重心の位置とすわりの関係とは?物が倒れるわけとは?

力の利用

やじろべえ

やじろべえは、1本の足で立っていて、揺り動かしてもなかなか倒れません。
そして、楽しそうに、ぶらぶらと体をゆすって踊ります。

このやじろべえの重心の位置を、まえに説明した方法でもとめてみるとちょうど1本足の真下にあることがわかります。

また、重りのついた両側の針金を曲げたり伸ばしたりすると重心の位置がかわります。
重心の位置をいろいろにかえて、そのときのやじろべえの様子を調べてみましょう。

重心の位置が、ちょうど1本足の先にあるときはやじろべえをどんな姿勢にしてもそのまま指の上に止まっていて踊ることはありません。

重心の位置を、1本足の先よりも高くするとこんどは指の上に立てようとしても、すぐ倒れてしまいます。

君らの位置が、支えている点より下にあるのはちょうど重りのついた糸を指でつりさげているのと同じです。

つまり、やじろべえが踊るのは、重りが触れると同じことなのです。


起き上がりこぼし

起き上がりこぼしは、倒しておいても手をはなすと、すぐまた起き上がってしまいます。

この中を割って調べてみると、底に重い物がつけてあります。
それで、起き上がりこぼしの重心は、図のように、低い位置にあります。

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このだるまを、どのように倒してみても、その重心の位置はだるまと机が触れ合っている点の真上にくることはありません。

また、それより頭のほうにくることもありません。
ですから、いつでも図のように、もとにもどろうとする回転が起きるのです。

ここで、かんたんな起き上がりこぼしをつくって、いろいろ調べてみましょう。

まず、ボール紙を幅2センチ、長さ30センチくらいに切って直径9センチくらいの輪をつくります。
そして、輪の中心を通る、1本の竹ひごをさしこんでおきます。

つぎに、ゴム粘土を用意して、これを竹ひごのいろいろな位置にはりつけて
机の上で転がしてみましょう。

そしてゴム粘土をどの位置につけると起き上がりこぼしの起き上がり方がどうなるか、よく観察してみます。

①ゴム粘土が中心にあるとき

このときの全体の重心の位置は、だいたい中心のあたりです。
そのため、机の上を滑らかに転がります。

そして、どんな位置にでも止まるので、起き上がりこぼしにはなりません。

②ゴム粘土が中心よりはずれているとき

このときの重心の位置は、ゴム粘土の近くにかわります。
そのため机の上を転がそうとしても、滑らかには転がりません。

そして、いつでもゴム粘土が中心の真下にくる位置で止まります。
この位置から手で転がそうとすると、もどろうとする力が手に感じられます。

この場合、転がす角度が180度より小さいときには、いつももとの位置にもどります。
つまり、ゴム粘土をボール紙のそばにつければ起き上がりこぼしができるわけです。

物が倒れるわけ

図のように四角柱の木ぎれを机の上において、倒してみましょう。

そのまえに、この柱の重心の位置をもとめて真横から見たときのその位置に印をつけておきます。

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そして、上のほうを指で押して、静かに木ぎれを傾けます。
傾きが小さいうちは、指をはなすと、木ぎれはもとにもどります。

しかし、傾きがある角度より大きくなると、木ぎれはもとにもどらないで倒れてしまいます。

このときの様子をよく調べると、木ぎれが倒れるのは傾いた木ぎれの重心の位置が机で支えられているふちの真上をこすからだということがわかります。

つまり、重心の位置から降ろした鉛直線が木ぎれの底を通っているうちは、木ぎれは倒れないでもとにもどります。

この角度より大きく傾くと木ぎれは図の矢印の方向に回転しようとするので、倒れてしまいます。

起き上がりこぼしが倒れないのは、重心が傾いたときの接触点の真上を越さないようになっているからです。



物のすわり

物を水平な面においたとき、起き方によって倒れやすいときと倒れにくいときがあります。

少しぐらい傾けてももとにもどる、倒れにくい物をすわりがよいとか安定であると言います。

反対に、指先で押しただけでも倒れるような物をすわりが悪いとか不安定であると言います。

また、円柱のような物は倒れるということがなく動かされた位置で静止するので中立のすわりと言います。

つぎに、物のすわりをよくするには、どんな工夫が必要か調べてみましょう。

まず、まえの正四角柱の底に、軽い正方形の板を図のようにはりつけると、倒れやすさがどうかわるか、調べてみます。

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この場合、板は軽いので、はりつけたあとの全体の重心の位置はほとんどかわりません。

これを倒すためには、まえよりは、よほど大きく傾けなければなりません。
このことから、底の面積が広いほど、すわりがよくなることがわかります。

つぎに、短い正四角柱の木ぎれに、ボール紙でつくった同じ正四角柱をつないで、まえと同じ長さの正四角柱をつくります。

このときの重心の位置は、まえとは違って、木ぎれの側に偏ります。

この正四角柱を、下の図のように、木ぎれの側を下にして机においたときと上にしておいたときの、どちらが倒れやすいかくらべてみましょう。

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実験の結果から、重心の位置が低いほど、倒れにくいことがわかります。

こんどは、同じ形の正四角柱でも、重い物と軽い物では、倒れる角度は同じでもその角度まで傾けていくのに必要な力の大きさが違います。

重い物ほど、倒すのに力がいるので、倒れにくいと考えてよいでしょう。

つまり、すわりをよくするには①底面積を広くする、②底を重くする、③全体を重くするの3つが必要になります。




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