殺菌灯と太陽灯
蛍光灯では、ごく低い圧力の水銀蒸気の中の放電でえられた紫外線を蛍光物質にあてて、目に見える明るい光にかえました。
しかし、紫外線はそのままで、細菌を殺すという役に立つはたらきをもっています。
そこで、この低圧水銀灯はそのままの形で、殺菌灯として使われています。
水銀蒸気の圧力が大きくなると、放電でえられる光は目に見える長い波長のものが多くなります。
紫外線がでるとしても、その波長は低圧のときよりも長くなります。
このような波長のわりあい長い紫外線は健康によいので、医療用に使われます。
医療に使われる、太陽灯とよばれる高圧水銀灯では管内の水銀の蒸気の圧力は大気圧に近いものです。
波長の短い紫外線は目に見えませんが、波長の長すぎる光も目に見えません。
この波長の長すぎる光を、赤外線と言います。
そして、電球には、赤外線だけを出す赤外線電球もあります。
この赤外線は熱作用が大きいので、熱線ともよばれこれもまた、医療用に使われています。
アーク灯
アーク灯もまた、放電灯の一種です。
アーク灯の実験をはじめておこなったのはイギリスのデービーで、電球の発明よりはるかに早い1808年のことでした。
やがて、1876年にロシアのヤブラチコフが炭素棒の間にアークを飛ばす電気ろうそくを発明しこれは一時、町中や劇場の照明用に使われましたが不経済なので、すぐに廃れてしまい白熱電球の研究が進められるようになったのです。
炭素アーク灯の原理は、2本の炭素棒電極の先をくっつけてその間に電流を流しておき、それを静かに離して電極間にアークを発生させることです。
時間が経つと電極の炭素の蒸発のために、電極間の距離が大きくなってアークが消えますから、自動的に炭素棒を近づけてやる必要があります。
アークの光は、ふつうの照明用には強すぎますし電力もかかり、取扱いも不便です。
しかしその強い光は、サーチライトや製版機に使われています。
閃光電球
暗いところで写貞をとる場合に、カメラに取り付けて使う、閃光電球があります。
閃光電球は、光はシャッターの開いている、ごく短い時間だけついていればよいのですが、そのかわりに強い光が必要です。
そのために、電球内にはアルミニウムのうすいはくと酸素がつめられ中に入れたタングステンのフィラメントはただ、このアルミニウムに火をつける役目をもっているだけです。
タングステンのフィラメントに電流が流れて熱が出ると、アルミニウムが酸素と化合して、酸化アルミニウムができます。
この反応は、いちど起こりはじめると爆発的な速さで進みこのとき非常に大きな熱を発生して、まばゆい光を出します。
いろいろな照明
住宅の照明、工場や事務所の照明、商店あるいは広告を目的をした照明から戸外の照明、投光器を自由に使って芝居の効果をあげる舞台照明など場所と目的により、照明のしかたにいろいろと工夫がしてあります。
たとえば、住宅の照明でも仕事の場所と休息の場所とでは照明をかえたほうがよいでしょう。
仕事場では、人の目を疲れさせず、ものを見やすいように照らす方向をよく考えます。
また、休息の場所では、問接照明や色彩の調節などによりやわらかい感じを出すほうがよいでしょう。