脂肪の性質とは?脂肪の検出法とは? わかりやすく解説!

脂肪の性質

①きれいな脂肪は無色で、味もにおいもありません。
しかし動植物からとったままの、天然の脂肪はたいていうす黄色で特有のにおいと味をもっています。


これは、天然の脂肪の中に脂肪が酸化されて壊れたものや脂肪に溶けやすい色素などがまじっているためです。

②いっぱんに脂肪は水に溶けませんがニーテル・ベンゼン・クロロホルムにはよく溶けます。

また、アセトン・アルコールにもかなりよく溶けます。
脂肪は水に溶けないので動物の血液中やリンパ液中ではたんぱく質と結合して非常に小さな粒になってまじっています。

③脂肪は水よりも軽く、水にうきます。
水は4℃のとき 1立方センチが1グラムですが1立方センチの脂肪は、平均0.93グラムです。
したがって、水の上に浮くわけです。

④脂肪はよく燃えます。脂肪が燃えるとススが多くでるのは、炭素にくらべて酸素を少ししかふくんでいないため完全に酸化されずに一部が炭素のままで残り、これがススとなるからです。

脂肪の分子は炭素のほかに、酸素と水素とからつくられていますから純粋な脂肪が完全に燃えるとすべて二酸化炭素と水とになってしまい残りかすはでません。

⑤脂肪を水酸化ナトリウム水溶液と煮ると、ケン化します。

⑥脂肪を長くほうっておくと、酸敗します。
たとえば、バターなどを長く空気中にほうっておくと嫌なにおいや味がしたり、色がかおったりします。

このうち、酸っぱくなった原因は、脂肪が壊れて脂肪酸が生じたためです。
また、嫌なにおいがでるのは脂肪の中の不飽和脂肪酸が空気中の酸素と水分などによって壊されアルデヒドやケトンなどというものをつくるためです。

これを脂肪の酸敗といいます。
このとき銅や鉄などの金属イオンがそばにあると酸敗が早く進みます。
また、不飽和脂肪酸の多い脂肪のほうが酸敗しやすいようです。

脂肪の酸敗をふせぐためには、脂肪を触媒といっしょに水素で処理することが多くおこなわれています。
このように処理したものは融点があがり、常温で固体になります。

これを硬化油といいます。



脂肪の検出法

脂肪の存在はつぎのような方法で調べられます。

においによる調べ方

① 粉末の硫酸水素カリウムを試験管に少し入れそれに3,4滴のオリーブ油をくわえます。

そして、試験管の底を注意しながら、はじめはゆっくりと熱しだんだん火を強くしていくと、やがて、鼻をつくようなにおいのある気体が出てきます。

これは、オリーブ油の分子の中のグリセリンの部分が熱によって壊されグリセリン一分子から、水二分子がぬけて、アクロレインという物質にかわったからです。

油のかわりに、グリセリンを使っても同じようなにおいがします。

② 日本ろうそくの火をふきけして、においをかぐと鼻をつくようなにおいがします。
これは、日本ろうそくが、脂肪の一種である木ロウを原料にしているからです。このにおいも、アクロレインのためです。

ヨウ素液による調べ方

試験管にオリーブ油を0.5グラムとりクロロホルム20立方センチをくわえて、よく溶かします。

これに、ヨウ素のアルコール溶液を一滴くわえるとかっ色をしたヨウ素の色が消えてしまいます。
これは、オリーブ油の成分の不飽和脂肪酸が、ヨウ素と結合したからです。




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