岩石の利用方法とは?工業原料としての利用法とは?

石灰岩の利用

セッカイ岩は水成岩の一種で、小さいホウカイ石(炭酸カルシウム)の粒が集まってできています。

石灰岩を、かまどの中で焼くと、分解して二酸化炭素が外へ逃げていきあとには、酸化カルシウムが残ります。
これが生石灰で肥料の原料、そのほかのいろいろな用途に使われます。

石灰岩の粉と、ねん土をゆっくりまわる長い筒形のかまの中に入れて熱すると小さなかたまりができます。

これは、クリンカーとよばれ、これを砕いて粉にしたものが、セメントです。

セッカイ岩は、我が国の方々の山地に産出しなかでも福岡県平尾台・山口県秋吉台・広島県帝釈・岐阜県赤坂・栃木県葛生・埼玉県秩父・東京都五日市などが、有名です。

そんなわけで、石灰やセメントの原料はほとんど無尽蔵にあるといっても、言い過ぎではありません。

ケイ岩の利用

ケイ岩は変成岩の一種で、細かいセキエイの粒が集まってできています。
不純物の少ない良質なケイ岩は、ガラスや陶器の原料として用いられます。

ふつうのガラスはセキエイ・石灰・炭酸ナトリウムの粉を適当な割合にまぜてるつぼの中で溶かし、それを急に冷やしてつくります。

また、セキエイだけを溶かしたものを、急に冷やすと、セキエイガラスができます。




岩石の利用方法とは?土木・建築用材としての利用法とは?

岩石の利用

岩石には、いろいろな利用法がありますが、大きくわけると土木工事や建築用の石材として利用するしかたとセメントやガラスエ業などの工業原料として利用するしかたとがあります。

また、このほかに、いろいろな有用金属をとる鉱石も一種の岩石ですしまた、石油や石炭も、岩石の一種ですがこれらの利用については、ここでは省くことにします。


土木・建築用材としての利用法

我が国では、土木工事や建築用の石材として、いろいろな火成岩が使われています。

岩石が石材として利用されるためにはつぎのような性質を持っていることが、望ましいのです。

① 大きな圧力がくわわっても、くずれないことこのためには岩石をつくっている1つ1つの鉱物が、しっかりとくっつきあっていること。

岩石に、あまり細かな割れ目が、入っていないことなどが必要です。

② 火や風雨の作用にたいしても、抵抗力が強いこと。

③ 岩肌がきれいなこと。

④ 規則正しい割れ目が、ほどよく入っていて、石切場から切りだすのに都合がよいこと。

しかし、1つの岩石で、これらすべての性質を兼ね備えているということはほとんどないので岩石の性質によって、それぞれ、適当な用いかたをします。

カコウ岩の利用

カコウ岩は、我が国のほうぼうの山地に広く分布しているので、石材として、広く利用されています。

カコウ岩が、石材として利用されるのは大きな圧力に耐える力が強いためです。

しかも、都合がよいことには、カコウ岩はだいたい直角にまじわる三方向の面にそって割れる性質があるので立方体の石材として切りだしやすいのです。

圧力に対して強いので大きなビル・橋げた・石垣などの石材としてよく用いられます。

しかし、カコウ岩は火に弱く、火事などにあうとボロボロに砕けやすい欠点をもっています。

これはカコウ岩の中にたくさんふくまれている石英が熱せられると、急に膨張するためです。

カコウ岩にかぎらず、岩石は石材として用いられるときにいろいろな俗名でよばれています。

カコウ岩の俗名は、ミカゲ石(またはミカゲ)です。
これは、むかし、中国地方がら切り出したカコウ岩を兵庫県の御影港から積みだしたので、この名がついたのだと言われています。

岡山県万成地方からでる淡紅色のカコウ岩石材はサクラミカゲ(またはマンナリミカゲ)といって、珍重されています。

東京地方で、よく見かける白色のカコウ岩石材は茨城県の稲川というところから切りだされたものでイナダミカゲ(またはイナダ石)といいます。

なお、深成岩の一種のハンレイ岩は、磨くときれいな黒色の光沢を出すので装飾用の石材や墓石として、よく用いられています。

これをクロミカゲ(またはオニミカゲ)とよんでいますがこれは、カコウ岩ではありません。



アンザン岩の利用

アソザソ岩もカコウ岩とならんで、広く石材として利用されています。

アンザン岩はカコウ岩とくらべて風や雨で風化されにくく、また熱に対しても強いのが特徴です。

アンザン岩の中には、板状に割れやすい性質をもつものがあり迚物の外側にはりつけたり、石壁などによく用いられています。

岩肌は、ねずみ色をしており、カコウ岩ほどきれいではありませんが我が国には火山が多いので、ほうぼうの火山(とくに関東・中部地方の火山)からたくさんとれるので値段が安いという長所を備えています。

長野県の諏訪市の近くから切りだされるアンザン岩(霧ヶ峰火山の溶岩)は鉄平石ともよばれ、敷石や壁のはり石として利用されています。

また、小田原市の少し西の根府川付近からとれるアンザン岩(箱根火山の溶岩)はネブカワ石とよばれ、東京あたりでは、よく使われています。

凝灰岩の利用

凝灰岩は火山灰がかたまった、一種の堆積岩で圧力に耐える力はカコウ岩やアンザン岩ほど強くはありませんが風雨の作用や、火に対する抵抗力が強く、また、わりにやわらかくて切りだしやすいので、よい石材になります。

石垣・石壁・倉庫などにはこれが、よく使われます。

東京あたりでは、淡緑色で、ボツボツあばたのような穴のあいた、オオヤ石とよばれるギョウカイ岩が、よく見られます。

このほか、適当な硬さをもった緻密なギョウカイ岩は砥石としてよく用いられています。

ネンバン岩やサ岩の利用

ネンバン岩は、平らに割れやすい性質を持っているのでむかしは、屋根を拭くのに使われましたがいまでは、セメントがからの発違により、あまり使われていません。

それでも石碑や庭の敷石に用いたり、碁石や、砥石の原料に使われています。

日本から産出する砂岩は、風雨の作用に弱くボロボロになりやすいので、あまりよい石材にはなりません。

もっとも、細かな割れ目が、たくさん入っている硬いサ岩は、細かく割れやすいので、ダムエ事のときのセメントの骨材や道路工事の敷石(岩バラス)としてよく用いられています。

グイリ石やジャモン岩の利用

セッカイ岩が変質したダイリ石や深成岩の一種のジャモソ岩には岩肌が、非常にきれいなものが多いので装飾用の石材としてビルの内壁などに用いられています。

また、ダイリ石は、彫刻にも使われています。
これは、岩石としては、わりあいにやわらかく、細工しやすいためです。
だから、装飾用に使う場合でも、きれいに磨いて使います。

日本のダイリ石としては、岐阜県赤坂や山口県秋吉台産のものが有名ですが世界的にはイタリア産のものが最も良質で

日本でも、たくさん輪入しています。

コクヨウ岩の利用

コクヨウ岩は、ガラス質のリュウモン岩ですがきれいなものは、細工して、カフスボタンや帯どめなどの装飾品として用いられます。

最近では、一種のコクヨウ岩(二次的に変質して、水をふくんだもの)を適当な温度で焼いて、餅のようにふくらましたものをセメントの骨材として用いています。

これは、軽くて、上部な性質を利用しているわけです。
また、むかし、矢じりや矛などにつかわれていたこともあります。




広域変成岩とは?分布の様子と種類とは? わかりやすく解説!

分布の様子

広域変成岩であるケッショウヘン岩は広域変成作用によってできますがこの広域変成作用は、造山運動にともなって起こります。

それで、ケッショウヘン岩は造山運動がおこなわれた造山帯の中心部にそって帯状に分布しています。

日本は、たびたび造山運動を受けたのでいろいろな時代にできた結晶片岩地帯が各地に見られます。

そのうち、とくに著しいのは、つぎの2つの地帯です。


三波川結晶片岩帯

関東山地・天竜川流域・紀伊半島中部・四国山地・佐賀ノ関半島をむすぶ地帯で総延長700キロ以上、幅は最大26キロに及んでいます。

利根川の支流の三波川(群馬県)の名をとって、こう呼ばれています。
ここは中生代に広域変成作用をうけた地帯です。

三郡結晶片岩帯

北九州の西彼杵半島・背振山地・三郡山地・中国地方の山口・徳山・益田、岡山県中部などに点々と分布する結晶片岩地帯です。

三波川結品片岩帯のように分布が連続していないのは、広域変成作用をうけた時代が、それより古い古生代の終わり頃のため、その後にできた地層で覆われているからです。

組織

ケッショウヘン岩の、もっとも著しい特徴は、非常にはがれやすいということです。
これは、ケッショウヘン岩の組織に特徴があるからです。

ケッショウヘン岩では、ウンモなどのように板状またはうろこ状の結晶がほぼ一定の方向に平行にならんでいます。

このような組織を片理といい、平行にならんでいる面を片理面といいます。

また、しばしば片片面と平行に縞模様ができていますがこれは、色の濃い鉱物(有色鉱物)が多い部分と白っぽい鉱物(無色鉱物)が多い部分とが、平行に積み重なっているためです。

そのほか、片理とは別の方向に割れやすい面がたくさん見られます。
これは、へき開面といわれています。

ケッショウヘン岩の中に、カクセン石のような柱状または針状の鉱物が入っていると、それらは一定の方向にならんでいます。

これも片理の一種ですが、線構造といわれています。
また、片理面を観察すると、たくさんの小じわが一定方向に平行にならんでいるのが見えます。

これは片川面とへき問面が交わってできたものですが、やはり線構造の一種です。

ケッショウヘン岩に、片理・へき開・線構造などのように組織に方向性のあるのが大きな特徴です。

これは、ケッショウヘン岩ができるとき、一定の方向に力がはたらいていたためです。

造岩鉱物

広域変成作用のときには、力のほかに熱もくわえられるので
変成の前の鉱物は、たいてい分解して再結晶し、いろいろな鉱物ができています。

ケッショウヘン岩の「結晶」ということは、このことを意味しています。



種類,/h2>
ケッショウヘン岩は、変成のまえの岩石の違いや変成のときの温度や圧力の高低によって、いろいろ違った種類があります。

変成のときの温度が高いほど粒の粗い岩石となります。

堆積岩から変成したもの

デイ岩やサ岩からは、黒っぽい色のケッショウヘン岩(黒色片岩)ができます。黒い色は石墨の色です。

片理面には雲母があらわれて、キラキラ輝いています。
無色鉱物は、石英と長石です。

石灰岩は結晶質石灰岩(大理石)になりチャートは、ほとんど石英でできたセキエイヘン岩になります。
三波川結晶片岩帯のセキエイヘン岩にはしばしばコウレン石という赤色の鉱物がふくまれていて美しい桃色のコウレンヘン岩になります。

火成岩から変成したもの

もっともふつうに見られるものは、玄武岩または玄武岩質の凝灰岩から変成したケッシッウヘン岩です。

温度が低いときには、リョクデイ石という緑色の鉱物の多いリョクショクヘン岩になり、温度が高いとカクセン石の多いカクセンヘン岩になります。

ヘンマ岩

変成のときの温度がとくに高いときにできる粒の粗い変成岩でふつうカコウ岩にともなってできます。

日本では、飛騨山地・愛知県・近畿地方中央部・瀬戸内海西部・日高山脈などでみられどこでもカコウ岩の大きな岩体の付近にできています。

デイ岩やサ岩がもとになってできたヘンマ岩は石英・長石・黒雲母が主成分で、カコウ岩の主成分鉱物と同じです。

このようなヘンマ岩が、とくに粗い鉱物の粒の集まりになるとカコウ岩と区別がつかなくなります。

それで、カコウ岩のあるものは、泥岩や砂岩が変成してできたと考えられています。

また、デイ岩やサ岩がさらに高温(700度くらい)に熱せられると、溶けだしてカコウ岩のマグマができると考えられています。




接触変成岩とは?種類と分布の様子とは? わかりやすく解説!

分布の様子

接触変成岩は、マグマからの熱のはたらきによってできるので現在、地表では、火成岩のかたまり(火成岩体)を囲んでみられます。

火成岩でも半深成岩や火山岩は岩体が小さく、冷えかたも早いのでそのまわりには接触変成岩はできにくく、おもに大きな深成岩体のまわりに見られます。

日本では、日高山脈・北上山地・阿武隈山地・上越地方・飛騨山地・近畿地方中部・中国山地・瀬戸内地力・北九州などにおもにカコウ岩でできた大きな深成岩体があるのでそのまわりに接触変成岩ができています。

接触変成岩ができる範囲は、深成岩体が大きいほど広いのがふつうです。
いっぱんに、深成岩体のはしから数百メートルの範囲に変成岩ができています。


組織

いっぱんに、岩石をつくっている鉱物の粒の大きさ(粗さ)・形・粒の組み合わさりかたなどを、岩石の組織といいます。

火成岩や堆積岩も、それぞれ特徴のある組織をもっていますが変成岩もそれらとは違った独特の組織をもっています。

接触変成岩を顕微鏡で見ると、ふつう鉱物の細かい粒が石畳の道のようにしっかりと組み合わさっています。
そして、動物の角のように、緻密で硬くなっています。

このような、緻密で硬い接触変成岩をホルンフェルス(ドイツ語で「角の石」という意味)といいます。

ホルンフェルスは、ハンマーで割るとするどいかけらになって飛び散るので、怪我をすることがあります。

造岩鉱物

ねん土でつくったつぼやお椀をかまどに入れて千数百度に熱すると硬くて緻密な焼き物(陶磁器)ができます。

これは、ねん土をつくっている鉱物が高温で変質して焼く前とは違った鉱物にかわったからです。

接触変成岩は、天然の焼き物なので、接触変成作用を受ける前にあった鉱物は高温で変質して、大部分が新しい鉱物にかわってしまいます。

これを再結晶作用といいます。

とくに、堆積岩をつくっているねん土類は地表の低い温度と圧力がもとでできたものなので接触変成作用がおこなわれるような高温(500度くらい)では分解してウンモ・チョウ石・セキエイなどの細かい鉱物の集まりに、かわってしまいます。

接触変成岩の造岩鉱物の組みあわせは、もとの岩石の種類によって、いろいろあります。



種類

接触変成岩は、変成のまえの岩石の違いによって色、組織、造岩鉱物の組みあわせなどに違いができます。

堆積岩から変成したもの

泥岩は、おもにねん土でできていて、変成しやすい岩石です。

泥岩は、ふつう黒みを帯びたやわらかい岩石ですがこれからできた変成岩は、やや赤みを帯びたホルンフェルスになります。

ホルンフェルスの新しい割れ口に日光をあてて、ルーペで見ると細かい鉱物がキラキラ光ってみえます。

これは、熱変成作用で新しくできた雲母や長石の平らな割れ口(鉱物の劈開)が日光を反射するためです。

造岩鉱物としては、このほかにセキエイがたくさん入っています。

岩石が赤みを帯びて見えるのは、赤かっ色のクロウンモができているためです。
砂岩が接触変成作用を受けた場合にも、泥岩の場合とよく似たホルンフェルスができます。

このことに注意すれば、泥岩から変化したホルンフェルスか砂岩から変化したものかを見分けることができます。

レキ岩からかわった接触変成岩では、もとのれきを容易く見分けることができます。

石灰岩が接触変成作用を受けると多角形のホウカイ石の粒からできた結晶質石灰岩になります。

これを大理石ということもあります。

大理石は、ふつうに白色ですが、不純物の量や種類によって赤・黄・灰・黒などいろいろな色がついています。
これは、装飾用の石材として、よく利用されます。

チャートが接触変成作用を受けると大部分が石英からできた白い硬い岩石にかわります。

これはケイ岩といわれます。

火成岩から変成したもの

火成岩の造岩鉱物は高温でできたものなので接触変成作用で高温に熱せられても、あまり変化しません。
しかし、大きい粒が再結晶作用で細かい粒の鉱物の集まりに変化することがあります。

接触変成作用によって火成岩中にできやすい鉱物(再結晶しやすい鉱物)は黒雲母・角閃石・長石・石英です。

黒雲母ができると岩石は赤みをおび角閃石ができると緑色になります。
火成岩は、接触変成作用をうけても、もとの組織の特徴が残っています。

それに注意すれば、その接触変成岩がどんな種類の火成岩から変化したものか、見分けることができます。




変成岩の成り立ちとは? 変成作用と変成岩の分類とは?

変成作用

火成岩や堆積岩は、長い年月のあいだにあとから積み重なった岩石の下になって地殻の中にうすめられます。

そして、熱せられたり、もみ壊されたりして、その質がしだいにかわっていきます。

このように、いちどできあがった岩石が地殻の中で違った質の岩石にかわっていくことを、変成作用といいます。

変成岩は、この変成作用によって、火成岩や堆積岩が変化してできた岩石です。


変成作用と変成岩の分類

変成作用が行われるときは、多量の熱がくわえられて岩石が高い温度に熱せられたり、造山運動のときの強い力をうけて岩石がもみ壊されたりします。

そして、そのときの温度が高いか低いによってまた、力の受け方が大きいか小さいかによって同じ岩石からできる変成岩の質も違います。

それで、変成作用は、そのときの熱と力のはたらきかたの違いによって大きく接触変成作用(熱変成作用)と広域変成作用(動力変成作用)の2つにわけられます。

接触変成作用

高温のマグマが地殻の中に入ってくると、その近くの岩石は、その熱で熱せられます。
この場合には力はあまりはたらかないので変成作用はおもに熱のはたらきで起こります。

このような変成作用を接触変成作用といいます。
接触変成作用は、大きなマグマに接した付近に見られます。

広域変成作用

造山運動かおこなわれるときには、地殻の広い範囲が強い力を受けて地層が曲がったり、もみ壊されたりします。

ふつう、同時に地下からのマグマが入ってきて、岩石は力を受けながら熱せられます。
このようにしておこなわれる変成作用を、広域変成作用といいます。

造山運動は、幅数百キロ、長さ数千キ口におよぶ帯状の広い地域にわたって起こるので、そのときに起こる広域変成作用も非常に広い地域におよびます。

広域変成作用でできた変成岩には、うすくはがれる性質をもつセンマイ岩・ケッショウヘン岩があります。

そのほか広域変成作用のときケッショウヘン岩をつくる鉱物の粒が大きくなってできる。
縞模様をした岩石をヘンマ岩といいます。




沈殿岩とは?石灰岩・チャート・鉄鉱石・硫化鉱とは?

沈殿岩

岩石などから、水中に溶けだしたいろいろな成分の一部は温度や圧力や、その水の性質などがかわると再び、沈殿しはじめます。

沈殿するときの条件によって化学成分か違いますからその成分で、つぎのように種類わけします。


石灰岩

おもに、炭酸カルシウムからできています。

このカルシウムに、はじめは陸上の岩石中にふくまれていたのですが風化作用で水に溶け川で運ばれて集まったものです。

日本の各地でも、いまから2億数千万年前の生物であるフズリナやサンゴになどがもとになってできたセッカイ岩が秩父古生層とよばれる地層の中に発見され現在、セメントの原料として掘り出されています。

しかし、石灰岩には、化石をふくまないものも少なくありません。
これらは、水に溶けている力ルシウム分が沈殿してできたものと考えられます。

石灰岩をつくる炭酸カルシウムは、続成作用や温泉水火山ガスなどによる作用を受けてそのカルシウムの一部がマグネシウムと入れかわってハクウン岩(クカイ岩)となることもあります。

チャート

ほとんどケイ酸でできた、緻密な堆積岩です。

セッカイ岩と同じようにケイ酸質の生物の殻でできる場合と海図中に溶けているケイ酸分が沈殿する場合とがあります。

ケイ酸は、水に溶けにくいので、海水中にふくまれるには少ないのがふつうですが、火山活動などで大いに持ち込まれて沈殿する例もたくさんあります。

チャートをつくるおもな生物は、ホウサンチュウとケイソウです。

現在でも、陸から遠くになれた大洋の底では、泥や砂が持ち込まれないでこれらの生物の死骸かたまっています。

そして、深い海の底では圧力が大きいので、石灰質のものは、海水中に溶けてしまい、溶けにくいケイ酸質の殻だけが残り、チャートをつくります。

日本では、チャートもセッカイ岩のように秩父古生層の一部として、全国いたるところにみられます。



塩やセッコウ

雨のほとんど降らない大陸内部の湖では地表の岩石から物質を溶かして運んできた水が蒸発してしだいに塩分が濃くなり、ついには湖の底や岸に塩類が堆積していきます。

こうした堆積岩には、岩塩・セッコウ・チリショウ石などがふり工業原料として利用されています。

鉄鉱石

水中に溶けている鉄分が、沼地などで鉄バクテリアの作用により水酸化鉄として沈暇することがあります。

日本でも、群馬県でこのようなものを、鉄の鉱石としてとっているところがあります。
大陸では、古生代にこうした鉄が厚い層をつくっていて広く分布しているので、世界の鉄の重要な資源となっています。

硫化鉱

黄鉄鉱や黄銅鉱などの鉱石が、地層のように堆積して大きな鉱床をつくることがあります。

それが、どうして出来たかは、まだよくわかっていませんが多くは海底火山から噴出した気体や液体から沈殿したものと考えられています。




砕屑岩とは?続成作用・火山砕屑岩とは? わかりやすく解説!

粒の大きさ

あらいだされた岩のかけらが、川で運ばれるとき流れの強い上流では、粒の粗いものしか沈殿しませんが下流へ行くにしたがって細かい粒も沈むようになります。

海底の堆積物も、沖にいくほど細かくなっています。
しかし実際には波や海流の影響が強くて粒の粗いものと細かいものとの分布が、入り乱れています。

したがって、砕屑岩を分類し、その成り立ちを知るにはそれをつくる物質の粒の大きさを調べることが、まず第一に必要になります。

その大きさは、つぎのようになります。

  • 巨れき……直径265ミリ以上
  • 大れき……直径265ミリ~64ミリ
  • 中れき……直径64ミリ~54ミリ
  • さいれき…直径に54ミリ~2ミリ
  • 砂…………直径2ミリ~16分の1
  • シルト…………直径に16分の1ミリ~265分の1ミリ
  • ねん土……直径256分の1ミリ以下

砕屑岩は、大小さまざまの粒が集ってできたものですからどの大きさの粒が、どんな割合で入っているかを、知らなければなりません。

そのため、岩を砕いて、ふるいでわけたり、水中に沈殿させたり岩をうすくすり減らして顕微鏡で見たりして、岩をつくっている粒の大きさを調べその平均をもとめて、その平均値から、レキ岩・砂岩・泥岩の3つに区別します。


粒のそろいかた

大水がでて、ドサッとたまった川原の砂利などは随分いろいろな大きさのれきで、できています。

また大水のときに海に運ばれた土砂なども、まちまちな粒からできています。

ところが急流の流れこまない湖の底にたまった泥とか波が繰り返し押し寄せる遠浅の砂浜の砂などはふるいわけられてたいへん粒がそろっています。

このように粒のそろいかだけ、その砕屑岩ができたところやできたかを知るのに役立ちます。

層理と粒のならびかた

土砂をふくんだ水を、ガラスのコップの中に入れてかきまわし水がすむまで、ほうっておくと底には、いちばん粒の粗いものが沈み上に行くほど細かくなり、ついには、ねん土になるのが見られます。

この上に、もう二度、泥水をいれると、また粗い粒から沈みはじめ同じようなならびかたをした組織ができます。

そして、上と下との組織の境目は、たいへん、はっきりしています。

このような様子は、天然の堆積岩にも見られます。
そして、この境目は層理とよばれ、地層を分類するときや、地層が傾いたかどうかしゅう曲しているかどうか、などを知るときの目安になります。

こういう組織をよく見ると同じ高さのところで粒の大きさがよくそろっていたり鉱物の種類が同じだったりしていてはっきりした1枚の面をつくっていることがあります。

これを葉理といいます。

これは、粒の重さや粒の形によって進む速さが、それぞれ同じだからです。

粒の種類

粒の種類を調べるとその堆積岩のできたときの様子がわかります。

そのうえ、その堆積岩をつくる物質の源になった岩がどんな鉱物からできていて、どこにあったかということを知ることもできます。

また、堆積岩をつくっている鉱物の種類から、その源になっている岩石のかけらがどんな道すじを通ってたどり着いたかを知る手がかりも掴めます。

たとえば、あたたかくて雨の多い地方では風化作用が激しいので多くの鉱物の分解がすすみ、ねん土になります。

石英や白雲母などのような分解しにくいものだけが砂粒として残り、堆積岩をつくります。

これに対して、寒い地方や雨のかなり少ない地方では風化作用が弱いために、いろいろな鉱物が分解されずにそのまま、あらいだされます。

また、風化の激しい地方でも、日本のように、川や海の浸食の激しいところでは風化作用が充分に、進まないうちに、岩石があらいだされます。

そこで、わりあいに分解されやすい長石・輝石・角閃石などの鉱物もそのまま運ばれます。

さらに、運ばれていく途中で、やわらかい鉱物や、砕けやすい鉱物はすり減ったり、砕けたりしてしまいますが石英などのように硬い鉱物は、あまり壊れずに堆積します。

岩のかけらでも、かたくて緻密なセキエイハン岩や硬い砂岩などは大きなれきとして、遠くまで運ばれます。

しかし、やわらかい泥岩などはすり減り、カコウ岩は細かく砕けやすくケッショウヘン岩などはうすく、はげやすいためにすぐ小さくなり砂や泥になってしまいます。



続成作用

水底にたまったばかりの堆積物は、たくさんの水分をふくんでいてやわらかく
ふわふわしているのがふつうです。

しかし、その上に、新しい堆積物が、どしどしたまっていくとその重みで砂つぶや泥粒のならびかたがかわり隙間が減って、水分をしぼりだすようになります。

泥粒などは、さらに、粒自身が板のようにつぶれてしかも、平行にならび、つぎには粒の中に吸着されていた水分さえ、しぼりだされます。

こうして、堆積物は、かたまります。

東京の下町などの低地帯は、毎年の地盤沈下で騒がれていますがそのいちばん大きな原因は、むかしの川(たとえば、東京では利根川や荒川)が、三角州として堆積させた泥が年々、その中の水分をしぼりだして、硬くなっていくことなのです。

また、粒をつくる成分の一部は、隙間の水分中に溶けふたたび沈殿して、粒と粒をかたくむすびつけます。

あるいは、そういう成分だけが集まって沈殿し、かたまりをつくります。

粒をつくる鉱物どうしでも化学反応がおきて、いっぽうの鉱物だけが大きく育ってきたり、全く新しい鉱物ができたりすることもあります。

このような変化は、上に重なる堆積物の重さやそのほかの地殻変動による圧力・地熱などによって、いっそう早く進みます。

堆積物が、そのたまった場所で硬い岩石にかわっていくいろいろな作用を続成作用といいます。

人によっては、この続成作用を弱い変成作用(熱や圧力で岩石を変質させる作用)の一種とみる人もあります。

火山砕屑岩

火山からは、水蒸気やそのほかの気体といっしょに大小の岩のかけらが、空中にほうりだされます。

このかけらは、大きさや形によって、つぎのようにわけられます。

小豆の粒より小さいものを火山灰、小豆の粒くらいの大きさからニワトリの卵くらいの大きさのものを、火山れき、それ以上の大きさのものを火山岩塊といいます。

また、火口の中で、どろどろに溶けた溶岩が、ふきちぎられながら放りだされると針のような毛となったり、ラグビーボールのような火山弾となります。

こうしたときに水分などの揮発しやすい液体がたくさんふくまれていると圧力と温度が急に下がるために、それらの液体が激しく逃げ出すのでたくさんの穴があきます。

軽石やスコリアは、こうしてできたものです。

火山砕屑岩は、このような岩石のかけらがそのまま陸上や水底に積もったり、流れで運ばれたりしてできます。

おもに、火山灰でできている砕屑岩を凝灰岩、それにかなりの火山れきがまじっているものか、カクレキギョウカイ岩、このカクレキギコウカイ岩の火山灰が少ないものをギョウカイカクレギ岩、さらに火山岩塊をふくんだものをカザンカクレキ岩といいます。

そして、火山弾のたくさんふくまれているものはとくに、シュウカイ岩とよんで区別します。

日本はむかしから、激しい火山活動が繰り返し起きた川なのでさまざまな火山砕屑岩が広く分布しています。

キリョクギョウカイ岩は、そういう岩石が、長い年月のあいだに著しい続成作用をうけてできたものです。

また、第三紀の中頃に、北海道西部の低地帯から東北・信州を経て、伊豆半島にかけて広く厚く堆積してできたリョクショクギョウカイ岩に、グリーンタフとも言われかなりの続成作用を受けた火山砕屑岩です。

質は、やわらかいのですが、熱に強いので、各地で石材に使われています。

宇都宮市大谷町のオオヤ石は、このうちとくに有名です。




堆積岩の特徴とは?堆積岩の大分けとは? わかりやすく解説!

堆積岩の記録

火成岩は、地下深くからあがってきたマグマ(岩礁)が、冷え固まったものです。つまり、火成岩のできる原因は、地球の内部にあるわけです。

これに対し、堆積岩は、そういう火成岩や変成岩、前からできていた堆積岩といったものが風化され、崩れ落ちた岩石くずが風や流水や氷河で運ばれてたまり、それが積み重なり、また岩になったものです。


火成岩を、生きた樹木だとすると堆積岩は、それをひいたノコギリくずにたとえた人もあります。

堆積岩は、地球の表面で、いろいろな作用によってできます。

ですから、それらの作用のあとたとえば、雨粒・ひび割れ・川の流れ・潮のひきあと
氷河のあとなどが残されていることがあります。

もちろん、カニや貝の巣穴、サンヨウチュウのはいあと恐竜の足あとなどの生物の生活していたあともいろいろな化石と同じように、堆積岩に残されています。

このような、むかし、地表で起こった、地表の変化やそのほかのいろいろなことは堆積岩そのもののできかたにも残されています。

したがって、堆積岩を研究するときにいちばん大切な目的はそれらの記録をたくさん見つけ出し、堆積岩ができたときの地裏の様子を知ることにあります。

その様子は、場所や時代によっていろいろと違っています。

そこで、堆積岩を調べるときには火成岩などと違って場所とか時間を切り離して考えることはできません。

堆積岩の大分け

堆積岩は、ふつう、いろいろな化学成分からできています。

そして、化学成分を調べることによってその堆積岩が、どのような過程を経て堆積したか、その道筋がわかります。

堆積岩は、いろいろな種類の物質が集まってできているため火成岩のようにはっきりした目安を立てて化学成分でわけることは、なかなか難しいのです。

むしろ、堆積岩は、そのでき方によって区別されています。

堆積岩は、大きく風成岩と水成岩とにわけられます。
風成岩は、砂丘や中国の黄土のように、風で運ばれて陸上に堆積したものをいいます。

水成岩は、海や川・湖などの底に堆積したものです。

また、運ばれてきた物質がどのようにしてたまるかという見かたで、大きく2つにおけることもあります。

その1つは、岩石や鉱物のかけらがれきや砂や泥などとして堆積したもので、砕屑岩とよばれています。

もう1つは、水中に溶けて運ばれた物質が生物のはたらきや化学的作用で堆積したもので、沈殿岩といわれるものです。

これから、この2つについて調べることにしましょう。




岩石の割れ目、節理とは? わかりやすく解説!

岩石の中には、節理とよばれる割れ目が発達しているものがあります。

とくに火成岩には、いろいろな割れ目があり不規則なものもありますが、かなり規則正しいものが多いようです。

この割れ目は、餅が固まるとき、割れ目ができるようにマグマが冷え固まって火成岩になるときやや体積が小さくなるためにできたものです。

このうち、規則正しい割れ目には、つぎのようなものがあります。

カコウ岩には、ほぼ直角に交わる3方向の割れ目がつきやすくそのため、立方体状に割れます。

このような節理を方状節理といいます。

アンザン岩などの溶岩には、一方向にだけの割れ目がたくさんできることがあります。
そのために、平らな板状に割れやすい性質があります。

このような節理を板状節理といいます。
長野県の鉄平石は、このような性質を持ったアンザン岩です。

また、溶岩は、断面が六角や八角をした柱状の割れ目もできやすく材木岩とよばれる形をつくります。

このような節理は柱状節理と言います。
節理は火成岩ばかりでなく堆積岩や変成岩にもみられます。

堆積岩のデイ岩などは、岩石の表面が風化して、タマネギの鱗片のように割れ目ができることがあります。




火成岩・半深成岩・深成岩の産状とは? わかりやすく解説!

火山岩の産状

マグマは、陸上に噴き出して、いろいろな火山をつくるほか海底に噴き出して、海底火山をつくることもあります。


しかし、海底火山については、まだ、よくわかっていないのでここでは、おもに陸上火山での火山岩のできかたについて考えることにします。

火山の噴火のしかたは、大きくみて2つあります。

その1つは、マグマを流し出すだけでなくその中にふくまれていた多量の水蒸気を激しく噴き出して大爆発を起こすものです。

浅間山や桜島の噴火が、その代表的なものです。
もう1つの噴火のしかたは、マグマは流しだしますが水蒸気による爆発は、あまり激しくないものです。

日本では、大島の三原山の噴火などが、これにあたります。

爆発性の火山では、流れ出したマグマが、そのまま固まった溶岩のほかに、火山灰やいろいろな大きさの溶岩のかけらを噴き出します。

これらのものは、複雑に重なりあって、しだいに火山体をつくっていきますがしばしば、水成岩の地層のような、きれいな地層をつくります。

あまり、爆発性がない火山の場合には、おもに溶岩が積み重なって火山体ができます。

噴き出した溶岩が、ねばりけの少ないものであるときは火口から遠くのほうまで流れていくので、傾斜のごくゆるい火山ができます。

ハワイ諸島などには、この代表的な火山があります。

反対に、マグマのねばりけが強い場合には、遠くまで流れないので傾斜の大きい、小型の火山体ができます。

このような火山は、複式火山の中央火口丘や古い火山の一部にできる寄生火山などにみられます。



半深成岩の産状

半深成岩の産状は、大きくみて、岩脈と岩床とにわけることができます。

岩脈は地層を切っているひび割れにそって、マグマが昇ってきて割れ目に入り、そこで冷え固まってできたものです。
だから、板状の岩が、地層をきっているかたちになっています。

岩脈の厚さは、ふつう、数メートルから数十メートルで長さは、数百メートルから数キロも続いています。

しかし、ときには、厚さが数百メートル長さが数十キロも続くような大きな岩脈もあります。

岩床は、地層の重なりと、平行に入りこんできたマグマが冷え固まってできたもので、大きさは岩脈と同じくらいです。

地層と平行して、平らな形をしているのがふつうですがときには、鏡餅や凸レンズのような形をしていることがあります。

このようなものは、とくに、餅盤とよんで区別しています。

深成岩の産状

深成岩は、マグマが、地下深くで固まってできた岩石でふつう、底盤とか岩株とかいわれる形でできます。

こういった、地下深くできた岩石が現在地表でみられるのは長い年月のあいだに地盤の上昇が起こって、地表が浸食されたためです。

底盤は、複雑な形をした、非常に大きなもので、地表に出ている面積だけでも数十平方キロから数百平方キロもあります。

これが地下に向かって、どのようになっているかはまだよくわかっていませんが、だいたい、そのままの大きさで地下深く広がっていると考えられています。

しかし、その反対に、地下に向かってしだいに小さくなっていると考えている人たちもいます。
なお、底盤に似ていて小さいものを、岩株とよんでいます。

おもしろいことに、底盤をつくっている深成岩はおもに、カコウ岩やそれに似た岩石でその他の深成岩が底盤となって産出されることは、ほとんどありません。

こにれらは、岩株として産出されます。

カコウ岩の底盤は、非常に大きなものなのでマグマが冷え固まるときに、たくさんの熱を吐き出します。

そのため、まわりの堆積岩は、広い範囲にわたって熱せられ、変質します。
そして、多くは接触変成岩(熱変成岩)とよばれる密度の大きいかたい岩石に変化しています。




火成岩の種類とは?玄武岩・安山岩・流紋岩とは?

おもな火山岩

火山岩には、多くの種類がありますが、我が国に産する火山岩は大きくわけて玄武岩・安山岩・流紋岩の3種になります。


ゲンブ岩

おもに、輝石とカルシウムの多い長石からできています。

また、カンラン石を、かなりふくんでいるものもありカンラン石玄武岩とよばれています。

玄武岩は、有色鉱物をかなりたくさんふくんでいるのでいっぱんに黒っぽい色をしています。

富士山や伊豆七島の火山の溶岩は、おもに、この玄武岩でできています。
このほか、九州の唐津地方などには、玄武岩が小規模なよう岩台地をつくって、広く分布しています。

安山岩

輝石・角閃石・カルシウムやナトリウムの多い、長石・石英などでできている火山岩です。

有色鉱物として、輝石の多いものを輝石安山岩岩、角閃石の多いものを角閃石安山岩といいます。
また、わりあいに石英が多いものを、石英安山岩とよんでいます。

安山岩は、玄武岩に比べて、有色鉱物に割合がやや少ないのでいっぱんに玄武岩よりも、白っぽい色をしています。

我が国の多くの火山をつくっている溶岩はおもに安山岩ですが、それにはつぎのような規則性があります。

千島火山帯・那須火山帯・富士火山帯の前半分(大島火山帯ともよばれ、伊豆七鳥にあたる部分)霧島火山帯(琉球火山ともいう)のようにわりあい太平洋に近い火山帯に属する火山の溶岩はおもに、輝石安山岩や、角閃石にふくまない石英安山岩らからできています。

いっぽう、鳥海火山帯・富士火山帯の北部・乗鞍火山帯・白山火山帯のようにおもに、日本海側の火山帯にぞくする火山の溶岩には輝石安山岩のほかに角閃石安山岩や角閃石をふくむ、石英安山岩もたくさんあります。

流紋岩

石英と、ナトリウム・カリウムを多くふくんだ長石がおもな成分でこのほか、少量の角閃石・黒雲母などをふくむ火山岩です。

流紋岩は、石英蛇紋岩ともいいます。

流紋岩は、有色鉱物の量が少ないので、いっぱんに白っぽい色をしています。

しかし、流紋岩質のマグマが、鉱物の粒ができるまえに急に冷え固まってしまうと、黒色の天然ガラスになります。

これを黒曜石(十勝石)と言います。
また、流紋岩質のマグマが冷え固まるときに、その中にふくまれていた水蒸気が急にふきだすと、非常に穴の多い岩石になります。

これが、浮石(軽石)です。

流紋岩は、我が国の現在の火山からはあまり噴き出していませんが北海道の昭和新山(1944~1945年の噴火)の溶岩や伊豆諸島の明神礁(1952年の噴火)から噴き出した浮石は、これに近いものです。



主な半深成岩

我が国にある主な半深成岩はつぎのようなものです。

輝緑岩

火山岩の玄武岩とその成分は似ていて主に、輝石とカルシウム分の多い長石からできています。

新しいものは黒色ですが、変質して、緑色角閃石やリョクデイ石のできているものは、黒みがかった緑色です。

我が国では、いろいろな地層の中に岩脈や岩床となって産しますが、あまり大きなものはありません。

ヒン岩

成分は、火山岩のうちの安山岩と似ています。

輝石・角閃石・カルシウム分とナトリウム分の多い長石や石英などからできている灰緑色の岩石です。

ヒン岩のうち、輝石の多いものを輝石ヒン岩角閃石の多いものを角閃石ヒン岩と言います。ヒン岩は、ふつう、地下の岩脈としてできます。

セキエイハン岩

成分は、火山岩のリュウモン岩と似ています。

石英、ナトリウムとカリウムの多い長石がおもな成分で少量の角閃石や黒雲母などをふくんでいます。

色は、うすい灰色から、うすい緑灰色をしているものまであります。

岩脈となって産することが多いですがカコウ岩といっしょに、複雑な形で出るともあります。

おもな深成岩

我が国にあるおもな深成岩は、カンラン岩・ハンレイ岩・センリョク岩・カコウ岩の4種です。

カンラン岩

カンラン石とキ石がおもな成分で、黒っぽくて粒の粗い岩石です。
そして、たいていの場合、変質して、蛇紋岩になっています。

蛇紋岩は、おもに蛇紋石でできた岩石です。これは、岩株のような形で産出します。

ハンレイ岩

おもに、輝石とカルシウムを多くふくんだ長石からできていて黒い色をした、粒の粗い岩石です。

成分は玄武岩や輝緑岩と同じです。

カンラン石の多いものを、カンランセキハンレイ岩、角閃石の多いものを角閃石ハンレイ岩と言い、いずれも、たいてい岩株として産出されます。

閃緑岩

輝石、角閃石、カルシウ厶とナトリウムの多い長石、および石英がおもな成分でやや緑色をおびた灰黒色の岩石です。

このうち、わりあいに石英の多いものを、石英閃緑岩といって、区別しています。単独または、カコウ岩といっしょに、岩株状で産出されます。

カコウ岩

石英、ナトリウムとカリウムの多い長石が、おもな成分でカクセン石や雲母を、少しふくんでいます。

ごま塩状の白みがかった岩石ですがときには、うす紅色ないし肉色をしていることがあります(サクラミカゲ)がこれは、長石の色によるものです。

カコウ岩は、ミカゲ石ともいわれ、たいへん種類が多くふくまれている有色鉱物の種類によってそれぞれ、角閃石カコウ岩・黒雲母カコウ岩・白雲母カコウ岩などといわれます。

また、有色鉱物のわりあいに多いものを、カコウセンリョク岩といって区別することもあります。

カコウ岩は、日本のあちこちの山に広く分布しています。




火成岩の分類とは? 火山岩・半深成岩・深成岩とは?

火成岩には、非常に多くの種類がありますができかたによって大きくわけることができます。


火山岩

マグマが地表または地表近くで急に冷え固まってできた岩石です。

したがって、岩石をつくっている鉱物のひとつずつは非常に小さく、鉱物顕微鏡(岩石顕微鏡、または偏光顕微鏡ともいう)で調べないと、よくわかりません。

火山岩は、マグマが急に冷え固まってできたため天然のガラス質や小さな結晶がみられます。

この、小さい鉱物やガラス質のところを石基といいます。
しかし、この石基の中に、やや大きな鉱物が、点々とふくまれていることがあります。

これはマグマが、まだ地下の深いところにあったときにできたもので、斑晶といいます。

斑晶は、肉眼でもかんたんに見分けられます。

半深成岩

これは地表にはでないで、地下数キロくらいまでのところで冷え固まった岩石です。

半深成岩は、冷え固まる早さが、火山岩よりもゆっくりしているため岩石をつくっているため、岩石をつくっている鉱物の粒は、火山岩のものよりも、いくらか大きいのがふつうです。

この粒の大きさは、肉眼でも、ある程度見分けることができます。
なお、この半深成岩には、天然のガラス質はふくまれていません。

深成岩

これは、マグマが地下10キロ前後のところでゆっくり冷え固まってできた岩石です。

このため、冷え固まるときに、それぞれの鉱物の粒が数ミリかた1センチくらいの大きさにまで成長しています。

したがって、深成岩は、いっぱんに粒の粗い鉱物からできていて肉眼でもたやすく見分けられます。

結晶組織

岩石をつくっている鉱物の大きさやならびかたは、岩石の種類によって異なります。
これに、マグマが冷え固まるときの場所やマグマの性質によるものでこれを岩石の結晶組織といいます。

火山岩のように、小さい鉱物や天然ガラス質からなる石基のところに大きい鉱物である斑晶が点在しているような組織を斑状細織といいます。

斑状組織をしめす岩石には、火山岩や半深成岩があります。

深成岩のように、わりあい大きな鉱物が集まっているような組織を等粒状組織といいます。



火成岩の組成

火成岩は、種類によって、それをつくっている鉱物の種類やその割合が違っています。
しかし、おもしろいことには、つぎのような規則正しい関係があります。

① それぞれの火成岩をつくっている鉱物の約半分は長石(シャチョウ石とセイチョウ石)がしめている。

② 残りの約半分をしめる、有色鉱物と石英のあいだには、量的に逆の関係がある。

つまり、有色鉱物が多ければ石英が少なく、石英が多ければ有色鉱物が少なくなる。

これをもとにして、火成岩は、岩石をつくっている鉱物の種類やその割合によって大きく3つにわけることができます。

① おもに、長石と有色鉱物からできているもの。

② 長石・石英・有色鉱物の3つでできているもの。

③ おもに長石と、石英からできているもの。

火成岩の名前

火成岩を分類して、名前をつけるには、それらをつくっている鉱物の割合と粒の大きさがもとになります。




火成岩の成り立ちとは?火成岩をつくっている鉱物とは? わかりやすく解説!鉱物とは?

マグマと火成岩

火成岩は地下の深いところにあるマグマ(岩礁)が地表や地表に近いところに噴き出し、それが、冷え固まったものです。

核の内部に、いろいろな鉱物が、どろどろに溶けてできるものです。

マグマのある場所に、地震の起こる場所と深いつながりがあってだいたい地下数十~数百キロの深さのところです。

これは、地球全体から見えばごく浅いところです。
しかし、マグマのできる原因は、むかしから多くの学者によって研究されていますがよくわかっていません。

マグマは、地表に吹き出したときは、かなり流動性があって遠いところまで流れるものもあります。

しかし、地下の深いところにあるときには、上から強い圧力を受けているのでもっとねばりけの強い状態になっているのだろうと考えられています。

火口から流れだしたマグマの温度は桜島や大島の三原山の例では、1000~1200度くらいです。

外国の火山の場合も、だいたいこれと同じ温度です。

また実験室で岩石を溶かすときもほぼこのくらいの温度で溶けることがわかっています。


火成岩をつくっている鉱物

鉱物の種類は、何千種もありますが火成岩を形作っている鉱物はごくかぎられた種類です。

日本の火成岩をつくっているものはおもにカンラン石・輝石・角閃石・雲母・長石・石英の6種類だけです。

もっとも、これらの鉱物には、それぞれいくつかの種類があります。

これらの鉱物のうち、カンラン石・輝石・角閃石・運もの4つには鉄やマグネシウムがたくさんふくまれているので、いっぱんに、黒っぽく見えます。

それで、これらを有色鉱物とよびます。

これに対して、石英と長石は鉄やマグネシウムがほとんどふくまれていないので、いっぱんに白っぽい色をしています。

このため、この2つを無色鉱物とよんでいます。

カンラン石

マグネシウム・ケイ素・酸素からできている鉱物です。
ふつうあめ色(オリーブ色)で、短い柱状をしています。

変質しやすく、緑色、うろこ状の蛇紋石石になります。

輝石

いろいろの成分のものがありますがカンラン石と似た成分のもの(シソキ石)とそれにカルシウ厶をふくんだもの(フツウキ石)が多くみられます。

カンラン石と同じように、短い柱状をしていますが、黒色をしていること平らな面にそってわれやすい性質があることなどによってカンラン石と区別できます。

角閃石

いろいろな成分が複雑に混じりあった鉱物でふつう、黒っぽい緑色から、黒色をしていて、長い柱状になっています。

平らな面にそって割れやすくその面がキラキラ光っているので、輝石と区別できます。

雲母

これも、いろいろな成分のまじりあったものですが板状で、その面にそって、うすくはげやすいので、かんたんにほかの鉱物と区別できます。

鉄・マグネシウムをふくんでいて、黒色のものを黒雲母、それらの成分をほとんどふくまない白色のものを、白雲母と言います。

長石

いろいろな種類がありますが、カルシウムとナトリウムをたくさんふくんでいるもの(シャチョウ石)とカリウムをたくさんふくんでいるもの(セイチョウ石)にわけられます。

ふつう、うすい灰色から白色のものですがいくらか変質したものは、うす桃色や肉色をしています。

平らな面にそって割れやすく、その面がキラキラ光るので、石英と区別できます。

石英

ケイ素と酸素が、化合した鉱物です。

岩脈をつくっているものは、六角柱状のきれいな結晶(水晶)になりやすいのですが、火成岩の中にあるものは、いっぱんに不規則な形をしています。

ふつうのものは、ガラスのように無色透明で平らな面にそってわれる性質がないので、長石と区別できます。




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