飛行機の動力
プロペラをまわすには、これまでピストンエンジンを使うのがふつうでした。
しかし、1945年ころから、ジェットエンジンが使われるようになりました。
さらに1953年ころには、ジェットエンジンの原理を利用して、それでプロペラをまわすやり方が使われるようになりました。
これをターボプロップと言います。
ピストンエンジン
これは、自動車やオートバイに使われているものと、同じ原理です。
シリンダの中をピストンが上下に往復するようになっていてピストンがいちばん上の圧縮位置まで上がるとシリンダの中のガスがせまい室に閉じ込められて、圧縮されます。
このガスは、空気にガソリンの蒸気をまぜたもので、これに電気火花で火をつけると、すごい勢いで爆発します。
すると、この爆発の力でピストンが下に押し下げられます。
ピストンの運動は、クランクを通してクランク軸に伝えられるのでピストンがシリンダの中を1回往復すると、クランク軸も1回転します。
クランク軸が回転すると、プロペラもまわるようになっています。
飛行機に使われるピストンエンジンは小さいものは50馬力くらいから大きいものでは、3500馬力くらいまで、いろいろの大きさのものがあります。
シリンダの数も、大きさにしたがって、4つから18までいろいろあります。
また、シリンダの中では、いつも激しい爆発が起こって熱がでるのでシリンダのまわりに風をあてて冷やします。
これを空冷式と言います。
水で冷やす水冷式は自動車では使われていますが飛行機では使われていません。
これは、飛行機はスピードが速いので、エンジンを冷やす風が充分にえられるからです。
ジェットエンジン
この形の飛行機では、まず、先端から吸いこんだ空気を圧縮機で圧縮して、圧力を高くします。
これにガソリンや灯油をまぜて燃焼室の中に入れ、点火して爆発させるものです。
この場合、圧力を高くしてから点火するのは爆発の勢いを強くするためです。
爆発したガスは、勢いよく後方にふきだされ、その反動でまえ向きの推力がえられます。
このガスは途中でタービンをまわします。
タービンは、羽根のたくさんついた風車のようなもので、この力は、まえの圧縮機をまわす力に使われます。
ピストンエンジンでは、シリンダの中をピストンが往復しているので振動が起こりやすくなります。
これにくらべて、ジェットエンジンは、往復する部分がまったくなく、構造もずっとかんたんです。
そのため、振動が少なく故障も少ないという利点があります。
ターボプロップ
このエンジンの本体は、ジェットエンジンとほとんどかわりません。
ただ違うところは爆発したガスがうしろにふきだされるときタービンをまわしますが、このタービンで圧縮機とプロペラの両方をまわすようになっている点です。
このため、ガスの勢いはプロペラをまわすのに大部分使われてしまい、うしろからふきだされるときのジェット推力は、ごくわずかです。
つまり、ターボプロップは、ほとんどの推力をプロペラが出し、これにごくわずかなジェッ卜の推力が加わるだけです。
ターボプロップはピストンエンジンにくらべて、構造がかんたんで振動の少ない点がすぐれています。
また、同じ力を出すのにも、目方がかるく、形も小さくてすみます。
なかには1台で、6000馬力も出せるものがあります。
現在では、おもに馬力の大きいものだけが使われています。
しかし将来はそのほとんどが、ジェットエンジンにとってかえられるでしょう。