暑さや寒さは、主に空気の温度によって決まります。
この空気の温度を気温といいます。
暑いときは空気の温度が高く、寒いときには空気の温度が低くなっています。
気温をはかる場所
気温は、部屋の中と外では違い、また部屋の外でも地面のすぐそばと少し高いところとでは違っています。
同じ高さでも、草原の上と砂地の上とでは違います。
このように気温は場所によって違うので気象台でおこなう気象観測では世界中を通して1つの約束をしています。
それは、部屋の外の、芝生をうえた広い平地で地面よりの高さ1.5メートルくらいのところの気位をはかるということです。
このような広い平らな芝生の地面のあるところを、露場とよんでいます。
どうして地上1.5メートルくらいの高さを選んだのでしょうか。
これは、ちょうど、人が立ったときに口や鼻で呼吸をする高さにあたり、人の生活に関係が深いからです。
また、これより低いと、地面の影響を受けて、温度がかわりやすくなるからです。
気温をはかるときの注意
気温を正しくはかるには、温度計を使います。ふつうは板についた温度計を用います。この温度計を板つき温度計といいます。
また、温度計の前のほうに金属の板か、網をつけたものもあります。
これは、ガラス球が壊れるのをふせぐためと太陽の熱やストーブの熱が直接あたらないようにするためです。
部屋の中の気温は天井の近くは高く床の近くは低い場合が多いのでいろいろの高さに温度計をつりさげてそれぞれの場所の温度を調べてみると、おもしろいでしょう。
部屋の外で気温をはかるには、つぎのような3つのことがらに注意することが大切です。
① 太陽の光が、温度計に直接あたらないようにする。
これは、気温をはかるうえでいちばん大切なことです。
そのためには、木の下とか、家の北側の日のあたらない場所を選びます。
② なるべく、風通しのよいところに温度計をおき、風かよくあたるようにする。
③ 雨や雪がかからないようにする。
天気が悪くて雨や雪が直接に温度計にあたるようなときには温度計の少し上に小さいかさのようなものをとりつけて、ふせぎます。
このような場所で、温度計を吊り下げて5分間くらいそのままにしておきます。
風が1秒間3メートル以上もふいていて温度計にその風があたっているともっと早くはかれます。
風のないときに、急いではかりたいときには、器であおぐと早くはかれます。
また、ふりまわし式の温度計を用いることもあります。
これは、温度計をうちわであおぐかわりに、温度計をふりまわして風にあてる方法です。
下の写真にしめすようなしかけで、できていますがふつうに用いる棒温度計や仮つき温度計を用いて自分でつくることもできます。
もっとも簡単な方法として温度計の頭を手にもち左右にふって、空気にあてるようにしてもよいのです。
いずれの場合にも、直接太陽の光があたらないように注意しなければなりません。
百葉箱
気象台や測侯所でおこなう気象観測では、これら①②③の条件を備えた特別の箱をつくって、その中で気温をはかります。
この箱を百葉箱とよびます。百葉箱は、足のついた小さな本の小屋です。
四方はよろい戸で、全体に白いペンキでがぬってあります。
この中に温度計をかけると太陽の光が温度計に直接あたったり雨や雪がふりかかったりすることがおりません。
よろい戸の隙間からは風が自由に、中をふきぬけるようになっています。
百葉箱は、ふつう、屋根の低いほうを常に、扉のついているほうを北に向けてすえつけます。
北側に踏み台をつけておけば、扉を開けて、温度計をよむのに便利です。
気象観測に百葉箱にもいろいろあります。
箱の一変の長さが1メートルくらいの大きいものでよろい戸が二重になったもので一辺の長さが70センチくらいでよろい戸が一重のもの一辺が50センチくらいの小さいものなどがあります。
いずれにしても、その中の温度汁の感部(温度を感じる水銀やアルコールのたまった部分)の高さは、地上1.2~1.5メートルくらいになっています。
風をあてるためには、百葉箱に手まわしの扇風機をつけたものもあります。
また、温度計の感部を筒で囲み、この筒の中をモーターつきの扇風機で風を通すしかけのものを百葉箱の中にいれる場合もあります。