還元剤とは? 還元作用をする物質とは? わかりやすく解説!

還元剤

還元作用をする物質、すなわち他の物質から酸素を奪ったり他の物質に水素や電子を与えるはたらきをする物質を還元剤といいます。


炭素

コークスや木炭などの炭素は金属の酸化物などから酸素を奪い金属に還元するはたらきがあります。

これを利用して、鉄鉱石(酸化鉄)から鉄を取り出す製練などが行われれます。

一酸化炭素

一酸化炭素は炭素が酸化されたものですがさらに酸素と反応して二酸化炭素になることができます。
すなわち、還元作用があるわけです。

炭素のところで述べた鉄の製練の場合も鉄鉱石を還元するのは炭素だけではなく、むしろそのとき同時にできる一酸化炭素が主に還元作用をしているのです。



ホルムアルデヒド

常温では刺激性のにおいのある気体ですが水に溶かしたものはホルマリンとよばれています。

硝酸銀の水溶液に、液が透明になるまでアンモニア水を加えたものにホルマリンを加えると、銀が還元されて析出し器の内面に銀がつきます。

これは銀鏡反応といわれる反応でホルマリンにかぎらず還元作用のあるぶどう糖などでもこの反応がおこります。

そのほかの酸化・還元剤

前にあげたもののほかに酸化剤としては濃硫酸・重クロム酸カリウム・塩素・ヨウ素・二酸化マンガンなどがおり還元剤としては二酸化イオウ・硫化水素・亜硫酸ナトリウム・シュウ酸などがあります。

ここで、ちょっと注意しなければならないことは酸化剤や還元剤は、それぞれ酸化・還元の作用の強さに違いがあることです。

強い酸化剤と弱い酸化剤とが反応し、弱い酸化剤が強い酸化剤によって酸化されるすなわち弱い酸化剤が還元剤としてはたらくことがあります。

ふつう、酸化剤としてはたらく過酸化水素は過マンガン酸カリウムにたいしては還元剤として作用します。

また、還元剤である二酸化硫黄が硫化水素と反応すると、二酸化硫黄は酸化剤としてはたらきます。




酸化・還元と電気分解とは? わかりやすく解説!

酸化と還元

今までは、酸化と還元について別々に考えてきましたがここで酸化・還元をまとめて考えてみましょう。

かんたんな例として、炭素が燃える場合を考えてみましょう。


炭素原子の原子価は0、二酸化炭素になったときは炭素の原子価は4です。
すなわち、炭素は原子価0から4に増えて酸化されたことになります。

酸素は、反応するまえは電気的に中性で原子価は0二酸化炭素になったときは 一2価にかわります。

つまり、酸素は0から-2価に原子価が減ったことになりこれはすなわち酸素が還元されたことにほかならないのです。

このように、酸化と還元はいつも同時に起こるものです。
一方が酸化されているときにはもう一方は必ず還元されています。

いろいろな酸化・還元反応について自分で考えてみてください。

酸化・還元とイオン

すでに述べたように酸化は原子の+電気が増えること、あるいは-電気が減ることであり、還元は+電気が減ることあるいは-電気が増えることです。

原子は原子核の周りに-電気をおびた電子という粒がとりまいている形をしています。

その電子が増えたり、減ったりすると原子は-電気をおびたり+電気をおびたりします。

原子が電気をおびた状態にあるものをイオンといいます。

こうして見ると、原子が+イオンになることは酸化であり-イオンになることは還元であるということができます。

また、反対に+イオンが原子になることは還元であり-イオンが原子になることは酸化です。



酸化・還元と電気分解

酸化・還元とイオンの関係を電気分解について考えてみましょう。

食塩の水溶液はナトリウムイオンと塩素イオンに分かれています。
これを電気分解すると、塩素イオンは陽極(プラス極)に引かれ
そこで電子を陽極にわたして塩素原子となり、これが2個で塩素分子になります。

つまり、塩素イオンは酸化されたわけです。
ナトリウムイオンは陰極(一極)に引かれますが
水が電離してできた水素イオンのほうが電子をもらいやすい性質をもっているので
電子をもらって水素原子となり、これが二個で水素分子になります。

つまり水素イオンは還元されたのです。
ナトリウムイオンは、食塩水の中に水酸イオンとともに残ります。

そのほかの電気分解のときにも
陽極や陰極で、必ず酸化・還元の反応が起こっているのです。

また、金属のメッキのときにも酸化・還元が起こっています。



金属の還元とは? 広い意味での酸化とは? わかりやすく解説!

広い意味での酸化

元素が酸素と化合することだけが酸化ではありません。
酸素のかわりに、塩素や硫黄がはたらいて化合物をつくることも酸化といいます。


塩素ガスの中に赤熱した銅線をいれると激しく反応して、塩化第二銅ができます。

このとき、銅が酸化されたといいます。
銅とイオウが化合して硫化第二銅ができることも銅が酸化されたといいます。

それでは、なぜこのような場合にも酸化といわれるのでしょうか。

そのわけは広い意味での酸化と原子の+電気が増えるような方向に反応がすすむことをいうのです。
いいかえると、原子の原子価が+の方向に増えるような反応を酸化といいます。

塩素と銅との反応の場合について考えてみるとはじめ銅の原子は+・-が丁度つり合って電気的に中性です。

塩化第二銅になったときは銅の原子価は二価、つまりCu2+の状態になっています。

電気的に中性(0)の状態から+2の状態にかわったので銅は酸化されたということができます。

硫黄との反応についても、同じように考えることができます。

金属の還元

金属が酸化されても、その金属がなくなったわけではありません。

酸化されたもの(酸化物)から再び金属をとりだすことができます。

例えば、酸化第二銅と炭素をまぜて熱すると酸化第二銅の酸素が炭素に奪われて金属銅ができます。

また、酸化銅と水素を反応させて酸化銅から酸素を取り除くこともできます。

鉄は鉄鉱石からつくりますが鉄鉱石は鉄の酸化物です。
これから鉄をとりだすときも酸素を取り除く必要があります。

このように、酸化物から酸素をとることを酸化にたいして還元といいます。

しかし、広い意味においては酸素がとれることだけを還元というのではなく酸化の場合とは反対に、原子の+電気が減るような(-電気が増えるような)方向に反応が進むことを還元といいます。

つまり、原子の+の原子価が減るか、-の原子価が増える反応を還元といいます。



実験

酸化第二銅の粉と木炭の粉を10対1くらいの割合でよくまぜあわせ、乾いた試験管に入れる。
バーナーでしばらく熱し発生する気体を水酸化カルシウムの水溶液に通す。

酸化第二銅が炭素により還元されて二酸化炭素が発生し水酸化カルシウムの水溶液がにごる。

ガラス管を水酸化カルシウムの水溶液から引きあげてから熱するのを止め、試験管の中のものを水で洗うと還元された金属の銅がえられる。

酸化第二銅と炭素との反応の場合酸化第二銅の銅の原子価は二価です。

これが金属の銅になったときは、電気的に中性ですから原子価は0です。
つまり、+2価の状態から0に原子価が減ったことになります。

このとき銅は還元されたといいます。
ほかの反応についても同じように考えてみてください。

実験

亜鉛と希硫酸で水素を発生させ濃硫酸を通して水分を除いてからガラス管に導くガラス管の中央に銅製の網をおきガラス管の外からアルコールランプで温める。

水素を溶かさない状態で銅を加熱すると黒い酸化第二銅ができるが水素を通すと、還元されて銅にもどる。



酸化とさびとは? 錆びない金属とは? わかりやすく解説!

前回、物質と酸素との化合
すなわち酸化ということを、燃焼とあわせて主に紹介しました。

さて、酸化にたいして、その全く逆の反応である還元という言葉があります。

酸化と還元を理解するには金属について考えるとわかりやすいのでここでは金属の酸化・還元を勉強しましょう。


さびない金属

さびない金属として、私たちがよく知っているものに、金・銀・白金などがあります。
金と同じように、金色をしていても黄銅(しんちゅう)は空気中におくとつやがなくなって表面がさびてきます。

これにたいして、金・銀・白金はつやもかわりません。

これらは、空気中の酸素と化合しないので、さびないのです。
銀は、ときどき黒くなりますがこれは空気中に硫黄の蒸気などがあったとき、それと反応して化合物をつくるためです。

金・白金は天然にもそのまま産出します。
金・銀・白金でつくった器はみがかなくてもいつも美しい光沢をもっているので、食器や装飾品に使われます。

さびやすい金属に金めっきや銀めっきをすると、さびにくくなります。

クロムも銀色をした金属ですが固すぎるのでそのまま利用されることは少なく、鉄などにメッキしたクロムメッキとして、使われています。

クロムメッキをしたものは、なかなかさびません。

鉄とクロム・ニッケルの合金もさびにくいのでさびない鋼(ステンレス鋼)といわれています。



金属の酸化

金属が酸素と化合することを金属の酸化といいます。
金属が酸化してできるものについて、まえにも少し勉強しましたがここでもう少し詳しく調べてみましょう。

鉄を空気中で強く熱すると黒い色のさび(黒さび)ができます。

これは四三酸化鉄 Fe3O4という化合物です。
式からもわかるように鉄の酸化物で鉄原子3個と酸素原子4個の割合でむすびついているところから、四三酸化鉄とよびます。

また、鉄を空気中に放置したり雨ざらしにしておくと、茶色のさび(赤さび)ができます。

これは、三二酸化鉄Fe2O3を主成分とするものです。

黒さびは、きめが細かく、鉄にしっかりくっついていて鉄がそれ以上さびるのをふせぎます。

ですから、鉄の表面にわざと黒さびをつくってさび止めにします。

これにたいして、赤さびはきめが粗く表面がボロボロしているので、さらに水や酸素が内部の鉄に触れ酸化反応が進み、鉄の芯までさびてしまいます。

銅は空気中で黒くさびます。これは酸化第二銅ができるためです。

銅を雨ざらしにしたり、とくに酸などをはたらかせると緑色のさびができます。

これをロクショウといいます。
また、銅を空気中で1000℃ぐらいに熱すると表面に赤い酸化物の膜ができます。

この膜は、酸化第一銅Cu2Oというもので銅の表面だけにできて、内部を保護するので、わざわざ酸化物を銅の表面につくることがあります。

純粋なアルミニウムは空気中においても、その表面のつやに変化がないので、さびないように見えますがこれは表面にごくうすい酸化アルミニウムの膜ができて、内部がおかされないからです。

アルミニウムの表面を処理して酸化アルミニウムの膜をつくったものはアルマイトとよばれます。

固くて、さびにくいのでやかん・弁当箱・食器などに使われます。

不純物をふくむアルミニウムは表面にボツボツの酸化物の粒ができてまもなく穴があいてきます。



モバイルバージョンを終了