まえに説明したように、植物には、いろいろな元素が必要です。
これらのうち、酸素と炭素は光合成によって空気中の二酸化炭素から取り入れ、そのほかのものは、みな、地中から水や養分として、取り入れるのです。
植物の体で、水や養分を取り入れるはたらきをしているところは根です。
根のはたらき
根は、地上にでている植物の体を支えたり、また、生きるために必要な養分をたくわえたりします。
しかし、根のいちばん大切なはたらきは地中から水や養分を体の中に取り入れることです。
このしごとは、根の先に近いところにある細かい毛のような根毛でおこなわれます。
根毛は、1つの細胞からできていて、ほかの体の部分と同じように表面には細胞膜があります。
根毛には、この細胞膜を通して水に溶けた養分を吸いこむはたらきがあるのです。
この細胞膜は、固体のままの養分は通さず必ず水に溶けたものだけを通す性質があります。
ですから植物は、水がなければ養分をとることができません。
これも、植物にとって水が大切なわけの1つです。
茎のはたらき
茎は、葉や花を支える役目をしていますが、いちばん大切な役目は水や養分の通り道になることです。
葉でつくられたでんぷんなどの養分や、根から吸いとった水や養分は体のいろいろなところに運ばれて、たくわえられたり使われたりします。
根から吸いとった水や養分は、茎の中の道管を通して運ばれます。
また、葉でつくられたでんぷんなどの養分は師管を通して体のいろいろなところへ運ばれてきます。
ですから、師管の部分を表皮といっしょにはぎとってしまうと切り口のところに養分がたまって、しだいにふくらんできます。
茎は、このほかサトイモ・ジャガイモ・アスパラガス・ウドなどのように養分をたくわえる役目をすることもあります。
水中植物の養分のとりかた
水中植物では、海藻類をはじめ、クロモやフサモなどの種子植物でも水や養分を根ばかりでなく茎や葉などの体全体からとることができます。
これは、呼吸や光合成をするときと同じです。
ですから、陸上の植物と違って葉の表面はクチクラや、ろうなどをかぶらず、気孔もありません。
下等な植物の養分のとりかた
バクテリア・コウボ菌・カビなどのような下等植物にはクロロフィル(葉緑素)がありません。
また、体は、根・葉・茎などがなく、つくりが非常にかんたんなので養分のとりかたも、高等な植物とたいへん違っています。
これらの植物は光合成ができないので必要な養分を、ほかのものからとらなければなりません。
そのために、ほかの植物に寄生します。
そして、植物などの養分の豊かなものについて体から消化液を出し取り入れやすいように分解してから、体全体で吸いとっています。