骨のはたらきとは? 骨の病気とは? わかりやすく解説!

動物の体は、だいたい、やわらかい組織でできています。
ですから、骨格がないと、つきたての餅のように、ぐにゃぐにゃと地面の上にうずくまってしまうでしょう。

このように、骨格は、やわらかい体を支え、しっかり形を保っているのです。
重いものを背負ったり、運んだりできるのも、この骨格が支えてくれるからなのです。


また、骨格は、体の大切な部分を守る役目もしています。
脳は、頭の骨で包まれています。

背骨の中には、縦に管が通っていて、その中に脊髄がおさめられています。
脳や脊髄は、こうして保護されているのです。

胸の骨格は、かごのような形になっていて、肺や心臓が入っています。
これは胸の内臓を保護するよりも、呼吸運動をするのに適した形になっているのです。

このほか、筋肉といっしょになって運動するのも骨格の大切な役目です。

骨格と筋肉は、いっしょになって大きな運動ができます。
しかし、筋肉だけあっても骨格がなければ、よく運動できません。

それは、クラゲやタコのように、骨格のない動物と人間やカエルのように、骨格のある動物の運動をくらべれば、すぐわかるでしょう。

骨の衛生

骨格は、体の中心になる大切な柱です。
私たちは、骨が立派に育つように、気を付けなければなりません。

私たもの骨は、子どもと大人では硬さが違います。
子どものころは、にかわ質が多く、やわらかくできています。

しかし、発育するにつれて、だんだんカルシウム分が増えて固くなります。
骨が硬くて丈夫なのは、カルシウム分(リン酸カルシウム・炭酸カルシウム)のためです。

大人では、60パーセント、あまりもふくまれています。

ですから、骨を丈夫にするためには骨の成分になる栄養素をたくさんとることが大切です。

それにはカルシウム分・ビタミンC・ビタミンDなどを充分にふくんだ食物を食べることです。

しかし、カルシウム分は、ビタミンDの助けを借りて、骨の成分となるものですからこのビタミンDが足りなくなると、くる病になります。

また、適当な運動は、血液の循環をよくし、骨の発育もすすめてくれます。



骨の病気

骨膜炎・骨髄炎

おもにぶどう状球菌などのために、骨膜や骨髄がおかされる病気です。
腕や足の長い骨に、急に起こることが多いのです。

脱臼

関節で骨が外れることを、脱臼といいます。病気ではありませんが、よく起こる故障です。

外れた骨は、もとにもどしてやれば、すぐ治ります。脱臼は、肩やあごの関節によく起こります。

先天性股関節脱臼は、うまれながら、股の関節が外れている病気です。
これは、なかなかやっかいですから、早く見つけることが大切です。

骨折

骨は、硬くて丈夫ですが、無理な力がはたらくと、案外、簡単に折れてしまいます。
これは、腕や足の長い骨やろっ骨に、いちばんよく起こります。

骨折のときは、ふつう、折れたはしとはしをもとの正しい位置におき、外からそえ木をあて、動かないようにしばっておきます。

たいてい、2、3か月で治ります。

くる病

骨がやわらかいままで、硬くならない病気です。
子どもの病気で、ビタミンDが足りないと起こります。




骨のつながり方とは?関節や靭帯とは? わかりやすく解説!

骨格はたくさんの骨が、靭帯というひもや膜で結びつけられてできています。
また、軟骨もいくらか混じっています。

骨と骨のつながり方は、いろいろありますが、主なものは、つぎの3つです。

  1. 関節
  2. 軟骨結合
  3. 縫い合わせ


関節

関節は、いろいろなつながり方のうちでもいちばん多くて、いちばん大切なものです。

2つの骨のはしをすっぽり包む膜(関節包)があって骨と骨の間に、隙間(関節腔)ができています。

この中には、ねばねばした液体が入っていて、機械の油のようなはたらきをします。
このように、隙間があることが、関節の大切なつくりであってそのために関節は、たやすく折り曲げることができます。

関節で、骨がどんなふうに動くかは、いろいろです。
蝶番のような運動をするもの(肘・膝・指などの関節)とどんな方向にも運動するもの(肩や腰の関節)の2つが、ふつうに見られる関節です。

骨のはしの関節に向かった面は、軟骨(関節軟骨)でできています。
そのため、骨のはしは、互いに滑らかに動きあいますしまた、硬いものの上に飛び降りたり、ぶつかったりしても衝撃を和らげることができます。

靭帯

靭帯は、骨と骨とを丈夫に結びつけているものですがしかし、靭帯の役目には、もう1つ大切なことがあります。

それは、関節の運動を制限することです。

肩や腰の関節は、ふつう自由に動きますが肘や膝の関節は、腕や足をまっすぐに伸ばすとそれからは反対のほうへは曲がらないでしょう。

指の関節でも同じことで、これがどちらの方向にでも曲がったらかえって困ることになります。



軟骨結合

軟骨が仲立ちをしているつながり方を、軟骨結合といいます。
これは、関節のように動きやすくはありません。

これが見られるのは、背骨です。
背骨は30個あまりの椎骨が、上下につながってできています。

椎骨と椎骨とは、円板の形をした軟骨でくっつけられているのです。
そのため、運動は、充分にはできません。

しかし、体を支えるおおもとの柱としては、そのほうが都合がよいのです。

縫い合わせ

これは、骨と骨の結び目が、ちょうど縫い目のように見えるので縫い合わせと名付けられました。

この部分は、よく見ると2つの骨がたくさんの細かい靭帯によって結び付けられているのです。

ですから、動いたり、外れたりすることがありません。

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これは、頭の骨にだけみられるもので図のように骨と骨との間のぎざぎざの部分や、線のついた部分でそれぞれ2つの骨が縫い合わせによってくっついています。




骨のしくみとは? 軟骨とは? わかりやすく解説!

私たもの体は、表面が皮膚で包まれているため、中の様子が少しもわかりません。
そこで、中の様子を知るために解剖といって死んだ人の体を、メスとはさみで切り開いてみるのです。


皮膚を、そのすぐ下にある皮下脂肪といっしょに剥いでいくと筋肉がいくつも見えてきます。

この筋肉を切り開いたり、切り取ったりすると血管や神経がでてきますが、もっと深いところへ進むと白い硬いものに触れます。

これが骨です。

筋肉・血管・神経・内臓などを、みな取り去ってしまうと骨だけが残ります。

この骨は、いろいろに組み合わさって、体をつくる基礎になっています。
この骨の組み合わせを、骨格といいます。

骨のしくみ

人間の骨格は、200あまりの骨からできています。
これらの形や大きさはさまざまですが、中のしくみは、だいたい同じです。

骨は、いちばん表面が骨膜という薄い膜で包まれ、その内部に骨質があります。

骨質は、骨のはしのほうでは、中にたくさんの隙間があって海綿か軽石のように見えますが、骨の真ん中へんでは竹のように、中が空になっています。

これらの隙間や、空のところには骨髄というやわらかい組織が詰まっています。
骨髄は、若い人では、赤血球や白血球をつくるので赤い色をしています。

しかし、年をとるにしたがって、脂肪にかわるので老人では黄色くなっています。

このほか、骨のはしに、軟骨が薄くかぶさっています。
そのため、関節で骨と骨とが動きあうとき滑りがよく、ゴツンとぶつかることがありません。

軟骨は、ちょうど、くつの底にうつゴムのようなはたらきをしているのです。

骨は、ちょっと見ると石のようですが石よりもよくはずみ、石のようにもろくはありません。

また、内部には、目に見えない繊維がたくさんあってその繊維の間に、カルシウム分(とくに、リン酸カルシウム分)がたくわえられているため、硬くて丈夫です。

このように、骨の成分は、ほとんどカルシウム分ですから皮膚や筋肉などのようなやわらかい部分と違って、レントゲン線が通りにくいのです。

それで、レントゲン写真をとってみると、体の内部にある骨もかげとなって、はっきりと見えるのです。

軟骨

ふつうの骨のほかに、軟骨があります。
軟骨は、骨とよく似ていますが、カルシウム分がありません。

ですから、骨と違ってやわらかく、メスで楽に切ることができます。

しかし、軟骨は、ほかのやわらかい組織(筋肉など)と違ってしっかり形を保っています。
外から力が加わっても、ちょっと形がかわるだけで、すぐもとの形にもどります。

これが、軟骨の大切な性質です。

軟骨は、耳や鼻などの支えになっていて、それぞれの形をつくっています。
ちょっと鼻の先をぶつけたり、耳を打たれたりしても砕けたり、折れたりしないのは、そのためです。

ろっ骨の先も、軟骨でできていますが、これは呼吸運動をしやすくするためです。



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