接触変成岩とは?種類と分布の様子とは? わかりやすく解説!

分布の様子

接触変成岩は、マグマからの熱のはたらきによってできるので現在、地表では、火成岩のかたまり(火成岩体)を囲んでみられます。

火成岩でも半深成岩や火山岩は岩体が小さく、冷えかたも早いのでそのまわりには接触変成岩はできにくく、おもに大きな深成岩体のまわりに見られます。

日本では、日高山脈・北上山地・阿武隈山地・上越地方・飛騨山地・近畿地方中部・中国山地・瀬戸内地力・北九州などにおもにカコウ岩でできた大きな深成岩体があるのでそのまわりに接触変成岩ができています。

接触変成岩ができる範囲は、深成岩体が大きいほど広いのがふつうです。
いっぱんに、深成岩体のはしから数百メートルの範囲に変成岩ができています。


組織

いっぱんに、岩石をつくっている鉱物の粒の大きさ(粗さ)・形・粒の組み合わさりかたなどを、岩石の組織といいます。

火成岩や堆積岩も、それぞれ特徴のある組織をもっていますが変成岩もそれらとは違った独特の組織をもっています。

接触変成岩を顕微鏡で見ると、ふつう鉱物の細かい粒が石畳の道のようにしっかりと組み合わさっています。
そして、動物の角のように、緻密で硬くなっています。

このような、緻密で硬い接触変成岩をホルンフェルス(ドイツ語で「角の石」という意味)といいます。

ホルンフェルスは、ハンマーで割るとするどいかけらになって飛び散るので、怪我をすることがあります。

造岩鉱物

ねん土でつくったつぼやお椀をかまどに入れて千数百度に熱すると硬くて緻密な焼き物(陶磁器)ができます。

これは、ねん土をつくっている鉱物が高温で変質して焼く前とは違った鉱物にかわったからです。

接触変成岩は、天然の焼き物なので、接触変成作用を受ける前にあった鉱物は高温で変質して、大部分が新しい鉱物にかわってしまいます。

これを再結晶作用といいます。

とくに、堆積岩をつくっているねん土類は地表の低い温度と圧力がもとでできたものなので接触変成作用がおこなわれるような高温(500度くらい)では分解してウンモ・チョウ石・セキエイなどの細かい鉱物の集まりに、かわってしまいます。

接触変成岩の造岩鉱物の組みあわせは、もとの岩石の種類によって、いろいろあります。



種類

接触変成岩は、変成のまえの岩石の違いによって色、組織、造岩鉱物の組みあわせなどに違いができます。

堆積岩から変成したもの

泥岩は、おもにねん土でできていて、変成しやすい岩石です。

泥岩は、ふつう黒みを帯びたやわらかい岩石ですがこれからできた変成岩は、やや赤みを帯びたホルンフェルスになります。

ホルンフェルスの新しい割れ口に日光をあてて、ルーペで見ると細かい鉱物がキラキラ光ってみえます。

これは、熱変成作用で新しくできた雲母や長石の平らな割れ口(鉱物の劈開)が日光を反射するためです。

造岩鉱物としては、このほかにセキエイがたくさん入っています。

岩石が赤みを帯びて見えるのは、赤かっ色のクロウンモができているためです。
砂岩が接触変成作用を受けた場合にも、泥岩の場合とよく似たホルンフェルスができます。

このことに注意すれば、泥岩から変化したホルンフェルスか砂岩から変化したものかを見分けることができます。

レキ岩からかわった接触変成岩では、もとのれきを容易く見分けることができます。

石灰岩が接触変成作用を受けると多角形のホウカイ石の粒からできた結晶質石灰岩になります。

これを大理石ということもあります。

大理石は、ふつうに白色ですが、不純物の量や種類によって赤・黄・灰・黒などいろいろな色がついています。
これは、装飾用の石材として、よく利用されます。

チャートが接触変成作用を受けると大部分が石英からできた白い硬い岩石にかわります。

これはケイ岩といわれます。

火成岩から変成したもの

火成岩の造岩鉱物は高温でできたものなので接触変成作用で高温に熱せられても、あまり変化しません。
しかし、大きい粒が再結晶作用で細かい粒の鉱物の集まりに変化することがあります。

接触変成作用によって火成岩中にできやすい鉱物(再結晶しやすい鉱物)は黒雲母・角閃石・長石・石英です。

黒雲母ができると岩石は赤みをおび角閃石ができると緑色になります。
火成岩は、接触変成作用をうけても、もとの組織の特徴が残っています。

それに注意すれば、その接触変成岩がどんな種類の火成岩から変化したものか、見分けることができます。




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