蒸気タービンとは?反動タービンとは? わかりやすく解説!

力の利用

蒸気タービン

ポンプに往復式と回転式があったように蒸気を用いる機関にも、往復式と回転式があります。

いままで述べたものはシリンダの中で、ピストンが往復する往復式の機関です。

ふつう、これを蒸気機関と言っています。
また、回転式のものは蒸気タービンと呼びます。

蒸気タービンは、ボイラから送られる蒸気を羽根のついた車にふきつけてまわすものです。

これは、風をふきつけてまわす風車や水をあててまわす水車と、まわす原理は似ています。


実験

まえの実験で使ったドロップの缶をもとにして、羽根車をまわしてみましょう。
まず、コルクの栓に穴を開けて、ガラス管を通します。

つぎに、缶に水を入れ、火で熱すると水は沸騰し、蒸気が勢いよく噴き出してきます。
べつに、コルクに軸を通し、まわりにGペンを何本もさして、羽根車をつくります。

出てきた蒸気を、Gペンの羽根車にあてると車は非常な速さでまわります。
これが、蒸気タービンの原理です。

ガラス管のふきだし口の直径が大きいものや、小さいものをつくっておいてつけかえてみると、さらにおもしろい観察ができるでしょう。

ノズル

蒸気の噴き出す口の部分がノズルです。
ノズルの大きさが適当でないとタービンはよくまわりません。

たとえば、口で風車を吹く場合にも、口をつぼめます。
これは、口を大きくあけたままでは、風車がよくまわらないからです。

また、あまり口をつぼめすぎてもかえって吹くのに力がいるばかりで、よくまわりません。

タービンの場合でも、羽根車にちょうど適当なノズルの大きさがあります。
また、その形も、吹き出したときに、勢いが強くなるように考えられています。

タービンのノズルには、2種類あります。
切り口が先のほうほど小さくなっているものを、先細ノズルと言います。

また、入り口から少し入ったところがいちばん細く吹き出す口が広がっているものを末広ノズルと言います。

ボイラでできた高い圧力の蒸気は、ノズルを通るとき圧力と温度が下がります。
そのかわり、蒸気は、非常に速い速さになります。
圧力や熱の形になっていたエネルギーが、ここで運動のエネルギーにかわるのです。

実際のタービンではボイラからの蒸気は1秒間に30メートル以下の速さで、ノズルに入ります。
そして1秒間400~500メートルくらいの速さでノズルの出口から吹き出します。
これは、音よりも速い速さです。

タービンのはね車

このように速い速度の蒸気を吹き付けて、非常な速さでまわすのですからタービンの羽根車は、丈夫につくられています。
また、蒸気の力を、無駄なく回転力にかえるように、形が工夫されています。

羽根の切り口は、三日月のような形をしていて、くぼんだ側に蒸気がぶつかります。
羽根車は、この力でまわされるのです。

このようなしくみのものを、衝動タービンと言います。

このうち、羽根車が1つのタービンを単式衝動タービンと言い1分間に6000回から8000回まわり、200馬力くらいのものがつくられています。

これにたいして、羽根車を多く用いるものを、多段式衝動タービンと言います。
これは、発電所用などに、大きな馬力のものがつくられています。

多段式では、羽根車のあいだに、ノズルになる蒸気の通り道があります。

蒸気は、ノズルの通るごとに圧力が減って、最後の羽根車かでたのちには復水器の圧力まで下がって復水器に入ります。

このようにすれば、蒸気のもっているエネルギーを充分に取り出して羽根車の回転にかえることができます。
また、回転の速さも、あまり速すぎないものがつくれます。

このようなタービンは火力発電所で発電機をまわすためや船のスクリューをまわすために多く使われています。



反動タービン

衝動タービンのほかにも、少し違ったしくみで動く蒸気タービンがあります。

これは、蒸気が勢いよくぶつかる力ではなく蒸気が羽根のあいだを流れるときにできる力を利用して、羽根車をまわすのです。

このとき、蒸気は圧力が減って速くなって出ていくのでその反動で、羽根がけるようにまわされるのです。

このしくみでは、羽根を何列にもならべ、羽根の列と列のあいだに蒸気の流れる方向をかえる、案内ばねがおかれています。

そして、これは外側のケーシング(車室)に固定されています。
まわるほうのばねも案内ばねも切り口は、への宇のような形をしています。

このようなタービンを反動タービンと言います。
衝動タービンにくらべて、かなり低い回転につくれるので船のスクリューをまわすのに都合がよいのです。

それで、船に多く使われています。

反動タービンは、圧力があまり高い蒸気を使うのは、よくありません。
それで、はじめに、衝動タービンを使い、そこで圧力の下がった蒸気をこのタービンに通すようにしたものもあります。

蒸気タービンには高い温度と強い力を受けてもびくともしない金属が用いられています。

近頃では、このような金属がたいへん進歩したのでタービンにも、ますます高温度・高圧力の過熱蒸気が用いられるようになりました。

現在、火力発電所などでは556℃で169気圧の過熱蒸気を用いる大動力のタービンが使われています。

また、アメリカでは、650℃・350気圧のタービンまであらわれています。
そして、熱効率も40パーセントを越えるものもできています。

そのほか、非常に小さいタービンには蒸気機関車のボイラの上におかれて発電機をまわし、ヘッドライト用の電気を起こすものもあります。




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