春雨
春は、冬よりも雨の降る日が多く、1回に降る雨の量も多くなります。
草木に若芽のでるころに降る、細かい雨は、春雨といわれています。
これは本州の南に前線があるようなときに、降る雨です。
花ぐもリ
前線が近づいて、雨が降るまえは、空一面にうす雲(絹層雲)やおぼろ雲(高層雲)が広がってきます。
花見のころの、このような天気は、花ぐもりといわれています。
空一面に、うす雲が出ているときは、太陽や月のまわりに大きな輪ができます。
これを日のかさ、月のかさといいます。
昔から「月がかさをかぶると、雨が降る」といわれています。
春の夜、おぼろ雲が広がっていると、月の形が、ぼんやりと見えるものです。
これをおぼろ月といいます。
霞(かすみ)
風が静かで、天気のよい日の朝や夕方に、かすみのかかることがあります。
かすみは、霧や、煙霧のうすいもので地面の近くの空気が上空の気温よりも低いときに起こるものです。
陽炎(かげろう)
春さき、風が弱くて、日差しが強いとき川原や、線路のところでものがゆらゆら揺れて見えることがあります。これをかげろうといいます。
ふつう空気は、地直に近いところがいちばん濃く高いところにいくほど、少しずつうすくなっています。
ところが、地面が強く温めれると、地面近くの空気が温まって膨張し、軽くなります。
軽くなった空気は上のほうに昇っていきます。
すると、地面に近いところの空気には、濃いところと、うすいところができます。
いっぽう、光は空気の中を通るとき、濃さが違うところでは屈折してすすむので、物が揺れて見えるわけです。
蜃気楼
冷たい空気と温かい空気が接しているとき遠くの景色が空中に見えることがあります。この現象を蜃気楼といいます。
蜃気楼が起こるのは、密度の違う空気が接しているとその接する面で光が屈折するためです。
蜃気楼は、砂漠などで地表近くの空気の温度が高く上のほうの空気の温度が急に低くなっているとき、極地方の海のように海面の温度が空気の温度よりも非常に低いとき水平方向に温度の異なる空気層があるとき、などに起こります。
日本では、富山県の魚津で見られる、蜃気楼が有名です。
富山湾では、春から夏のはじめにかけて、山の雪が溶け冷たい水が海に流れだして、海面の温度が低くなります。
すると、海面近くの空気が濃くなりますが、そのすぐ上には温かい薄い空気が重なっています。
このため、光の進みかたがかわり、蜃気楼があらわれると考えられています。
逃げ水
天気のよい日のアスファルト道路などで
水がないのに遠くのほうに水があるように見えることがあります。
この現象を逃げ水といいます。
逃げ水は、蜃気楼の一種で、地面が高温に熱せられると
その近くの空気が温められて密度が小さくなります。
すると、密度の大きい上側の空気中にある物体から出た光は
下側の密度の小さい空気との境目で屈折します。
したがって遠くで見ると、あたかもその物体が道路の上の水面にうつっているように
逆さまに見えます。
しかし、近づくと消えてしまい、後ろへと逃げていくので逃げ水といわれています。
雪解け
冬のあいだに降り積もった雪は、温度が上がるとともに、解けはじめます。
急に温度が高くなると、山の雪がいちどにとけて川に流れこみ、洪水が起こることがあります。
北海道から北陸地方までの雪の多いところでは、春に、雪解けの洪水がよく起こります。
しかし、春から夏にかけて、水の足りない季節には
山奥の雪がとけて流れ出す水が、水力発電にとって、大切なはたらきをしています。
春の霜の害
4月を過ぎてから、高気圧でおおわれると、夜、気温が下がるため霜がおりクワや、果物の木などの農作物が害を受けます。
上の天気図は、1967年4月8日の朝のものです。
本州のまん中にある高気圧は、朝鮮のほうから動いてきた移動性の高気圧です。
日本の各地とも、高気圧の影響で風が弱く、ほとんどよい天気になっています。
このようなときは、夜間の冷え込みが強いのです。
そのうえ、グラフでわかるように、ちょうどこのころは、気温の低い時期にもあたっています。
8日の朝は、関東地方の北部から東北地方にかけて気温が0度以下に下がったところもあったほどです。
このような移動性高気圧におおわれ、気温が下がったとき、よく霜がおります。
このころに霜がおりると、梨・桃などの果樹や茶・クワ・じゃがいもなどの農作物におおきな被害を与えることがあります。
春の天気図
上の天気図を見ると、本州の中央部に移動性高気圧があります。
この影響で、全国的に快晴になっています。
春に気温が急に高くなるときは、太平洋の気団が、日本付近に顔を出したときです。
このようなときには、必ず日本海かシベリアに、強い低気圧があります。
そして、本州では各地とも気温が高く、南風が強くなっていきます。
このようなときは、せっかく咲いているサクラの花が、いっぺんに散ってしまいます。
また、とくに日本海側では、気温が高くなり湿り気が少なくなるので、大火事が起こりやすくなります。