天体の姿を拡大することもう1つは天体の光を集めることです。

金星・火星・土星などの惑星、あるいは月の表面上の細かい様子を調べるには、大きく拡大することが必要です。

このためには、焦点距離の長いレンズや、反射鏡を使います。

天体の位置や動きについて、小さな角度を測定するにも大きく拡大しなければなりません。

恒星からくる光は、とても暗いので、写真を撮ったり、スペクトルを調べたりするにはいちどにたくさんの光を集めることが必要です。

このためには、さしわたし(口径)の大きいレンズや反射鏡を使います。

望遠鏡に入ってくる星の光の量はレンズの面積に比例します。

人間の目のさしわたしは、7ミリほどですがたとえば、さしわたし7センチのレンズをつけた望遠鏡は肉眼よりも200倍の光を集めることができます。



電波望遠鏡

太陽は光や熱を放射していますが、電波も出しています。
これはラジオの電波よりは、ずっと短い波長のものでまたずっと力の弱いものです。

しかし、大きなアンテナと、性能のよい受信機を使って捕えることができます。

大型アンテナには、お椀型のものが多く世界でいちばん大きいものは、直径300メートルもあります。

これは、地面に固定したものですが光の望遠鏡のようにいろいろな方面に動かせる式のものでは直径91メートルが最大です。

これらは、どちらもアメリカにありますが日本には直径30メートルの可動式があります。

このアンテナは光の望遠鏡では対物レンズあるいは反射鏡にあたります。

室内におかれた受信機は写真のかん板あるいは光電管の役目をするものです。

これによって太陽ばかりではなく天の川・ガス星雲あるいはほかの宇宙、金星・木星などの惑星からくる電波も研究しています。

電波望遠鏡は、雨や曇りの日でも、観測できるのが大きな強みです。




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