地下水の集まるところ
地下水のもっとも集まりやすいのは、隙間の多い、洗い砂や砂利、玉石などの層です。
そのようなところでは、砂の粒と粒の間、石と石との間に、充分広い隙間があります。
だから、地下水をたくさんふくむことができるのです。
そして、このような層が厚ければ厚いほど、たくさんの地下水をふくめるわけです。
山ろくの扇状地や山あいの段丘なども、石や砂の層が厚さ何十メートルとありますが、その層を満たすほどの水量がない場合が多いのです。
そのため、ここでは上から染み込んでくる水はざるのめを抜けるように底へもれていってしまいます。
そして、層の下のほうにだけ地下水があって上のほうは、あいていることが多いのです。
地下水のないところ
岩盤やねん土など密度の大きい泥の層には、地下水がふくまれていません。
これらの層にも、細かい隙間は、たくさんあるのですが水が自由に動くには小さすぎるのです。
このようなねん土や、泥のかたまりが砂やれきの厚い層のあいだにはさまれているとその上に地下水がたまることがあります。
このような地下水を宙水と言います。
もしこのようなところに井戸を掘ると、雨ふりのあとでは水が増えてもしばらくすると水が枯れて、空井戸になってしまいます。
海水の侵入を防ぐ
地下水は、山ろくのような高いところから低いほうに流れて最後には海岸や海底に湧き出ているのがふつうです。
したがって、海岸の近くでは、地下水は流れてくる圧力で海水とのつりあいを保っています。
火山地帯の伊豆大島や、伊豆半島東海岸では海岸や心底に、このような地下水が泉になって湧き出ているのが見られます。
ところが、東京や大阪のように、工場やビルがたくさんの井戸を掘って大量の地下水をくみ上げると、このつりあいが破れて地下水の中に海水が混ざりこみます。
つまり地下水は、国土が海水に侵されないように守っている、とも言えます。
地盤を支える
人間の生活にとって、もっとも大切な平野は地下水と、それをふくんでいる泥や砂れきの層で支えられているといえます。
いろいろの調査が進むに連れて泥・砂やれきなどのなどの層はほぼ同じくらいの容積の地下水をふくんでいて両方で上の地盤を支えていることがわかりました。
しかし、人口が多くなり産業がさかんになって地下水がいろいろの用途に使われるようになると自然に流れこむ地下水の量よりも多くくみ上げるようになります。
そのため地下水が減って圧力が下がり、泥や砂やれきの層にかかる圧力が増えて地層は押し縮められてしまいます。
地盤沈下はこのようにして起こります。
ですから、逆に言えば、地下水は、私たちの住んでいる地表を支えているのだとも言えるでしょう。
岩石を溶かす
石灰岩や大理石また中北部に広く分布する黄土層など石灰分をふくむ岩石や地層は雨水や地下水だとによくとかされます。
これは、石灰分が二酸化炭素や植物からできる有機酸などをふくむ水にとけるからです。
石灰洞
とくに、石灰岩が地表近くに広く分布しているところでは石灰岩が水にとかされてできたドリーネとよばれるすり鉢形の穴や小さな丘のたくさんある、カルスト地形ができます。
ここではドリーネなどから染み込んだ水が地下水となって、地下に洞穴をつくります。鍾乳洞といわれるのは、こうしてできる石灰洞のことです。
石灰洞の中では、地下水は地下川や地下池となっています。
また、石灰分をふくんだ水が、天井から滴り落ちるときに石灰分を少しずつ残してできた、鍾乳石や、その水滴が落ちたところに石灰分が取り残されてできた石筍などがあります。
また、鍾乳石と石筍が上と下から伸びてきて柱のようになったものや流水によってできた皿状の石灰華など、おもしろい形のものが見られます。
石灰洞は、山口県の秋芳洞・高知県の竜河洞・大分県の風蓮洞など長さ数キロにおよぶ大きなもののほか、各地の石灰岩地にたくさん見られます。
その他のはたらき
火山の溶岩の中には、一続きの洞穴がある場合があります。
この洞穴に、地下水が流れていて、穴をしだいにあらい広げることもあります。
富士山の溶岩の中には、このような地下川が見られます。
静岡県の三島市付近で見られる泉はこのようにして流れてきた地下水が地上にあふれでたものです。
なお、地滑りも、地下水のはたらきと考えられます。