先カンブリア代は、現在の地球上で知られているもっとも古い地層や岩石のできた時代です。
その長さは、少なくとも、30億年以上にわたっています。
先カンブリア代の地層
この時代の地層は、北アメリカのカナダ地方やヨーロッパ北西部のスカンジナビア半島、フィンランドなどの地方に広く広がっています。
またアジアでは、中国の北部から東北部、朝鮮半島、シベリアなどの地方に、広く分布しています。
これらの地方に分布する地層は、すべて変成岩からできています。
とくに先カンブリア代前期の地層にはカコウ岩などの火成岩からか割った岩石が多いようです。
また、後期の地層も、大部分は変成岩ですがその中には、セッカイ岩やその他の堆積岩から変成した岩石が多くみられます。
先カンブリア代の地層群は、変成しているだけでなく激しくしゅう曲していて、その構造が複雑になっています。
このようなことから考えると先カンブリア代前期の地球上には大きな地殻変動が多かったと想われます。
とくに、カコウ岩のできるような地殻変動が、さかんだったのでしょう。
後期になると、地球上には海と大陸の区別ができました。
海では、さかんに堆積作用がおこなわれていたことが知られています。
しかし、けっして穏やかな時代ではなく、地殻変動もさかんであったことと考えられます。
盾状地
先カンブリア代の地層は、下の図にしめした地域に分布しています。
大部分は、大陸の内部にまとまっていて高原のような地形をしており、盾状地とよばれています。
大陸をつくっている地層には、いろいろありますがすべて、この盾状地を中心にして、そのまわりを取り囲むように分布しています。
そして、盾状地は、大陸全体の地質時代の生い立ちの中心になっています。
このように盾状地は世界でいちばん古い地層群からなっていてもっともはやく固まった陸地ですから、いまでは地盤がたいへん丈夫でしかも安定しています。
ですから、火山や大きな地震などは、まったく見られないところです。
たとえば、アメリカのニューヨークには、高い建築物が立ち並んでいます。
この地域は、北アメリカに広がる盾状地の東南部にあたっています。
ですから、地盤が安定しているので、非常に高い建物を建てても安心なわけです。
先カンブリア代の生物
先カンブリア代前期の地層にも、生物の化石かふくまれています。
しかし、その化石に、すべて下等なものばかりで、数も少ししかありません。
かつてフィンランドの先カンブリア代前期の地層からコリシウムという化石のようなものが発見されました。
研究の結果、これが生物の死骸であることが証明されました。
このほかに、先カンブリア代前期の地層にはたくさんの石墨をふくんでいることが知られています。
この石墨の起源から考えると、植物性の下等な生物が生きていたと言えます。
また、同じ時代の地層には、石灰岩や鉄鉱層がたくさんふくまれていることが知られています。
このことからすでに石灰分や鉄分を沈殿するはたらきのある下等な生物が生存していたとも考えられます。
先カンブリア代後期の地層になると、生物もかなりはっきりしてきます。
石灰岩の中からはセッカイソウ、また、石炭層の中からはホウサンチュウや力イメンなどの化石が発見されています。
とくに、力ナダのモンタナ州ベルト地方の地層からはたくさんの化石が発見されています。
この化石は、ワルコットという人によって研究されナマコ類・クラゲ類・海藻類・ぜん虫類のはい歩いたあと節足動物など、30種以上も報告されています。